<リプレイ>
●攻撃優先 「あ、あれは……ギア!?」 危うく遠眼鏡を落としそうになりながら、円環の吟遊詩人・ロッズ(a34074)が敵の襲撃を船乗り達に告げる。 ギアと思われる渦潮はみっつ。 すべての渦潮が船を目指して進んでいく。 「……ギ、ギアに気づかれたのか!?」 ハッとした表情を浮かべながら、笑劇の伝道師・オメガ(a00366)が船に飛び乗った。 それに合わせて船乗り達がオメガに続き、各自の持ち場に散っていく。 「慌てず打ち合わせ通りに動いてくれ!」 ギアの動きに注意を払い、鈍色銀糸・カルア(a28603)が仲間達に指示を出す。 前回の反省点も踏まえてギア本体への攻撃は控え、出来るだけ船から遠ざけておかねばならない。 「うまく行ってくれるといいんですが……」 鏡を持たせた土塊の下僕を筏に乗せ、闇夜の刺客・リーナ(a34480)が船の進行方向とは逆に筏を漕ぐように命令した。 筏には土塊の下僕と一緒に潜水服が載せられているが、重量的な問題から空気を送り出すための装置は積まれていない。 「……変化なしですね」 船内に隠れて渦潮の様子を窺いながら、蒼き空の翼と夢・ブレイズ(a34294)が拳をギュッと握り締める。 ギアらしき渦潮は土塊の下僕が乗った筏には興味を示さず、一定の速度を保ちながら迷う事なく船を目指す。 「それが分かっただけでも収穫です。いずれ、また戦う事になりますからね」 すぐさまクリスタルインセクトを召喚し、蒼穹翠曖・リア(a13248)が仲間達と連携を取って船から離れた場所の木を倒していく。 しかし、渦潮の進行方向は変わらず、船に向かって進んでいる。 「思ったよりも頭がいいようだな。‥‥となると、最初から『人間』を攻撃対象に選んでいたと言うわけか!?」 険しい表情を浮かべながら、カルアが仲間達を連れて船に戻っていく。 これ以上、船の出発を遅らせてしまえば、ギアの攻撃から逃れる事が出来なり、結果的に船乗り達まで巻き込んでしまう事になるからだ。 「‥‥マズイ事になりそうだね」 ハッとした表情を浮かべながら、ロッズが黒炎覚醒を発動させる。 仮にギアの攻撃対象が『人間』だとしたら、最も効率のいい方法で命を奪いにくる可能性が高い。 「……なるほど。我々の移動手段を断った上で、攻撃を仕掛けてくるというわけですか」 納得した様子でロッズの腕を掴み、ブレイズが船乗り達に合図を送る。 それと同時に船乗り達が碇を引き上げ、島から遠ざかるようにして船を出す。 「どうやら、そのようですね」 渦潮が船に動きに合わせて移動を続けているため、リアが覚悟を決めて船尾に向かう。 まともに戦っても勝ち目がない事くらい分かっているが、このまま何もしなければバーレルに帰る事さえ出来なくなる。 「……覚悟はいいな? 死ぬ気でギアを引き離すぞっ!」 船乗り達が船首に避難した事を確認した後、オメガがゴクリと唾を飲み込んだ。 一瞬、バーレルで待っている仲間達の笑顔が過ぎる。 (「……ここで死ぬわけには行かないんだ!」)。 祈るような表情を浮かべ、オメガが渦潮をジロリと睨む。 渦潮はそんなオメガ達を嘲笑うようにして、徐々に船との距離を縮めていく。 「こうなったら自爆させるしかなさそうですね」 被害を最小限に抑えるため、ブレイズがギアを自爆させようとする。 次の瞬間、渦潮のひとつが自爆し、その場に光の柱を出現させた。 「いっ、一体、何がっ!?」 ギアの不可解な行動に驚き、リーナがダラリと汗を流す。 何もない場所でギアが自爆したため、仲間達も言葉を失っている。 「……マズイ事になったかも。早く、この海域から遠ざからないと、ギアの数が増えていくよ!」 ハッとした表情を浮かべながら、ロッズが船乗り達にむかって声を掛けた。 船乗り達は慌てた様子で帆を調節し、船のスピードを上げていく。 「最悪の場合は甲板ごとふっ飛ばすしかないな」 深呼吸をして心を落ち着かせ、カルアが渦潮の動きを目で追った。 渦潮は船の動きに合わせてスピードを上げ、いまにも追いついてきそうな勢いである。 「……やるしかないようですね」 いまさら逃げ出すわけにも行かないため、リアが覚悟を決めて渦潮を睨む。 ここで勝負を決めなければ、その先に待っているのは、死あるのみ。 「ああ……、すでに覚悟は出来ている」 渦潮が徐々に距離を縮めてきたため、オメガがギアを迎え撃つ準備をする。 生きてバーレルに帰るためには、目の前のギアを倒すしかないのだから……。 「必ず生きて帰りましょう。……私を待ってくれている人達がいるから」 そう言ってリーナが険しい表情を浮かべるのであった。
●避難優先 「皆さん、早く船首に避難してください。この船は必ず僕達が守ります!」 船乗り達が動揺しないように声をかけながら、白衣の家政夫・ライト(a02311)が彼らを連れて船首にむかう。 船首には非常用の筏が用意されており、いつでも脱出する事が出来るようになっている。 「やっぱり俺達が囮になるっ! あの化け物は人数の多い方を狙って攻撃を仕掛けているようだしな。俺達がこっちにいたら、お前達まで巻き込んじまうっ!」 真剣な表情を浮かべながら、船乗り達が次々と詰め寄っていく。 このままでは船が沈んでしまうため、危険だと分かっていてもやるしかない。 「冒険者は民を護る為に存在してるにゃ。民の犠牲の上に成り立つ冒険者の安全など……本末転倒もいいとこにゃよ」 苦笑いを浮かべながら、蒼首輪の猫・ルバルク(a10582)が行く手を阻む。 例え船乗り達が犠牲となってギアを自爆させる事が出来たとしても、それは本当の勝利とは言えないだろう。 「必ず……皆でバーレルに帰るのですよ……」 船乗り達の肩を叩き、貧乳様の巫女・イチカ(a04121)がコクンと頷いた。 それと同時にギア達が体当たりを仕掛け、その衝撃で船が大きく揺れる。 「悩んでいる時間はないよ! 今だけでもいいから、ボク達を信じてっ!」 真剣な表情を浮かべながら、天照・ムツミ(a28021)が船乗り達を説得した。 その間もギアの攻撃は休まず続き、船尾で戦っている仲間達の声が響く。 「迷っている暇はないにゃ! こうしている間も、仲間達は戦っているんにゃよ!」 仲間達を指差しながら、ルバルクが船乗り達を叱りつける。 船乗り達は少しでも船のスピードを上げるため、甲板においてあった邪魔な樽を捨てていく。 「もう少しだけ辛抱してくださいね。必ず生きて帰りましょう」 霧のせいで虚ろな表情を浮かべる船乗り達を発見し、ライトが静謐の祈りを使って治療する。 しかし、ギアの攻撃が激しいため、なかなか治療に専念する事が出来ない。 「わたくし達も……援護に行った方が……良さそうですね」 船尾で戦っている仲間達が苦戦しているため、イチカがクリスタルインセクトを召喚する。 次の瞬間、渦潮のひとつが竜巻へと変化して、何度か攻撃を仕掛けた後、もう一体のギアが回転するようにして甲板に降り立った。 「……どうやら、そのようだね。みんなを守るために、ボク達が壁にならないと……」 ここで戦闘を長引かせてしまえば、他の場所からもギアが来るため、ムツミが仲間達の援護に向かう。 船尾ではギア達の連携攻撃によって傷ついた仲間達が立っており、身体のあちこちに鋭く伸びた針が突き刺さっている。 「だ、大丈夫ですか? すぐに治療しますっ!」 驚いた様子で仲間達に駆け寄り、ライトがヒーリングウェーブを使う。 幸いギアの放った針に毒性はないようだが、ドロドロに溶けていくため激痛が走る。 「うわっ! ギアがまた攻撃を仕掛けてきたぜ!」 竜巻形態にあるギアが体当たりを仕掛けてきたのに合わせて、甲板にいるギアが無数の針を飛ばしてきたため、特定医療食・ラルフ(a90213)が悲鳴を上げて尻餅をつく。 次の瞬間、イチカがラルフを守るようにして針を喰らい、口から大量の血を吐いた。 「お、おいっ! 大丈夫か!?」 青ざめた表情を浮かべながら、ラルフがイチカを抱き起こす。 イチカの胸には深々と針が突き刺さっており、ラルフがボロボロと涙を流して針を抜く。 「……大丈夫です。必ず生きて帰ると……誓いましたから……。わたくしの事は気にせず……戦ってください……」 最後の力を振り絞り、イチカがラルフの手を握る。 ライトの治療が早かったため、大事には至っていないが、この場所に置いておくわけには行かないため、ラルフが彼女を抱きかかえて船首まで走っていく。 「甲板ごとギアを引っぺがすにゃ!」 土塊の下僕を使って針を防ぐための壁を作り、ルバルクが仲間達に向かって声を掛ける。 例え重傷を負ったとしても、早めにギアを倒しておかねば、自爆した時に居場所を知られてしまう。 (「……アローカナ、力を貸してね」)。 そして、ムツミはアローカナの羽飾りを握り締め、ギアに攻撃を仕掛けるのであった。
●船優先 「クッ……、派手に自爆しましたね……」 船尾の方で派手に光の柱が上がったため、グリモアシーカー・アカシック(a00335)が物陰に隠れて衝撃に耐える。 ほとんどの船乗り達が船内に避難しているので無事だが、ギアがまだ残っているため安心する事が出来ない。 「まぁ、このままバーレルに連れて行くよりはマシだろう。……ギアから逃げる事さえ出来ればな」 静まり返った船尾を見つめ、デュランがチィッと舌打ちした。 仲間達はギアの自爆によって傷ついており、その場で意識を失っている。 「とにかくみんなを運びましょう!」 険しい表情を浮かべながら、灼眼の打ち手・ユーディ(a03846)が仲間達を助けに行く。 幸い竜巻形態のギアは自爆の巻き添えを喰らい、渦潮形態に戻って船を追っている。 「このまま何も起こらなければいいんですが……」 ホッとした表情を浮かべながら、東海の羅針盤天使・イアーゴ(a18036)が仲間達に肩を貸す。 渦潮形態のギアはダメージを受けているのか、先程と比べてスピードが落ちている。 「ギアが自爆してしまった以上、こちらの場所を特定されてしまったかも知れませんね」 蔓を使って網目状に組み上げておいたネットを掴み、エンドレスガーディアン・ツカサ(a30890)が溜息をつく。 ギアの攻撃を喰らってネットはボロボロになっており、軽く触っただけでもブツブツと千切れてしまう。 「だが、この状態ならギアも廃船に間違うかも知れないな」 ギアの自爆で吹っ飛んだ甲板を見つめ、デュランが冗談交じりに呟いた。 予め二重構造しておいたおかげで、船の本体にはダメージがほとんど無かったため、このまま行けば何とかバーレルに帰る事が出来そうだ。 「念入りに準備しておいた甲斐がありましたね」 傷ついた仲間達を船室に運び終え、イアーゴがボロの帆布を被って舵を握る。 これだけでギアを騙し通せるわけではないが、誰かが船を操らねばすぐにでも追いつかれてしまう。 「その前に、あのギアを何とかしないと駄目ですね……」 苦笑いを浮かべながら、アカシックが遠眼鏡を覗き込む。 いまのところ他のギアがついてきている様子はないが、目の前のギアが自爆してしまえば敵にこちらの場所を知られてしまう。 「自爆させるしか……ないのかな?」 心配した表情を浮かべ、ユーディが口を開く。 渦潮形態のままではほとんどダメージを与える事が出来ないため、自爆させるためには甲板まで誘き寄せるしか方法が無い。 「……無謀な賭けになるかも知れませんね」 そのためには船の速度を落とす必要があるため、ツカサが困った様子で溜息を漏らす。 最悪の場合、船が沈んでしまう可能性もあるので、確実に成功させなければ意味が無い。 「それでも、やるしかありません。このままギアをバーレルまで連れて帰るわけにも行きませんから……」 険しい表情を浮かべながら、アカシックが船尾にむかう。 ギアの攻撃によって船尾は脆くなっているため、途中で足を滑らせないように気をつける。 「待って! あ、あれ……」 驚いた様子で悲鳴を上げ、ユーディが渦潮を指差した。 渦潮はグルグルと回ったまま、その場からまったく動こうとしない。 「……どういう事だ? まさか、これも罠か?」 唖然とした表情を浮かべ、デュランが遠眼鏡を覗き込む。 しかし、他に渦潮の姿は無く、何処かにギアが潜んでいる雰囲気も無い。 「ひょっとして、ギアにはテリトリーがあるのでしょうか?」 ギアの行動を理解する事が出来ず、イアーゴがボロの帆布から顔を出す。 何故だか理由は分からないが、渦潮が船を追いかけてこない。 「とにかく今のうちに西にむかいましょう。どんな理由であれチャンスである事は確かなのですから……」 そう言ってツカサがイアーゴにボロの帆布を被せ、警戒した様子で船内に避難するのであった……。

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