純白の【ウェディングドレス】



<オープニング>



 ランドアースのとある小さな村、サーイ村。
 そこはマッチョの楽園。むきむきの姐貴にむきむきの兄貴が住まう村。
 そのマッチョ村――もといサーイ村で一組のマッチョカップルが結婚することとなった。
 新婦の名前はサンカクキン兄貴、新郎の名前はロッカクキン姐貴。
 ――兄貴が新婦なのは、彼等の趣味らしい。あまり深く考えない方が良さそうだ。
 サーイ村は結婚式の準備で大急がし。ケーキを作り、ドレスを作り、少しづつ祝福のムードが溢れてくる。
 村を飾って、村にある小さな家を綺麗に飾りつけて、準備は大方OK。
 あとは、ケーキの試食とドレスの試着を残すのみとなった。
 ――そんな時、事件は起こったのだ

●純白の『ウェディングドレス』
 フンハッ、フンハッハ。汗と熱気で秋の爽やかな風すら蒸し暑く変える男が二人、小さな部屋で鏡を見つめていた。
 男の名は『サンカクキン』、見事な三角筋を持った結婚式の新婦(男)である。
「ふぅっはっはっはー! ついに、ついにドレスが出来たのじゃぁぁぁぁ!」
 むきっ。無意味にポーズィング。どうやら、彼等にとってポージングは言葉と同じような物らしい。
 サイドトライセップス状態でサンカクキンは上腕三頭筋を隆起させ、鏡を見つめてうっとり微笑んだ。
 その隆々とした筋肉とバランスの取れた肉体に負けず劣らずの男が、今度はサイドチェストで迎え撃つ。――注意、此処は別にマッスルさを競う会場ではありません。
「兄者、よかったぞぉぉぉ! この日を寝ずに待っておったんだからな」
 むきっ、むきっ。サイドチェストな男は、サンカクキンの弟らしい。とても良く似た兄弟だ。
 弟からの激励を受け、サンカクキンの隆起した筋肉がぴく、ぴくと波打った。かと思うと、顔を真っ赤に染めて両手で覆い、その指と指の間から弟を見つめ、吼えた。
「よせ弟者! なんだ、そのっ……はぁぁずかスィィィィイ!!」
「兄者ぁぁぁぁ! 床が抜けるぅぅぅぅぅ!!」
 現在、震度3程度の揺れが結婚式場を襲っています。 
 サンカクキンは乙女な思考回路の持ち主――そりゃ、新婦役を選んでしまうほどに乙女なのだ。
 興奮した彼をなだめて、やっと試着へとたどり着く。ふわふわの冬に舞う雪達のように柔らかなフォルムのウェディングドレス。幾重にも重ねられたレースが可憐な乙女のハートをわしづかみ。――ついでにマッチョのハートもわしづかみ。
 きゅん、と円らな目を輝かせ、サンカクキンはドレスの試着へと入った。
 緊張しているのかそっとドレスに袖を通し、なんとかふわふわドレスを着込んだサンカクキンは嬉しそうに一回転してみせた。
 ギリギリサイズで作られたそれは、薄い純白の布が肉体にぴっちりと合わさって、サンカクキンの肉体を見せつつも綺麗に収めていた。
 滝のような涙を流して、弟が割れんばかりの拍手を起こす。
「兄者ぁぁぁぁぁ! 似合ってるぅぅぅぅ!」
「ふぅっはっはっはっはー! あったりまえじゃぁぁぁぁ!」
「兄者の肉体、サーマいちぃぃぃい!」
「はっはっは! フンヌゥ!!」
 ムキッ。
 ミシミシミシミシ――バリバリバリバリバリッ!
 両腕をまげて上腕二頭筋を強調し、逆三角形型のナイスな筋肉を見せ付けるダブルバイセップス・フロントのポーズを取るサンカクキン。その隆起した肉体部分を覆う白い布に亀裂が入ったかと思うと……胸元から腕から耐え切れなくなった生地の悲鳴が響き始めた。
 白いレースが破れ、だんだんとあらわになるこげ茶色の肉体! そして上半身を覆っていた全ての そして腰の部分が破れれば、ストンとスカートが地面にお、ち――
「……ぬ?」
「あッ、あにじゃぁぁぁぁあああああ!!!」
 ――大変お見苦しいものをお見せいたしました。申し訳ありません。

「ということなの」
「……ぶっちゃけていい? 何が『という事』なんだかわかんねーんだけど」
 場所は変わって、冒険者の酒場。サーイ村からの依頼を受けて、ヒトの霊査士・リゼル(a90007)が事の次第を説明していた。――つまりは、前半部分の事である。話を聞いて眉を顰めるは、静寂を破る刀剣・グラック(a90317)だ。
「いや、だからね? 新婦のサンカクキンさんが試着でドレスを全部駄目にしちゃったのよ」
 その日、彼の為に集められていたドレスは約50着。それら全てを自慢の筋肉により破壊してしまったらしい。
「そこまでは分かった。……んで?」
「普通の布じゃ駄目だって事になって、とっても硬い布が用意されたのね? でもそれじゃ普通の人じゃ縫うのも大変で結婚式に間に合わないって事になって……」
「……力の強い冒険者達に白羽の矢が立った……?」
「そう、その通りなのよ」
 どんな布だよ、と思わず入れそうになったツッコミをぐっと腹の奥に仕舞いこむ。そんなグラックの様子を見ながら、リゼルは淡々と説明を続けた。
「作り終わったら、自分用のドレスを作っても良いって言われてるし……手伝ってあげて?」
 勿論ちゃんとした普通のレース生地よ、と付け加えれば、リゼルの周りに集まっていた冒険者達がほっと胸を撫で下ろす。
 が。リゼルの話はそこで終わった訳ではなかった。
「但し、サンカクキンさんがその特注ドレスすら破いてしまった場合……」
 一オクターブ低い声で響いた彼女の声に、グラックが思わずビビりながら聞き返す。
「……なんデスカ?」
「これは霊査じゃなくって、私の勘なんだけど……」
 ――出来上がったドレスを全部一通り着ようとして、冒険者達分のドレスも破いちゃうんじゃないかって思うの。
 眼鏡を光らせたリゼルの言葉は、嫌な未来を暗示していた。

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参加者
NPC:静寂を破る刀剣・グラック(a90317)



<リプレイ>


「縄で縛った後持参した下着を無理やり装着させ、鉄線とか鯨の髭を用いてしっかり固定させ、服を弾き飛ばさないよう……」
「却下」
 超が付くほど固い下着を手に力説したノリスをグラックは案は悪くないが手荒すぎると一言で切り捨てた。
 そんな彼は何故か部屋の隅で布を押し当てられている。
「動いちゃ駄目ですのっ」
 懸命に縫い物をするのはルイ。縫い物練習をしたいとココに来たルイは真剣に布を縫っていく。暖かそうな目で見るグラックは知らない――布が自分の服に縫い付けられている事に。
 今の所はまだ何も問題は起きていない。
 サンカクキン(以下マッチョ)は今、冒険者達が作ったドレスの試着に入っている。
「うらうらぁ! きりきり締めるぞー!」
 妙に楽しげな声で叫びながら、シュゼットはコルセットをぎゅぎゅと締め付けまくった。目指すはウェスト50cm台、マッチョの口から魂が出かけている。
 その横ではルシュドが恍惚っぽい顔でチェインメイル地の純白ブーメランパンツを抱きしめていた。筋肉にフリルやヴェールは似つかわしくない。肉体こそ最高の衣服、というのが彼の持論。何にうっとりしてるのかまではしらないが。
「プ! 純白は永遠の夢プなぁ〜ん!」
 筋肉とドレスの競演にプーは感動するように声を上げた。
「ちょっと見せるのも良いしエロかわいいのも良いしなぁ……。乙女な所もあるからどうしよう。」
 自分デザインのドレス、どれが良いかに悩みながらフィミアが唸る。ヘソ出しドレスを渡しながら、フィミアはマッチョのスネを見つめた――剃って欲しい。
「肉体美を魅せつつ漢気溢れる純白となるとこれしか」
 とフラレの横でアイリスが白い褌を見せる。フリルレースつきの白褌にマッチョも回りも脱力。
 分厚いドレスを縫う一仕事を終えサクヤは自分用(というか人に着せる用)のドレスを抱え辺りを見渡す。標的であるエディを見つけて駆け寄ろうとする――が、彼は既に純白を身にまとっていた。
「おそるべし『純白』!」
「最近の普段着です」
 肉体どころか精神を凌駕している人が居た。
 出来るならマッチョにかかわりたくは無いなぁとハレリアは思う。そういえば同じ会場でケーキを作っているんだっけとふらふら外へ――そっちにもマッチョは居るのだけれど。
「ドレスとは本来こういう可憐であるものだよな」
 小声で呟いてフィードが辺りをちらちらと見つつ目を細めた。このドレスが通常より大きなサイズだという事を悟られるわけにはいかない。絶対に。
「本当にお前そういう趣味に」
「僕は変な趣味じゃないもんっ!」
 姉であるシラサキに裁縫を教えてもらいながらアンダーはドレスを作り上げ姉へと渡した。姉の為に作られたドレス、恥かしげにシラサキは袖を通し頬を染める。
 白薔薇のドレスを抱えたイサノは喜んでくれるかという不安をかかえ友を探し歩く。
「大好きだよ」
 手前ではドレスに身を包んだファムルにミズキがツンデレ気味に返答を返していた。
 ぼそりとセリオスはティエランヘ似合っていると告げる。頬が赤い所を見ると照れているのだろう。柔らかな空間切り裂かれて――扉が開く。
 結構無茶をして協力に作ったドレス、その細工も粉々に引き千切られ無残な姿へと変えて。半裸に破れかけスカートなどという異様な格好で、マッチョが涙を流し――咆えた。
「これなら破けないって言ったじゃねぇかぁあ!」
「知るかぁ! ポージングを止めるか、余裕を持った採寸でドレスを作れ馬鹿者!」
 刺繍に使った鋼糸を回収しながらサキトが叫ぶ。ポージングが悪いんだと正論を言われても、マッチョは気にせず乙女泣きだ。
 恐怖の鬼ごっこが、始まる!


「サーイ村純白ドレス大会、ついに始まりましたねぇ解説のユウヤさん」
「なお、サーイ村純白ドレス大会の諸注意です」
 騒ぎが良く見える場所でユウヤとラージスが司会をしていた。諸注意として一般人をコロサナイだとかイグなんとかを叫ばないというのを聞き流しながら、冒険者は懸命に逃げ惑う。
「クーナン!」
 逃げようと駆け出したイーリスは共に着た友に声をかけた――が。
「きっと似合いますわ」
 聞いてない。妄想の中にトリップした彼女に一度謝って逃げることにしたイーリス。クーナンは愛する人を思い、思わずマッチョの手を取って愛の逃避行へ走り出す。涎を垂らす彼女にはマッチョが愛する人に見えているらしい。
「やめてくださいませッ!」
 悲鳴を上げてルビーナが倒れる。マッチョの手が触れて鳥肌立ちまくった手が痛々しい。
「てめぇ、着たくなくても着てる奴の気持ちわかんのか!?」
 フリフリ付き胸パッド付きの純白を着たエディが両腕を広げ立ちふさがる。マッチョを打ち倒し女王のように踏みつける想像をした彼は拳を天に突き上げた。ドレスを破られながら。エディさん、とほろりと涙を流すアリアの手には、なぜかエディの着ている者とそっくりな純白が。
 混沌とし始めた会場内で、あれと首をかしげるサヤの手には、なぜかドレスではなく眼鏡があった。しかも弗型。首をかしげながら作業を続けようとすれば、思わず指に針が刺さる。痛みに飛び跳ねたら思わず足を挫いて、しかも転んで頭をぶつけ――災難だ。
 私だってまだ着た事無いドレスを! 美少年ならまだ許せるけど、と眉寄せてババロアがグラック(の後ろの方)を睨む。折角可愛いデザインを見つけたのに、ムサイマッチョに着られるのは嫌過ぎる。
 布が引き裂かれる音がした。あ、と振り向くジンは手元のドレスを見る――が、そちらはまだ無事だ。そしてはたと気付く。自分が今純白を身につけていることに。
 背中がぱっくりと開いたドレス、慌ててマッチョはジンの手元にあったドレスをジンに被せた。――破けた。泣いた。また縫い始めた。
「ティターンさん壁になってて下さい♪」
「守り通して見せますよ、純白のドレス」
 エスティアの言葉に苦笑いを浮かべながらも、ティターンは「重騎士ですから」と呟いた。駆け抜けるマッチョを見据え彼は両手を広げて壁となる。
「こっち!」
 その間にトゥティリアがオレサマの手を引き会場を駆ける。彼の作ったドレスで、自分の作ったドレスで結婚式をしたい――だからここは負けられない。ダミーのドレスが舞い上がりオレサマはトゥティリアを横抱きに抱き上げた。そして冒険者達の人込みへと紛れようと企む。
「手伝ってくれたら後で美味い飯、奢るから!」
 とグラックを呼び止めて、ラムナが大量のドレスと鏡を用意する。マッチョを呼び止め、二人が逃げる時間を稼ぎながら武運をと呟いた。
 突如布が舞い上がる。足を止めるマッチョの横でハインがシャノンへと自分のドレスを渡しマッチョの前に立ちふさがる。
「ジャノンちゃと私の愛の前では全て霞んで見える!」
 脳裏に先ほどドレスを着たハインを笑ったり褒めたりした情景が浮かび、嫌だとハインは椅子と机を引っくり返しながら彼女の手を引き逃走を図る。
「って言うかどうして皆さんわざわざ私を踏みに来るのですか……?」
 壁として頑張っていたティターンが無残に転がっていた。マッチョどころか逃げ惑う冒険者にも踏まれたようだ。彼の横に立ちすくみ黙祷を捧げるエスティア。
「貴方の死は無駄にはしませんよ」
 死んでない、死んでないから。

 ファリナの寂しげな目に負けてドレスを着たグウェン、彼の涙目に負けてドレスを着たファリナ――何所と無く倒錯感のある二人にもマの手が近づく。
「嗚呼! あそこにボディビル選手権優勝者のターマ・ソニックさんが!」
 とってもセクスィ、とファリナがあらぬ方向へ指を指す。すらすらとマッチョ用語を並べてみせた彼女の言葉をマッチョは信じ去っていく。振り返ると逃げようとしていたグウェンがマッチョになっている。本気だ!
「こいつは綿さねえ!」
 ドレスの裾を持ち上げてオドレイが懸命に駆け出した。だが固い布を縫いまくった疲れが残っていて上手く走れない。
 敗れないように頑張ったのに、と思うも束の間――長いドレスの裾が引っ掛かり地面に転げる。愛らしいパンツが丸見えになって恥ずかしそうに猫尻尾が揺れていた。
「ひぃ、こっち来ないでですわひゃぁあ!」
 白薔薇コサージュ付きドレスを着たリュミーごと引っ張ってネミンが駆ける。が、魔の手がドレスを切り裂いて――涙ながらにリュミーの体を隠した。危険なので。
「逃げるデスヨ……って何しちゃってるんデスカー!」
 フリフリドレスを投げ捨てたギバがラヴァーコシロを振り返ると、彼は良い笑顔でドレスを掲げていた。マッチョの目が光る。止めようと立ちはだかるギバ、良い笑顔で待っているコシロ、そしてマッチョの手が緑色のドレスの胸元を大きく引き裂いて――。
 ぶはっ、と鮮血が舞った。泣くギバの横で、鼻から出血多量の血を流すコシロ。胸元の開いたドレスは超セクシィー、着た所を想像したらしい。
「好きで逃げているわけではない!」
 真っ裸を避けて涙ながらに女装のまま逃げるシグルド。抱きかかえられながらもサクラはシグリアちゃんは私が守るの! とマッチョへ咆えた。
 折角似合ってるのに、お化粧までしたのに、との叫びにシグルドの肌があわだった。だって彼は正常な男子だから。
「全力疾走。一意専心。一刀両断」
 間違えないようにふわふわの方を着たサレイが、柔らかな髪を靡かせて逃げる。スカートを軽く持ち上げた姿は可憐だ。が、魔の手は容赦無い!
 文字通り一刀両断されるドレス、無い胸が露わ――男性ですかそうですか。
「俺のドレスの洗礼をうけるもっち」
「待て、俺にそんなものを着せるな! だいいち、俺の二つ名『旋律の白』はその『白』ではない!」
 もっちもっち言いながら、メルローズがショウを追いかけていた。必死に逃げるショウは涙ながらに止めてくれと訴える。
 が、ショウはシュチに回り込まれた!
 仕方なく観念したショウは純白に身を包む。
「これも、乱世の定めか。……どうだ?」
「ええ、似合ってますわよ?」
 自分で着せたくせに疑問系。

 褌を却下されたアイリスが、ダミードレスを投げつつ逃げ惑う。
「ス、ストライダーの反応力を見くびらないで!」
 シンプルなドレスを抱え逃げるフィアも、囮のドレスを投げて駆け抜けた。
 囮のドレスはなぜかグラックの元へと飛んでいく。ついでにフラレにも上手い具合にかぶさった。
「うっふん」
 自暴自棄。ちょっと涙目。
「それでも頑張りますとも、この命尽きようとも!」
 ぽわん、と彼女のドレス姿を想像しつつ、フラレがミミュとアイリスの盾になるべく立ちふさがる。
「ここは私……ぎゃー!」
 格好良く立ちふさがったのに、踏まれてしまっては台無しだ。アイリスの為に作ったドレスを抱え、今度はミミュがマッチョを見据える。
「のそっとダッシュなぁ〜ん!」
 ドン! ムキッムキッ!
 決死のダッシュを前にマッスルチャージでマッチョになるミミュ。その後数分、二人は筋肉の見せ合いを行い逃げる時間を稼ぐ事に成功した。
 囮ドレス作戦は何人も行なっていたが、やはり酷い出来のドレスでは引っ掛からない。セドナの偽ドレスを跳ね除けて、マッチョは鬼の形相で駆ける。
 その瞳に怯えかけながら、アムールは二時間かかったドレスを持って必死に部屋を駆け回った。
 フィリアは会場外に居るはずの愛犬を探す。医療セットの中に入れたドレスを犬へ渡したいのだが、中々道が開かない。
「純白は女性の浪漫なんですっ……浪漫なんですよ」
 小さく小さく畳んだドレスを抱えて、サイレスが呟いた。いつ着るかは分からないけれど、いつかは着る事になるだろうドレス。女の子の夢。
「私の屍を越えてゆ――コケー!」
 女の浪漫を必死に守ったオスカー(筋肉隆々の身が引き締まったチキン)がスローで空を飛ぶ。手に抱えた羽毛と天使の羽で作ったドレスが、彼を導くように弾けた。
 フリルたっぷりのミニスカドレスを抱え、ユファがバイビレッジの後ろへと隠れ逃げ出した。しかしマッチョは諦めず、バイビレッジの肩をむんずと掴む。
「俺に近づくんじゃねえええっっっ!!!」
「人が作った物を貴方方が壊す権利はないわよね?」
 鳥肌状態でマッチョへハイキック。そこに騒動でドレスが少し破られたラシェットがにこにこ笑顔で飛び蹴りを喰らわせた。
「お節介だろうが止めさせてもらうぜぇ」
 颯爽と現れたのは湯上り兄貴なガイアス。指を慣らしながらマッチョを睨み、力任せに投げようと手を伸ば――ストップ! マッチョは一般人!
 少しはなれた場所からはプラチナの放つ砂礫陣の音が鳴り響き、
「グラック、任せた!」
 といってヨウがグラックへと鎧聖降臨(ドレス着)を付与しミレイと共に走る。
 が、マッチョの勢い止まらず聖槍を放……何この混沌。
 アビリティ攻撃を察知してマッチョは逃げ出した。人死には困ると慌てるグラックの姿を、ドレスを持って逃げ惑っていたオウカとランが見つけ、彼がマッチョに追われていると勘違いした二人が眠りの歌と凱歌を同時に発動させる。
 ――が、グラック達は範囲外。アビリティを使おうとした冒険者達だけが何故か巻き込まれ、
「あぁっお代官様それは来年の稲作に使う種籾です、それまで年貢に取られたらおら達農民生きていけねぇ! 年貢の代わりに娘を? そんなご無体な〜 」
「ごめんなさい……っ」
 アーケィが叫びながら倒れ、奥の方ではハイドで身を隠していたアンシュが巻き込まれる。慌ててリョウが彼女を抱きかかえ離脱しようとしたものの、マッチョの手が容赦なく伸びる。また作りにこよう、とアンシュへ呟いたリョウの後ろで、エウリューシアがドレスを入れた袋を抱えたまま昏倒している。
「サンキュー、ブラザー」
 逃げ切ったリョウマが妙に良い発音で言いながらマッチョへ手を振っていた。

「ボクのサイズなら必ず破れるのが目に見えてるから、試着しないでなぁ〜ん」
 ティアルがマッチョの乙女心へ訴えた為か――それとも単に諦めたのか、マッチョは乙女泣きを続けながらぷしゅぅっと動きを止めた。
「ふふふ、似合ってよシグリアちゃん」
「こんな泣きたい気分は久しぶりだ」
 満喫したサクラとは逆に、シグリアは灰と化しながら遠くを見つめる。色んなものを失ったような気がする。
「レイン、素敵だわ! 凄く綺麗……。ねぇ、グラックさんもそう思いません?」
「こういうのはサフィの方が似合うと思わない?」
 その横ではブーケを投げる事で難を逃れたサフィアルスとレインがグラックへと詰め寄っていた。――当の本人は口から魂が出た状態で興奮気味のサフィアルスに押されるように、無意識にこくこくと頷く。
「ランドアースのマッチョはやっぱり変な人だなぁ」
 妖精のドレスをマッチョに着せながら、フェリスがしみじみと言いメモを閉じる。
 こうして混沌と化した鬼ごっこは幕を落とした。トラウマと恐怖だけを、残して。


マスター:流星 紹介ページ
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重傷者:静寂を破る刀剣・グラック(a90317)(NPC) 
死亡者:なし
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   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
 
白鞘・サヤ(a30151)  2011年02月16日 20時  通報
マスターの皆様、擦り付け合いは程ほどにw
弗型メガネ、私的にはそれにつきますw