星祭り・月夜の晩にうさぎが餅つき



<オープニング>


●神様のうさぎ
 昔々、ひとりの乙女が月の神様に恋をしました。
 夜が訪れるたびに現れる、美しく儚い神様は、ある日乙女に告げました。
「僕は空に還らねば為りません。もう貴女の元を訪れることは無いでしょう」
 乙女は悲しみに暮れ涙しました。
 神様は言いました。
「どうか泣かないで愛しい人」
 神様は乙女の涙を指で拭い、言いました。
「僕は毎夜、空に昇ります」
 もしも貴女が僕の為に、月を見上げてくれるなら、僕は寂しくありません。空からは愛しい貴女の姿が、きっと良く見えるのでしょう。僕は貴女の傍に居ることも、触れることも出来ないけれど、せめて貴女が寂しくないよう、忘れ形見を残しましょう。そう言って神様は、雪のように純白で、お月様のように真ん丸い、小さな二匹のうさぎを差し出しました。
 うさぎの片方を乙女に、片方を神様に。
 乙女は瞳を潤ませ言いました。
「今夜が最後の逢瀬でしたら、去り行く貴方に私は何が出来ましょう」
 神様は答えました。
「僕の為に微笑んで下さい」
 それから、と神様は続けます。
「僕が他の星に見惚れないよう、僕の為に餅をひとつ焼いて下さい」

●最も月の美しい夜に
「と言う伝説の伝わる村があるのです!」
 深雪の優艶・フラジィル(a90222)は御手製紙芝居を両手に構え、きらきらと瞳を輝かせた。最後の部分は嫉妬の焼き餅と掛けてる言葉遊びなのですね、なんて妙に嬉しそうにしている。彼女の語りが終わるのを律儀に待っていた荊棘の霊査士・ロザリー(a90151)は、常と変わらぬ穏やかな調子で今回の依頼について話し始める。
「その村では毎年、この季節に、『星祭り』と呼ばれる御祭りを催すようね……月の神様が浮気をせずに、地に住まう人々を見詰め続けてくれますように、と……」
 だから、神様の為に餅を用意するのだ。
 伝説に準えて其の村の祭りではメインに餅つきを据えているらしい。
「神様と乙女の想いを繋いだ、白うさぎに扮して餅をつくの」
 ついた餅を恋人同士で食べたのならば、二人は御互いだけを想い続けることが出来るのだとか。
 ふえぇ、と感心した様子でフラジィルが息を吐いた。
「面白い御祭りと言いますか……ちょっと独特な感じなのですね」
「私もそう思うわ」
 少女の純粋な感想に対し、霊査士は完全な他人事の口調で頷いた。
「其の村で、此処数年御祭りのたびに、何らかの事件が起きているの」
 話半分に聞いていた冒険者たちが居住まいを正す。出来上がった餅の配布中や、酷いときでは観衆の真ん前で餅をついている最中に、うさぎに扮する役の娘が浚われてしまう等の大事件が起きているのだ。神隠しのように消失してしまうのでは無く、雪崩れのように押し寄せた男たちがうさぎ役を浚っていく――と言うかなり力押しの誘拐であるらしい。今までは何とか娘たちを取り戻すことが出来ているらしいが、今年も無事に済むとは限らない。
 祭りの最中にうさぎ役が居なくなるなど、祭りの進行に関わる珍事。信心深い村人の中には、想いを繋ぐ「うさぎ」を盗むことで神様と乙女を切り離そうとしている、つまりは嫉妬に駆られた男たちの仕業では無いかと考える者も居るようだ。
「霊査に依ると、動機は別にあるみたい」
 遠回しに「其処まで考えているわけでは無いようだ」と切り捨てながら、霊査士は何故か思い悩むように小首を傾げる。言葉を選ぶような短い沈黙の後、うさぎ役の衣装に関して話し始めた。
 曰く、祭り当日のスタッフは全員うさぎの耳を模ったヘアバンドを装着しなければ為らない。
 特にうさぎ役には見目の良い若い娘が選ばれることが多く、うさぎの毛皮を使った――うさぎ肉は祭りの最後で鍋にして美味しく頂くらしい。最初に鍋ありきで、毛皮を無駄にしては罰当たりだと言う考えから衣装に使用され始めたのだとか――専用の衣装を纏う。夏であるから当然毛皮は暑いので、自然と露出が高い衣装になってしまう。肩の出た裾の短いワンピースだったり、おなかを出した上下の合わせだったり、デザインは様々であるらしい。
「霊査に依ると、犯人たちはうさぎ役の子たちが可愛くて手を出してしまった、感じ……」
 霊査も何も無いような気がしたが、フラジィルは黙って聞いていた。うさぎが好きなのか、衣装が好きなのか、若い娘が好きなのか、細かな理由は判って居ないらしいが、少なくとも全てを総合したものは思わず浚いたくなってしまった男たちが犯人らしい。
「微妙に計画的な気がしますっ」
「集団で動いているし、きっとそう、ね……突然現れて突然うさぎ役の子を担いで逃げようとするよう、だから……変な行動を起こす人が居たら追い駆けて行けるよう、見張る人が居ないと駄目ね」
 其れから、と霊査士は言った。
「皆も当然判っていると思ったから、言うのが最後になってしまったけれど……当然、そんな危険なうさぎ役を、一般の方には御願い出来ないでしょう?」
「……ジルは羽根が生えているので、こう」
「背中の開いた衣装を選べば、良いんじゃないかしら」
「……」

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参加者
射手・ヴィン(a01305)
自由を求めし翔剣士・クリス(a05957)
軽やかに跳ねる靴音・リューシャ(a06839)
愛と正義と黒バニーの使者・アリス(a20132)
エンジェルの医術士・フウア(a23205)
風花転蓬・ロスクヴァ(a32216)
空歌人形・ココル(a36307)
堕ちる雫・ルティチェ(a36670)
エンジェルの紋章術士・ガラテア(a38204)
神藤の舞巫女・レイハ(a39099)
風花・シャルティナ(a42878)
ほぇほぇ姫・サホ(a43941)
絶えぬ波音・アニス(a50019)
セイレーンの元気な翔剣士・ティファーナ(a50455)
黒百合の魔女・リリム(a50830)

NPC:深雪の優艶・フラジィル(a90222)



<リプレイ>

●うさぎうさうさ
「此処は白うさぎなんですねぇ」
 愛と正義と黒バニーの使者・アリス(a20132)は興味深げに溜息を洩らす。私の故郷は黒うさぎが沢山だったんですよぅ、と語れば星祭りのスタッフである村人も「通じるところがあるね」等と頷いた。一方、用意されていたうさぎ衣装の山を引っ繰り返していた堕ちる雫・ルティチェ(a36670)が「えー!?」と悲鳴のような声を上げる。
「ねぇ、黒い衣装は一枚も無いの?」
 スタッフの袖を引いて確認するも、「神様が渡してくれたのは白うさぎですから」と頷かれてしまう。ちぇー、と残念そうに眉を寄せながらルティチェは改めて衣装を選んだ。チョーカーやら装飾品も確り揃っている辺り、星祭りスタッフも準備が良いと言えば良いのかも知れない。素早くふわもこのホットパンツを穿いて、頭には渡されたうさみみを付ける。銀のカフスを括りつけ彼女らしさを主張したところで、試着室から深雪の優艶・フラジィル(a90222)がよたよた出て来た。
「わ、ジルちゃんのうさぎ姿もいとぷりちー☆ 眼福〜♪」
 口笛を吹いて冷やかしながら、ルティチェは上着を掴んで素早く試着室に入る。ふわふわの衣装を選び終えたところの空色人形・ココル(a36307)も、フラジィルの姿に顔を綻ばせた。
「……うさみみ天使。可愛い」
 御月様まで飛んで行っちゃいそうね、とふんわり笑う。はわわ、とフラジィルは耳まで真っ赤になって「ココルちゃんだって凄く可愛いのです」とまだ着替えても居ない少女に向けて言い返した。うさぎ衣装も、きっととても似合う筈だと拳を握る。
「まあ。ジル様、とても良くお似合いですわ」
 大人びた魅力のある衣装を探していたほぇほぇ姫・サホ(a43941)が手を止め、フラジィルに微笑み掛ける。フラジィルはふわふわのブーツを履いて、ふわふわの手袋を嵌めて、うさみみが付いたふわふわの帽子を被っていた。開いた背中からは白い小さな羽根が覗く。風花転蓬・ロスクヴァ(a32216)は少女の仕上がりに満足したらしく、にっこりと笑みを浮かべた。
「とっても可愛いですよ〜。ね、ヴィンさん!」
「え? う、うん。可愛い」
 ロスクヴァに振られた樹上の射手・ヴィン(a01305)も、こくこく頷いて正直な感想を口にする。
「そ、そうでしょうかっ……」
 頬を染めて、はう、と呻き恥ずかしげに俯くフラジィル。
「……」
「……」
「……」
「うわ、リリムちゃん! 別に別に離れなくていいから!」
 場の雰囲気に遠慮したらしい春風探す黒真珠・リリム(a50830)が、フードで己を隠しながら――うさみみが邪魔でフードを被りきることが出来ていないが――こそこそ逃げ出そうとするのを、気付いたヴィンが捕まえる。
「ご、ごめんなさい。ぉ、お邪魔ですよね」
「御邪魔じゃないですから!」
「大丈夫だよ!」
「そ、そうでしょうか……」
 フラジィルとヴィンに言われ、と未だ不安そうながらリリムはすごすごと戻って来た。可愛らしい遣り取りを微笑んで見遣っていた軽やかに跳ねる靴音・リューシャ(a06839)は、改めて「はねうさぎ、と言う感じでキュートですよ」とフラジィルを褒めて遣りつつ曲がったチュチュを直してやった。
「うさぎ衣装はふわふわで凄く可愛いですから、皆さんも早く着替えちゃいましょう」
 真っ白い衣装を両手に抱えて、リューシャはうさぎ役に呼び掛ける。
「フウアも先輩と一緒にぃ、うさぎさんの親子でも良いですぅ〜?」
「お、親子ですかっ!?」
 無邪気に微笑んで尋ねたエンジェルの医術士・フウア(a23205)の言葉に、フラジィルは「ガーン」と言う表情で硬直した。親子はちょっと嫌らしい。乙女心である。

●つきみてもちつき
「誘拐犯の人数? 数えたり記録したりはしてねぇし、詳しくは判らんなあ」
「……け、結構暢気だね」
 何人浚われたのかを聞くも年毎に差異があるらしく、はっきりとした回答は得られない。自由を求めし翔剣士・クリス(a05957)は苦笑すると、相手のスタッフに知られぬようひっそり溜息を吐いた。そんな彼女の頭にも、ぴょこんとうさぎの耳が生えている。
 ふわふわの可愛らしいワンピースを着たココルが、一日限りのうさぎ尻尾を嬉しげに見遣りながらクリスの横に並んだ。被害に合った人に関する話は余り詳しく聞けて居ないし、浚われて如何なるのか――今までは「無事」らしいので問題無いと言えばそうなのだろうが――は良く判らないままだ。
「御餅食べる、相手……居ないの、かな。男の子」
 首を傾げて呟いたココルの言葉に、うぅん、とクリスが唸る。
「的を射てそうな気がする」
 だから如何と言う解決策が見付からないのが難点だ。

 其の頃、裏方ではエンジェルの紋章術士・ガラテア(a38204)が苦悩していた。
「あ、あの、こ、これ、ほんとに、着なくちゃダメですか?」
「うさぎ役はうさぎ衣装を着なくちゃ駄目です」
 星祭りスタッフには取り付く島も無い。うぅ、と小さく呻いてガラテアは漸く覚悟を決めた。

(「今年の星祭りは、絶対に邪魔させませんわよ!」)
 鎮魂の姫巫女・レイハ(a39099)は拳を握って空を見上げた。夕陽はそろそろ地平線に沈み行き、直に祭りが開始される刻限が来る。ちなみにレイハが纏う衣装は一見して袖の無いワンピースに似ていた。違いは上下に分かれて居ること、御腹を露出させていること、そしてスカート部分には太腿までの深いスリットが入っていることだろう。集まり始めた観客たちの眼差しが、小柄ながら豊満なレイハの体躯へ向けられる。
「餅を焼くので焼餅……な、納得です」
 もち米を運び終えると、リリムは短いワンピースの裾を引っ張りながら呟いた。先程から視線を感じるのは、恐らく気のせいで無い。
「全く、面白い伝承だねぇ」
 ふふ、と笑った絶えぬ波音・アニス(a50019)が其の呟きに小声で答える。アニス自身も胸部やらの各部のみをふわふわの白い毛皮で覆った衣装を纏っており、うさぎ尻尾やうさぎ耳も確りと筝略していた。運び込まれる臼を見ながら杵を手にし、嗚呼、と思い出したように視線を遣った。
「ジルも餅つき遣ってみるかい?」
「! 遣りたいですっ」
「フウアもぉ〜♪」
 挙手したフラジィルに続いて、ふわふわした足取りでフウアが遣って来る。フラジィルと一緒の依頼を受けるのは酷く久し振りだから、彼女の気合は普段の十倍増しなのだ。何処に連れて行かれるか楽しみですねぇと無邪気に笑んだフウアに、アニスが「しーっ」と唇に指を当てて沈黙を促す。
「さあ、日も暮れたし御祭りの始まり始まりだよー☆」
 星祭りともなれば恋人同士で訪れている者たちも多い。ルティチェは全然気にしていませんと言う素振りで杵を持ち上げた。たっぷりの愛情と、ほんのちょっぴりの憎らしい想いを篭めて、兎に角沢山餅をつこうと心に決める。
 うさぎがぺったんもちつけば、ぺったんぺったんぺったんこ。
 ほかほかおもちができあがる、ぺったんぺったんぺったんたん。

●うさぎどろぼう
「……む?」
 餅を思う存分についたルティチェが、早速餅を食べていると何やら妙な気配を感じた。
 もきゅもきゅ咀嚼しながら首をめぐらせた瞬間。
 ドドドドド。
 脈絡の無い男雪崩が轟音と共に押し寄せて来る。
 愛と正義と黒バニーの使者・アリス(a20132)は餅の入った盆を片手に、ひらりと華麗に雪崩を避けた。もこもこのバニースーツを慣れた様子で着こなす彼女は、上がる悲鳴と雪崩に飲み込まれて行く仲間たちを見遣る。
「きゃああああ!?」
 丈の短いワンピースを着て、素の二の腕を晒しつつ、リューシャは自然な笑顔を浮かべて餅を配っていたのだが、丁度雪崩に巻き込まれた。餅をついていたアニスや、餅に水をつけて捏ねていたロスクヴァも諸共だ。ロスクヴァはギリギリの裾を両手で押さえて、演技で無く目を白黒させている。男雪崩に担がれて浚われる経験など、滅多に出来るものではない。ついでにフラジィルも浚われていたが、何だか浚っているのはヴィンにしか見えないので問題無いだろう。多分。
(「……だってジルちゃんは譲れないんだよッ!」)
 ヴィンの心の叫びは彼のみぞ知る。
 うさぎ役の女の子たちがあんまり可愛らしくて、ちょっと浚っても良いだろうかと思ってしまう男衆の気持ちは、ヴィンにもほんの少しだけ理解出来た。判るからと言って許せるわけでは無くて、最終的に「譲れないから、僕が浚う!」と言う結論に達しただけなのである。捕まる時は男衆と一緒に捕えられるような予感がしないでも無いが、背に腹は変えられぬ。覚悟完了だ。
「うわー……」
 茫然とするルティチェの横に、吃驚した様子の風華・シャルティナ(a42878)が遣って来る。彼女は可愛らしいエプロンドレスを着て、うさみみのカチューシャを頭につけていた。ちなみに、こっそりポケットに武器を潜ませようとしたところをスタッフに見付けられ、「万一御客様に怪我をさせたら如何するのか」と取り上げられてしまっている。
「も、もう浚われてしまったのです?」
 シャルティナは浚われ易いように出来るだけひとりになって行動していたのだが、却って其れが裏目に出てしまったらしい。さり気無く人通りの少ない箇所を通っていたレイハも同様だ。事前情報でも突如現れて雪崩のように押し寄せ一気に浚って行く集団だとあった通り、何時の間にかうさぎ役をこっそり浚う誘拐犯では無いのだから、独りきりになることで逆に狙いから逸れてしまったのだった。
「兎に角、御祭りを続けなくてはなりませんわ」
 レイハがぐっと拳を握る。
 観客たちは何だ何だとざわついては居たけれど、うさぎ役は十分に残っている。まずは皆を落ち着かせるところから始めなければ、と残された面々は顔を見合わせ頷き合った。物陰にこっそりと隠れて状況を伺っていたガラテアも、思わず気が動転してしまっていたが、漸く我に返ったらしく餅つきの輪に加わる。祭り客たちも慣れているのか、直ぐに落ち着きを取り戻し、祭りを楽しみ始めるのだった。

●うさうさもちもち
 同様に、冒険者たちが冷静さを取り戻せば一般人など一捻りである。
「む、無駄な抵抗は止めて、く、下さいね」
 粘り蜘蛛糸に絡め取られた男たちへ、リリムが遠慮がちに呼び掛けた。悩みがあるなら、と言い掛けた彼女をセイレーンの新米翔剣士・ティファーナ(a50455)が遮った。腕を組み、仁王立ちして腹の底から声を張り上げる。
「男がこんなことするなんて、最低だ!!」
 うさぎ耳とうさぎ尻尾と必要以上には全く素肌を覆っていない状態の可愛らしい娘さんに怒鳴りつけられた男たちの心境は如何程のものか。彼らは一様に「ガガーン」と言った表情をして、蜘蛛糸に絡め取られたまま凍りついた。改めて理由を尋ねると彼らは涙しながら「うさぎ役の子たちがあんまり可愛いから魔が差したのだ」と言い訳する。
 クリスはぽりぽりと頬を掻きながら、「幾ら魔が差したからって、毎年毎年浚っちゃ駄目でしょ」と小さく呟く。来年は誘拐沙汰を起こさないようにと念を押した。
 本当にうさぎさんが御好きな方々なのですね、とリューシャが感心半分呆れ半分で溜息を吐く。
「悪い奴らじゃ無さそうだしね……ちょっと欲望に素直なだけさ、うん」
 アニスも自分に言い聞かせるようにして呟いた。逸らされた視線の理由は、欲望に素直過ぎるのは問題だと言う具体的な例が目の前に在ることによる。
「可愛いうさぎさんが好きなら、一緒にお祭りを手伝えば良いじゃないですか……」
 御祭りに大切なうさぎ役を浚ってしまうよりも、一緒に御祭りに参加する方が楽しい筈ですよとロスクヴァが男たちを諭してやる。男たちはティファーナの発言に大分打撃を受けていた為、後半は説得で無く慰めが混じり始めた。結局、暖かな冒険者たちの態度に男たちも目が覚めたらしく、二度とこのような所業はしないと約束してくれたのだった。

 程無く餅もつけるだけをつき尽くし、御祭りがひと段落する頃。
 片付けを手伝いながら、クリスはちらりとうさぎ役の面々を見る。
(「……あ、あんな露出の大きい服……恥ずかしくて着れないよね……」)
 うさぎ役は慣れて来たのか余り恥ずかしくないように見えるが、クリスは考えただけで頬が熱くなる。兎に角皆に楽しんで貰うべく、クリスは甲斐甲斐しくスタッフの手伝いを続けるのだった。
「御餅はいかがですかぁ〜?」
 アリスはにっこり微笑んで、赤烏・ソルティーク(a10158)に近付いた。優しく微笑む彼に、是非是非と勧めて餅を食べさせる。彼の傍に他の女の子の影は無く、アリスは内心安堵していた。
 ティファーナはうさぎ衣装を着たまま御客に混じり、大はしゃぎで祭りを楽しんでいる。フラジィルもリューシャやヴィンたちを横に侍らせ、にこにこ嬉しそうに微笑みながら真っ白い御餅を食べていた。彼女らは未だ、ぼんやりとしていたフウアが風に飛ばされたことに気付いていない。サホは空を見上げて目を細める。
「今夜の月は、いつもより輝いて見えますわ」
 星祭り日和ですわね、と微笑むとココルはこっくり頷いた。
「まんまるお月様、きっと、みーんな御見通し」
 御月様だけは最初から最後まで、確り見ていて筈なのだ。ココルは自分の額にある青い石に指先で触れ、遠い家族に想いを馳せた。どんなに遠く離れていても、見上げる月は、きっと同じだ。
 星祭りの夜は、年で最も美しい星月の夜。
 冒険者たちも夜空を見上げて、月の煌きに溜息を吐いた。


マスター:愛染りんご 紹介ページ
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参加者:15人
作成日:2006/07/07
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