【水晶の館】星祭りの夕べ(スウィートミルク館)



<オープニング>


「聖銀の星が煌く美しい宵に
 二人だけの小部屋を予約しませんか?

 誰にも邪魔されない個室で、
 特別な時間をお過ごしください。

 窓から見つめる満天の星空もお二人を静かに見守ってくれることでしょう」


 ひらりと舞い込んだ、一枚のビラ。
 綺麗な星空が描いてある黒いカードに、銀色の文字でそう書いてあった。
「……これはなんだ……」
 気難しい顔で受け取る反抗期エンジェルが一人。
 ひねくれている割にはウブな彼は、ひどく困ったように羽根をバタバタ揺らしている。
 水晶の館は年齢制限つき。
 15歳以上の人しか来ちゃ駄目だから。
 その意味は……どうか察してね。
 
 大切な人と甘く甘く過ごす為に、今宵も開く扉。
 ランララの夕べ。お月様のような銀色のシルクの絨毯を敷いて、皆様のお越しをお待ちしております。

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参加者
NPC:三日月王子・ライム(a90190)



<リプレイ>

●ルビー
 星凛祭の夜、広々とした豪奢な部屋の大きなベッドの上で、恋人達は肩を並べて寄添っている。
「……こういう所で二人っきりって……なんだか緊張しますねぇ……」
「そう、だな」
 クルミを見つめバルトはぎこちなく頷いた。早鐘打つ心臓を如何抑えたらいいものか。
「クルミ、えっと……」
「はい」
 彼女は真直ぐな視線で彼を見つめる。バルトは優しく彼女を抱き締め、暖かさを実感し乍ら、その耳元で囁いた。
「クルミ、お前を……俺のものにしていいか?」
「バルトさん……」
 クルミはバルトの顔を覗き込み問う。……本当に私で良かったんですか?、と。
 私は貴方に釣合う人なのかいつも不安で、と呟く彼女に、彼が微笑まない訳が無く。
 当り前だ、と告げる彼と、クルミはゆっくりキスを交わした。
 ずっとずっと一緒に居ようね……と約束し乍ら。

●アクアマリン
 凄い処に来てしまったな、フォレストは半ば呆然と部屋の内装を見ていた。それにしても珍しいのは、シアの方から誘われた事……
 何があった、尋ねようとベッドの縁に腰掛ける彼女を見遣ると、染めた頬を覆うように掌をあて俯き、瞬きを繰り返している。
「シア?」
「フォレストさん」
 早鐘打つ心拍。落着いて、宥めつつ、シアは顔を上げて彼を見つめた。上気した顔が温度を更に上げる……けれど。
 今日は決心してきたの。だって……今日で……、ううんそんな事は考えちゃ駄目。
 フォレストさん、大好きだよ……。シアは彼の胸に飛び込んだ。受け止める彼の温かい腕に包まれ接吻を幾度も交わして。
 純白のシーツの上に崩れ落ち、彼の愛を沢山貰う……その耳元でフォレストの声が響いた。
「シア……俺と……結婚してくれないか?」

●アウイン
「晴れて良かったね。綺麗な星空……」
 窓際で空を見上げ、浴衣姿のカレンが呟く。漆黒の髪を優しく撫で、ラザナスは彼女を背後から抱き締めた。
 今日の浴衣……とても似合いますよ、彼の声が甘く響き、同時に襟元に忍び入る掌の感触。長い耳が垂れ、彼の肩に寄り掛り。
 指を重ね、倒れこむ寝台。彼の接吻が頬から唇へ移る間に、浴衣の帯が解かれていくのを感じる。愛撫に翻弄され乍らカレンも彼の帯へと手をかけるけれど……なかなか難しい。ぎこちない手ぶりに彼が小さく笑うのが見える。
「ラザナスさ……ぁ…」
 可愛い声を響かせる愛しいカレンの耳を舐め、彼はより強く彼女を抱き締める……
 いつもと違う乱れた姿を今夜はじっくり朝まで見つめさせて。腕の中で震える彼女に接吻を送り、彼は思う。
 宵はまだ始まったばかりだから。

●ペリドット
 新婚初夜に見上げる星空は、何時よりも輝いている様な気がして。
 マリーに寄添いシオンは彼女と同じ空を見上げる。肌を合わせるのは初めてじゃない……けれど幸せな心地は矢張りこの上無く。
「……シオンはん」
 マリーの声が耳元で響く。
「うち……シオンはんとの子が欲しいどす……よろしおますか?」
 えっ、小さく喉を鳴らすシオン。「えっと……頑張ります」頬を染め微笑む表情にマリーは感激すると、彼女を抱き締め唇を重ねた。二人はベッドに横たわり幾度もキスを繰り返す。
「マリーさん……今夜は楽しみましょうね……」
 首筋に唇を寄せ、囁くシオン。与え合う快感にのけ反り、唇を何度も合わせ、抱擁を繰り返す二人。
「愛してますよ……」
 永遠にも刹那にも、幾重にも君が好き。二人は思いのまま求め合い乍ら、一つの夜を越えていく。

●天藍石
 一年前には私達別々の場所で星を眺めていたんですね……窓際で寄添う恋人が青い瞳を揺らして呟く。アモウはサナを振見ると、小さく息を吐く。
「サナと一緒に見る星空の方が素敵だ……」
 呟き乍ら、頬に触れ柔らかな唇を指で辿る。サナは瞼を伏せ再び見上げた。沢山の言葉、沢山の時間、沢山の心、幾重も重ねた。けして短い時間ではない……だから貴方が好き。
「好き……」
「……俺も好きだぞ」
 唇を重ねて愛の言葉を紡ぎ、やがて褥に纏う恋人達。
 私の心は既に貴方で一杯。なのに貴方に恋する気持ちは今も止まらない。腕を背に回し、胸に顔を埋めるサナの体を、力強く抱き締め、アモウは金の髪に口付け囁く。
 ずっと俺だけを見てくれ……その澄んだ青い瞳で。
 小さく震える喉を優しく舐め、二人は一つになる。永遠を誓い合い乍ら……

●ガーネット
 数多に輝く星の海がとても綺麗だった。
 夜風に紅髪を揺らし眺めるレイザを、背から抱き締めバルドフェインは小さく微笑む。驚く彼の耳元に唇を這わせ、キスの雨を降らせると、腕の中に閉じ込めた彼の抵抗力が落ちていく事はもう解っていて。
「フィン……」
 我慢できない……いじらしく頬を染めて告ぐ青年を彼は胸に抱きこみ、耳元で囁いた。
「浴衣。似合ってるじゃねぇか……」
 帯を解き、寝台に横にする。フィンだって格好いいよ……と呟くレイザに、彼はそうか、と笑う。
 其よりもまだ彼ごしに星を見る様な彼の視界を塞いで、覆い被さって囁く。
「……お前は俺だけ見てればいい」
 彼は微笑った。何時だって君を見ているのに、と。
 星に神の慈愛が在るなら分けて貰おう。大切な言葉は飲み込み、彼は心で告げる、レイザ、愛してる、と。

●エメラルド
 祭の夜も更け、ギュスターヴとエルドは共にシーツに包まり乍ら、長い間他愛もない会話を楽しんでいた。
 けれど其れだけで終わらぬ事は覚悟していた事。彼の手が優しくエルドの黄金色の髪を撫でた時、もう解っていた……否、この時を待っていたのかも知れないと思う。
「エル……お前から離れたくない」
 紫に輝く瞳。至近距離に近づいた彼の唇がそう呟き、暖かな腕がエルドを包み込む。
 熱く深い接吻を幾度も交し合い、愛撫の掌でお互いを撫であい乍ら、夜の儀式がゆっくりと始まる。
「エルはずっと……俺だけのモノだ……誰にもやらん」
「ん……ギュス……」
 時折肌に感じる小さな痛み。恋人の体に刻む愛の証をギュスターヴはエルドに沢山贈る。翻弄され喉を鳴らしながら抵抗せぬままエルドも燃えて。
 情熱的な遊戯はそして暁まで続けられる。

●翡翠
 丁度一年……。寄添い昔語りをし乍ら、二人で思い至った日付に小さな驚きと喜びがあった。
 早いものだ、然し戦いに明け暮れる毎日である事はあの頃と聊かも変わる事なく。
 二人で居られる時間を大切にしたいです、瞼を伏せグノーシスの腕にもたれナツキが囁く。
「何故翡翠を選んだか解りますか」ナツキの耳飾に触れ、彼が微笑んだ。愛と慈しみを深め、心を鎮めるという意味があるのですよ、と。
 その様な意味があったのですね、彼女は耳飾に指を添え、呟く。
 時が巡ても、矢張り貴女は翡翠の様な人、と彼が笑う。側にいると心が鎮まり安心する、と。
 私も貴方と一緒の時が一番幸せ……、告げて彼女は彼を見上げた。
 あの時と同じではない。より一層好きになっているから。
 互いの半身を求める様に固く抱き合い、二人は深い接吻を交し合った。

●ブラックオニキス
「戦争が終わったら結婚しないか?」
 アルトの告げた言葉にシュナイデは正直吃驚した。ロビーで知合いを見つけたと暫く動揺していた義兄は、漸く落着くと不意にそんな言葉を投げかけたから。
 勿論、嫌いではない。寧ろ大好き、断る理由等無い。
「……いいよ?」
 慌てる心を押さえつつ小さな声で呟く。アルトは聞き返す。もう一度答える。「そうか!」と彼は嬉しそうで。
「じゃあ今夜は夜明けまで楽しむか」
「ええっ!」
 なんかその展開早くない? そう言い返す間もなく、彼の掌にくゆる放蕩の紫煙。
「……途中で寝たら後日お仕置きだからな♪」
「ええっ!」
 とろんと惑ろう視線。彼が荷物からロープやら鎖やら取り出すのが見えて。
 大好きな人の口付けに体の奥がじんわりと熱くなっていくのを感じつつ、期待と不安が入り交ざる表情をするのだった。

●ターコイズ
「ねーロヴィ、お星様綺麗だよー♪」
 ベッドでマーシャが呼んでいる。緊張した表情で傍らに腰掛けていたロヴィリスは小さく息を吐き。
 ロヴィってば、天使の様な笑顔で誘う彼女。彼が応じると、無邪気な笑顔で迎えられ漸く緊張の糸も解けてきた。……と思ったら。
「結婚したら子供はいーっぱい欲しいなっ♪」
「!」
 突然な発言にロヴィリスは面食らう。此処を何処だと思って。……フワリンに如何お願いすれば子供を貰えるのかな、と呟く彼女。解ってない。絶対解ってない。
 教えて上げると真っ赤になってジタバタするし。
 大丈夫、と微笑って、彼は彼女を優しく抱き締めキスを交わし、その耳元で宣誓した。
 結婚したらもっともっと強くなるから、君も家族を守れる様に……。
 彼の胸に顔を寄せ彼女は眩ろむ。其処はとても暖かい場所だったから。

●サファイア
 なんでこんな事になったのかしらね、扇を仰ぎ乍ら、部屋を見渡すキミ。
 ベッドの上ではフィードが、道具袋から荒縄やら燭台やら取り出し並べている。
「む、いけません。拘束服を忘れてきてしまいました」
「ほう?」
 冷たい視線を送るキミ。殴らないで下さい、ああ斬鉄蹴だけはお許しを、と謝る彼に一瞬いい笑顔を浮かべる彼女だが、それは兎も角。
「……キミさん実は結構ありますよね」
 浴衣の隙間に指を滑り込ませ、首筋に唇を寄せ彼が呟く。
「ばっ……ばかっ」
「……イイ匂いがします」
 帯が解かれる感触。素直になれないから、此処で一つ蹴り上げて……なんて考えるけど、でも好きだし。寝台に押し倒され乍ら、深いキスで体の力を抜いて。
「今夜は朝まで寝かせませんよ」
「……フィード」
 二つの甘い吐息は絡まり合い、夜の闇に溶けていく。

●オリヴィン
「二人きりのお泊りは……初めてだよね?」
 寝巻きに着替えたクロスタリスに問われ、「何時もは皆と一緒だもんな」とナルキッソスは安堵しながら笑って頷く。……矢張り男子の嗜みとして女子の着替えは覗けまい。
 その代り、ベッドの中では暖かな彼の腕が彼女の枕。髪を撫で愛おしく包むと、彼女は寄添ってくれた。
「何だか、嬉しい……ね」
 其は彼も同感。互いの体温が心地よく側にいられる事が幸せで。
 何時もと代らぬ他愛無い会話を繰り返すだけなのに何故こんなに嬉しいのだろう。
 やがて眩みを覚えたクロスタリスは彼を青い瞳で見上げ、頬に優しくキスを贈った……そして彼の胸に顔を埋める様に俯く。
「ずっと、ずぅっと……大好き」
 呟くと同時に寝息の様な吐息。彼もまた、彼女の手を握ると、お休み……、と呟き、共に瞼を閉じたのだった。

●タンザナイト
 湯浴みを終えたフィリカはシーツの上にちょこんと座っていた。
 その瞳はレイスの姿を追い、やがて彼女の側に腰掛けたその人の服の裾を握り締め、彼女は恥かしそうに上目遣いで彼を見上げる。
「どうしましたか〜?」
 悪戯っぽく微笑し、彼女の髪を撫でるレイス。彼女は戸惑い頬を染め、恐る恐る彼の口元に顔を近づける。
「えと……いつもありがと……の、プレ、ゼン、ト……」
 彼は其の侭優しく彼女を抱き締め、大人の接吻を贈り返す。
「お返しですよ」
 彼の腕の中で彼女は小さく震え、耳まで赤くなり、緊張で瞳を潤せていて。
 こんな事を言うのも何だけど……、彼は彼女を寝台に倒し乍ら尋ねる。「優しく、でいいですよね」
 恥かしげに俯く首筋に顔を埋めると、ひぁ、と喉を鳴らしフィリカは「レイスさん……好き」とうわ言の様に呟くのだった。

●ネフライト
「ねー、凄く大きいベッド!!」
 ティラシェルは助走をつけてベッドに飛び込む。広々としたベッドは柔らかく暖かくとても良い感触で。
「ティラ、子供みたいにはしゃぎすぎだぜ?」
 苦笑し乍らユーイが言っても、彼女はベッドに仰向けになり「見て、天井まで綺麗だよ」と瞳を輝かせていて。
 彼は呆れ顔で彼女に近づく……だがその足が絨毯に絡まるとは神様でも思うまい。
「痛〜っ!」
「悪い……」
 瞼を開くと其処にはティラの顔が在った。見つめあう二人、其処から先はまるで吸寄せられる様に唇を重ね、唇で愛し合った……

 湯浴みすると云ったのは理性の箍を取り戻す為。 
 戻ってみたらベッドで眠っていた彼女に残念な気持ちが無い訳では無いが、焦る事は無い……
「ティラ……」
 眠る彼女の額に口付け、彼はその隣で静かに眠りについたのだった。

●薔薇水晶
 星明りの窓辺。仄かな銀光に照らされる恋人の顔をロザリアは見詰める。一糸纏わぬ姿でアケサトはベッドの上で胡坐をかき、星を見ていた。
 何時からだったろう。喧嘩友達だった人と深い関係になり、彼なしではいられない様な私になったのは……
「実は星凛祭の物語は好きではないのじゃ」
 アケサトの声が響く。あの二人は臆病者じゃ、本当に愛しているのなら恥辱に塗れても苦難を与えられても共に居る事が大事じゃ……と呟き、彼は彼女を振向く。
「余は、たとえ何があっても隣にいるぞ」
 そう言って彼は彼女の身体を抱き締め、褥に伏せた。
「当たり前ですわ。……私を捨てて行くなんて事したら絶対許さないもの」
 彼の頬に掌を当てロザリアは微笑む。天邪鬼な返事、と自嘲し乍ら。
 二人は肌を合わせ、舌を絡めあう。幾度も、深く……。

●ジルコン
 深い接吻を繰り返しながら、やがて褥に倒れていくエレイフィとシリルの二人。
 突然の接吻に驚きつつも、シリルは躊躇わなかった。貴方が好き……だから。
「シリルちゃん……ジルコンの宝石言葉、知ってるかなぁ〜ん……?」
 火照った頬を指先で撫で乍らエレイフィが問う。彼女は暫く考え、首を斜めに傾げた。解りません、と困った様に。
 いいの、微笑ってエレイフィは目を伏せる。そして小さく息を吸うと、優しく耳元に囁いた。
「……『私だけを見つめて』だよ」
 青い瞳が一瞬大きくなる。返事を待たずに微笑み乍ら彼女はシリルに再び口づける。心を込めて。エレイフィもそれに応じて、彼女に翻弄されつつも受け止めて。然しやがてその肩に腕を伸ばし、顔を放すと、シリルは笑顔で告げるのだった。
「私もエレイフィさんの事、大好きです……よ」

●グロッシュラーライト
 下着姿の青髪の女性は、鏡ごしに見つめる自分の姿。ミリィは姿見の中で近づく彼を見つけ、微笑んだ。
 やがて暖かな腕が彼女を抱き締める。綺麗だよ……、優しく告げた彼と長いキスをし乍ら、二人は漸く見つめあった。

「んっ……ヨ…ウっ」
 彼が中に入ってくるのを感じてミリィは小さく喘ぐ。ヨウの腕が一糸纏わぬ彼女を強く抱き、彼女の腕もまた彼の背にしがみつく。
「くっ……ミリィ」
 吐息を零し、ヨウは愛を紡ぐ言の葉の代りに身を刻む。切なく甘く可愛い喘ぎ声が更なる媚薬となって頭を麻痺させていく様だ。
「離さないで……ヨウ」
 これからも、ずっと……掠れる声で鳴く彼女の唇をキスで塞いで。心がキスや愛撫で伝わるならきっと彼女は感じてくれる筈……。俺の心を。 
 絡めた二人の指先に同じ指輪が煌いている。其れは久遠の愛の証。


マスター:鈴隼人 紹介ページ
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