<リプレイ>
●森に潜むグドン 「まだ害が出ていないといっても、放っては置けませんし……」 グドンが生息していると聞きつけて訪れた森の外で、海が抱いた甘美な月の哀夢・メーア(a32557)は呟く。偵察に向かった仲間の帰還を待ちながら、森に入らずに待機している冒険者たちは各々が準備に取り掛かっていた。 「明け方に襲撃するから、暗闇対策をしっかりしますですっ」 元気良く言いながら十六夜の姫君・ミシェン(a41009)は枝や布を使って簡易な松明を作成し、「みんなの足を引っ張らないようにしたいなぁ〜ん」と白雲の軌を辿る・タム(a53576)もそれを手伝っている。 「絶対に成功させるですよっ!」 と意気込む静かに佇む・リスティア(a53587)と倖灯伝風・ティオ(a06101)は森のグドンから気付かれないように位置に注意しつつテントを設置していた。皆での行動開始は偵察班が戻ってから、そして襲撃が気付かれにくいであろう明け方に行う作戦になっていたので、それまで休めるならば休んでおこうということなのだ。 「体力の消耗を抑えておきましょう」 ティオの言葉に待機班の冒険者たちも頷き、交代でグドンに気付かれていないか森側に見張りを置きながら休んでゆく。
一方の偵察に出た冒険者たちは、好奇心で生きてる・ヴェルシーラ(a55183)が中心となってグドンの痕跡が何か無いか探索していた。グドンがうろつく辺りに食材などを餌として放置し、それで誘き寄せようというのだ。 「食べたい……けど我慢……」 抱えた食料に思わず見とれる睦月舞う白き妖精・シャニリア(a48091)だが、そこは我慢。足跡を見つけて手を挙げるヴェルシーラの元に、持参した食料を静かに置いてゆく。 がさりっ、と茂みから飛び出す白い影を哀しき瞳のくノ一・スズミ(a50835)が掴む。それは一匹の野兎だ。 (「………ごめんなさい」) スズミは手に力を込めて、それを囮の餌と共に並べる。犠牲となった一つの命……だが、このままグドンが繁殖すれば森の植物・動物たちのバランスが崩れかねない。この犠牲を絶対に無駄にしてはいけないと、スズミは決意を胸に秘めながら身を隠していった。 ハイドインシャドウで身を隠すスズミとシャニリアが囮となる食材の近くの茂みに、そこから少し離れてヴェルシーラと三小葉・バジル(a52109)が身を潜めてグドンの出現を待つ。しかしハイドインシャドウの効果はいつまでも続く訳では無い、いつ出現するのか判らない相手を待つなら、時間が経って効果が切れたら再び掛け直す必要があるのだろうが……忍びでは無いシャニリアが用意していたハイドインシャドウは2回しか使用できなかった為、すぐに回数が尽きてしまうことになった。仕方なくシャニリアもバジルやヴェルシーラの潜む離れた位置に移動し、スズミが餌の近くを警戒していた。忍びのスズミでも長時間ハイドインシャドウを使用し続けることは出来ないが……運良くその回数が尽きる前に、何匹かの猫グドンが餌に釣られてその姿を見せ始めていた。スズミは離れていた仲間達の元へと近づいてそのことを伝え、一同は追跡を悟られぬよう注意しながらその後を追い始める。 「こちらですね」 用意した紙にメモを取りながら進むバジル。餌を住処に持ち帰ってゆくグドンとの距離や周囲の警戒は仲間の三人に任せ、待機班により正確な情報を持ち帰ろうというのである。 ガサッ! とその時、茂みを割って猫グドンが出現する! 冒険者たちが追跡していたのとは別の奴だ、うろついている時に四人の存在を見つけたのだろう。 バジルは素早く生み出した矢を射出する。その一矢に影を射抜かれ、猫グドンはびくんと動きを止めた。そこにスズミが気の刃を投げつけ、踏み込んだヴェルシーラが太刀を振り上げる。 ざざん! 斬り伏せられて倒れる猫グドン。シャニリアは木を影にして追跡していた猫グドンの様子を窺い……気付かれていないことを確かめる。割り込んできたのが一匹だったのと、素早く倒せたことがよかったのだろう。 偵察班の四人は小さく頷き、そのまま追跡を再開する。そうして暫く進んだ先の岩場に洞窟……という程では無いが、大きめの岩がえぐれて屋根のように使える場所があり、そこに猫グドンたちが集まっているのを発見するのだった。
●夜明け前に進め 住処の監視にスズミを残し、偵察班は待機班の元へと帰還していた。自分が記録した地図を元に住処までのルート、地形について説明するバジルに、騎士見習い・カミュ(a49200)はメモを取って仲間に配ってゆく。 「そろそろか……余裕を持って出立できるようにせぬとな……」 明け方に襲撃できるように、という彷徨う灰かぶり・フェイクスター(a51257)に一同は立ち上がり、偵察班の案内に従ってグドンの住処を目指して出発する。 森へと侵入する冒険者たちだが、その前に猫グドンが立ちはだかる。住処に戻るのが遅れたのか巡回なのか……それは不明だが、大地を蹴って跳びかかってきた! 「行くなぁん!」 タムが投げつける気の刃を受けてよろめき、そこをミシェンの矢が貫いた。薄闇に燃ゆる想思華・イブキ(a45000)は駆け寄ってその猫グドンを倒せていることを確認し、小さく息をつく。 周囲に騒ぎが起こっていないか、これを見ていた他のグドンがいないかを確認し、冒険者たちは再び進んでゆく。
「まだ悪さをしていない者を狩るのは嫌な気持ちね……」 生まれた光は夜明けを告げる朝日ではなく、シャニリアとティオが生み出したホーリーライトだった。それを合図にして展開していた冒険者はグドンの住処に向かって駆け出し、間を抜けて赤い矢が二本、空を切って進んでゆく。 づどむ! バジルとミシェンが解き放ったナパームアローが弾け、眠っていたグドンたちを紅蓮の爆炎で叩き起こしていった。巻き込まれなかったグドンたちもその音に何事かと住処から逃げ出し始めるが……周囲は既に冒険者たちが展開している。 「覚悟してもらいます!」 鎧進化を発動させつつ前に出たカミュがガキッと猫グドンの爪を剣で受け止めて押し返す。 「忍びの技を見せてあげましょう」 そこに周囲の何匹かも巻き込んでスズミが粘り蜘蛛糸を放ち、絡みつく白い糸で動きを拘束していった。 別の方向に逃げるグドンにはヴェルシーラが立ちはだかる。棍棒を振り抜くグドンの一撃をバックステップで回避し、牽制に太刀で斬り返した。その攻撃自体は外れてしまうが……。 じゃっ 「全力で斬るなぁ〜ん」 タムの飛燕刃が猫グドンの脇腹を切り裂き、フェイクスターのライトニングアローが突き刺さる。どさりと倒れるグドンには構わず、ヴェルシーラは次のグドンに向かって地を蹴っていた。 自分がトドメを刺せなくても、仲間達が構えてくれているので逃げられないように足止めさえできればいい。頼もしさを背中に感じながら、ヴェルシーラは存分に太刀を振るう。 イブキが猫グドンの一匹に向かい、そいつは慌てて逃げる方向を変えた。しかしそちらにはリスティアが回り込み、ミラージュアタックを叩きこむ! ががっ! 素早く残像を生み出して駆け抜けるリスティア。携える武器は小宝珠で『技』の攻撃力が決して高い訳では無いが、一撃を受けたグドンはがくりとその場にうずくまって息を荒くしている。 「追い詰めさせていただきます」 メーアが術扇『斬光扇』を振り抜いた。紋章を描いて放たれた光が雨のように降り注ぎ、次々と猫グドンたちを貫いてゆく。 エンブレムシャワーがグドンを打ち倒し、喧騒の中で倒れてゆく。冒険者たちの襲撃で猫グドンたちは次々に倒されているが、数が多いせいでまだ住処から逃げ出そうと飛び出してきたり、立ち向かってくる者も残っていた。そんな中にシャニリアは長剣『黒雛』を構え、踏み出す。 「………」 静かに、されど鋭く。流れるようなシャニリアの斬撃がグドンたちを斬り伏せていった。流水撃を放ったシャニリアの表情は硬く――それでいて僅かに哀しさを含んでいたのかもしれない。 「逃がさんさ……一匹たりともな……」 冒険者たちの包囲を抜けて森に紛れ込もうとするグドンには、フェイクスターのホーミングアローが軌道を曲げて突き刺さる。討ち漏らしを防ぐべくフェイクスターは次の矢をつがえながらも視線を巡らせていた。 「なぁんっ!?」 猫グドンの爪がタムを腕を薙ぎ払い、じわりと血が滲み出す。それを見つけたカミュがフォローに割り込み、兜割りを叩きこむ! 「はぁっ!」 気合と共に振り下ろされた長剣が猫グドンの肩口にめり込み、びしゃりと血が噴き出してくる。タムは刃を返してサーベルを突き出し、そのグドンの苦しみを終わらせた。 一方ではヴェルシーラに棍棒を持ったグドンが殴りかかっていた。腹部を強打されて息を吐くヴェルシーラだが、ぐっと歯を食いしばって耐える。 「痛みなんてっ!」 人々の平穏の為ならば……想いを力としてスピードラッシュを繰り出し、ヴェルシーラはグドンに次々と斬撃を浴びせかけた。 「すぐに回復します」 メーアがヒーリングウェーブの光を振り撒き、仲間達の傷を回復させていった。ヒーリングウェーブは対象を選択できるアビリティなので、猫グドンまで癒してしまう心配は不要だ。ちらりとそれを確認し、メーアは胸中だけでほっとする。 「一発必中……行きますっ!」 声を上げて赤い矢を射出するのはミシェンだ。ナパームアローは着弾地点から爆炎を撒き散らすアビリティなので注意を呼びかけているのだろう。どがんと爆発するその一撃を受けて……まだ生き残っていたグドンたちも遂に恐れを成したか、そのほとんどが逃げに走り始める。 「逃がす訳には……っ」 魔道書からエンブレムシャワーを繰り出すティオ。光に貫かれてグドンたちの勢いが減じ、そこにスズミが粘り蜘蛛糸を浴びせかける! 相手の逃げる方向がバラバラなので一網打尽とはいかないが、それでもほとんどのグドンを拘束することに成功した。 しゃっ! と粘り蜘蛛糸から逃れて駆けるグドンの背にバジルの矢が突き刺さって倒し、リスティアはスーパースポットライトの光を輝かせる。逃げようとしていたグドンたちも何事かと、思わずリスティアの方向に注目してしまった。 「……そっち!」 シャニリアの手から放たれた剣がグドンへと突き刺さり、素早く手元へと巻き上げられる。スーパースポットライトに注目していたグドンはびくりと驚き後退るが、踏み込んだイブキの一撃がその逃亡を防いで斬り伏せた。 「……そちらへ向かった……!」 冒険者たちの囲いから逃れていた猫グドンを確実に、フェイクスターは『白鶴弓』からホーミングアローを発射して攻撃していた。しかし複数匹が逃げていたので一手ずつでは流石に追いつかず、その目に逃げる数匹の姿が映る。フェイクスターの声に冒険者の何人かが追撃へと向かい駆け出した。 「私は最後まで……!」 カミュとタムは住処に残っていたグドンを倒すべく、岩のえぐれた部分へと進んでいた。住処に残っているグドンやまだ息があるグドンが居れば……最後のケリをつけるために。 「……仕方ないなぁん」 タムは小さく呟いてサーベルを振り下ろす。弱っている相手でも容赦する訳にはいかないのだから。 逃げるグドンに追いすがり、リスティアはスピードラッシュを叩き込む。続けて放たれたティオのエンブレムシャワーが貫いてゆき……逃げたグドンも残らず倒れて行くのだった。
●夜明け 獣達の歌を奏で立てながら、グドンを見なかったか聞いて回っているのはメーアだった。冒険者たちは住処での戦闘を終えてから森の中へ展開し、取り逃がしたグドンが残っていないかチェックしているのだ。フェイクスターも視認と遠眼鏡、臆病者の勘を駆使して生き残りがいないかチェックしている。 タムとヴェルシーラは猫グドンたちの亡骸を、かつて住処だった場所で火に弔っていた。静かに消え行く炎を見つめながら、一同は小さく祈りを捧げていたという。 「私も……もっとしっかりしないといけませんね」 戦闘を終えて決意を新たに、自分に言い聞かせているのはカミュだ。参加した冒険者たちは腕試しとしての経験と共に、冒険者の使命とその重さ……人々の平穏な生活や幾つもの命が自分達に委ねられている、ということについても触れることができたのだろう。 「みなさん、お疲れさまですっ!」 元気良くミシェンからねぎらいの言葉が仲間達にかけられた。それでも今は無事に依頼を終えられたことに、冒険者たちは安堵の想いを胸に帰路につくのだった。
(おわり)

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参加者:12人
作成日:2006/09/16
得票数:冒険活劇21
戦闘9
ミステリ1
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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