ハシュエルの誕生日〜水蓮姫の庭園〜



<オープニング>


●帷
 想いが雨となって降りそそげば、大地は染みこんだ想いで美しい花を咲かせるだろう。

 曖昧さを抱いた言葉が嫌いなわけではなく、謳うようにそう言ったあの人が嫌いなわけはない。想いも美しいものばかりではないと、反論をする心はあっても、何をもって美しいとするかはそれぞれだという思いに押しとどめられた。結局は、想いなのか。と庭園の守護者・ハシュエル(a90154)は呟いて、ベッドサイドの小さな窓から外を見る。
「睡蓮……」
 水の匂いにふっと思いだしたのは、初めて自分の歌を好きと言ってくれた人のこと。透ける程に白い肌に薔薇色の唇の水蓮姫。請われて歌を唄ったのはもうずいぶんと前のことになる。湖というには小さすぎ、池というには不釣り合いなその場所は泉という響きが一番良く似合う。清らかに輝く水を隠す程に咲き誇る睡蓮を、水蓮と歌いたがる彼女は向き直って微笑む。待ち続ける日々は長く続き、眠ることも多くなってきた彼女に最後にあったのは眠る為の歌を頼まれた時だった。
「……」
 恋情とは違う、だが確かにあった愛しさに微かに笑みを零す。下を見ることなく、そのままに体を乗り出して見上げれば、涼しい風が頬に触れた。昼間の暑さとは違う涼風に目を閉じる。
 −−あの庭なら、ゆっくり眠れるだろうな。

●水蓮姫の庭園
 睡蓮の咲く庭に行きたいのだと、ハシュエルが言ったのは昼も少し過ぎた頃だった。
「小さな、避暑地みたいな……なんて言えばいいかな。睡蓮の咲く場所があって、そこを中心にいくつかの橋があるんだ。睡蓮を中心に作られた庭で、まぁ、大きいとこだよ」
「まぁ……大凡のことは分かった。で、散歩にでも行くのか?」
 盛りも過ぎたとはいえ、暑い日もあるのだから気を付けろ。と言う霊査士に違うよ、と忍び笑う。
「寝にいくの」
「は?」
「眠りに行くんだよ。ここんとこ暑いし、あそこなら涼しく寝れるから。ただ、がっつり野外だけどね。眠れる場所はあっちこっちあるよ。ちょっとした屋根があるとことか、バルコニーみたいな感じで。他にも人がいれば賑やかでいいでしょ。行こうってお誘い」
 開きっぱなしの霊査士の口は、暫くして「俺には分からねぇ世界だ」と言葉を作った。金持ちの道楽とは言わずに、ただ理解しがたいと言った彼に笑みを刻む。
「鍵は僕預かりだから、気にしなくていいよ」
「っつーことは、お前さんの庭園……か?」
 髪をかきあげ、後に響いた霊査士の声にややあって「違うよ」と呟く。
「……昔、お世話になった人からもらった鍵」

 いつか、貴方に大切な人ができたのならば。この庭園に連れてきてちょうだい。そうして、ゆっくり楽しんでいって。

 囁くような声はすぐ側にいるような錯覚だけを残して消える。あぁ、と微かに零せば訝しげな霊査士の顔が一つ。なんでも無いよ。と言って、顔を上げる。

「遊びにいかない? それで、ゆっくり休むの」

 ちょっとばかし、怠惰にね。
 
 ハシュエルはそう言って、笑みを浮かべた。

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参加者
NPC:庭園の守護者・ハシュエル(a90154)



<リプレイ>

●雨
 睡蓮の香りが、深い緑の上を泳ぐ。大きな池を中央に、いくつかの小島が見えた。端で繋がったその下、水面を覆い隠すように睡蓮は咲き誇る。此処が庭園だよ。と庭園の守護者・ハシュエル(a90154)は訪れてくれた皆に礼を言った。来てくれてありがとう。そう言った彼に、とても綺麗な所だとチェリアは言った。
ふわり、揺れる髪を押さえる。吹く風が睡蓮の花びらを揺らすほどでは無かった。甘い香りだけが風と共に舞い上がる。
「睡蓮奇麗ですよね、涼しそで」
 まったりと睡蓮を眺めるチェリートは睡蓮の花を見ていた。大きな葉には数日前の水が溜まっている。穏やかなその光景を嬉しそうに眺めるハシュエルに「しかく」とジークは声をかけた。
「……ハシュエルの回りは常に可愛い子が居る気がするな……やはり女同士気が合うのかな?」
「ジークさん!」
「……そう怒るな、冗談だ」
 当たり前だと、声を上げるハシュエルにジークはふ、と笑った。
「いや、大分ハシュエルも男らしくなったと思うぞ?」
「ありがとう」
 大分、というのが引っかかるが。素直に一つ礼を言えば、深緑の木々の葉が笑うようにさわさわと音を鳴らす。ふいに、ハシューと呼ぶ声が響いた。
「遊びにきちゃった」
「楽しんでいってね」
 休む所もあるし、とハシュエルは笑った。デューンはそんな彼の背中に声をかける。
「よかったら、この辺りを案内してくれないか?」
 それと。
 紡ぎ、一つ切る。よければ。
「この庭園や水蓮の想い出を聞かせて欲しい」
 見開いた目はほんの少しの驚きを乗せて、うん。と頷きに変わった。

 小さな橋を渡るハシュエルの後をミヤクサが追っていく。彼女が追いつく頃には、後ろ姿も小さくなった。くるん、と尻尾を巻いていた赤毛の仔猫は、ゆっくりと起きあがってローランドにすり寄った。
「ハッシュさんはいつも自分の誕生日を忘れちゃうんだねぇ。脅かし甲斐はあるけど」
 にゃおん。と耳に響いたのはハッちゃんの鳴き声。木に背を預けて座れば仔猫が足に顎を乗せてくる。その耳がぴくん、と後ろにむいた。声の主はチェリートだ。は、と顔を上げこのままだとほんとに怠惰しにきただけになると立ち上がってフォルテの手を取った。
「さあ。ぱぱも共犯になるとですよーおめでとって言わないと!」
 手をとって、傍らのフォルテを引っ張る。にこ、と笑みを見せたチェリートに、霊査士はそうだな。と一つ頷いた。
「サプライズでおめでとう、やるか」
「よっしゃいくですー♪」
 ぐ、と握った拳一つ。集まった人々を助っ人に誕生日会の準備が始められていた。

●水蓮姫
 小さな庭園を、懐かしさと共に歩くハシュエルは穏やかさと愛しさを言葉に滲ませた。
「この庭の睡蓮ね、最初は中央のあの睡蓮だけだったらしいよ。彼女が好きだと言って、増やしたみたい」
 ミヤクサのいれたハーブティーで喉を潤す。視線を落とせば、睡蓮の花が見えた。膝を折り、その花びらに触れる。
「夜の訪れに花を閉じて、柔らかな日の光に花を開く。不思議でね、昔」
 カップを置いてデューンはつられるように睡蓮へと視線を向けた。白く美しく気高い花。儚さを感じられないのは、これ程に群生した所為か。
「水蓮姫の庭園って言いだしたのは外の人でね。夜になって、月灯りが差し込んで淡く光る庭園がよっぽど幻想的に見えたみたい。睡蓮のお姫様がいるようだって」
 それで水蓮姫。庭の主はこの呼び名を好み、いつか歌に謳うことがあったらそう呼んでちょうだい。と言ったのだ。
「想いが雨となって降りそそげば、大地は染みこんだ想いで美しい花を咲かせるだろう……この睡蓮は、彼女の想いが雨となって育てたような、そんな気がするんだ」
 白く、美しく気高い花。環を描いて咲く花は、中央の花を際だたせる。哀切を滲ませる言葉が風に揺れ、リスリムは柔らかに声をかけた。
「久しぶり。元気してた?」
 紅い鳥がその肩に降り立つ。半年ぶりにあった親友にハシュエルが笑みを零す。久しぶり、と返すよりも先に飛んできたのは「とりゃぁっ」と一声桃枕。
「へ?」
 ぼす、と音をたてて体で受け止めたハシュエルに、ふふ、とリスリムは笑った。
「……枕投げ、してみようよ。お泊りの時の定番なんだって、聞いたんだ」
 笑顔でそう言われれば反論する理由もなく、仕返しとばかりにハシュエルはリスリムに向かって桃枕を投げた。

 賑やかな声がマイトの耳に届く。やおら上げた瞳が2人の枕投げを捉えることはなく、ただ、賑やかな声と、笑い声が響く。夕暮れの朱の差し込む庭園を見渡し、ふと、マイトはその足を止めた。紅いバンダナ、見知った背中に声をかける。
「ジークさん、ただ今戻りました。ご心配おかけして、申し訳ありませんでした」
 改めて帰還の報告をする。団長である彼は振り返り、一つ静かに頷いた。

●ハシュエルの誕生日
 あの小屋には何があるんですか?
 くしゅん、と一つくしゃみをしたハシュエルにローブを貸したミヤクサはそう言って一際大きな小屋へとハシュエルを向けた。サプライズの準備は既に終わり、心なしか甘いお菓子の匂いがしてくる。かつん、と一歩踏み入れた時にひょこりと姿を見せたチェリアが笑みを見せた。
「ハシュエルさん、誕生日おめでとうございます!」
「たん、じょうび、って……僕、の?」
 それ以外に誰がいるのかとハークは息をついた。先輩のですよ、と言いきれば僕、と繰り返す声が一つ。
「誕生日おめでとう、これからの一年に幸多からんことを」
「あり、がとう、ってハーク。元気にしてた?」
 えぇ、まぁ。と曖昧に返してそれで、とハークは真顔で聞いた。
「何歳になるんでしたっけ、14歳でしたっけ」
「ハーク」
「はい?」
「覚悟しておきな」
 何をどう覚悟するのか。くすくすと笑うリュシスにハークは静かに笑みを浮かべた。肩を竦めるわけにもいかず、久しぶりとだけ声をかければ「久しぶり」とリュシスは静かに微笑んだ。昼寝なら体を冷やさないようにね、とそう言った彼女の横を抜け、チェリアは首飾りをハシュエルに渡した。
「ハシュエルさん、髪と服が黒なので目と同じ赤色がとても映えると思うんですよ」
 照れたように笑う彼女にハシュエルはありがとう。と微笑んだ。綺麗な、澄んだ赤。「お誕生日おめでとうござりまする」とたおやかに告げたセラフィンに振り返れば、傍らにオーディガンの姿があった。彼を見上げ、一つ頷いた後にセラフィンはプレゼントの小さな包みを渡す。誕生日、おめでとう。転がした言葉が誕生日にお祝いをしてくれているのだというそれに行き着いたのはノリスから蓮花茶を貰った頃だった。抱える布団に笑みを見せる彼に、今年は無事に間に合ったとロックは一振りの剣を取り出した。
「これ、は?」
「……もし良かったら、使って♪」
 両の手に剣はしっかりと馴染んだ。かちゃりと小さくなった剣を収め、ハシュエルは微笑んだ。
「ハシュエル、誕生日おめでとう!」
 ありがとう、と柔らかい笑みを浮かべたハシュエルの傍らで、ミヤクサのホーリーライトが光り出す。
「皆さん、今日の主役はここですよ〜」
 淡い光が辺りを照らし出せば、ハシュエルは少し恥ずかしそうに微笑んだ。睡蓮の甘い香りが漂う庭園は、賑やかさを増す。一つ礼をしたチェリートが楽器を手に取った。
「他にも音楽贈るかたがいたらご一緒に♪ 庭園とその守護者に幸せな眠りと明日の暁を捧ぐです」
 リューがヴァイオリンを構え、ニューラが白烏琴の弦に指をかけた。柔らかな音に謳うような旋律が高く響いた。こうして誰かの演奏をしっかりと聴くのも久しぶりで、嬉しい。と言ったハシュエルにユウヤが声をかけた。
「今年は風邪でなくてよかったのう! ……ん? 今年は?」
 首を傾げるのはハシュエルも同じだった。気にはなるがまぁいいか、とユウヤは持ってきた小さな器を取り出した。眉を寄せるハシュエルに最近寒くなってきて大変だから、と言ったユウヤはこれぞ。と器を見せた。
「で、これや。これぞ、虎眼流に伝わる妙薬。これを飲めばたちどころに病も治ることでしょう」
「うわー、なんかこうすっごい妖しい雰囲気がするのは僕の気のせい? 
「多分キノセイや。おっと、尻尾が器から飛び出たで」
「……」
 ほんの一瞬、感じた彼、戦役で失ったその人を思う。知らず懐かしそうに目を細めたハシュエルは、なんや?というユウヤに小さく首を振り、何にしても鄭重にお返しします。とハシュエルは件の妙薬の蓋をしっかりと閉めた。気持ちだけで充分、と。
「しかし、俺と誕生日が1日違いとは不思議な縁だな」
「リューさん、そうなんだ。それじゃぁ、1日早いけど、おめでとう」
 ヴァイオリンを嗜む彼から貰ったのは、自らの曲に詩を付けたもの。どこか幻想的でもある旋律をなぞり、詩を紡いでハシュエルは嬉しそうに笑った。夕陽の赤がゆっくりと消えて行く。夜がくれば睡蓮はその花を閉じる。おやすみ。と呟くハシュエルにおめでとう。とストラタムは傍らに立った。
「あなたの今日に祝福を。あなたは私の義弟に少し似ていると思います」
 愛でもなく濃いでもなく、もしかしたらそれ以上に大切な人を胸の内に抱えて生きている。
 水面に映る己の姿に重ねて思い出が映る。水辺に俯く私の義弟もそうして過去になった人を見つめていたのだろう。呟く彼女にハシュエルは一つだけ言った。
「僕は、彼女と……水蓮姫と過ごした日々は幸せだったと思うよ」
 幸いだと思う、と。
 ロックはうーんと背伸びをして柔らかな芝生の上に横になった。眠気に目を擦ることはなく、彼には。と少しだけ思う。もっと深い意味があるのかもしれないけれど。
「「庭園の守護者」か。…確かに、ここを護りたくなる気持ちは、僕でも少しは分かるかも」
 そうして目を閉じれば、賑やかな声が遠く聞こえる。庭園を散歩していたセラフィンとオーディガンは中央の睡蓮がよく見える場所に腰を下ろした。水辺は思うより冷えるから、とセラフィンが持ってきたタオルケットに2人でくるまる。触れあったそこから互いの体温が近づいた。
「このお庭をご一緒に見ることが出来て嬉しゅうござりまする……」
 本当は一緒ならどこでも嬉しい。
 叶うのならば、ずっとお側に居させて下さりませ……。
 囁くような彼女の想いが空を振るわせた。甘い芳香が少しずつ夜の風を混じらせれば、うとうとする彼女にそっと、オーディガンは尻尾を回した。
「たまには歌を聴かせようか? それともいつものヴァイオリン曲がいいか?」
 どんな注文でも姫の望みのままに。
 微笑み、ゆっくりと取った手の甲に口づけを送る。幾分の慣れか、それならとリュシスはリューに言った。
「歌を……聞かせていただけるかしら?」
 優しい音色は、チェリートの耳をかすってゆく。お疲れさん。とくしゃりと頭を撫でたフォルテの声が遠くなるのは、預けた背中の温かさか。「それにしてもねむくなるばしょです……」と。くてり、と横になったチェリートを起こさないように上着の裾を広げた。
「お誕生日、おめでとうございますです〜♪ ぇっと、おそろいのアクセサリーなんですが、良かったら使って下さいですッ!」
 瓶の中に入った真っ黒な黒鍵が小さく音をならす。受けとったハシュエルは、シグリアの首にかかったお揃いのネックレスにふ、と笑みを零した。
「ありがとう、シグリアさん」
 小さく鳴る音は、硝子と鍵が触れた音。首にかけるハシュエル越しに睡蓮の花が見える。水蓮姫の庭園。彼が守っている場所。きっと素敵な女性だったのだろう。
 願わくば、シグリアもハシュエルさんの「大切な人」になれますように。
 そう願った。歳を重ねる彼と、できぬ自分であっても。どんなに変わっても変わらなくても、この想いだけは変わらずに在ると信じてます。と。
「そろそろ嫁さんとかどーなんだー?」
 その声は突然響いた。ランダートの言葉に、義兄さん。と言った。僕よりも、と言い終わるよりも先に渡されたのは刺繍の本。
「刺繍……」
「ハッシュも読むかと思ってなー詩集の本」
「うん、僕、頑張るから」
 綺麗なリボンのかかったその本が詩集の本ではなく、刺繍の本であるとランダートが知るよしも無い。少し笑い、大事そうに本を持ったハシュエルの耳に、ローランドの声が響く。
「ランランにーさんがいる!久しぶりー久しぶりー元気!?」
 尻尾が上機嫌に揺れる。お、と振り返ったランダートはにか、と笑みを見せた。
「ローラドン、元気だったか〜?」
「や、だからローランドだから! 」
 ナイスツッコミに、ハシュエルは笑みを零した。「誕生日おめでとうだな。どうだ、剣は少しは使えるようになったか?」とジークが顔を見せる。少しは、たぶん。とそう言えば後は恋人か? と言ったジークはどうなるか楽しみに待っている。とぽんぽんとハシュエルの頭を叩いた。マイトはその背に声をかけ、おめでとうございます。と言った。
「これからの一年、実り多き年でありますように……。 私からは、ささやかながら舞をプレゼントしますね」
 たん、と地面を踏みしめ、ゆっくりと舞う。リズムというよりは鼓動に近いそれに、ハシュエルはほう、と息をついた。凛とした美しさに感嘆の息をつく友人に「誕生日おめでとう」とリスリムは声をかけた。
「またこうしてお祝いできて嬉しいよ」
「誰かが祝ってくれるってことも、嬉しいよ。ありがとう、リスリム」
 過去を憂うことまだあった。苦しいと思うことも。それでも、これだけ多くの人に出会えた自分は幸せなのだろう。ふわりと、柔らかに言うハシュエルに、リスリムはと小さな袋を渡した。
「それと、はい、誕生日プレゼントのたくあん。食べたこと無いんでしょ?」
「!」
 そうか、酒場のたで始まるしりとり。それがようやく誕生日という言葉に行き着く。「僕、鈍い……」呟くハシュエルにリスリムはイタズラっぽく笑った。
「……なんてね……今度、ちゃんとしたもの、贈るね」
「ありがとう。リスリム」
 とりあえずこれは、食事に使わせてもらう。と親友に、リスリムはふ、と笑みを零した。柔らかな髪が揺れ、頬に触れる。甘い、甘い風だ。
「楽しい思い出がまた一つ、増えたね……」
 独り言とも聞こえる言葉に、ハシュエルは頷いた。
「沢山の思い出と共に、生きてくんだね」
 きっと、皆、そうして。
「眠るための歌をお願いしても良いでしょうか?」
 ニューラのハーブティーで喉を潤し、ハシュエルは一つ頷いた。アシュさんにも届くかもしれないしさ。呟いたローランドに「そうならいいな」と笑った。デューンから貰った衣装に袖を通し、ろうけつ染めの白睡蓮を撫でて薄く口を開いた。感謝と思いを込め、良き眠りが訪れるように。
「皆に感謝の気持ちを込めて」
 ハシュエルは歌った。今日という日と、皆に感謝をしながら。照らし出される睡蓮への想いと共に。


マスター:秋月諒 紹介ページ
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参加者:20人
作成日:2006/09/29
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