≪稀文堂≫夏の祭典! BIG祭塔!!



<オープニング>


 輝く空。
 照りつける太陽。
 白い雲。
 暑い暑い熱気と溢れる人、ヒト、ひと。
 ここは同盟領東岸らへんの離れ小島にあるアリアーケという名の島。
 その島に、島民から『BIG祭塔』と呼ばれる変な形をした遺跡がある。
 そこでは年二回。大陸各地の趣味人たちが集まって自分の商品を売ったり、掘り出し物を探したりする祭りが開かれる。
 そんな市場に稀文堂も出店する事になった。
 買い物をするも良し! 自分の商品を売るも良し!
 だが、会場は人人人の人の波で足の踏み入れる隙間も無いほどだ。
 熱気も凄いが汗やら匂いやらも凄いだろうし、突如として現れるマナーの悪いオタクも居るかも知れない。
 そして、どんなものか知らずに着いてきたシャナンがぶち切れるかもしれない!

 さぁ、君はこの祭典をどう乗り切る?!

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参加者
底王・ゴオル(a07582)
狂乱の貴公子・マイアー(a07741)
カ・ラスキュー(a14869)
気紛れな魔女・シラユキ(a24719)
かはたれのひかり・オーロラ(a34370)
渡り蝶・チェロット(a35983)
真の愛狩人・ミシェイル(a42000)
白雪・スノー(a43210)
異風の叫奏者・ガマレイ(a46694)
錬鉄師・ライアス(a47080)
春風に舞う鈴の音・アンジェリカ(a48991)
我牙・ベア(a49416)
NPC:南方セイレーンの女王・シャナン(a90275)



<リプレイ>

●魅惑の島!
 輝く空。
 照りつける太陽。
 白い雲。
 広がる海原に浮かぶ小さな島は外周を歩けば3時間で一周出来るくらいの小さな島。
 そんな島に、今、恐ろしい数の人が上陸し『BIG祭塔』と呼ばれる塔へ向か蠢いていた。
 そんな人々の群れの中の一団に、彼ら稀文堂の面々がいる。
「うわ〜人がいっぱいです〜♪」
 春風に舞う鈴の音・アンジェリカ(a48991)はこの島で行なわれるイベントをお祭りだと思っている、分かっていない一人。
「なっ……なんなの、この人はっ?!」
 と分かっていない人もう一人のシャナンは唖然とし、へんちくりんな形の塔を見上げている。
「オゥゥライトッ!! 海苔〜海苔〜」
 と海苔と連呼する叫音有翼人種・ガマレイ(a46694)は周囲の空気に己が勘違いしている事に気付く。
「海産物展じゃないの!? ……ま、いっか♪」
 と鼻歌交じりにガマレイは黒眼鏡をかけた。
「うふふふ。今回はとこっっとん趣味に走らせていただきますわー!!」 
 ぐぐいっと拳を握り気合十分のはぐれ天使中庸派・オーロラ(a34370)
「あっはっは、見ろ。人がゴミのようだ!」
 売り物やディスプレイの準備でここに来るまで修羅場だった真の愛狩人・ミシェイル(a42000)は少し壊れ気味で、人込みを指差しケタケタと笑う。
「本当に人が多い。多過ぎてゴミのようだ。暑い。非情に暑い」
 文句を言いながら気紛れな魔女・シラユキ(a24719)はBIG祭塔を睨んだ。
「こんな悪環境へわざわざ来たのだから、せめて何かしら良い物を手に入れなければ報われない」
 そう。ここは夢の国。妄想の集積場!
「フフフ……飛んで火に入る夏の虫とは拙者のことなぁ〜ん! ルクレチア様本を根絶やしにしてやるなぁ〜ん! フハハハ!」
 高笑いをするオシャレ四天王・ラスキュー(a14869)はひとしきり哄笑した後、大人しく入場を待つ列の最後尾に並ぶ。
「まぁ皆様、頑張ってますわねぇ……溢れる熱気、華やかな出店風景……まさしく、夏の祭典!」
 泡沫の夢に漂う人魚・チェロット(a35983)は目を輝かせ、持参の衣装を取り出した。
「夏の祭典と言えば、忘れてはいけない……コスプレ! わたくしもちゃんと用意して参りましたの。制作期間一ヶ月、製作費用4裕福度の傑作ですわ」
 目を輝かせながら取り出したのはファナティックシンガーのコスプレ。かなり、キワドイはずなのだが……
「ほほぅ、それが噂のコスプレちゅうヤツかいな……」
 チェロットの持つ服をまじまじと見ながら吼え猛る酔虎・ベア(a49416)は酒片手に興味深そうにしている。
 薄っすら目の下に隈を浮かべ、白雪・スノー(a43210)は欠伸を噛み殺すと手の中の品物を見下ろす。それは彼女の目的の一つ。錬鉄師・ライアス(a47080)に着せる為のスノー手作りの服である。隣のライアスを見れば、いつもの彼からは想像出来ない程活き活きとしていてスノーは二度瞬きをした。
 ライアスは目当ての本があるサークルの情報だけを纏めた紙の束片手に、最後のチェックを行なっている。BIG祭塔歴十○年は伊達ではないようだ。
 しかし、まぁ、とりあえず自分の目的を果たす為、ゴスロリ服をライアスに手渡す。
 今度はゴスロリか、と思いながらも素直に着替えに行ったライアスにスノーは満足そうに見送った。
 暫くすると、サークル出店する者達が次々と会場内へと入っていく。それを比較的涼しい場所で眺めていたシャナンにメタルモンスター・マイアー(a07741)は日傘を差してやりながら笑みを浮かべる。
「さぁ、シャナン様。そろそろ僕たちも行きましょうか」
「そうね……とりあえず、来たんだし中もみてみないとね」
 ちょっと遠い目をしているシャナンに速度を合わせマイアーは歩き出した。

 会場内はまだ開場前で動き回る人と言えば出店者くらいのもの。塔の外で今まさに開会式が進められていた。
 主催者の挨拶の途中、今か今かと待ち侘びる参加者達を押しのけ舞台に上がった底王・ゴオル(a07582)はちょっと良い声で言った。
「我は稀文堂臨時団員・底王・ゴオル・ブーライである!!! 」
 勝手にスピーチ始めたゴオルは自身が出店する店の宣伝をするとさっさと舞台を下り、適当な場所を占拠し始める。
 一連の出来事をぽかんと見ていた主催者はようやく言葉を搾り出し、開催を宣言したのだった。
「うふふふ」
 含み笑いのままオーロラは本を並べていく。
 売るのはある程度お子様も見れる程度のヤで始まってイで終わる同人本。メインはザン○゛ャバス×リゥ○゛ゥラの兄弟カップリング本というなんというか、その……もにょもにょ。
「オーロラ?」
「あら、シャナンさんにマイアーさん。いらっしゃいませ〜」
 並み居るオタク&スケブ小僧どもと戦うマイアーに守られながらやって来たシャナンは少し眉を寄せ、オーロラの前に並べられた本を見た。
「ナニ、これ?」
「私が頑張って作りましたの! 一冊シャナンさんにサービスいたしますわ。是非一度お読みになって下さいまし!」
 そう言ってオーロラがシャナンに手渡したのは某リザードマンの総受け本。
「…………」
 3秒程の沈黙の後、シャナンは手渡された本を静かに置く。
「行くわよ、マイアー」
「え。ちょ、ちょっと、シャナンさんー!?」 
 オーロラの叫び声を背に聞きながら、渋面で歩くシャナンをマイアーは周囲の敵から守りつつ、他の仲間達のブースへと導き歩き出した。

「こ、これはっ!!」
 とあるブースの前で立ち止まったガマレイは目を見開き、立ち止まる。そこにあったのは豆腐をモチーフとしたキャラクターの癒しグッズコーナー。
 エロやヤオイなど目もくれず捜し求めた品にガマレイは釘付けである。
「ああっ、癒されるぅぅ♪」
 ほわんとした顔で手当たり次第豆腐グッズを確保し一満足したガマレイは、ふと顔を別のところへ向ける。そこには汗だくの男達に囲まれている見知った顔があった。
 シラユキの格好はスリットが際どい身体にピッタリフィットするドレス。細身のシラユキの体のラインがはっきりと分かり、ソッチ系の人たちの注目の的だ。そんなシラユキに話しかけられ、有頂天なオタクたち。
「こんな本をどこかで見なかったか? いや、私が欲しい訳ではないのだが」
 と探しているのは同盟可愛い娘図鑑とか。
「べ、別に私は可愛い女の子に興味など……その、友人に買ってきてと頼まれたのだ」
 高慢な口調と態度とは裏腹に少し目を泳がせるシラユキに萌え〜だとかツンデレ! だとか変な掛け声が飛び交う中心で流石に耐えられなくなったらしく逃げ出そうとするシラユキだが身動きとれず困っていた。
「ウゥゥプスッ。失礼!」
 男達にワザと体当たりかましつつ、ガマレイはシラユキの側まで行く。
「な、なんだよぉお前はぁ」
 ナヨっちい口調で言った男に黒眼鏡越しに睨みつけ、ガマレイが因縁をつければソソクサと男達は見なかった振りをして去って行く。
「大丈夫だった?」
「助かったのだ。ところでガマレイ……」
 どうやらまだまだ本探しは続くようだ。

「さて店主殿の本は……面倒だから売切れていた事にしよう。あとはトキ○ダ×チ○ウ本だな」
 チェックを付け、お目当ての本を求めて視線を彷徨わせたライアスは置いていそうなヤオイ本ブースを見つけ歩を進める。
「おっと、失礼……マイアー殿」
「おや、ライアス様ではないですか。……また可愛らしい格好ですね」
 言われライアスは自分の着ている物を見た。たくさんのフリルがついたゴスロリファッションは実にライアスに良く似合っている。
「スノーから貰ったんだが」
「ねぇ……あんたも、こんなの買うわけ?」
 げんなりした声の方を向けば、シャナンが物凄く疲れた顔をして目の前に並んでいる本を見下ろしていた。その表紙にはシャナンにとって見慣れた人物に似た者たちとタイトルが書かれている。
「パシヴィル×ブレント本……トリュース×ブレント本、ブレント×ブレント本……ブレント殿総受け本か」
 覗き込み冷静に行ったライアスにシャナンは髪を掻き毟りうがーっと叫んだ。
「さっさと別のとこ行くわよ、マイアー!!」
「はいはい♪」
 足音荒く移動を始めたシャナンの後を上機嫌で付いて行くマイアーの姿を見送り、ライアスは売り子に言ったのだった。
「あ、トキ○ダ×チ○ウ本を」
 と。
 ホクホク顔のライアスに人の多さにボロ雑巾になったスノーが漸く会えたのはそんな時だ。
「大丈夫か? スノー」
「ライアスさん……とても可愛いです。でも、私はもう、ダメです……」
「し、しっかりしろ! 衛生兵。衛生兵ー!!」
 スノーは人に酔って暑さにやられたようだ。

 ある程度商品が売れたゴオルは店をたたみ、自分の為の買い物へと繰出す事にした。
「おおそういえば、ルクレチア本があると聞いたのだ。ふ〜む、何処に行けば売っておるのかのう?」
 きょろきょろと人込み掻き分けながら進むゴオルはやがて見知った面々のいる場所に行き当たる。
 そこは稀文堂のブース。売り子のチェロットとアンジェリカはそれぞれコスプレし笑顔で客引きをしていた。
 何せ格好がカナリぱんちがある。チェロットは肌色のボディタイツを着てはいるが豊満な体のラインがはっきり分かるし、アンジェリカは自分の羽に布で細工をしドリームピュアリィのコスプレでとても可愛らしくロリ好きにはたまらない。
「いらっしゃいませ〜♪」
「さぁさぁいらっしゃいませ〜あら、ゴオル様」
「おおっ!? これはなんと良い目の保養か」
「イイやろ、イイやろ?」
 噂のコスプレを観察していたベアが嬉しそうな声でゴオルに言う。
「でも、よー考えるとシャナンはんのがよっぽどキワドイかっこしとるような……シャナンはんハァハァ」
「うむ。確かに」
 と、二人の視線の先には微笑みを浮かべ立つシャナンの姿。だが、それは本物ではない! ミシェイルの作った等身大シャナンたんフィギュアである。(実物より胸は一割増)
「おっと、お客さんお触り厳禁だよ」
 しっしっと手で払う仕草をするミシェイルはそれよりもこっちもイイよと自作の同人本を見せた。それは……
「おおっ! これは、求めていたルクレチア×シャナン本!!」
 喜びの声をあげるゴオルは早速一冊手に取り堂々と広げ読み始める。
「それにしても、大きな鞄や荷物を持っている人が多いですね。人波に流されそうですよ♪ ふにゃ?」
 冗談で言ったはずのアンジェリカの体が人波に段々流されていく。
「アンジェリカさん、どちらへ〜?」
「わ、わかりませんー! にゃ〜〜た〜す〜け〜て〜くださ〜〜い!」
 流されるアンジェリカは誰かにぶつかり、ようやく止まる。
「おお、アンジェリカ殿なぁ〜ん」
「あ、ラスキューさ……ん?」
 知った声に振り仰げば、黒い覆面をしていてもどこかやつれているように見えるラスキュー。アンジェリカは恐る恐る尋ねた。
「だ、大丈夫ですか? なんだかとっても疲れてるようですけど」
「ふっ……炎天下の中、干乾びるほど並んだ拙者。しかし、ルクレチア様本が何処にもないとは人道的に許されるのかなぁ〜ん!?」
 血走った目で長い耳を振り、やり場の無い怒りで頭を抱えるラスキューにアンジェリカは慰めようとこう言った。
「あ、でも大丈夫です♪ ミシェイルさんがルクレチア様とシャ……」
「ナニぃーなぁ〜ん! ゼオルもーん!」
 最後まで聞かず走り出したラスキュー。見えてきたのは等身大シャナンたんフィギア。
「おお、シャナン殿こんな所に突っ立って何してるでござ……ワーオ! これはシャナン殿フィギュアじゃないかなぁ〜ん! フル着色! 水着にしか見えない服も完全再現なぁ〜ん!!」
「いらっしゃいませ、ラスキューさん。お疲れ様です、麦茶をどうぞ♪」
「これは有難うですなぁ〜ん」
 ごきゅごきゅとチェロットから受取った麦茶を飲み干したラスキューはゴオルの持つ本に目を見開く。
「み、見つけたなぁ〜ん! それこそ拙者の求めていたルクレチア様×シャナン殿本という畏れ多すぎる逸品!! ええい、それを寄越せトカゲの人ーなぁ〜ん!」
「慮外者め! 我が読み終わるまで待たんか。むむむ。これは凄いな?」
 ギャースギャースと取り合いしていたラスキューとゴオル。しかし、すぐに事態は収束する。
「あの……調子こいてすいませんでしたなぁ〜ん。ちょっと見せて下さるだけで結構なんで……なぁ〜ん」
「ふん。仕方のない。見るが良い」
 そもそも並んであるものから見ればよかったのでは? と言うのは言わないお約束で。
 本を受取ったラスキューはキラリと目の色を変える。
「フハハハ! 我、野望に到達せり、なぁ〜ん! いよいよ禁断の本を我が手に、アブギャボォ」
 七色の光とファンファーレの音と共に盛大に吹き飛ぶラスキュー。
 ユラリと立ち昇る怒りのオーラ。
「…………お〜ま〜え〜ら〜!!」
「し、しまったぁシャナンたん!!」
 わたわたとフィギアに布を掛けようとするミシェイルだが、時既に遅すぎ、思いっきり睨まれこの状況をどう打破するべきかパニくった脳みそが弾き出したのは開き直り。
「言葉を慎みたまえ! 君はアリアーケ王の前にいるのだ!!」
「だらっしゃぁぁぁー!!」
 シャナンの華麗なる一撃がミシェイルにクリティカルヒット。ついでに等身大シャナンたんフィギュアも破壊する。
「はっ! これは、誤解だ。我は市場調査を……」
「だまらっしゃぁあ!!」
 ゴオルは慌てて取り繕うとするも、怒りのシャナンの餌食となりあっさりKO。
「あらあら、これは大変ですわ」
 と、ちっとも大変に思ってなさそうな声で言ったチェロットは目をぱちくりさせ、どうしましょうかと小さく首を傾げた。
「いや、どうしましょ言うたってなぁ……こりゃ、このままそっとしとくんが一番やないか?」
「そうですねぇ」
 安全な場所で苦笑するベアにいつの間にか移動してたマイアーも適当に相槌を打つ。
 そんなマイアーの背中に回した手の中にはしっかりとルクレチア様×シャナン本が。だが、そうは問屋が、シャナンさまがおろさないっとくらぁ。
「……マイアー……手の中のもん見せなさい」
「え? やだなーシャナン様、何をい」
「見せろ」
 有無を言わさぬ口調にマイアーはとても良い爽やかな笑顔で口の端から血を流しながら手の中の本を差し出した。もちろん、ファンファーレが鳴り響く。
「燃やす! ぜんぶ燃やしてやるー!!」
「しゃ、シャナンさんー落ち着いてー!?」
「あわわわわっ。大変です〜?!」
「まぁ、落ち着きやって……うおぅ?!」
 暴れるシャナンを必死に宥め押さえようとするチェロット、アンジェリカそしてベア。
「……なんだかうるさいですわね」
「何事だ?」
 のんびり何時の間にか一緒に会場を回っていたオーロラとシラユキは遠く聞こえる騒動に首を傾げた。
 こうして、アリアーケ島のとても濃い一日が過ぎていくのであった。


マスター:桧垣友 紹介ページ
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作成日:2006/09/07
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