【無人島開拓計画!】森の中の遺跡調査



<オープニング>


「さて、今回は遺跡……ですね。私もそんなものがあるなんてビックリしていますが」
 ドリアッドの霊査士・シィル(a90170)が前回持ち帰られた遺跡の壁面のかけらを手の平で弄ぶ。霊査してみると、とても静謐で荘厳な雰囲気を伝えてきたと彼女は言った。
 遺跡の概要が説明される。遺跡は数十メートル四方の広さを持ち、すべてが石造り。高さは10メートルにも及ぶ。中に獣が住み着いているということはないらしい。さすがに森と比べれば石の床は固くて寝心地が悪いのだろう。
「ただ、コウモリ等の飛行タイプの小動物はいる模様です。しっかり戦える準備はした方がよさそうですね」
 頷く冒険者たち。遺跡を縄張りとする動物は確実にいるだろう。心してかからねば。
「かつて島に誰かが住んでいたとして……遺跡はその住民たちにとって、とても大事な建物だったと思うんです。まさに島の隠された謎が秘められているかと思います。とにかく、何か発見できればいいですね」
 3回目にして、かなりの大仕事になりそうだ。冒険者たちは一層の気合を込めた。

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参加者
焦天回廊・アイラザート(a13992)
夜明けの風ききながら・セリア(a16819)
自由の翼・ヨウ(a30238)
うたかたのゆめ・ロン(a33766)
珊瑚礁の歌姫・メルフェイス(a36190)
道楽娘・ガザミ(a42279)
灼熱日天・ラハイナ(a42568)
魂に刻めその旋律・レシュノ(a45112)
灰色の岩山・ワング(a48598)
春風に舞う鈴の音・アンジェリカ(a48991)
冷たく響く狂想曲・キュリオン(a49120)
哀しき瞳のくノ一・スズミ(a50835)


<リプレイ>


 無人島探索もこれで3回目。冒険者たちもすでに行き来に慣れてきて、舟を漕ぐ動作も軽快になっている。
「何があるかワクワクしてきたなあ♪」
「まあ、有意義な探索であることを願おうか」
「数日分の保存食は持ってきましたが……それほど困難な場所でなければいいですね」
「それにしても、いつか観光地になっちまうんだよな。少し寂しい気もするぜ」
 今回が初参加の神速の鼓動・セリア(a16819)、自由の翼・ヨウ(a30238)、哀しき瞳のくノ一・スズミ(a50835)、灰色の岩山・ワング(a48598)の4人は前方に見えてきた島をのんびりと眺めている。
 そうして島に到着する。相変わらず入口の浜辺は美しいが、すでに夏の盛りは過ぎてしまっている。海水浴はしばらくできそうにない。
 経験者を先頭に一行は岩壁に挟まれた入口から森の中へと分け入っていった。こちらは変わらずねっとりとした湿気があって、数分も歩かぬうちに汗だくになってしまった。
 やがて森を抜け、その場所に辿り着く。
 周囲を木々に囲まれた灰色の建物は、高さ10メートルほど。円柱で装飾された外周をざっと見てみると、全体的に真四角だとわかる。とてもシンプルだ。
 だが、あまり飾らずとも荘厳な雰囲気をたたえた石造り。見るからに古そうなそれは、永劫に色褪せないだろう神聖さを備えている――。
「遺跡って、なんかちょっと不思議なぁ〜ン」
 魔導膨斧・アイラザート(a13992)はてっぺんを見上げて言った。このような建物に、何か秘密が隠されていないわけはない。
 一行はスムーズに全体を回れるように、1班4人の3班体制で臨むことになった。
 いざ正面入口から遺跡に進入する。すぐに正面、左右にフロアが分かれている。
 成功を誓い合い、3班は速やかに分散して行った。


 スズミが先頭に立ってワングに渡されたカンテラを灯す。ワングはマッピングセットで完璧なマッピングを心がけ、調査済みの部屋にはチョークで印をつける。入口より右側に進んだA班はとりあえず順調だった。
 というよりは、思ったより部屋の構成が簡単だった。ほぼ正方形のフロアが整然と連なっており、分岐も少ない。……考えてみれば、人が大勢出入りするような建物だったとしたら、あまり複雑で意地悪な造りにはならないだろう。
 今、一行の目の前には奥と右にそれぞれ扉がある。どちらに進もうか迷った。
 その時。
 ウーーーーン……。とても聞き覚えがあり、それでいて非常に耳障りな音が聞こえてくる。その正体は、頭上からやってきた。
 ハチだ。壁の一角に、両手で包みきれないほどの茶色い球体――巣がある。そこから何匹ものハチが向かってくる。外敵が侵入してきたと思っているのだろう。
 この遺跡も目玉のひとつになりうるのだから、駆除しなくてはならない。
「ごめんなぁ〜ん」
 アイラザートは目にも止まらぬ垂直蹴りで1匹を落とす。珊瑚礁の歌姫・メルフェイス(a36190)はニードルスピアで一気に多数を撃った。と、メルフェイスの真横からハチが接近してくる。
「おっと、こいつにゃ手を出させねえぜ」
 だがワングがその前に立ちはだかる。甲冑に覆われた彼に針など通じるはずもない。右往左往するハチを剣で切り落とす。スズミもカンテラを持ったまま片手で飛燕刃を飛ばし、難なく倒していった。
 そうして誰ひとりとして大事無くハチを全滅させた4人は、より慎重になって前進していく。その先に階段があった。上っていくと、また同じように殺風景な四角い部屋に出てしまう。
 ――だが、妙なものがあった。四方の壁にある扉のひとつが鎖でがちがちに封印されている。いかにも開かずの扉、立入禁止というように。
 無論こんな美味しそうなものを見逃すはずはない。アイラザートとワングが斬鉄蹴と大地斬で豪快に扉を壊した。砕けた扉の向こうはひたすら闇だった。
「これに先行させましょう」
 スズミが土塊の下僕を召喚して前進させた。しばらくすると、中からドサドサっと大きな音が聞こえてきた。4人は意を決して突入した。
 そこにあったのは――山のように積み重なった本の束。部屋は蔵書室だった。なんのことはない、下僕が動き回った拍子に棚から本が落ちたのである。
 いずれにしても、これらは島の情報を示す書物かもしれない。4人はかなりの成果を上げたと実感した。


 B班は中央に進路を取った。
 鎧進化をした道楽娘・ガザミ(a42279)が先頭に立ち、有事の際の盾を買って出る。そして10フィート棒で怪しいそうなところを小突いていく。明かりはマッピング担当の魂に刻めその旋律・レシュノ(a45112)がホーリーライトでまかなった。
 2つ目のフロアに入ったその時、一行の体に黒い何かが当たってきた。
 皆、武器を構える。静かな羽音。頭上にコウモリの群れが飛び交っていた。数は二十匹ほどだ。様子を見ているうちに、コウモリの群れは縄張りへの進入は許さんと言わんばかりに一斉に向かってきた。あまり殺生はしたくないが、そうも言っていられないようだ。 ヨウが敵の接近にタイミングを合わせ、流水撃を繰り出す。華麗にして豪快な一撃が、一気に敵の3分の1ほどを減らした。
「話し合いの余地はなさそうっスね」
 体当たりや噛み付きに動じず、レシュノは高らかな凱歌を歌う。
「武道家用の技じゃねぇから本職ほど上手く扱えねぇけどなぁ〜んっ」
 灼熱日天・ラハイナ(a42568)がヨウに目を向けながら、手にしたブーメランを横凪ぎに振るう。言うほど威力の低くない流水撃は、コウモリの群れをさらに半分にまで減らした。ガザミは大地斬で的確に1匹ずつ倒していく。
 ほどなくしてコウモリを全部落とした。彼らは気を取り直して再び探索を始める。
 が、行けども行けども単純な部屋ばかりが続く。分岐はなく、直進する以外ない。目を引くものもない。やはり人々が使いやすいような建物だったのだろうかと思い始める。
 と、ひときわ広いフロアに躍り出た。
 空気はより荘厳になっている。というのも、奥に何やら祭壇らしきものがあった。4人は慎重に近づいていく。
 祭壇の中央には、魚を模したような石像が高く掲げられていた。その下には石造りの高机。いかにも偉い人が立って説法を聞かせるような構成である。ここは礼拝堂なのだと見当をつけることができた。
 このフロアで目立つものは祭壇だけだ。念入りに調査をしたが、魚の石像は動かせずこれといった仕掛けも罠も見当たらない。
 ただ、高机の中にやたら黄ばんで古ぼけたノートが一冊あった。どれくらい年月が経っているのかわからない。これはあとで全員で見ようということになった。
「ここはこれだけのようやね。他はどうなったやろ」
 ガザミが背伸びをしてリラックスした。


 左方のC班はいきなり襲撃されていた。敵は天井に張り付く二匹のクモ。体が大きいのと小さいの。親子かもしれない。糸にぶら下がって振り子のように体当たりを仕掛けてくる。なかなかトリッキーな動きだ。
 しかし冒険者は動じない。セリアが狙い済ましてソニックウェーブを叩きつける。飛び散る鮮血。と、お返しとばかりにクモが尻から糸を発射した。セリアが捕まり、身動き取れなくなる。
 だがうたかたのゆめ・ロン(a33766)が敵のお株を奪うような粘り蜘蛛糸で、大きい方を拘束する。春風に舞う鈴の音・アンジェリカ(a48991)もがおーっと紅蓮の咆哮でもう片方を麻痺させた。冷たく響く狂想曲・キュリオン(a49120)は構わずマッピングに専念する。さっさと次の部屋へ。
 力の差は歴然だ。糸を切られたクモたちは地上に落下した。あとはさくっと止めを刺して戦闘終了。
「……こっちの担当……とりあえず済んだぞ……」
 キュリオンが眼鏡をクイッと上げながら戻ってきた、一階のマッピングは完全に終わったらしい。
 一行は奥の部屋にある階段から二階へと上った。引き続きじっくりと調査しているとセリアが声を上げた。
「あれ? この壁がちょっと変だね」
 見つけたのは、ほんのわずか壁にある縦筋だった。それはまるで隠し扉のようで――いや、間違いなく隠し扉だ。
 手をかけると、ずずっと石の壁がスライドしていく。むわっとした空気が流れ込んできた。
 最初にアンジェリカが持参してきた重石を持たせ、土塊の下僕を向かわせる。体重によって発動する罠があれば、これで作動するはずだ。
 ……が、何も起こらない。そこでロンが先頭で入り、カンテラをかざした。目に飛び込んできたものは――樽やら棚やら箱やら袋やら。
 ここは倉庫、あるいは宝物庫である。中はかなり広く、相当のアイテムが眠っているようだった。
 いい報告ができそうだ、と4人は顔を見合わせて頷いた。


 夕焼けが迫る頃、3班は遺跡を出てそれぞれ成果を報告しあった。
 この建物は、かつて存在した島民が守り主のようなものを祀り、祈るために建設されたもののようだ。超常的で怪しい建物でないことにひとまず安心した。
「こっちには色々あったよ」
 アンジェリカらC班が、倉庫から持ち出した袋や箱を開けた。中身は神秘的な雰囲気のナイフ、古書、変わった模様の食器などだった。金貨や銀貨もあった。持ち主はいないことだし、報酬代わりにもらっていこうということになった。日用品は島のために取っておけばいいだろう。
「とこれでこれ、建物の管理者のものらしい日記だなぁ〜ん」
 B班ラハイナが古ぼけたノートを差し出した。そこにはこうある。

 ○月×日
 この島の平和は終わった。
 とても恐ろしい蛮族が渡って来たのだ。
 奴らは強すぎる。
 あれだけ祈っていたのに守り主の加護はない。
 どうやら奴らはすぐそこに迫っているらしい。
 私はこれで終わりだが、皆、どうか無事で。

「悪者に滅ぼされてしまったということか」
 ヨウが補足する。むうと唸る一同。
 この島はかつて人が住んでおり集落が形成されていたが、蛮族の出現により滅んでしまった。逃げ出した者もいただろうが、誰も二度と帰ってこなかった。蛮族もいつしか何らかの理由で絶え、ついに無人と成り果てたのである。それがこの島の真実らしい。
 だいぶ以前の話とはいえ、皆は寂しい気持ちに包まれた。
「これからは、ボクたち冒険者がこの島を守るなぁ〜ん!」
 アイラザートが元気よく言う。悪者が絡んでいたとなれば、ますます捨て置けない。二度と何者にも侵略されない平和な島に復興させる、それが冒険者としての務め。


マスター:silflu 紹介ページ
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