純白の【温泉(男湯)】



<オープニング>


●男湯、女湯
 サーイ村に伝わる白濁の湯、タマ温泉。そこには美白に繋がる湯があるという。
 いつもはサーイ村の人しか入れないタマ温泉だが、サーイ村で行われる結婚式にあわせて一般開放されるという。
 白濁とした湯はいつも心地良い温度を保ち、サーイ村の人々の肌をつるつるにしている。
 そんな湯は近くの村人から羨望の目で見られており、この一般開放の時には沢山の人々が詰め掛けるそうだ。
 人が多ければ、何時だって問題は起こる。筋骨隆々が集まるサーイ村ではあるが、沢山の人が詰め掛ける温泉の一般開放時には流石に全てを取り締まることは出来ない。
 困った末に、彼等は冒険者達へ警備の依頼を送ったのであった。
 ――ついでに、一緒に風呂を楽しんでもらえればと、そんな優しげな心を添えて。

●男湯
「いらっしゃいませ、今日はようこそ遠い所からおいでくださいました」
 やけにガッシリとした体格の女主人2人が迎えたこの場所は無論、男女混浴といったものはない。
 まあ、考えてみれば当然のことではある。
「どうも。今日は宜しくお願いします」
 夜闇の霊査士・ミッドナー(a90283)の言葉に、女主人達は大きく頷く。
 そのまま片方の女主人に男湯のほうに案内されていき、ミッドナーは通り過ぎる途中で独奏霊査士・ニキータ(a90138)に軽く会釈をする。
「ええ、此方こそ……本当にもう、こういう時期になると賑やかになるのはいいのですが……どうにもこうにも」
 はて、気のせいだろうか……女将の体が先程から小刻みに震えているような気がする。
「どうにもこうにも……あんの……不埒者どもがぁっ!」
 気合一閃というよりは、何か怪物の咆哮のような音を立てて女将の服が弾け飛ぶ。
 スパーン、ではない。ズバーン、という豪快な炸裂音を立てて服が四散する。
 幸いにも正面にいた男性陣の目には女将の弾き飛ばした服が張り付いた為、その体が衆目に晒される事は無かった。
 というか、全員自主的に顔を伏せている。
「ほら、どうか落ち着いてください」
 ゴッフォー、と荒いでは済まされない勢いの息を吐く女主人を宥めるミッドナーの声が聞こえ、そのままドアの閉まる音が聞こえてくる。
 しばらくたって再び出てきた女主人はシッカリと服を着ていたが……なるほど、良く見ると女主人は相当のマッチョだ。
 しっかりとした素材の服に無理矢理体を押し込んでいるのだろう。やけにピッチリとしている。
「さあ、此方へおいでください。まだ営業には少し時間がありますし……警備していただく場所を知っておかなければいけないでしょう?」
 そう言うと女将は、再び男湯へと男性冒険者達を案内し始めた。

 男湯と女湯はちょっと高めの仕切りで区切られているだけで、覗こうと思えば覗けないことも無さそうだ。
 これでは確かに、警備の依頼が来るのも頷ける。
 何か思い出したのか、女主人の溜息が「コーホー」から「ブッフォー」に変わり始めているが、怖いので誰も振り返らない。
「それでは、後はお任せください。女湯のほうの警備は時間差がありますけれど……」
「ええ、ええ。存じております。けれど、片方にいらっしゃれば充分でしょう?」
 そんな女主人とミッドナーの会話が聞こえ、緑の影・デスト(a90337)が小さく「敵は身内に有りって言うけどな……」なんて事を言っている。
 まあ、確かに。今回の報酬は温泉であって、差し迫っている危機は覗きくらいだ。
 ……最も、それとて冒険者の目を抜けて覗きにいける一般人など、余程の変態を除いてはいないだろう。
 居るとすれば……まさに身内にあり、だ。
「では、そういうことで私達は此方ですから。くれぐれも警備とか称して覗かないように……まあ、出来ないとは思いますが」
 女湯のほうへ向かうミッドナーの意味深な台詞に疑問符を浮かべると、デストがニヤリと笑って腕組みをしているのが見える。
「じゃあ後でね、皆♪」
「おう」
 そのままトレジャーハンター・アルカナ(a90042)とミッドナーを見送った後にデストは笑いながら、こう言ったのだ。
「此処の温泉は、覗き成功率が異常に低い事でも有名なんだそうだ……ま、これだけ人数いるんなら、多少覗きで減ったところで問題は無いとは思うが……な?」
 それは暗に、覗けるものなら覗いてみろ。ただし責任は持たんぞ、という意味を持っている。
 男性冒険者達の心の中の天秤は、正義と欲望……いや、その先にしかない天国、かもしれない場所。
 一体どちらに傾くのか……少なくともデストは、天秤の外で高みの見物を決め込む気満々のようであった。

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参加者
NPC:夜闇の霊査士・ミッドナー(a90283)



<リプレイ>

●温泉を警備せよ
 冒険者達による、万全の警備体制が敷かれてるはずの男湯。
 女湯のほうから鍛冶屋の重騎士・ノリス(a42975)の「違うんだぁー!」という声が聞こえてくるが、まだあちらには誰も入っていない。
 男湯のほうも然り。まだ誰も入っていない白濁した湯には、忍び装束を着せた丸太が浮いている。
「つーかさ、女体なんていらなくね?」
 いきなり不穏な言葉を堂々と叫びつつ入ってきたのは、慕狼玄牛・ルシュド(a28710)だ。
「……まあ、温泉はゆったりとくつろぐ所だと思うのだが」
 あえてルシュドの台詞にはコメントせず、守護者・ガルスタ(a32308)が入ってくる。
 そう、温泉とはゆったりとくつろぐべき所なのだが。
 警備にしては、妙に目をギラつかせたメンバーが多い。
 特に、筆頭は誠実な顔でペンぐるみのまま温泉に浸かり始めた狂気が乱舞の赤ペンギン・ヒナタ(a40516)だ。
「良い月夜に良い酒、これに尽きるな」
 月吼・ディーン(a03486)や戦闘執事・サキト(a38399)を誘い、早くも風呂場で宴会を始めた姿が尚怪しい。
 同じように哉生明・シャオリィ(a39596)が晩酌セットを持ち込んでいる姿を見る限り、どうも男湯は宴会場になりそうな雰囲気である。
「男湯じゃん! あ、そこの牛(ホモ)。退場ー!」
 バスタオルを巻いて入ってきた砂漠の水鳥・シリウス(a15956)の、いきなりの退場命令。
 どうやら間違えたらしいのだが、気にしないことにしたようだ。
 アンタは女じゃん、という主張は聞き入れられる事無く。湯もみ板を携えたシリウス政権が此処に誕生したのだった。
 一方、温泉の外でも男性冒険者による警備陣が敷かれていた。
「意外といるものですね」
 小さき護りの盾・アドミニ(a27994)が怪しげな一般人の男性達を追い払う。
 覗きポイントを探していたらしいが、当日に探しているようでは雑魚極まりない。
「そうだなあ」
 腰タオルに盾を装備した猪突妄進・スズ(a02822)が、心此処にあらず、といった顔で答える。
「……寒くないですか?」
「めっちゃ寒い」
 スズ、25歳。警備班外回り。この季節に外で腰タオル一丁は、少し別な分類の変態に分類されそうであった。
「馬鹿だよなあ」
「馬鹿だよね」
 後方腐敗・カノン(a28346)と蒼の十字に誓う双剣士・ラス(a52420)が、口々に罵って。
 悲しげなクシャミが1回、秋の寒空に響いた。

●エマージェンシー
「な、何をなさるんですか!?」
 可愛らしい声が女性更衣室から響く。
「ええい、五月蝿いのじゃ! 苺大福1個で妾が仲間になったなどと本気で思うてか!」
 青い髪の女性と闇祓う黄金の刃・プラチナ(a41265)が何やら組み合っている。
 やがて、女性の髪が……いや、カツラがとれてブラッディーナイト・バルバロッサ(a40314)が現れる。
 女装して潜入しようとしていたとは、中々豪気である。
 だが、此処で終わるバルバロッサではない。
 伊達に覚悟完了していないのだ。新たな外装の加わったモールを投げ捨て、ミストフィールドを発動する。
 そして同時に鳴り響くスズのホイッスルで男達が蜂起する。
「なにやってるんだおまえたちは! そんなことすると……ガルちゃんぶつじょ!」
 くいっと片足を持ち上げたウレシ・ガル(a18436)に湯船に浮いていた丸太が炸裂する。
 どうやら、「かわり実のじゅつ」と書いてあるようだが……オシャレ四天王・ラスキュー(a14869)の字だろうか。
 字が違ってるとか以前に、こんなものを浮かべようという発想に乾杯である。
「は? いやちょっと待て! 私は行かないぞ!」
「だからと言ってこっちに迫ってきたら大変なコトになるよ? 湯船が赤く染まっちゃうくらいに。あとこっち見るな」
 イマジネーター・ジン(a19307)に、蒼穹貫く光輝の九閃・ギルガメッシュ(a33171)のビームという名のスーパースポットライトが炸裂する。
 目を眩まされた上に、麻痺。なら男湯に入らなきゃいいのに、という呟きさえ許されない。
「やあ、彼女。どこから来たんだい? いや、可愛い子や綺麗な人は必ず声をかけるようにしてるんでね?」
「こっち見るな」
 さりげなく守ろうとした蛍の守護騎士・ジーク(a10348)にも、ギルガメッシュビームが炸裂する。
 バルバロッサの「合図」があってから、まだ1分足らず。早くも男湯には2人の男が浮いていた。
「女湯が見たいか〜〜!」
「オオー!」
 ヒナタの放蕩の宴で理性という枷を外した男達が、青春の赴くままに叫ぶ。
「待て。此処は通すわけにはいかない」
 言葉とは裏腹に、何かを胸に秘めた多装武具装士・レクス(a41968)が立ちはだかる。
「ふっ、ここは任しぃ。さぁわいの屍を超えていくんやー!」
 そのレクスに、温氷の花束・ジャン(a43395)が対峙する。
 2人とも、仲間同士の共有した意識で互いの真意を理解している。
 警備するフリして覗いてみたい男と、やられる前の一瞬でいいから覗きたい男。
 2人の無言の契約は此処に成立した。
「……始まったか。それじゃ、やるかね」
 様々な欲望が乱れ飛ぶ中で、黒風に佇む野良猫・エクセル(a53426)のような、無差別に粘り蜘蛛糸を放つ者もいる。
「逃げる奴は覗きだ。逃げない奴はよく訓練された覗きだ。温泉はホント地獄だぜー」
「今回はちょっとばかり妥協を許せないので、覚悟しなさい」
 流鎖の射手・レイティス(a42194)のように的確に粘り蜘蛛糸を放つ者もいるが、覗きのパワーは果てしないものだ。
 無論、女性も覗かれるばかりではない。
 水着姿の満腹を凌駕するみかん・ミスティア(a46283)がハイドインシャドウで潜入していた所を月下にて風纏う騎士・サガに発見され、雨に・フラレ(a42669)に退路を確保されて逃げていく。
「警告は一回きりです。そんなに天国に行きたいんなら手伝いますよ」
 ジャンを背後から鋼糸で捕らえた久遠と悠久を背負いし者・ルティア(a44491)も、そのまま警告するが……ジャンが暴れた勢いでバスタオルがハラリと落ちて。
 思わず見てしまったジャンに全力の攻撃が叩き込まれる。
「待て。ノリとか勢いとか若さとか青春とかお約束とかで大事なことを忘れているけど、これじゃ俺たち変態だぞ?」
 わざと覗きの心の傷を深める為に放たれた、光と影の十字架・クリストファ(a30176)の言葉に、しかし。男達の答えは明白であった。
「妹な婚約者がいる俺だが、男に生まれたからにはやらないといけないことがある。それだけの話だ」
 何処から突っ込むべきかすら分からない勇猛の誓いと共に、ヒトの愛妹家・アルト(a22939)がダッシュする。
 男湯と女湯を仕切る壁。そこに手をかけてよじ登ろうとすると、ピンク色のノソリンに噛み付かれる。
「折角の温泉に、水を注すような真似はやめてもらいたいものだな」
 そこにやってきた琴線を爪弾く・カンティアーモ(a34816)が緑の束縛を発動し……ピンクのノソリンは飾られた純潔・トルテ(a45162)へと変化する。
 一体、この男湯には何人の女性が潜んでいるのだろうか。
 タオルで体を素早く隠したトルテが、尚も本の角でアルトを殴る……が。アルトは力ずくで緑の拘束を引き剥がす。
「楽園を見る紳士たるもの暴力を振るわん……振るわんが……行くぞ、仲間達よ!」
「おうよ!」
「覚悟完了! 全軍突げ〜〜き!」
 やはり、脇目も振らずに紫瞳の剣舞士・シオン(a13318)とヒナタが壁をよじ登っていく。
「俺の力じゃ、こいつらは止められない……だが!」
 ワルーンソードを構えた永久の闇・エーヴィ(a17534)が3人へと達人の一撃を繰り出すべく歩み寄り……なぎ倒される。
「な、なんだぁ……?」
 放蕩の宴を発動した黒狐の長・ヴァゼル(a24812)を湯もみ板で殴り倒していたシリウスが、思わず凝視する。
 そう、エーヴィの周りにを数人のマッチョが取り囲んでいた。
「お客様……お風呂での刃傷沙汰は困りますねえ」
「ええ、幾ら何でも血は困ります、血は」
「世の中そういうこともある」
 まるで漢・アナボリック(a00210)がたくさんいるようで……いや、よく見ると本人も混ざっている。
「よーし、お前ら! このお客様をマッチョしちまえ!」
「ヘイ、マッチョ!」
 謎の台詞と共に、数人のマッチョがエーヴィを抱えあげる。
「マッチョ、マッチョ!」
「マッチョ、マッチョ!」
「ま、待て! 俺は警備を……」
「マッチョ、マッチョ!」
 聞く耳など持っていない。そのままエーヴィは更衣室の向こうへと消えていき……一瞬静かになった男湯に喧騒が戻る。
 いや、3人足りない。先程壁によじ登っていた3人が女湯へと到達したようだ。色々な破滅の音が聞こえてくる。
 何だか悪をぶっ飛ばす疾風怒濤・コータロー(a05774)が桜吹雪の如き幼麗なる舞姫・シシャモ(a31183)の攻撃に巻き込まれて女湯へ飛んでいったように見えるが、女性陣がよきに計らうだろう。
 コータローは、そういう星の下に生まれているが故に。
 そんな攻防戦の最中でも、普通にしている者もいる。
「背中を洗わせて下さい〜♪」
 緑の影・デスト(a90337)は現れた深淵の流れに願う・カラシャ(a41931)を見て、少し考える。
 男湯に入っても問題の無い年齢とは幾つまでだっただろうか。
「……まぁ、いいか」
 考えるのが面倒になって、背中を大人しく洗われる事にする。
「つっこまん、つっこまんぞ俺は!! 見えん、何も見えん!」
 紅虎・アキラ(a08684)が湯船に浸かりながら、現実逃避を決め込む。
 ほら、空はこんなにも青い。
 だから、視線を下ろせば平和な光景なはずだ。
「……はうぅ、やっぱり恥かしいですぅ」
「ふふふ……お前も着ろ?」
 自分の隣に純白のドレスを着た神帝逆殺の果実・エディ(a26030)がいるのも。
 自分の前方にシリウスと真珠の字を持つ森の狩人・ペルレ(a48825)がいるのも。
 全部幻に違いない。ほら、目を瞑れば。
 アキラが目を瞑っている間にフラレがぺルレを連れて出て行き、シリウスが湯もみ板でエディを湯船に沈める。
「はい、ご苦労様です。そーれ、野郎ども。マッチョしちまえ!」
 聞こえない、何も聞こえない。目を開ければ何も無い。
「ほら、見ろ。やっぱり……」
「コラ、粗末なモノが見えておるぞ」
 シリウスだけは、変わらず其処に居たわけで。
 アキラは目の前を流れていくアヒルの玩具を、悲しげに指で弾くのだった。
 一方、その頃。スズ達は予想外の苦境に立たされていた。
 アビスフィールドと粘り蜘蛛糸のコンビネーションを気合で抜け出す敵が、目の前にいる。
「このしつこい警備員め……いいだろう! もう1度粘り蜘蛛糸をかけてやる! 楽園に……覗きに行く為に!!」
 カノンの言葉に、目の前の敵が反応する。
「覗きに行く? ミッドナーのことか……」
 あくまで、冷静に。その次の瞬間、猛る感情を目の前の敵は爆発させる。
「ミッドナーのことか―っ!!」
 気合を炸裂させた咆哮に、ラスが思わず後ずさる。
「俺は女湯を護る冒険者。穏やかなエロスを持ちながら激しい独占欲によって目覚めた伝説の戦士……超級冒険者! タダシ・マナミだーっ!」
「な、なんて気合だ……タオルが吹きとんじまう!」
 思わずスズが、自らの腰のタオルを抑える。
 これが飛んでいってしまったら、いよいよ変質者になってしまう。
「恋人って訳でもない俺がこんなこと言うのは筋違いだが、ミッドナーの裸を俺以外の男が見るなんて我慢ならん!」
 吼えるタダシ、フル武装。勝てぬと悟ったスズ達はチキンスピードで引き上げたイニシアチブに全てを賭け、女湯へと走り出す。
「俺が引き止める! お前達は……お前達は楽園へ行くんだ!」
「しかし、それじゃカノン……あれはマジで殺りに来てるぞ!?」
「いいからラス、走れ! カノンの犠牲を無駄にするな!」
 走るラスとスズ。その後ろでは、カノンがタダシになぎ倒されてアドミニに捕縛されている。
「畜生! 俺達は……負けられん理由がある! こんな所で倒れはしない!」
 覗きに青春をかける男達と、それを止めようとする男達の青春活劇。
 アビスフィールドの影響か、単純に声がデカすぎたのか。
 この一連の会話は、結構女湯に筒抜けであったりする。
「だ、そうだけど。どうなの?」
「……むぅ。その、えーと。どうなんでしょうね」
「お隣、賑やかで楽しそうですの……」
 目に見えて赤くなって湯船に深く沈みこんだ夜闇の霊査士・ミッドナー(a90283)と、それをからかうトレジャーハンター・アルカナ(a90042)。
 寵深花風なリリムの姫宮・ルイ(a52425)を合わせた3人の浸かっている女湯の一角は、その他の区画と比べると、若干平和なようであった。

●兵どもが夢の後
「はぁ、ゆっくりと温泉に浸かるのなんて、何ヶ月ぶりなんでしょう」
 マイトが目の前に流れてきた丸太を押しやりながら、ゆっくりと伸びをする。
「絶景かな絶景かな」
 ディーンのほうから流されてきた酒を双天牙・マサキ(a21623)が受け取り、一杯口に流し込む。
 桜が浮かぶから桜の湯、などという言葉もあるが、冒険者が浮かぶ湯は冒険者の湯だろうか。滅多に見れない光景である。
 しかし、思わずマサキの頬を一筋の汗が流れる。
 これ、誰が片付けるんだろう。
「それにしても……冒険者の居る女湯を覗いて逆襲が怖くないのでしょうか……」
 黒箱・ティターン(a39194)が、流れてきたレクスを押しやりながら言う。
「温泉なんだから、ゆっくりと浸かっていたいんだけどね……」
 サガが、やはり流れてきたジャンを押しやりながら空を見上げる。
「心正しい殿方は覗きなどするものではありません。そのような欲望の解消はわたくしがお手伝いしますのに……」
「……いや、それはそれで女主人に怒られそうだがな……」
 蠱毒の華・ライアナ(a51394)の方に流れていくヴァゼルを、何となく追想の変身譜・ゼナン(a54056)がガルスタのほうへと押しやる。
「あ〜、きもちぃ〜……温泉はこうでないとな」
 木陰でティータイムをとる犬・スフェーン(a55609)の言葉に、その場の全員が笑う。
「さて、大作戦後にこんな馬鹿騒ぎがまた出来るといいがねぇ?」
 大作戦。天魔伏滅・ガイアス(a53625)の言葉に、一瞬緊張感が走る……が。
「なあに、何とかなるさ。なあ?」
 シリウスの言葉に、再び笑いが広がる。
「……まだ居たのか?」
 そんなディーンの言葉に、シリウスが思い出したという風に語気を強める。
「誰じゃい。私の黒ブラジャー盗ったのは」
 その言葉に男達の目が、エディへと一斉に向いて。
「……大丈夫、こいつは白だ」
 何かを確かめたシリウスが、どういう意味で「白」だと言ったのか。
 それは彼女の近くにいたシャオリィと、アキラ。
 その2人だけが、永遠に心に留める事となったのである。
 こうして、男湯には平和が訪れ。未だ続く女湯の喧騒を他所に、心地よいかどうかはイマイチ不確かな静寂が訪れるのだった。


マスター:じぇい 紹介ページ
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作成日:2006/09/28
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