【腹ペコ冒険者】あざらしかれー



<オープニング>


 ランドアースの片隅にある、とある小さな小さな村。
 その村には、昔から愛されている食べ物がありました。
 それは海からの贈り物。村人達は保存の効く干し肉へと加工して、とても大事に食します。
 村では一年に一度だけ、その動物のお肉を御馳走に変えました。
 じめじめした日を、そしてこれから始まる暑い日々を耐えられるように、香辛料を沢山使った辛い御馳走。
 辛い辛いと言いながら村人全員で食べる御馳走は、村人達の楽しみでもありました。
 ……それが一般的に美味しいかどうかは別として。

「……ええと、何処から話しましょうか」
 酒場で冒険者達を集めた深緑の霊査士・ディクス(a90239)は、何処か歯切れ悪く話し始めた。
 これから冒険者達が向かうことになるのは、とても小さな村の近くにある海岸だと言う。
 岩と砂で出来た広い海岸線には、海の動物であるアザラシ達がのんびりと暮らしており、何時もはとても和やかな風景を目に出来る場所だ。
 しかしつい最近、その海岸線に通常の数倍の大きさをもつアザラシが突然現れたらしい。
「何時もはあまり動きも早くないのですが、身の危険を感じると転がって体当たりをしてくるようです。足場もあまり良くはないですし、油断をすると危険かもしれません」
 デコボコとした岩をものともせず、巨体を転がしてくる攻撃は、熟練の冒険者でも食らうとかなり痛そうだ。
「それと、巨大アザラシの側に居る普通のアザラシには、あまり危害を加えないようにして欲しいそうです」
 霊査士の言葉に、冒険者達は顔を見合わせて少しだけ首をかしげた。
 可愛いアザラシに危害を加えないでくれ、そう言うことだろうか。何人か囁きあうのを聞いて、霊査士は違いますと首を横に振る。
「実は、村ではアザラシの肉が大切な食料となっているそうなんです」
 と、霊査士は、村から受け取ったらしい干し肉を何処からとも無く取り出して言った。
 その小さな村の近くには牧草を育てられる場所が無く、豚などを育てることは出来なかった。しかも、近隣の村とは結構な距離があり、肉類を調達するのはとても難しい。
 そんな彼らの重要なたんぱく源、それがアザラシの肉なのだそうだ。
「村では昔から一年に一度……その、アザラシをカレーにして食べるお祭りがありまして」
 乾燥したお肉とたっぷりの香辛料を使い作られたカレーは、夏を乗り切る為の大切な栄養となると言われている。
 村のアザラシカレー祭りはもう直ぐ、急いで巨大アザラシを倒さなければ、アザラシを狩りに行った村人が危険にさらされるかもしれない。
「それと、もう一つ。巨大なアザラシの肉は、村に持ち込まないようにして下さいね」
 もし間違えて村人が食べてしまったら、大変なことになるでしょうから。
 徐に干し肉へと手を出した突撃ヒトノソ元気っ子・リュミー(a90245)へと視線を向けて、霊査士はそう告げた。
 するとリュミーは伸ばしかけた手をぴく、と振るわせる。
「駄目なぁ〜ん!?」
「食べる気ですか? お腹壊しますよ」
 ぴしゃりと言われると、リュミーはがっくりと肩を落とす。
「まあ、普通のアザラシの肉であれば……試食させて下さるかもしれませんし、頼んでみたらどうですか?」
 もしかしたら、アザラシカレーの試食も出来るかもしれないですし、と続けた霊査士の言葉を聞いて、リュミーは目を輝かせ、行くなぁ〜ん、と拳を振り上げた。
 元気なその声を聞きながら、霊査士は「宜しくお願いしますね」と冒険者達に頭を下げたのだった。

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参加者
女蘭狐璃威連盟酒頭・カメリア(a02670)
砂糖・トート(a16979)
ミルクプリン・フィフス(a26735)
沈戈待旦・ハル(a28611)
焔をはらむ風と共に・セルシオ(a29537)
無限のイブクロ・エル(a32875)
黒鉄羊・エポシャーナ(a34226)
白刃の影騎士・ブレイズ(a34294)
笑顔のヒーロー・リュウ(a36407)
真紅の風の自由戦士・ラムナ(a41962)
NPC:突撃ヒトノソ元気っ子・リュミー(a90245)



<リプレイ>


「うーみー!」
「海はまだ……泳げませんわね」
 青く澄んだ海は白い波を立てながら、朝日に笑う小さな薔薇・エル(a32875)の声を吸い込んでいく。まだ夏には少し早く、波打つ海の水はとて冷たい。服の下に水着を着込んでいた雪と椿の世界に舞う酒飛沫・カメリア(a02670)は、少し残念そうに嘆息する。
 けれど、今日は海に泳ぎに来た訳ではない。泳げない鬱憤は、辛いカレーとビールで晴らすしかないですわね、とカメリアは既に戦いの後を思い浮かべていた。
 この海岸に居るという巨大アザラシ、それを退治し特産のアザラシカレーを食べる。それが今回の目的だ。
 砂浜にはいくつも岩が点在し、そのうち幾つかの上にアザラシが寝転んでいた。
「美味しそうだよ……」
「お腹とかムニムニしてそうで気持ちよさそうなぁ〜んね」
 アザラシを見つめて呟くエルと黒鉄羊・エポシャーナ(a34226)の二人。あまりにもお腹がぷよぷよなので、思わず摘んでみたくなる。
 むにり。
 良い効果音で摘んだエポシャーナに、アザラシは円らな目を向けた。その目はまるで「摘まないで欲しいアザラシー」と言っているようで、思わず目を背ける。
(「よ、弱っちゃうなぁ〜ん……」)
 これから戦う巨大アザラシも、やはり円らな目をしているのだろうか。
「アザラシって、肉硬いなぁ〜んねっ! 臭みがあるなぁ〜んねっ!」
「味はともかく、栄養素は豊富と聞いたことがありますね」
 円らな目を自分の中から追い出すように、エポシャーナは武器でもある肉包丁を研ぎながら言った。その言葉にブレイズが反応し、優しい口調でそう笑う。
 どんな目も、腹ペコ冒険者達の食欲と好奇心には叶わぬ様子。少しカレーの事を考えただけで、エポシャーナの頭の中はアザラシカレーの事で目一杯になった。食べたことないので楽しみなぁ〜ん、という彼女の言葉にリュミーも同意してなぁ〜んと頷く。
「どんなもんデスかねー?」
 会話を聞きながら、召喚獣・トート(a16979)もアザラシのカレーを思い浮かべる。肉はアザラシ達の独特の匂いが残っているのだろうか、むしろその匂いがきついのだろうか。考えれば考えるほど好奇心は高まるばかり。
 柔らかな陽光の降り注ぐ海岸、そして寝転ぶアザラシ達。その安らかな時間を、巨大な影が奪って行く。降り注いでいた太陽の光が遮られ、見上げれば、こちらを見下ろす円らで大きな瞳。
「デカイなぁ、こんなのに潰されたら堪ったもんじゃないなっ」
「いや〜、何食べたらあんなに大きくなるんでしょうねぇッ」
 気が付いた真紅の風の自由戦士・ラムナ(a41962)と旅人は焔をはらむ風と共に・セルシオ(a29537)が、言葉を交しながら後ろへと飛び去った。その前方を大きなヒレが空を切り、二人に海の香りが叩き付けられる。
 飛び去りながら武器を構えた二人は、砂を巻上げて足を止めた。踏ん張りながら見上げると……セルシオの視線とアザラシの視線がばっちりと音を立てて合わさった。可愛い円らな瞳。ああ、戦えるはずがない……と一瞬輝かしい世界にトリップしかけた彼は、ふるりと首を横に振って武器を構え直す。その横では必死に目を見ないように顔をそむけるエポシャーナの姿があった。
「集え災厄の魂。敵を滅する黒風に変えて――」
 うろたえる二人の合間を縫って、ブレイズが放った死神柄のカードがアザラシへと飛び込んでいった。罰ゲームをかけたカードはその腹に深く突き刺さり、闇色に肉を変色させて消える。その直後を狙い、セルシオは地面を蹴り駆け出した。
 一撃目、と力を込めた両手の武器に電撃が走り、稲光を走らせて大きくアザラシの体を切り裂く。眩いばかりの雷撃は裂いた傷口からアザラシの体全部へ走り、太った体が痙攣を起こした。これで少しの間は動けまい。
「魂を打ち砕く闇となれ! ダークソウル!」
 続けとばかりに愛剣を構えた笑顔の剣士・リュウ(a36407)が、アザラシの前へと踊り出て一撃を放つ。恐怖に震え上がるアザラシを見やり、ラムナがもう一撃をと足を進めた。
「そういえばお前との戦いはこれが始めてだよな……ま、とにかく、よろしくな」
 ふわり、と風になびく自分の召喚獣へ向けて声をかけながら、装甲を加え重みの増した剣で腹を薙ぐ。
「皆、気をつけて! アザラシ達が!」
 その瞬間、巨大アザラシが動きを止めて大きく体を振るわせた。同時に数匹のアザラシが恐れるように海へと逃げて行く。
「拙者の出番でござるな」
 ――転がる前兆だ、そう察知した歌う山伏・ハル(a28611)は仲間を癒す凱歌を止めて、即座に新しい歌を紡ぎだす。
「転がってくるぞ〜♪」
 海へ逃げろ、ハルの声に気づいたアザラシ達は皆、海へと去っていった。この村の名物であり、命の源であるアザラシを潰させるわけにはいかないのだ。
 そしてハルも直ぐに巨大アザラシから距離を取る。ここまで来ればもう安心――と思ったその時。
「轢かれたら、中身がでちゃいそーデスね?」
 呑気な声が聞こえた。声をかける間もなく、始まるアザラシの回転攻撃。
 どん。
「転がるときは、ちゃんと前を見て転がりましょう! トートさんとのお約束デスよ――ッ?」
 大きな音をたてて、トートは大きな弧を描き砂浜へと落下した。
 彼女にぶつかり動きを止めた巨大アザラシ、犠牲となったトートへ祈りを込めながら、エルが黒い鎖を吐き出す。
「黒き鎖の力で食材は黙ってると良いよ!!」
 ――注意、巨大アザラシは食べられません。
 エゴなんだか食い意地なんだか分からない鎖がアザラシへ絡みつき、その動きが止まった。即座にハルが凱歌を紡ぎだし、エルの体を強張らせる麻痺を取り除く。
「大きくって食べ応えありそうなぁ〜ん」
 狩りには情け無用、と攻撃力を高めた斧に電撃を流し、家事の武人・フィフス(a26735)が巨大アザラシへと一撃を繰り出した。あわせるようにリュミーが巨体へ殴りかかり、リュウとラムナの攻撃がアザラシを叩く。天使を生み出しながらエポシャーナが巨体へ肉包丁を叩きつけると、その体が大きく震えた。
「もう一度動きを止めます、場所を開けて下さい!」
 動き出す巨体にあわせて叫んだブレイズの指先から、白い糸が大量に放出された。動きかけた体がまた止まり、巨大アザラシは苦しげに体を揺すっている。
「肉片ぐちゃーになるとなんか辛そうですものネ、イロイロと」
 糸を放とうとしていたカメリアは、そう呟きを零して手を止めた。指先に絡める鋼糸へ目を落とし、その唇に笑みを浮かべた。
 即座に彼女は地面を蹴り出す。その身体は素早く巨体の後方へと周り、首あたり――どこが首か正直見極めはつかないが――に鋼糸を絡めて締め上げる。
「海の男……じゃなくてヲトメを甘くみてはいけませんわー!」
 勝ち誇ったカメリアの声と共に、泡を吹いたアザラシは、その巨体を静かに横たえるのであった。

「フフフ……食材の癖に生意気だったよ」
 注意、巨大アザラシは以下略。
 冒険者達は巨体を見つめて、嬉しそうに微笑みを浮かべる。
 他のアザラシ達にも被害は無く、海へと逃げたうちの数匹が既に海岸へと戻って来ていた。
「流石にこれは……食べれそうにありませんね。あ、いや、元々食べる気なんてありませんけど」
 巨体を見下ろしてブレイズが苦笑いを一つ浮かべた。体は砂に塗れ、いくつもの剣に傷つけられた肉。どう考えても食べれそうに無い。
 せめて皮だけでも、と短剣を操り捌きだすセルシオは、不穏な空気にカタカタと震えながら言葉を紡いだ。
「僕は村の人にお願いして分けてもらいマスヨ」
 手早く解体され、剥いだ皮はハルとエポシャーナが受け取った。隣では巨大アザラシを埋めるための穴をラムナが賢明に掘っている。
「持っていくのは止めませんが、食べる分だけにしてくださいね。運ぶのが大変でしょうし」
 と言って、セルシオ達は巨大アザラシを転がした。穴へ落とし、埋めてしまうつもりのようだ。
 ――転がすと、アザラシの下ににょっきりと足が出ているのが見えた。呆気に取られる仲間達。巨大アザラシ肉がその間に剥ぎ取られた事に、気づくものは誰一人としていなかった。


「大きな食材倒したよー♪」
 注以下略。
 村へ戻った冒険者達は、村人達へと向かってそう宣言をした。巨大アザラシは退治した、という言葉に村人達が大きな歓声を上げる。
 冒険者達の元へと駆け寄ってくる村人達、その姿を見ながらエルはひとつパンと手を合わせてみせた。
「で、お願いがあるんだよ。カレーが食べてみたいから……お手伝いしてもいいかな?」 
 そう、これこそが、冒険者達の真の目的とも言える事であった。勿論『困っている村人達を助ける』事も忘れては居ないが。
「アザラシのカレーなんて聞いたことが無いので味わってみたいのです。」
 なんでも手伝いますからお願いします、とエルの横でセルシオが頭を下げる。
 けれどやはり村人達は困惑しているようだった。
「お祭りの前にリハーサル気分でつくってくれませんかしらん」
「11人分の肉がほしいでござる。交換条件があっても巨大あざらしの皮くらいしか思いつかぬが」
 ハルの言葉に頷いて、エポシャーナが巨大アザラシの皮を村人に渡す。流石に巨大アザラシから剥いだだけあって、その皮はとても大きかった。再び村が歓声に包まれる。
 どうするか。歓声の中で村人達が相談をするのが聞こえた。お願いします、と頭を下げたり手を合わせたりしながら、
「少しでいいからカレーをわけてくれないかなぁ〜ん?」
 と、エポシャーナが告げた瞬間、ぐぅ〜っという音が村中に響き渡った。顔を見合わせる村人達と、思わずお腹を抑えるエポシャーナ。
 ――お腹が空き過ぎて、鳴ってしまったらしい。
「腹減ってるんじゃ、しょうがないな!」
 大きな音だったからか、笑いながら村人達が冒険者達の肩を叩いて言った。勿論、アザラシの皮を持ってきた事も、村人達を動かす大きな力になっただろう。
 しかし、村人達は腹ペコさん達の食欲を知らない。少し心配になったハルが、そっと村人に囁きかける。
「皆、食い意地は張っているでござるから……多めにお願いするでござる」
 足りなければ狩りに同行すると微笑むハルと、折角だからどういう風に狩るのか知りたいと笑むリュウ。二人はそのまま狩りに同行する事となった。
「……待てないなぁ〜ん」
 なり続けるお腹を抑えて、呟くリュミー達。そんなこともあろうかと、と取り出されたのはラムナ特製のフルーツサンドだった。カレーが出来上がるまで、小休止。

 一方、その頃。
「もったいないなぁ〜ん」
 一人巨大アザラシの肉持ち込んでいたフィフスがポツリと呟いた。
 あの時埋められそうになったアザラシの肉、食べられないといわれても、どうにか食べられるように出来ないだろうか。
 そう考えたフィフスは、肉を燻製にしたりソーセージにしたりと加工してみた。
 見た目は全く普通の肉と変らない。――食べれるのでは?
 そう首をかしげるフィフスの回りには、黒と黄色のロープが張り巡らされている。狩りへ行く前に気づいたリュウが看板と共に設置したのだ。
 その看板には、『変異アザラシ使用。食べるな危険』の文字が光っていた。

 肉が到着する。村全体で行なわれる調理に、冒険者達も参加した。
「リュミーも一緒に手伝おうよ♪」
「なぁ〜ん」
 と、目をらんらんに光らせて野菜を切り刻むエルとリュミー。
 その隣では、手際よくハルが魚やエビなどを捌いていた。
「男の調理でござる」
 シーフードと村人から渡された燻製肉を豪快に入れた、特製のアザラシカレー。
 こうして、カレー作りは着々と進んで行く――。


「わっくわっくわく、なぁ〜んなぁ〜ん!」
「なぁ〜ん!」
 お皿とスプーンがかちゃかちゃ鳴って、嬉しそうに歌う。歌声の主はリュミー(16歳)とエポシャーナ(22歳)だ。
 真っ白いお皿にご飯をよそい、その横に熱々のカレーをとろり。ごろっと入ったお野菜とお肉が、腹を刺激する。
「おかわりはあまりしないようにしようね?」
 エルはリュミーと自分に言い聞かせるように呟いてから、大きな声で「いただきますだよー!」と宣言する。同じく横でなぁん、と鳴いたリュミーと共に、二人は凄い勢いでカレーを食べ始めた。
「この食欲をそそるよーな、食欲が失せるよーなにほひがなんとも……」
 隣でスプーンを握ったまま、目を細めているのはトートである。
「美味しいんデスかねー?」
 首をかしげながら匂いを嗅いで、ちょっと青ざめてまた遠くを見る。
「この食欲をそそるよーな、食欲が失せるよーなにほひがなんとも……」
 首をかしげ――この動作を彼女は数十回と繰り返していた。
 同じようにおっかなびっくり、スプーンを持ち上げるエポシャーナ。意を決してぱくりと食べると、意外に普通にカレーの味。
「アザラシの肉ってこういう味がするんだ! 確かに独特の風味があるね〜」
 燻製肉をかみ締めながら、リュウはふむと頷いて微笑んだ。前方で食すブレイズも許容範囲ではある様子。食べきれなくなったらリュミーの皿に押し込もう、と思いながら、とりあえずは少しづつカレーを胃へと入れていく。
 珍しい料理に舌鼓を打ちながら、ふとリュウはリュミーの方へ視線を向けた。こういうのは好きか、と問い掛けようとして、リュウは笑ってその質問を飲み込んだ。彼女の食べっぷりを見ていれば、聞かなくとも答えはわかる。
「カレーに合う酒はありませんか?」 
 カレーを突きながら、カメリアは村人に聞いて、美味しい地ビールをも手に入れる。辛いカレーにビール、夏場の贅沢。
「暑い夏、元気に乗り切るなぁ〜ん!」
「おかわりはまだあるでござるよ」
 嬉しそうな声に、カレーをよそっていたハルの笑みが重なる。
「カレー、美味しかったなぁ〜ん?」
「なぁ〜ん!」
 エポシャーナの問いに、リュミーは嬉しそうな声を上げて。仲間たちはカレーを綺麗に食べ終えて、嬉しそうに笑ったのだった。

 一方。
「俺、辛いのとか癖のある味は苦手なんだよなー」
 呟いたラムナのご飯に、少し甘い香りのするカレーがよそわれた。それは、仲間たちが食べているシーフード入りのカレーではなく、ソーセージなどの肉たっぷりのカレーだ。少し首をかしげたものの、ラムナは気にせず一口。
 そして隣でラムナにカレーをよそったフィフスも、同じく肉たっぷりカレーを頬張った。
 固まる二人、そして落ちるスプーン。
「カレーはやっぱり一晩寝かせたものが一番美味しいので是非そちらを分けて頂きたく……」
 村人の作ったカレーが良いと交渉を続けていたセルシオの背後に、二つの影が忍び寄る。
「え、なんで両腕掴むんですか? っちょ、ま、ヤメテーーッ」
 突っ込まれるスプーン、そして口から吐き出される泡。
 同時に倒れた三人の脳裏には、清らかな水をたたえる――三途の川が見えていた、らしい。


マスター:流星 紹介ページ
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