<リプレイ>
そんなわけで。 浜辺に咲き誇る炎の花。まるで花火のよう。 うじゃうじゅ大量に海岸線を埋め尽くすほど現れた巨大海月の群に、でっかい針とか光線とか爆発とか素手で殴ったりとか刺されたら癒しに波動が広がったりで、さくっと排除が完了しました。 そんなわけで。 「やはり夏は海に限る……日ごろ森の中に居るとたまには違う風景を見たくなるのだ」 きわどい水着に身を包みながら、差したパラソルの下でシートを敷いて寝そべるヴィヴィス。 「海はいいねぇ! なのなぁ〜んっ!」 ジョージィは、なぁ〜ん♪ と大きくのびを一つ。水着に着替えて海に飛び込んだ。 綺麗な魚や珊瑚を探して泳ぎ回り、貝殻を乙女ちっくに拾っては嬉しがっている。 「海ダーっ! ウン。夏はやっぱり海だよね〜♪」 浮き輪にサングラスの出で立ちのゼアミは、サングラスを投げ捨てながら海に突撃していく! しかし次の瞬間。 「……! あ、足がつった……!」 がぼがぼと水に沈んで行く所を救助されていた。 「あ〜。ダメだよ、ちゃんと準備体操しなくちゃ〜」 空色の水着を身につけたクィンスが「いっちに、さんしっ」と体を動かしながらその光景をみていた。その後ろにはストローハットと浮き輪を手にルイがついて回っていた。 それまで、水に手をつけたり足だけ入れてみたり大興奮! していたリアンもそれを見てみようみまねで体操をはじめた。 いっぱい楽しんで満足する一日にしたい、そんな彼女は遊ぶことにも準備にも一生懸命。 体操を終えると今度は向うで始まったスイカ割を見に走っていく。 ルイも海を見ると、クィンスの後ろから離れ、目を無邪気に輝かせて浜辺に走って行った。 引く波に近付いては寄せる波に逃げたり、砂浜で砂遊びをしたり。 熱中症対策のストローハットは大活躍のようだ! 「青い海! 白い砂浜! まさに夏ってカンジっスねー♪」「うぉーっ! デカい海月がいっぱいいるっスー!」 すごい勢いで楽しんでいるのはカノン。倒した海月を浮き輪代わりにしようとがんばっていたが、今はチクチクさされて痺れている。 それでもいつも以上に元気フルバーニング。 「う……海って実は入るのはじめてなんだよね。遠くから見たことはあるんだけど。近くで見てもやっぱり青いんだねぇ……」 興味津々という感じで水に手を触れるハルの横ではカザルがいた。 ハルの水着姿をずっと眺めていても退屈しないけどそれだとハルが退屈してしまう、と言うわけで彼女の予定に合わせて…… そう言った彼。 俺の予定? そんなもの無くとも大好きな子と一緒に居れば何だって楽しいんだよ、うん。 そう言った彼。 店員さんに彼が注文した水着はハルのとペアな物。店員は困った。 そう、白いホルターネックタイプで胸元には苺のワンポイントがある水着のペアな男物……彼の水着は……いや言うまい。 「あ、でも掬ってみると透明なんだ……不思議ー!! うわー、気持ちいーい♪ それっ!」 彼女は嬉しそうに掛けて来る水を、自分も掛け返し。それだけで彼は楽しかった。 (「人前で調理すれば目立つから水着宣伝効果にはなるよな……?」) シリウスは海岸線に大量に転がる海月を徐に捌き始める。薄い身を裂いて……味見。 浜辺に絶叫が響き、彼は救護班のお世話になった本日二人目の人物となった。 ちなみにパラソルの下でぼーっとしていたサースカスは、この騒ぎでも特に起きる気配もなく眠りこけていた。
木陰の下の小さな手作りステージで、ラジスラヴァは視線が集まるのを待って、海辺での出会いと恋に水着を絡ませた即興歌を披露する。 気持ちが乗ってきた彼女はそのまま放蕩の宴! を使おうとした瞬間にヴァイパーが現れたのを見たクィンスに「ダメだよ!」と止められてしまった。 シェルトはそっちに人が集まって周りに人がいないことを確認して、海へと繰り出した。 「サーフィンって簡単そうに見えるけど……思ったより難しいんだね」 それでも、何度も波にひっくり返されながら少しずつ上手くなっていく内に楽しくなっていく。 「昨日は楽しみでなかなか寝付けなかったんだよなー」 カトンが水の中ででスレイツに話し掛けるが……さっきまでいた友人が見当たらない。 きょろきょろ見回していると後ろから水が掛けられる! 驚いて振り返るとスレイツ。 2人はそのまま水の掛け合いに、魚捕りに、海の遊びを楽しんだ。 「一緒に遊べるだけで嬉しいから楽しければそれで十分なの♪ 」「ちゃっちゃと遊ぶぜー!」
「似合っているか?」 アキハマは着慣れない水着の感触にクロスとシーグルに尋ねる。「とても似合っているぞ?」「似合ってる」と返ってきてようやくほっと一息。 シーグルはそのまま、旅団の仲間達に声をかけた。 「夏といえば海! 海といえばスイカ割りだよなっ!」 「……よし……どっちがたくさん割れるか、競争な……?」 体育すわりで見つめるアッシュに、初めての遊びにじっと眺めるユエ。 全員が見つめる前でシーグルが目隠しと棒を手にとる。 「1番シーグル、行くぜーっ!」 ぐるぐる回り、仲間の声だけを頼りに……ふらふら……歩き。 「せーのっ!」 大きく振り下ろす! 「……っちゃ〜、空振りかぁ」 次! 次! と急かすように言われて立ち上がったのはハイアーマ。 「こうやって回って? この辺り、でしょうか」 ぽこん、と上手く当たったけれど、優しく叩きすぎたのかスイカは割れなかった。 「皆さん、後はお願いしますね」 苦笑を浮かべながら言う彼からバトンを受け取ったのはアッシュ。ぐるぐるぐ〜るぐると何度も回って。 「にゅ、にゅう……ふらふらする……」 回りすぎたのか少し足元が怪しくなりながらも、仲間の声を信じ、思い切り振り下ろして見事叩き割った。顔には出さないけれど嬉しそうにぱたぱた尻尾は揺れている。 次はユエ。集中して、みんのの言う方向におっかなびっくり慎重に進み、そこ! といわれた場所で振り下ろした。 ……あ、何か当ったっ……! 勢いが弱かったのか上手く割れなかったけれど、嬉しそうな彼に仲間達も微笑をみせ。 次はアキハマが立ち上がった。勘は鋭い方だという彼は指示通りに上手くスイカの前に行き……小太刀を引き抜き振り上げる! ……もちろん、お叱りを受け、止められたのはいうまでもない。 クロスは浜とスイカの距離を慎重に測り、目隠しをつける。 「右、右……ちょい左! そこだ!」 指示と測った距離とを比べ。振り下ろした棒は見事にスイカを叩き割った。 みんなで、食べるのかな? と、スイカは分かっても、味を覚えてないらしいユエ。「皆で一緒に食おー!」というシーグルの言葉に嬉しそうに手にとった。 「ユエさん、先に種を取っておくと食べやすいですよ」 ハイアーマはユエに、実際に見せてあげながらアドバイスを送っていた。
「はっきり言って……海で遊ぶなど何して良いかわからんからな」 浜辺でぼぉ〜っとしていたガルスタを「うーみーはひろいーな♪」と大きな声で歌いながら通りかかったエスティアがビーチバレーに誘った。 やることもないし、と ついて行くと小さなネットが張られた前に、何人か集まっていた。 「あら、今回はビーチバレーをなさりたいの?」 見るとちょうどチェリッシュがエルノアーレにルールを教えている所。 「……それで、先にダウンしたら負け、勝者にジュースを奢らないといけないんですわ」 うんうん頷いて聞いていた彼女だったが、流石に最後のフレーズには小首を傾げ、クィンスに確認し、 「あら、チェリッシュ様。それは間違いだそうですわ」 疑いもなく言われ困るチェリッシュ。その横でシリアが初めてのビキニに「これで、少しは大人に見られるかな……?」とドキドキバレーが始まるのを待っていた。 「シリアは泳がないの?」 クィンスが声をかけると彼女は慌てて答えた。 「泳ぐのは時間があれば……つ、翼が濡れると重くなるからですよ? 泳ぎが苦手なわけじゃないですよ?」 「それじゃはじめましょーかー」 エスティアの声にほっとしながら、バレーに混じるシリアだった。 「そーれ、ふふ、お上手ですわ……」 チェリッシュが自分のスパイクを拾ったエルノアーレに向けて賞賛を送り、エスティアが高くあがったボールを叩きつけるように撃つ! 「はいっ、すまーっしゅ♪」 元気いっぱい砂の上で舞う4人、ガルスタはやっぱりぼぉっと眺めていた。 「ぜー、はー……も、もうダメですわ……」 ばたんきゅーと倒れたチェリッシュは「エルノアーレさん、お強いのですわね。ふふ、でも楽しかったですわ」と昨日の敵は今日の友的に言い残しジュースを買いにいくのをエルノアーレは間違いだって言ったのにという表情で見送った。
嬉しそうに微笑むファリーに、サヤトは水を掛ける。 目に入らないように少し加減をしながら…… 「きゃっ、冷たいのですよぉ♪ お返しですぅ♪」 暫く水の掛け合いをして遊んだ二人は、 「サヤトさん、この水着どうでしょうかぁ?」 自分ではちょっと大胆かなって思う水着を見せるファリー。 「……えぇと……よく似合ってますよ……」 いつもの通り少し考えながら答えてくれた彼。自分はというと嬉しくてつい、はしゃいで彼の方へと倒れてしまった。 受け止めてくれた彼の腕の中で、ファリーは、 「あ、ありがとなのですよぉ……あのぉ……もう少しこのままでいいですかぁ……?」 ……ぁ……とまた考えているサヤトを恥かしげに見上げていた。
「海に来た事がなかったゆえ皆をお誘いしたのじゃが、乗ってくれる友人がいることは幸せなことじゃのう」 「みんなで思いっきり楽しみましょうなぁ〜ん♪」 しみじみ語るリィにレティシャが笑顔で続く。この一団は旅団・四季の色の面々。 「考えてみたら仲間と海とか初めてだな。おー、イイ天気」 目の保養ってヤツか、と楽しげなヴァイン。 「友だち皆で来たんだもん、たっくさん遊びたおさなくちゃね♪」 腰で結んだ大きなリボン、可愛いデショ? と大きなリス尻尾をふりふりするハナメに、ヴァインはカワイイカワイイと手を叩いて笑った。 「海……遊びに来る、のは……初めて。たくさん遊んで帰る、です」 「私も海は初めてですので……めいっぱい楽しみたいと思います!」 初めての水着にそわそわしているシファとティオ。 「楽しい夏の思い出になるといいですね」「浅いところでちゃぷちゃぷ遊ぶです」 浮き輪装備のレイジュとソウェル。 「来て良かった……息抜きも偶には悪くないです」 「しかし熱いなー」 水平線を眺め微笑むセロに、最後のダラーっとしたのは扇子をパタパタさせているダウ。 10人は砂浜ダッシュをしたり浜辺で貝殻を拾ったり、浅瀬でちゃぷちゃぷ遊び回ったり、砂玉のぶつけ合いをしてみたり、焼けた肌の色を比べっこしてみたり。 暫く思い思いに遊び倒してから戻ると、「水分取らないと駄目だぞ」とダウが用意した飲み物を配っていく。 ここからは、スイカ割。 「スイカ割りとやらはどうやるのかのう?? スイカは用意しておるのじゃ」 と、リィがスイカを並べながらわくわく顔を見せると、ヴァインがざっと立ち上がり宣言した。 「最初に割ったヤツが一番でけェのゲットな!」 1人ずつ割っていくのだから順番次第なんじゃないかというツッコミも無く、経験のない人からということでスイカ割は始まった。 「ふえー、みえないですよー」 「頑張ってくださいっ」 「あ、もうちょっと右ですーっ」 ふらふら歩くソウェルにセロやティオが教えてみるが、ぽこん、と見当違いの砂を叩いた。 「……私もちょっとやってみたいのですが、ちゃんと割れるでしょうか」 代わりに今度はティオが挑戦。……したのだけれど、「いけー」とか「そこだー」とか「うしろうしろー」とかダウの物凄く適当な指示の成果で見事に外した。 リィに追いかけられるダウを横目に、続いてヴィアスが目隠しをつける。 「割る前、しっかり回って……」 楽しそうなシファのアドバイス(?)を受け、見事スイカを叩き割った彼! 「はくしゅですっ、すごいですー!」 「オマエに負ける気はしねェなぁ」 ソウェルの拍手を受けながらビシッとハナメに突きつけた棒の先に彼女がいないのを目隠ししていた彼は気付かなかった。 「お土産に貝拾いもしたいのですっ」「綺麗な貝殻があるかな?」「今日来れなかった……方、に……見せてあげたい」と、ティオやシファ、レイジュと貝殻探しから戻ってきたのは、ちょうど彼が目隠しを取ったタイミングだったのも幸運だろう。
「ふつうにきったすいかよりちっちゃくなって食べにくいですがなんだかいつもよりおいしい気がするですよー♪」 大小さまざまな形に割れたスイカを手にとり食べていく。 ソウェルが嬉しそうに食べるのをリィは見つめながら、ぽつりと呟いた。 「帰ったら海の絵でも描くかのう。忘れ難い、得難い思い出となったのじゃ」
「ちょっちょっと! 何ジロジロ見てるのよ! ほらスイカ割るんでしょ!?」 「……えっと、その、水着似合ってますよ!」 恥かしさに勢い良く言ったロミナに、トウガは照れながら素直に答ると、彼女も照れて返してしまう。 「あ、ありがと! そっちも似合ってるじゃない?」 お互いに照れ合いながら、二人は浜辺へと繰り出す。 「うお、塩っぺえ!?」 泳げないロミナに合わせて水遊び。浜辺が赤く染まるまで2人は過ごした。 そして黄昏の沈み行く夕日を眺めながら、トウガはロミナの肩を抱き寄せようと真っ赤な顔で手を伸ばしていく……
「大人の時間を楽しみますわよ♪」 夕日の浜辺に木の机と椅子に着き、アコの掲げたグラスに、オリゼーは持参したマウサツの地酒を注ぐ。 「美人さんに誘って頂けるとは嬉しい限り。是非お供させて下さい」 「海の美しい青にも夕日の輝きにも負けない素敵なお酒を2人で飲み交わしましょう」 オリゼーから地酒の瓶を受け取り、彼のグラスに注ぎ返すアコ。 「夕日と隣にいる彼に乾杯……♪」「優雅な景色とアコさんの美貌に乾杯」 チーン……と澄んだ、二つのグラスを打ち合わせる音が浜辺に鳴り響く。 一緒に海月退治した事。これからの2人の事。 話したい事は尽きない。想い人と肩を並べて。沈み行く太陽と海を眺めながらお酒を楽しむ。 黄昏が降りて、星と月の灯りが燈る頃。 「暗くなってきたからそろそろ返ろっか〜!」 クィンスがぶんぶんと手を振り回して呼びかけるのが見えて。 「今日はいつになく楽しい時間を過ごせました。また一緒に食事でも如何ですか?」 洒落た仕草で手を差し出す彼の手に、自分の手を重ねたアコはふんわりと微笑む。 「よろこんで♪」
焼けた肌と楽しい思い出と、スイカと海月と。 何もかもを包み込んで浜辺は静かに夜を迎える。
そうだ、来年も。きっと海へ来よう。また今度、絶対に!

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参加者:41人
作成日:2006/09/04
得票数:ミステリ1
ほのぼの23
コメディ2
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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