≪布団王国ぽわふか≫ふかっとぽわぽわ小旅行。



<オープニング>


「しゅーうごーーう……です!」
 ぴょぴぴぃ〜。と、妙な音の笛がした。
 布団王国ぽわふかのまったり旅団員が合図に集ってみれば、お布団の族長、おふとん・ティフェル(a05986)が満面の笑みを浮かべて仁王立ちしていた。
「みなさんお出かけですよっ! ぽわふか修学旅行ですよっ!」
 ぐるぐる巻きにしたお布団を片手に、ティフェルはパタパタと手を振りながら訴える。
 そう、この日はぽわふか面子でお出かけしようという、そんな日なのだ。

 その企画はずーっと前から始まっていた。

「えーっと、大勢でわいわいもいいですけど、今回はグループ行動ですよ〜」
 旅行のしおり(ティフェルお手製)を配りながら、族長はてきぱきと指示をしていく。
「B班な『ふか班』の行動メニューは観光と動物との戯れです! お花畑とかふれあい広場とかに行く予定なので、思う存分まったりふかふかしてきましょうね!」
 うきうきと告げたティフェルは、荷物の準備に取り掛かったようだ。
 彼女の背を見送り、ぱらり、しおりをめくってみる。
 ふか班用のしおりには、名所案内と動物のイラストが描かれていた。
 ふれあい広場には羊やら兎やらもふもふとした動物が多いようだが、犬や猫、リスなどもいるらしい。
 その情景を絵に描いてくれる人がいると、備考欄に書かれている。
 お花畑は実際に花の咲いている場所へ行くこともできるが、一望できる岬へも行けるそうな。
 ……どうやら、A班の目的地とは真逆の方向のようだ。
 そして夜は広間で枕投げが決定事項らしい。
 ぱたん。しおりを閉じると、いつの間にやら、にこりと笑みを浮かべた快活陽姫・サザ(a90015)の姿があった。
「サザさんは、どっちに行くの?」
「私? ふふ、どちらも楽しそうだけれど、今回はお預け。皆が泊まる宿で、待ってるわ」
 にこにこと笑っているサザ。何だか、企み事をしているように見えるのは、気のせいだろうか。
「あ、宿に残っちゃ駄目よ? 私も、色々やることがあるんだから♪」
 ……やっぱり、何かを企んでいるようだ。
 まぁ、悪いことなどないだろうけれど……。

マスターからのコメントを見る

参加者
人形姫に憧れる名も無き花・パティ(a05491)
ぽわふかのおふとん・ティフェル(a05986)
朝焼けを映す白雪・メイリン(a11124)
諷意なる時の光輝・ナコ(a15542)
満ち足りた平凡・ウィンスィー(a21037)
お布団の国の真珠姫・レープハフト(a21495)
詩歌いは残月の下謳う・ユリアス(a23855)
渡り蝶・チェロット(a35983)
NPC:快活陽姫・サザ(a90015)



<リプレイ>

 ♪ぽわふか ぽわふか♪ ふかふかもっこもこ。
 ♪ぽわふか ぽわふか♪ まったりもっこもこ。

 軽快な歌声。伴奏までもが聞こえてきそうだ。
 誰かが口ずさんでいる歌に合わせるかのように。人形姫に憧れる名も無き花・パティ(a05491)は、ぴょこぴょことスキップをしながらそこに辿り着いた。
 そう、ぽわふか小旅行(ふか班)の目的地、ふかもこの聖地、ふれあい牧場へ!
 広い広い牧場には、見るからにふかふかの羊やら、抱きしめたらぽむっ、としていそうな兎やら……とにかくふかもこに溢れていた。
「ふわもこ探検隊〜」
 真っ先に飛び出したのは、引率を志していたはずのおふとん・ティフェル(a05986)。
 むしゅめのセバスちゃん・レープハフト(a21495)とおてて繋いで羊へと突撃だ。
「はぎゅるもこ!」
「もっふもふ〜もこ〜♪」
 ぼふっ。ふわん、ふわん……。
 暫しの後、幸せ笑顔が二つ。
 のんびりと草をはもはもしている羊に、ぴったり寄り添って擦り寄って。ふと、レープハフトは傍らで毛に埋もれているティフェルを見つめた。
「まぁま、まぁまー……なんだかこのひつぢしゃんまぁまに似てるもこ……にぅ……らぶりーもこー……♪」
 ぎゅむり。ティフェルもろとも羊を抱きしめれば、「きゃー♪」と抱き返される。
 どこまでもまったりだ。
 と。そこへ、ひょっこりと顔を覗かせた諷意なる時の光輝・ナコ(a15542)。両手で猫を抱え、頭の上にも猫を一匹乗せて、もこもこ羊に便乗してきたのだ。
「ふわぁ……気持ちいいですね〜……」
 猫二匹と一緒にまったりしていると、また、レープハフトが顔を上げる。
「にゃんこさんもいるもこね……ならヒンメルも遊んでくるといいもこー……♪ レーも一緒にあそぶもこ……」
 ペットの子猫を放し、続けてレープハフト自身も猫に戯れる。
 にゃんこが二匹、牧場に増えた瞬間である。

 一方、牧場の一角に群れをなしている兎を見つけ、まるで子供のように瞳を輝かせている者が居たり。
「まぁ、まぁ……うさぎ様がたくさん……」
 泡沫の夢に漂う人魚・チェロット(a35983)だ。その手にはしっかりと人参が握り締められている。
「もこもこうさぎ様…あぁっ、待って下さいましっ」
 ちょっぴり警戒気味にチェロットから遠ざかろうとする兎を、チェロットは人参片手に追いかける。
 が。
「……疲れました」
 ぜはぁ、と崩れるチェロット。年齢が年齢なんです。
 しかし、そんな彼女を慰めるかのように、ふっかふかの兎が寄ってきたり。
「まぁ……」
 ぱあぁっ、と表情を明るくして、チェロットはそっと、兎を抱き上げる。
 大人しい感じだ。思った通りふかふかで、とても気持ちがいい。
「あぁ……愛らしゅうございます……」
「わぁ、うさぎさんがいっぱいいるのですよー♪」
 一人陶酔気味に兎を撫で回していたチェロットは、不意の声で我に返る。顔を上げると、先ほどのチェロットのようにきらきらとした瞳を持った朝焼けを映す白雪・メイリン(a11124)が。
「僕もぎゅーっとしていいですか?」
「勿論ですとも。さぁさ、どうぞ、お手を……」
 自身が抱きしめていた兎をそっとメイリンに抱かせ、チェロットはにっこり、微笑む。
 膝の上にちょこんと乗せ、何度か撫で回して。それから、ぎゅむっ、と抱きしめて。
 伝わってくる体温や、ふわ、と柔らかい毛並みを堪能する。
 もふもふと幸せそうに抱きしめているが、時折、はたと顔を上げては首を振るメイリン。
 どうやら、癒されすぎて周りが見えなくなっていたようだ。時々我に返っておかなければ、どんな世界に飛んでいくやら。
 まぁ、それでもいいかと思ったりは、しないでもないが……。

 もこもこ堪能中の周囲をちらちらと眺めつつ、パティは一人、隅っこの方で発見した狐にぺたぺたと歩み寄っていた。
「……ティフェルお姉さんが〜……いってました〜♪ ……キツネさんは〜油あげが〜……大好きなんですよね〜♪」
 ティフェルの言葉を素直に信じ、用意していた様子。
 しかし警戒しているのか、狐は匂いを嗅ぐだけでなかなか食べてくれない。
「……ふみゅ〜……美味しいですよ〜?」
 ぴらぴら、ぽて。
 狐の目の前においてあげ、じぃ、と眺めてみる。すると、端っこの方を少しだけ齧ったではないか!
「……美味しいですか〜? ……たくさんありますよ〜♪」
 にこにこと眺めていたパティだが、ふと、軽快な歌声を聴きとめ、顔を上げる。
 すると、なにやらもこもこの毛玉に埋もれている満ち足りた平凡・ウィンスィー(a21037)の姿を発見。
「♪ぽわふか ぽわふか♪」
 ウィンスィーが口ずさむ獣たちの歌のリズムに合わせておしくら饅頭。羊に押され、犬に揉まれ、兎を抱きしめつつ猫にしがみつかれ。
 さらにはフワリンまで大量に召喚されていたりして。
 ……なんというか……異様だった。
 しかしウィンスィーはものすごく幸せそうだ!
 じぃーっ、と、狐と共にその光景を眺めていたパティだが、やがて何かを思い至ったように毛玉の中に突進した。
「ふかふかもこ〜」
「……はうぅ〜」
 彼女たちが無事に解散できたのか。それは、彼女たちだけが知ることである……。

 各々に動物と戯れつつも、忘れてはいない。絵描きさん。
 これまた各々にイラストをお願いしに行っていたらしく、何だかやたらと忙しそうだ。
 でも、心なしか楽しそうにも見えて。
「おっちゃん! 一枚よろしくねー」
「おいおいせめて兄さんにしてくれよー」
 びしっ、と親指立ててお願いする木陰に眠る詩唄い・ユリアス(a23855)に、絵描きはからからと笑いながら返す。随分と気さくだ。やっぱり、楽しいのだろう。
 イラストも頼んだし、と改めてまったりモードに入ったユリアスは、いそいそと木に登りだす。
「見つけた」
 ひょこり、顔をのぞかせたそこには、小さなリスが一匹。ゆらゆらと尻尾を揺らしながら、じぃ、とユリアスを見上げていた。
 負けじと見つめ返すユリアス。暫し睨めっこが展開される。が。
「……ふふ。可愛いなぁ……」
 ユリアス、ぎぷあっぷ。
 勝つ気満々だったが、この愛らしさには敵わない。
 勝敗も決まったことだし、と。何故か偶然持っていたどんぐりをそっと差し出し、するすると木から降りていく。
 さて、このまままったりしようかと思案をよぎらせたユリアスだが、移動の合図がかかってしまった。
 これから、お花畑に行くらしい。
「はいよ。また宜しく頼むよ」
 去り際に渡されたイラストを手土産に。いざ、お花畑へ!

「にぁ……お花さんがいっぱいですの……♪」
 ほぁほぁと感激するレープハフト。その視界には、色取り取りの花が広がっている。
 少し穏やかで心地よい気候のため、春先に現れるような蝶も、飛び交っていた。
「気持ちいいですー……」
 相棒であるぬいぐるみを片手に、ぴぴ、と小さな鳴き声を響かせている小鳥と戯れるナコ。
 ごろん、と横になれば、花のにおいが鼻腔をくすぐる。
 すぅ、と胸いっぱいに吸い込んで……はたと、起き上がった。
「お留守番のサザさんに、プレゼント……♪」
 一人宿で待つと告げた某エルフの彼女のためにと、スケッチブックを開き。
 絵描きさんに負けないぞと、黙々とイラストを描き始めるナコであった。
 その傍らでは、これまた黙々と冠を作っているメイリンの姿が。
「ピンクと、白と……ふゅ……出来ましたですー♪」
 ぱぁっ、と表情を輝かせ、出来上がった冠を掲げるメイリン。
 満足げに眺めていると、ふと、パティがじっとこちらを見つめていることに気付く。
 ちょっぴりきょとんと首を傾げるメイリンだが、やがて何かを思いついたような顔を見せ、パティの頭に出来上がった冠をのせた。
「差し上げるのです♪」
「……はわ……似合うですか……?」
 少し照れたように首を傾げるパティ。にっこり、満面の笑みを作って。メイリンは頷いた。
 そんな彼らを……というか、彼らを含めた花畑一面を、ユリアスは岬の上から眺めていた。
 その光景はまさしく絶景と言え、思わず感嘆のため息を漏らしていた。
「凄いなー……」
「本当に、美しゅうございます……」
 相槌を打ち、ほぅ。と呟くチェロット。
 ティフェルと、彼女にてってこついてきたウィンスィーは、備え付けられた柵から身を乗り出す勢いだ。
「綺麗ですねー」
「着てよかったですもこー」
 下からふわりと吹き上げてくる風が、花の香りを運び、小鳥の囀りを拾い上げる。
 穏やかな空気に満たされ、一行はほんのひと時、まるで時が止まったかのような空間に身を委ねるのであった。

 そして。夜。
 いい感じに日も落ちてきたころに宿の前でぽわ班と合流を果たし、一行は揃って部屋へ。
「お帰りなさい。楽しかった?」
 意味ありげに笑みを零す快活陽姫・サザ(a90015)に迎えられ、がらり、部屋の扉を開けてみると……。
「ふかふかっ!」
 床一面、まるで布団代わりといわんばかりに敷き詰められた、綿毛が。
 一歩足を踏み出せば、雲の上でも歩いているかのようなふわふわ感が伝わってくる。
「驚いてくれたかしら。ボールくらいの塊になってるから、投げられるわよー♪」
 えい。言いつつ投げて見せたサザの言葉で、思い出す。
 そうだ、枕投げだ!
「枕投げの許可はいただいているのですよ♪ 思う存分楽しみましょう!」
 えっへんと胸を張る族長・ティフェル。
 待ってましたといわんばかりに、もふもふとした綿毛の中から枕を掴み出し、皆臨戦態勢に入る。
 その様子はぽわ班も交えての班対決……というよりはいっそ、無差別モード。
 微笑ましげに眺め、自分もちゃっかり枕を手にして。サザは部屋のど真ん中で、宣言した。
「えーと、第一回ぽわふか枕投げ大会……開始ー!」
 声と共に、チェロットはどこかうっとりとした眼差しで枕を握り締めた。
「あぁ…この時を待っておりました……一度やってみたかったのです、枕投げ!」
 皆もはや最高のテンションで臨んでいるのだ。自分も少しくらい羽目を外してもバチは当たるまい。
「レッツファイト! ですわ!」
 言われるまでも無く。そういわんばかりに、皆綿毛も枕もお構いなしに投げまくる。
 特に、レープハフトが。
「にぁ……レー、いっきまーす……もこー……!!」
 ほんわりとした雰囲気からは予想だにしなかった乱れ撃ち。どこに飛ばしてるんですかお嬢さんっ!
「…はう〜…レーお姉さん〜…こわいです〜…」
 レープハフトの背にしっかりしがみつくパティ。確かに、ここにくっついていれば安全そうではある。
 凄まじい勢いで飛び交う枕。
 それを、これまた凄まじい勢いで迎撃しているウィンスィーの姿があったり。
「えいっ、地対空迎撃枕発射もこっ!」
 なかなかすばらしいコントロール。それもそうだ。可愛いらしいお子たちを護るのが彼女の務めなのだから!
 だがしかし。
「同時に投げれば一気に二人ー……あれ? 上手く狙いが……」
 ひょーい、とメイリンが思い切り分投げた枕が、何とも偶然にウィンスィーの後頭部にクリーンヒット。
 そして無差別になげていたナコの枕も立て続けに大ヒット。
「わ。当たったのです♪」
 投げてもなかなか当たらなかっただけに、ナコは大喜びだ。
「うぅ、愛とは痛いものもこ……」
 これも試練。そんな独り言が聞こえてきたような、こなかったような……。
「もふ〜。幸せ〜♪」
 枕投げを提案した本人であったくせに、枕投げそっちのけで布団や綿毛に埋もれて幸せを満喫するティフェル。
 何だか一人別世界だ。
 と。ぷは、と顔を上げた瞬間、その顔面に枕がぶち当たる。
 そこでようやく部屋の事態を思い出すティフェル。気を取り直して枕を構えてみるものの……。
「だ、駄目です、可愛い子には投げられないっ」
 だってぽわふかの皆さんは可愛いんですものっ!(無駄に力一杯)
 と、いうわけで。狙うべきはただ一人。
 そう、可愛くない(失礼)男性、ユリアスだ!
「メイリンさんは男性だけど可愛らしさ全開だし…私、狙われますか? 狙われるんですねっ!」
 いいんです。
 大人の余裕です。
 紳士なんです。
 ぶつくさと独り言を繰り返していたユリアスに、案の定、枕の雨が降り注ぐ。
 もふ、もふ、ぼふっ、ぼすぼすっ! ぎにゃ――!
 ……変な声は聞かなかったことにしよう。
 そうして、当てて当てられまた当てて。繰り返していたはずの彼らは、いつの間にか、誰からといわず眠りについていた。
「ふかっとぽわぽわ……ですよ〜……」
 族長の寝言はふかふかでした。

 旅行も終えて、帰り道。疲れきったのだろう、静かな寝息を立てているパティ。
 小さな寝顔を背に負って、くすり、微笑んで。
「……お疲れ様」
 その温もりを愛おしく感じるエルフが一人、居たそうな……。


マスター:聖京 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:8人
作成日:2006/07/28
得票数:ほのぼの12 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
 
ぽわふかのおふとん・ティフェル(a05986)  2009年08月31日 21時  通報
ゆーちゃん見事な倒れっぷりでしたね〜。

本当にほわほわもこもこで楽しい一日でしたもこー♪