≪天使の診療所≫診療所のお料理大会!〜後で恐怖のお楽しみ!?〜



<オープニング>


「たまには美味しいものを食べるのはどうでしょうー?」
 でらっくす超合金・アヤ(a10024)は旅団、天使の診療所で他の冒険者たちにそう声をかけた。真っ先に飛びついたのは言うまでもなく、前向き笑顔な食ハンター・ウールナ(a90149)である。
「美味しいものー!! 美味しいごはんーっ!!」
 目を輝かせて言うウールナの様子に笑顔を浮かべるアヤ。材料はたくさんありますよーと、近隣から運び込まれた新鮮な野菜をアヤは見せる。どうやら、腐る前に使おうと言う魂胆もあるようだ。
「ウールナちゃん、よかったら一緒になにか作りましょうなぁん♪」
 どこでもヒトノソリン・メルフィ(a13979)がそう言いながら、ウールナを誘う。
 アヤの言葉は診療所の厨房を使って、色々な料理を作って皆でごちそうを食べましょうと、そんな誘いに受け取れる。

 ただし。
 もちろんただの誘いではない。食べ終わった後で、ばっちりしっかり身体測定を行おうと考えているのである。お腹いっぱいものを食べれば、冒険者と言えど動きは鈍くなるわけで。そこを捕獲して体重測定をする予定なのだ。ちょっぴり目を光らせて笑みを浮かべるアヤ。そして、そんなアヤの計画に気づいている者も気づいていない者も、とりあえず。
 美味しい物を食べるのはいいんじゃないかと、作る食べ物の為に材料の選定を始めた。

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参加者
無邪気な笑顔の・エル(a08082)
愛の抱擁天使・アヤ(a10024)
デタラメフォーチュンテラー・メルフィ(a13979)
笑顔の種をまく天使・カルナ(a19146)
白銀の保健医・テン(a20330)
天下無敵の爆裂拳士・パティ(a20549)
緋色の女郎蜘蛛・ユーロ(a22022)
明星の戦士・エリナ(a25319)
凜味恵風のましまろ・スフル(a35791)
こどな・ミディ(a39531)
花ひらく蒼天・ミシリア(a47011)

NPC:前向き笑顔な食ハンター・ウールナ(a90149)



<リプレイ>

●待合室で
「今日はみんなでごはんだよ! ごちそうなんだよ! いっぱい食べるんだよ!」
 目を輝かせて待ちきれない様子の晴れた日はノソリンと踊ろう・ミディ(a39531)がワクワクしながら元気よく言う。楽しみが過ぎて、じっとしていられないらしい。
「みんなで作る料理は、きっと楽しいでしょうね」
 花ひらく蒼天・ミシリア(a47011)がにっこりと笑みを浮かべて言う。
「しっかり食べて元気いっぱいですなぁ〜ん♪」
 食事を美味しく食べる為にもと、明星の戦士・エリナ(a25319)は料理をする冒険者たちの手伝いをしたり、食器の準備を手伝うつもりでいるようだ。野菜を洗うくらいなら手伝えそうなぁ〜んとエリナは笑顔を向けて、料理を引き受けるらしい冒険者たちに言った。
 目をキラリと光らせ、でらっくす超合金・アヤ(a10024)は笑みを浮かべる。たくさん美味しい料理を作って食べてもらい、満足してもらうつもりでいるようだ。もちろん、体重データを知る為にもと考えているのは言うまでもない。
「フフン、『パティ様を手料理でご奉仕する会』とはアヤはなかなかいい事を考えたわね」
 胸を張って言うのは天下無敵の爆裂拳士・パティ(a20549)。誰も一言もそんな事は言っていないが、いい方に取るのが多分パティクォリティである。
「さぁ、存分にもてなすがいいわっ! パティ様はちょー辛い麺類が御所望よ♪」
 笑顔を浮かべて胸を張り、パティは料理を引き受けたらしい冒険者たちにそう言った。
「うまいもんですなぁ〜ん♪」
 目を輝かせてエリナは言う。『パティ様を手料理でご奉仕する会』だったのかなぁ〜ん? と首を傾げたりもしていたようだが、美味しい食事にありつけるとあっては黙っている手はないと考えた様子。
「お料理大会ですか、食欲の秋にふさわしいですね」
 無邪気な笑顔の・エル(a08082)はそう言って笑顔になった。用意された食材を見て、美味しそうな食材の提供に感謝をしている様子。最近太ったような気もしているらしいエルだが、気にしない事にしているらしい。
「ダイエットは明日から! ですよ」
 きっぱりそう言うエルだが、明日からと言う者に限って、『永遠に』明日からと言い続けている気がしなくもない。ともあれ冒険者たち、必要な材料を手に、台所と言うか、厨房へと移動した。

●厨房にて
「さぁ☆ 気合い入れて作っちゃおうかしら♪ 花嫁修業になりそうだわ♪」
 そう言いながら、エルの元へ向かうミリシア。8月の末に結婚し、現在は主婦でもあるエルの手ほどきを受けようと考えているらしい。
「エルさん、毎日ご主人様にはなにを作っているの? きっと愛情たっぷりなんでしょうね……フフ……。あぁ。愛って素晴らしいわ……」
 うっとりし始めたかと思えば、そのまま陶酔を始めるミリシア。少々反応に困ったエルが言葉につまっていたりしたような気が、しなくもない。陶酔しているミリシアはさておき、エルは美味しそうなナスを選り分け、麻婆茄子を作る事にした様子。パティが辛い物を好むと聞いての選択らしい。
 アヤは野菜料理を作りつつ、パティの為に喉が焼けそうに辛い香辛料入りのドレッシングも用意する。このドレッシングをかけたサラダを勧めれば、きっとパティは満足するに違いないと思っているようだ。
 オムレツを作る気満々のミディは大量の卵を確保し、一つずつ割りほぐしている。甘くて大きなオムレツを作るつもりなのだ。それはまぁいい。そして、出来上がったオムレツに、食べるべき人物の名前を書くのもいいだろう。まぁ、ウールナは読めないが。問題は。その甘いオムレツの中にたっぷりの唐辛子を入れたものを作った事だと思えなくもない。辛い物が好きなパティの為らしいのだが、危険な気配が漂うのは仕方のない事だと思われた。
「診療所の台所を預かる身としては、負けられないですよ?」
 やはりキラリと目を光らせてきっぱりと言うのは緋色の女郎蜘蛛・ユーロ(a22022)。ちなみに、ユーロが台所を預かっている事実はないし、そもそもこれは勝負でもなんでもない……はずだ。ちょっぴり色々と企んでみたユーロは『見た目はさっぱりしているが実は体重増加の危険の高い料理』と『見た目はこってりしているが、実はとてもヘルシーな料理』を作っていたりする。まぁなんだ。いわゆる罠である。
 出来上がった料理を眺め、こっそりとにやりと企みの笑みを浮かべたユーロであった。
 あまりに久々の台所を歩き、白銀の保健医・テン(a20330)は他の冒険者たちの料理を手伝う。とは言うものの、やはり久しぶりすぎて忘れていたり、頼まれた調味料がどれだかわからず、変な物を渡してしまったりもしていた様子。

「秋は栗の『もんぶらん』と言うケーキが美味しいと聞いたなぁん」
 どこでもヒトノソリン・メルフィ(a13979)はそう言いながら、イラストがたくさん載ったレシピを広げてウールナに見せる。
「ウールナちゃんも一緒に作ろうなぁん♪」
「けーきなのだっ!」
 誘われたウールナは目を輝かせて頷いた。
「ほんのり焼き栗風味なのは秘密なぁん」
 小さく呟くメルフィ。どうやら少し焦がしたらしい。

「う〜、今から食事が楽しみでしょうがないよ〜〜」
 料理が得意ではないらしい、幸せを届ける小鳥・カルナ(a19146)は、他の冒険者たちの作る料理を見ては期待に胸を膨らませている。目を輝かせ、カルナは実に楽しみな様子で冒険者たちの間を歩き回っていた。
 凜味恵風のましまろ・スフル(a35791)は料理を作る冒険者たちの様子を見て、キラリと目を輝かせる。美味しい物を食べられたら幸せだし、一緒に食べると賑やかで楽しいだろうと、どうやら楽しみにしているようだ。味見を出来る物はないだろうかと、やっぱり料理を作る冒険者たちの間をふらふらと歩き回っているらしい。
「うむ、みんなごくろー♪ あ、それもっと辛くした方がいいわよ」
 パティはそう言いながら、カルナと同じく料理を作る冒険者たちの間を歩くのはいいのだが、ついでに調理中の食べ物へ山のような唐辛子を放り込んで行ったりする。極普通の美味しい料理を作るつもりだった冒険者たちだったが、一部は混沌を極めていそうな状態だ。
 更に。
「おわっ!? ……ぶ、ぶほっ!! げほっ!」
 口が堅くなっていた香辛料入り瓶の蓋を、一生懸命開けていたテン。勢い余って、開けた瞬間周囲に中身をぶちまけた。直後に台所の換気が行われたのは、言うまでもない。
 スフルはメルフィとモンブランにチャレンジしていたウールナにこっそりと大食い対決を持ちかけた。対決とは言うものの、ひたすら美味しくいただくがモットーの対決と聞き、それなら受けるのだー♪ と答えるウールナ。
 そんなこんなで一部やばそうな事になった料理もあったようだが、冒険者たちが作った料理は出来上がる。出来上がったなら後は食べるだけと言う事で、料理を作らなかった冒険者たちも料理を作った冒険者たちも、出来上がった料理をテーブルへと運んだ。

●美味しく食事をいただきましょう♪
「皆さんたくさん食べてなぁん♪」
 メルフィが笑顔で言う。
「うむ、みんなごくろー♪ さて、このパティさんのちょーグルメっぽい舌をうならせまくる事が出来るかしら?」
 出てきた料理を眺め、椅子に腰掛けたパティがにやりと笑みを浮かべた。うん、なんだろう別の意味でうならせる料理の心当たりがある。ほら、甘くて辛いオムレツがあるしっ!
「パティの大好きな味にしたんだよー!」
 悪意はもちろん全くない。満面の笑顔でそう言いながら、ミディは砂糖と唐辛子がたっぷり入った上に、ソースでパティの名前が書かれたオムレツを渡す。オムレツの横に飾られた緑のブロッコリーも彩を添えて、美味しそうだ。うん、見た目は。
「うむ、ミディは感心感心」
 麺類ではないが、ともかくパティの好む味に仕上げたと言う、パティの為のオムレツに満足そうな笑みをミディへ向けてパティは頷く。最初の1口目はまだよかったが、2口目にはパティが実に微妙な表情を浮かべていたのは言うまでもない。パティ様の好みの味はこんなのじゃなーいっ! と叫び声を上げ、叫ばれたミディはえぇー!? と困ったような顔をしている。
「パティさん、辛い料理ですなぁ〜ん」
 エリナはそう言って、パティへエルが作った麻婆茄子を渡す。
「お、なかなか気が利くわね」
 ふふんと言いながらエリナが渡した麻婆茄子を口に運び、今度こそパティは満足そうな表情になる。どうやらそれなりに辛さがあり、味も満足いくものだったらしい。
「さすがパティさんは食べっぷりもちょーカッコいいですなぁ〜ん♪ エリナも負けていられませんなぁ〜ん」
 そう言って、エリナも料理に手を伸ばす。
「コレが愛の味なのね〜」
 エルが作った麻婆茄子を口へ運び、うっとりするミシリア。
「辛いだけじゃなくて、豆板醤の深みのある味にも注目して欲しいです! その豆板醤を手に入れるのは大変苦労したんですよ、聞いてください……」
 パティがエルの作った麻婆茄子を食べ始めたのを見て、エルは目を輝かせながら麻婆茄子について語り始めた。もちろん、ミシリアに対してもエルは話しているようだが、うっとりしているミシリアは全く聞いていない。
「やっぱり食はバランスが大事ですよー! ちゃんとお野菜も食べましょうね!」
 そう言いながら、激辛ドレッシングをたっぷりかけたサラダをパティに渡すアヤ。ちょっとした邪魔が入った為、エルは一瞬言葉を止める。
「えっと、どこまで語ったかしら? それだから、味も、香りもすばらしいんですよ」
 一瞬首を傾げたエルだが、麻婆茄子についての熱弁は続く。一通り話して、エルはすっきりした表情を浮かべる。額にかいた汗をぬぐい、料理をしていた時よりも汗をかきましたねと、エルは呟いた。

「あぁ……しあわせぇ〜」
 見ている方もつられて微笑んでしまいそうな笑顔を浮かべ、カルナは呟く。出された料理を食べて満腹の幸せを実感中らしい。とは言えたいした量は食べられず。食べられなかった美味しそうな料理は気になって仕方ない。そんなわけでカルナ、こっそりと持参した容器へ気になる料理を詰め込み始めた。
「これでばっちりだよね」
 数種類の容器にそれぞれ違う食べ物を詰めたカルナはそう呟いて、こっそりと服の下に容器を隠す。エル、もやはり、今日の夕飯と翌日の朝食にと言いながら、用意して来た容器に作られた料理を詰めていたりする。もちろん、2人分だ。
「いえ、残ったらもったいないでしょ?」
 そう言うエルだが、視線をそらしている時点で負けを認めたようなもの。スフルとウールナの2人に、食べないのかと聞かれ、食べてますと慌てたりもしたらしい。
 口の中に物を詰め込んだ状態で、エリナはウールナに話しかける。話しかけられたウールナは首を傾げて、これ美味しいって言ったのかな? と聞き返した模様。
 テンはもくもくと料理を口に運び、目の前にはモンブランを1切れしっかりキープ済み。危うくモンブランを奪われそうになり、珍しく暴れる一幕もあったり。
 次々料理に手を伸ばすスフルとウールナの後をついて回るミディは、2人が食べた物を選んで口に運んでいる。たくさん食べる2人なら、美味しい物をたくさん知っているに違いないと思っての行動らしい。
 バラのように盛り付けられたミシリア作の野菜炒めにスフルとウールナが手を伸ばし、ミディも同じ物に手を伸ばす。だが、ピーマンは嫌いなミディ。皿の中に嫌な物を発見してしまった。
「だめですよ! 好き嫌いしないでちゃんとたべましょうね!」
 ピーマンをこっそり避けたミディの姿に気がつき、ズビシとアヤが指摘する。。涙目で首を振るミディだったがアヤに許してはもらえず、後で口直しにピーマンの入っていない、美味しい料理を求めていた。
「ふむー、しかしウールナやガキんちょはホント美味しそうに食べるわね〜」
 スフルとウールナを眺めてパティがしみじみ言う。あ、そうだとパティは思い出したように言い、ウールナに手近な料理を渡した。誕生日プレゼントを用意出来なかったし代わりに、と言う事らしい。
「あぁ、ちなみにソレ激辛よ」
 言われる前に口をつけていたウールナは微妙な顔をしている。辛い物は基本的に平気らしいが、野菜の味がわからないレベルに辛いようだ。これじゃあ、味がわからないのだと呟いていたりした。

●恐怖のお楽しみっ☆
 パタン、パタン……
 メルフィが診療所内の扉や窓に鍵をかけて回る。

「ふぃ〜満腹だわ〜♪」
 満足そうにパティが言う。
「うぅ。つい食べ過ぎてしまったわ……」
 ちょっぴり苦しいお腹を押さえてミシリアは呟く。
「さぁ、皆さん食べるだけ食べて、幸せなところを捕まえて……じゃなくて身体測定のデータをとりますよー!」
 笑顔でアヤが宣言した。もちろん、外への逃走経路はメルフィの手によって塞がれずみだ。おまけに逃げ出しそうな人物の足には、巻尺の罠まで仕掛けられている。巻尺の罠とは言っても、柱と冒険者の足を巻尺で結んで繋いだだけのものだが。
「あ、計測中は男子禁制なぁんね。……でもテンさんだけなぁんね!」
 明るくメルフィが言う。身体のサイズやら体重を測る際、服を脱いだ方が軽いからと言う言い分らしい。
「……ってなぬっ! 身体測定!? ま、まぁ、パティさんの完っ璧なスタイルはこれくらいじゃ変わんないわ! ……多分」
 少々慌てたが、以前調べた時はJカップだったらしい。危機を感じつつも、そう言って多分自らをごまかすパティ。
 エリナは胸の大きな女性たちに、どうしたらそんなに大きな胸になるのかと秘訣を聞いたりしている。
「測定って……。胸は……イイのよ。結構自慢だから。ウエストと……お尻が……気になるわ」
 引きつった笑みでミシリアが呟く。実はミシリア、ユーロの罠にかかっていたりするのだが、本人はもちろんそんな事実を知らない。
「体重測定? あ、ひどい!」
「増えてると嬉しいかもっ!」
 育ち盛りなミディが元気よく言うと同時に、エルは慌てて逃げ出そうとした。そして、服を脱がなければと聞いたカリナも慌てて逃げ出そうとする。
「あ、逃げられないなぁんよ♪」
 そんな2人にメルフィは明るく言い切った。
「はっ! その機械は……ま、まさかっ!! ぎゃあぁぁーっ! し、身長測定マッシーンなんて危険な物この世から消えればいいんだわーっ!!」
 アヤが体重計を引っ張り出して来たところを確認し、悲鳴を上げたパティがすごい勢いで爆砕拳を連打する。そんなわけで、アヤの野望(?)の一部と体重計が跡形もなく砕けたのは言うまでもない。
「……一杯食べて……美味しそう」
 スフルはそう呟いて、ウールナの手を取る。次の瞬間ウールナの口から痛いのにゃーっ! と悲鳴が上がったりもしていた診療所のある1日、であった。


マスター:月草 紹介ページ
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参加者:11人
作成日:2006/10/17
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