嵐の砂丘



<オープニング>


●嵐の砂丘
 時刻は昼だというのに空は暗い。
 天穹には鈍色の雲が立ち込め、僅かに光の射す雲間ですら白ではなく銀鼠の色。
 吹き荒ぶ風は強く荒く、朽ちた蒲公英を思わせるくすんだ黄の砂を巻き上げる。
 剥き出しの足を、頬を、荒ぶる風に煽られた砂塵が叩いていく。延々と連なり続く砂丘に舞う、砂の風。視界を覆い霞ませる砂塵の幕の彼方には風と同じく荒れ狂う海が見えた。
 海原全体がうねるかの如く大きく波打ち、轟きと共に砂丘の裾たる砂浜へと荒波が喰らいつく。砕ける波頭こそ白いものの、海の色は濃く鈍い――嵐の色。鉄色を重ね濁らせた藍色が、普段は蒼海と呼ばれし海に狂い渦を成す。
 だが吼えるのは海ばかりではない。
 砂丘を崩さんばかりの勢いで吹く風も、その場にいる者を竦ませんと唸りを上げて塊ごと砂を攫っていく。何処か虚ろさを感じさせる風の咆哮は確かに心に不安を呼び寄せ、ひとたる身には抗えぬ力を持つ嵐への畏怖を呼び覚ます。鉛と銀の混じりあう雲の彼方に時折見ゆる不思議な光もそうだ。
 けれど。
 嵐の予兆を嗅ぎ取り怖れを感じつつ、心が昂ぶっていくのは何故だろう。
 空の色に、風の音に嵐の訪れを感じると、私の心は昂ぶり意識は高揚する。
 居ても立っても居られぬ心地になってしまうのだ。

「嵐が近づいてくるとどきどきするってのは……きっとテフィンちゃん、来たる嵐に立ち向かうため無意識に心構えしてるんやね。ぼーっとしてるんでなく、怖がるんでなく……心を強く確りもって、嵐の中で確実に――生き残るために」

 空の流れを読むのに長けたセイレーンが紅茶を片手にそう言ってくれたのは……いつの日のことだったろう。それが何時だったかは忘れてしまったが、藍深き霊査士・テフィン(a90155)は、その時自分がどう感じたかということなら鮮明に思い出すことが出来た。それをまた感じたくて、かのセイレーンに砂丘へと先行して貰っていたのだが、つい先程「近いうちに嵐が来そうなんよ」との知らせがテフィンの手元に届いた。
 砂丘から仰ぐ空が厚い鈍色の雲に覆われ、猛る風が砂塵を巻き上げる様を見たい。
 嵐の匂いを、予兆を肌で感じたい。
 そしてあの日思ったことを、心も身体も震わせた感情を再び味わいたい。

 ――私は生きることが、生き抜くことが好きでたまらないのだ。

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参加者
NPC:藍深き霊査士・テフィン(a90155)



<リプレイ>

●黒橡
 涯てなき腕に世界を抱きすくめる空は、見渡す限り厚い鈍色の雲に覆われていた。
 鉛と銀を溶かし込んだ雲は一瞬たりとも止まることを許されず、けれど決して天穹に途絶えることはない。吹き荒ぶ風は天に在りては暗き雲を押し流し、地に在りては輝きを失った砂金の山にも似た砂丘を嬲り、藍鉄に濁る海原を狂わせ渦を生み出していた。
 猛り狂う海は怒涛となって砂丘の裾へ喰らいつき、荒れ狂う砂丘は風の咆哮に壮烈なまでの砂塵を乗せて巻き上げる。朽ちた黄色の花のような、艶の失せた金の如き砂塵が舞う中に、淡く輝く金の髪も踊る。髪が風に煽られるのは一向に構わなかったが、砂が礫の如く頬を叩くのには流石のハルトも微かに顔を顰めずにはいられなかった。――殺して死なせて、護りたくて失いたくなくて、それ故殺し奪わずにはいられなくて。耳朶を掠める風の唸りも頬を打つ細かな砂塵も、己の中に巣食う嵐の存在をより確かにするものとしか思えない。
 喜びも哀しみも優しさも後悔も、全て巻き込み吹き荒れる――嵐。
「……こんな嵐の日は、自分と向き合える気がするんだ」
 風と砂塵の咆哮越しに聴こえた彼の声に、メロスは数度瞳を瞬かせた。風の音が好きだと言っていたハルトの邪魔はすまいと思ってはいたが、彼から言葉をかけられるとは思っていなかったのだ。僅かばかり間を置き一度だけ頷きを返して、メロスは彼の隣に立って全ての感覚を世界に晒す。
 嵐はきっと、世界の感情の発露。ひとの心に季節があるなら、世界にだって感情があるのだ。
 風の匂いに、吹きつける砂塵に、世界の想いを。
 風の咆哮に、海原の轟きに、世界の合唱を感じとる。
 絶えず吹きつける風が孕む雨の匂い、荒む空の匂い。――間もなく訪れる、嵐の予兆。
 けれど訪れる嵐がどれほど凄まじいものだとしても、通り過ぎない嵐などないのだ。砂と共に巻き上げられる髪を押さえることもせずに佇む彼女を見遣り、ハルトは天を仰ぐ。
 終わらぬ嵐など存在しない。自分達は――確かにそれを知っている。
 嵐の前の空が一番好きとオドレイが笑って振り返れば、藍深き霊査士・テフィン(a90155)からも笑みが返って来た。強い風に吹かれればまるで勇敢な鳥にでもなったかのような心地になって、けれど轟と唸る風の音を聞けば不安になって。昂ぶる心とひと恋しさが綯い交ぜになる様は――暗く色濃い雲と雲間の光が空に渦巻く様そのものだ。それを思えば嵐に愛しさすら感じてしまう。
 砂丘の頂上、低く渦巻く雲に最も近い場所で。
 オドレイは微笑みながら手を広げ、嵐を出迎える。
 頬を叩く砂塵がなくとも、潮の香と雨の予兆で重みを増した風はきっと力強く頬を打つだろう。濃く鈍い色に染まり猛る眼下の海を見遣り、レナートは己自身に訪れるであろう嵐に思いを馳せた。嵐の後に何かは残るだろうか。――自分に、何かは残るだろうか。
 吹き荒れる砂塵の彼方には猛り渦巻く空と海。
 圧倒的な存在感をもって迫りくる嵐に対峙し、レイヴンは真っ向から立ち向かう決意を己が胸に刻む。ひとの作りし船など容易く呑みこみそうな海原を見遣り、たとえどれほど大きな嵐でも乗り越えねばならぬのだとマイトは己自身に言い聞かせた。世界に迫りくる――嵐に向けて。
 飛ばされるなよーとカラベルクが声をかけた途端、風に煽られたボギーが砂の斜面を転げ落ちていく。ひゃあという緊迫感のない声にくつくつと笑みを洩らし、自然の前にはひとなど無力だと思えば何故か可笑しさが込み上げてきた。天と地を荒び海を狂わせる嵐には、ひとの身には過ぎるほどの力を得たカラベルクの剣ですら敵わない。一瞬剣を振り回しているのがバカらしくも思えたが、けれどそれが己自身の寄って立つ処だ。
「精々足掻いてみるとするかな。……何が相手でも自然を相手にするよりゃ踏ん張れるだろ」
 鉛を孕んだ濃い藍の波濤が白く砕けながら砂丘を喰らう。
 その音が地鳴りのようだと思いながら、在るもの全てを打つ風と砂の中にただレーダは立っていた。
 優しい人達に囲まれて穏やかに過ごす時間を愛しく思う。
 けれど、痛いほどに張り詰めた緊張の中で熱く高揚していく瞬間も嫌いではなかった。
 嵐の予兆に心昂ぶる感覚は、戦いの前に肌が粟立つ感覚に――とてもよく似ているから。
 優しい手に触れられれば、心が柔らかに温かくなっていく。
 硬く重い剣の感触を手に感じれば、意識が冴え渡り感覚が研ぎ澄まされていく。
 どちらも偽りのない素の自分だった。時に優しく時に厳しい――世界、そのままに。

●藍鼠
 紺青に薄墨を流したような海は一瞬たりとも同じ顔をしていなかった。
 藍に濁り碧に深まり、猛る風に渦を成して白く砕けて泡立ちて。
 穏やかに凪いでいる暇などないのだと言わんばかりに荒れる海原を見下ろして、カズレヤは吹き荒ぶ風と砂塵に煽られるようにくるくると回っていた。あの海と同じく自分にもきっと止まっている暇はない。長く生きても永く生きても数多の命全てを救うことなどできなくて、だからこそまだ止まれない、止まるわけにはいかないから。
 ――遠い遥かな未来、乾いて止まって巻き上げられていく日がいつか自分にも訪れるのだろうけど。
 楽しげに回り続けるカズレヤを視界の隅に捉えつつ、ジェイクは己の心も否応なしに高揚していくのを感じていた。絶えることのない唸りと咆哮にユリカは不安気に眉を寄せ、ノリスは砂塵の中に神へ勇壮な祈りを捧げるトロウルの姿を思い浮かべて瞳を眇める。吹き荒ぶ風と舞い上がる砂塵の中にあっても眉ひとつ動かすことなく佇んで、ガルスタは嵐を前にしても揺るがぬ己の心を確かめた。
 鈍色の雲が泥流の如く空を流れ、猛る風に嬲られた髪が視界を塞いでも、ユフィアの心は何ら感慨を抱くことなく凪いでいた。生にも死にも興味も執着もないからかと思う。佇むユフィアの傍で砂の上に腹ばいになったスノーは、荒ぶ風の音と肌を叩く砂の感触に意識を浸すうち、ふと世界にひとり取り残されたかの如き心地になった。砂塵舞う中では大好きな人の歌も歌えやしない。
 風の咆哮に飛び込んでしまえば、砂の中に埋もれてしまえば――いっそ楽になれるのだろうか。
 開いた帳はあっという間に砂にまみれ、クレシャは苦笑しつつスケッチブックを閉じた。
 風に流れゆく足元の砂を踏みしめ容赦のない風と砂塵に全てを晒し、暗い色に濁り猛る空と海の姿を心に焼き付ける。圧倒的な強さでひとを翻弄する自然の力を感じるのは好きだった。
 己の弱さを実感できて、小さく笑い出しそうな心地になるから。
 輝きの失せた金の如き砂を巻き上げる風は、古きものを払い鮮やかに輝く砂金を露にしようとしているのかもしれない。猛る風はまるで意志を持っているかのよう。この風が世の中の悪いものを皆吹き飛ばしてくれそうだと、シリウスは砂塵と共に煽られる己の髪を見ながら口の端に微かな笑みを刻む。
 荒ぶる風に笑んでみせるシリウスの姿があまりに無防備で、シエルリードは思わず彼女の身体に腕を回し抱き寄せた。嵐の前に吹く風は嵐そのものだけでなく『何か』を連れてくるような匂いに満ちている。たとえひとの身では抗えぬ『何か』であったとしても、それに彼女が連れて行かれぬよう、あたたかな温もりと己が瞳を覗きこんで来る紫の瞳に宿る勁い輝きを確りと感じ取っていたかった。
 思いつめたような表情でもしていたのだろうか。気づけば腕の中の彼女が柔らかに瞳を細め、顔についた砂を優しく払ってくれていた。心配することなど何もないと語る瞳。
 ――そう思えれば、どんなにか。

●想思鼠
 銀と鉛を混ぜ合わせ、影の部分には墨の色。
 如何にも重たげな色とは裏腹に、厚い層と渦を成す雲はまるで焦燥にでもかられているかの如くに天を流れ翔けていく。それはまるで世界の澱みを洗い流していくかのようで、嵐は禊や儀式に何処か似ていると高揚する胸の内でカガリは思う。
 荒れ狂う嵐は全てに無慈悲で、嵐の後の綺麗な空は全てに平等で。だからこそ――逆に優しくもあるのかもしれない。
 砂塵と共に吹きつける風は湿り気を帯びていて、雨と海の香を孕んでいた。
 ああこれが生命の源なのだとサフィアルスは根拠も何もないままにその感覚を受け入れて、全てを巻き込んでいく自然の力に自らの願いを露に晒してみる。命を持つ荒ぶる風に真っ向から立ち向かったとしても、きっと自分の願いは曲げられないから。
 強さを持っていたい。前を向き続ける強さを。
 流れ巻き上げられる砂と、孕んだ水気でとろりとした感触すら感じられる風を受け、瞳を眇めつつもファオはただ眼前の空と海を見つめていた。厳しくともそれが在るがままの姿なら拒絶はしない。嵐の苛烈さを拒んでしまったら、青空の美しさも涼風の心地よさも、慈雨の優しさも感じられなくなってしまう。
 そしてきっと――生という名の道を歩む時も同じだと思うから。
 ひときわ強い風に煽られよろめきそうになった身体を、砂にめり込ませた足に力を込めて何とか支える。ああ生きてるなぁと思いつつ傍らのテフィンを見遣れば、今の風を耐え抜いたことが嬉しいとばかりに微笑まれた。ボサツはそのまま砂の上に腰を下ろしたが、彼女にその気はないらしい。それならそれで良いかと思いつつ、砂塵と共に煽られる髪を無意識に手で押さえた。
 嵐の只中で必死に支えるのは折れてはならぬ心の中の何かかもしれない。
 その何かが折れてしまったなら、どうすればよいのだろう。
 耳元で唸りを上げる風の音が歌っているようだと思えば、フォーティスの唇が自然と笑みの形に歪む。喜びというよりは澱み発酵して甘く香るようになった苦しみが齎すものに似たその笑みは、応える者とてない問いと共に風と砂塵の中へ消えていった。
 狂気寸前にまで荒んだ想いを吐き出して、明日からはまた偽りの安寧に身を委ねる。
 嵐の予感は変化の兆しでもあるのだろう。変化が訪れる時には心もまた乱されるから、嵐の風に晒せばたとえ起伏の薄い情だとて、その真なる所の一端を掴むことが叶うだろうか。思索に沈みそうになる意識を一旦そこで留め、イドゥナは己が身と心を風に晒した。
 誰かの手を欲し、その元に戻りたいと思うこと。
 逢いたいと想えるようになるのは――孤独を感じていることとは違うのだろうか。
 砂を浴びて風に打たれ、シファは己を抱きしめるようにして身体を丸め座り込む。猛る風も渦巻く空も海も生命と息吹に溢れていて、ただその力強さに圧倒されるように涙が溢れ出してきた。耳元では風が叫び、眼下では波濤が吼える。
 今ならきっと誰にも嗚咽が聞こえないから、とシファは心のままに少しだけ泣いた。
 皆と笑っていたいから、自分は生きていたいのだと思った。
 荒ぶ風に攫われ、猛る波濤の中に呑まれ。
 そんな誘惑に抗い生きようとする心はなくて、だから本当はここに来る気などなかった。
 けれどただ共に来たいと望んでくれた少年のためにリャオタンは砂丘の上に立っている。目深に被っていたフードを脱いだハジと視線が重なれば笑みを作り、彼の心を曇らせぬようこの一時だけでも生を手放す誘惑を制し必死で抗って。それもまた生のひとつの形なのだとは、気づけなかったけれど。
 彼を真直ぐに見つめることは出来るだけ避け、けれど視界から逃すことは決してせぬまま、ハジは風に舞う砂塵と彼方の海に目を向けた。強い風と巻き上げられる砂に昂ぶる心と過ぎる不安は、武器を取って生きていこうと決めて故郷を出た日の感覚を呼び覚ます。
 そして一年前、皆で必死に駆けたあの日も嵐だった。
 吹き抜ける風に森の梢が擦れ合いさざめく音に背を押されるようにして駆け出した――あの瞬間。
 嵐はいつも自分を叱咤激励してくれる。ハジはただ無心に、彼方から迫る嵐の予兆と向き合った。

●灰真珠
 光を隠す色濃い雲は天を翔け、地を駆ける風は砂を浚い藍鉄の海に絶えぬ波濤を生む。
 止まることを知らぬ眼前の世界の姿はあたかも己の冒険者としての半生のようだと思い、そして嵐に立ち向かうことこそやはり己の生き方なのだとグレイは思う。
 生き方は変えない、変わらない。破軍の剣の銘を刻んだ剣を掲げ、グレイは僅かに目を眇めた。
 低く渦巻く暗い雲や砂塵の彼方に荒れる海。
 それらに命の力強さを感じるから、命を輝かせて生きたいと思うから、今日からは過去に縋ることなく生きたい。そう思えば自然とクレスの口元は綻んだ。
「俺なりに精一杯生きてみせるよ」
 そう呟けば「何を今更」と誰かが笑う声が聞こえた気がする。
 君の強さがずっと好きだった。そして同じくらい――生きることに、憧れてやまないから。
 心に不安を呼ぶ風の叫びは嘆きにも似て、けれど酷く力強い。
 髪を嬲り駆け抜けたひときわ強い風の音に、フィードはそっと呟きを紛らせた。
 あなたを、君を。この生命全てを賭して、愛している。
 共に在れるならば、どんな嵐にも決して折れずに立ち続けよう。嵐が過ぎ去った後に訪れる抜けるように美しい青空を、同じ大地で共に仰ぎ見るために。
 吹きつける風と砂塵は力強くユユの全身を叩いていく。
 砂を踏む足に力を込め、思わず閉じた目を開き猛り吼える海を見据えれば――自分が生きていることと、帰る場所のことを切ないほどに強く感じることができた。だから誓う、だから甘える。
 貴方達と並び立つ強さを誓うから――帰っていい、よな?
 黒橡色の雲がうねり、灰を帯びた真珠色の雲間を生む。
 藍鉄色の波がうねり、鉛白の色に砕けて飛沫を上げる。
 空を海を、全てを呑みこむかのような風の流れに抗い、エルヴィーネは胸を高鳴らせつつただひとり砂丘の上に立っていた。だって心は負けない。何があっても私の心は甦ってみせる。
 何者にも屈することのない強い力が、きっと己の内に宿っているから。
 牙を剥いて喰らいつくかのような荒波の咆哮は、幾度聞いてもライトの心を飽きさせなかった。
 それどころか昂ぶる心は高揚していくばかり。嵐の予兆が戦いの予兆に似ていると感じる自分の感覚はきっと間違ってはいない。
 抗って駆け抜けて、最後に生きて大地を踏みしめる歓びを齎すのは――どちらも同じだから。
 生き抜くことは、きっと全ての命に宿る本能なのだろう。

 強き風は全てを押し流し生き急ぐように駆け抜けて、砂を浚い巻き上げ砂丘の形を刻一刻と変えていく。荒ぶ風と嵐の匂いにどうしようもなく胸を躍らせて、ヒユラは風の中に身を晒した。
 風に流されてみたいとも思うが、やはり自分の足で立っていたいと思う。
 移ろう世界はとても綺麗。
 己がただここに在って世界を感じられることが嬉しくて、ふいにヒユラは眦に涙を滲ませた。

 生きていることはそれだけでとても尊く強い。
 風に耐えることも、走り出すことも、倒れることも――自分で選べるから。


マスター:藍鳶カナン 紹介ページ
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作成日:2006/10/06
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