バルムンク音楽隊



<オープニング>


●バルムンク音楽隊
 バルムンク音楽隊がモンスターに命を狙われているらしい。
 彼らはチキンレッグ領内を歩き回り、そこで得た宝石などを寄付しているのだが、身の危険を感じているため、宿屋に泊まってお前達の助けを待っている。
 どうやら魔物はバルムンク音楽隊の奏でる音楽にだけ興味を持っており、彼らがコンサートを開くたびに襲撃を仕掛けているようだ。
 もちろん、彼らが故意にモンスターを呼び出しているわけではない。
 その原因が楽器にあるのか、彼らの演奏方法にあるのか分からないが、このままではバルムンク音楽隊の信用がガタ落ちだ。
 そこでお前達にモンスター退治をお願いしたい。

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参加者
降りそそぐ木漏れ日・スタイン(a04948)
銀の剣・ヨハン(a21564)
光輝の青騎士・エリック(a23338)
今夜のおかずは特製まぐろグラ・タンツェン(a31108)
始まりの龍・タツト(a37229)
酒場の主・リーリャス(a37297)
無垢なる翼・マリー(a40890)
哲学する弓手・バスマティ(a43726)
無垢なる刃・ソニア(a44218)
錬鉄師・ライアス(a47080)
蒼武・ステア(a52701)
狂天童・リカーシュ(a57358)


<リプレイ>

●村人達
「パニックに陥った人間は冷静な判断が出来ない。まずは村人達を冷静にする必要がありそうだな。出来れば村長に協力してもらえると良いのだが……」
 険しい表情を浮かべながら、始まりの龍・タツト(a37229)が村の宿屋にむかう。
 宿屋の前には沢山の村人達が押しかけており、松明を掲げて『バルムンク音楽隊』に対する文句を叫んでいる。
「とにかく村人達を落ち着かせないと、宿屋が炎に包まれるぞ!」
 興奮気味の村人達を必死で押さえ、錬鉄師・ライアス(a47080)が大声で叫ぶ。
 村人達はモンスターが暴れているのは、『バルムンク音楽隊』の責任だと思っているため、ライアス達が制止しなければ宿屋が炎に包まれてしまう。
「……はいはいはい。こういう時は発想の転換をしないとね。みんなぁ〜! ……ばぁ♪」
 いきり立った村人達の注目を集め、嗤う白幻・リカーシュ(a57358)が『ばぁ』と叫んでフェードインしていった。
 それと同時に村人達が雄叫びを上げ、リカーシュをポコスカと蹴り始める。
「うわっ! 痛い! 痛いって! もうちょっと手加減してよ!」
 大粒の涙を浮かべながら、リカーシュが村人達から逃げていく。
 しかし、村人達の怒りは収まらず、口々に『まずはコイツを火炙りだ〜。とりあえずレアで!』と叫んでいる。
「お、落ち着け! コイツは今回の件とは関係ない。とにかく話を聞いてくれ!」
 青ざめた表情を浮かべながら、タツトが村人達の腕を掴む。
 それでも村人達は興奮した様子で鼻を鳴らし、リカーシュを木に括りつけている。
「いい加減にしろ! 私達だって我慢の限界がある! 何処からか拳が飛ぶ前に大人しくしてもらおうか」
 バケツの中に入った消火用の砂をぶっかけ、ライアスが呆れた様子で溜息をつく。
 このままではリカーシュが火炙りにされてしまうため、最悪の場合は村人達と戦うしか方法が無い。
「た、助かった……。せっかくみんなの気持ちを和ませようと思ったのに酷いなぁ……」
 納得のいかない様子で腰を撫で、リカーシュがブツブツと愚痴をこぼす。
 通例として宝石を渡して歩いているため、多少の冗談は許してくれると思っていたが、それとこれとは別らしい。
「……村人達よ、聞いて欲しい。バルムンク音楽隊の真実を。バルムンク音楽隊の音楽がモンスターを惹きつけていたのは真実だ。だが、最も重要な点はそこではない。この地に潜んでいた強大なモンスターの弱点が彼等の音楽だったのだ。かのモンスターは演奏を邪魔させるために手先を送り込んでいたのだから……」
 大きくコホンと咳をした後、ライアスが真剣な表情を浮かべて口を開く。
 しかし、ライアスの言葉に嘘が混ざっていたため、リカーシュが慌てた様子で止めに入る。
「ちょっ、ちょっと、そんな事を言ったら、事態が悪化するだけだよ。村の人達には本当の事を教えてあげないと……」
 先程、袋叩きに遭ったため、リカーシュが警戒した様子で汗を流す。
 村人達は大量の釘が刺さったバットを握り締め、瞳をギラギラと輝かせている。
「皆さん、聞いてください! 村の皆さんには不安をお掛けしてしまって申し訳ございません。……ですが、皆様は誤解していらっしゃいます。バルムンク音楽隊が魔物を惹きつけているのではありません。彼らは我々の依頼で協力していただいているに過ぎません。我々は、この付近に生息する魔物達の退治を依頼されているのですが、その魔物達はバルムンク音楽隊の演奏する曲を苦手としている事が分ったのです。今回の魔物もその一体に過ぎません。その噂が皆さんに歪んで伝わってしまったのでしょう。責めるならば、責任は我々にあります」
 念のため幸せの運び手を発動させ、タツトが村人達の説得を試みた。
 しかし、先程の説明と異なっていたため、村人達は納得のいかない表情を浮かべ、『失敗したら、お前達の命で償ってもらう。もちろん、レアで』と呟き、バラバラに散っていく。
 こうしてタツト達の命は、仲間達の活躍次第となるのであった……。

●バルムンク音楽隊
「……音楽隊に引かれる変異動物か。解剖のし甲斐がありそうだな♪」
 含みのある笑みを浮かべながら、酒場の主・リーリャス(a37297)がバルムンク音楽隊の部屋をノックした。
 バルムンク音楽隊はモンスターの出現と村人達の騒ぎと疲れ果てており、みんな魂の抜けた表情を浮かべている。
「ああ、君達か。すまないね。こんなところまで……」
 何処か寂しそうな表情を浮かべながら、笛吹きのロッテが疲れた様子で溜息をつく。
 村人達が殺気に満ちた表情を浮かべているため、早く村から出て行く事ばかりを考えている。
「やりたい事が出来ないというのは辛い事だろう。心の枷になっている物を取り除けると良いが……」
 バルムンク音楽隊の気持ちを察し、哲学する弓手・バスマティ(a43726)がロッテの肩を叩く。
 そのため、ハリセン担当のセルバンデスがロッテの頭をパチンと叩いて頷いた。
「す、凄い。これがセルバンデスさんの演奏方法なのですね。あの一発で私の心にメロディが……」
 感動した様子で涙を流し、銀の剣・ヨハン(a21564)がセルバンデスのハリセン捌きに感動する。
 何故かセルバンデスだけはコンサートをするつもりでいるらしく、文句を言いに来た村人達をバッサバッサとハリセンで倒して行きながら、会場にむかうつもりでいたらしい。
「とにかくモンスターを倒さなきゃ話にならないな。少しの間だけ俺達に協力してくれないか?」
 モンスターを誘き寄せるためには彼らの協力が必要なため、酒場の主・リーリャス(a37297)が駄目元で頼む。
 最悪の場合はあり合わせのもので作った薬を飲ませてでも、彼らを説得するつもりでいるようだ。
「い、嫌なんだな。わしらは平和主義者なんだな」
 でっぷりとした腹を太鼓のように叩きながら、太鼓叩きのバルガストが気まずい様子で首を振る。
 自分達が演奏を始める事で村にも被害が及ぶため、彼ら(セルバンデスを除く)は楽器を封印する事にしたらしい。
「俺達、冒険者は楽器を用いて人に多幸感を与えたり、或いは傷つける事だって出来る。……だが、それはあくまでグリモアの力を借りているというだけに過ぎない。だが、あんた達は神の力に頼らなくても自分達の力だけでアイツの心に響かせる事が出来る……これは凄い事じゃないか? あんた達のそのモンスターの心すら揺さぶる演奏を、他の奴らにも聞かせてあげられる様に手伝わせてくれ。モンスターの襲撃に関しては心配するな。冒険者の力は、そのための物なんだからな」
 持ち寄ったハープを奏で、バスマティが再び説得を試みる。
「……分かった。そこまで言うのなら協力しよう。ただし、失敗した時の責任は取ってもらうぞ。……ところでモンスターは我々の何に興味を持っているんだ?」
 覚悟を決めた様子でコクンと頷き、ギター弾きのムンクリーがヨハンを睨む。
「……原因は不明ですが、皆さんの音楽でモンスターが出てきてしまった事は事実のようです。だからこそ皆さんの強力で退治してケリを付けてしまいましょう。ただし、演奏は村から離れた場所でお願いします」
 険しい表情を浮かべながら、ヨハンがペコリと頭を下げる。
 それと同時にバルムング音楽隊の面子が驚いた様子で目を丸くした。
「む、無理だ! それだけはカンベンしてくれ!」
 青ざめた表情を浮かべながら、ロッテが激しく首を横に振る。
「……安心しろ。村人達が襲ってきたとしても、俺達が守ってやる。……必ずな」
 幸せの運び手を使ってロッテ達の気持ちを満ちたりた気分にさせ、バスマティが真剣な表情を浮かべて彼らに誓う。
 その言葉を聴いてロッテ達は肩を組んでコソコソと話し合い、結論が出た後に『本当だな?』とバスマティ達に確認をする。
「私達を信じてください。この命に代えても、貴方達をお守りします」
 ロッテ達の考えが変わらないようにするため、ヨハンが力強い口調で答えを返す。
 そのため、セルバンデスがヨハンを見つめ、彼の魂とも言えるハリセンを手渡した。
「それじゃ、行きましょうか」
 そう言ってリーリャスがバルムンク音楽隊に護りの天使を使い、モンスターを誘き寄せるため村の外に出る。
 ここで失敗する事は許されないのだから、村で戦うわけには行かない。

●バルムンク
「……チキンレッグの音楽隊を狙う魔物ですか。一体どうして彼らを狙うんでしょうね?」
 不思議そうに首を傾げ、無垢なる翼・マリー(a40890)がボソリと呟いた。
 詳しい事は良く分からないが、バルムンク音楽隊の曲に興味があるのは間違いない。
「さて、モンスター退治ですね。でも、どうしてバルムンク音楽隊の曲にだけ反応するのでしょうか? それなら大人しく聞いてくれていれば良かったのですが……」
 困った様子で溜息をつきながら、降りそそぐ木漏れ日・スタイン(a04948)がバルムンク音楽隊の護衛をする。
 相変わらずセルバンデスだけはヤル気になっており、新品のハリセンをブンブンと振り回して気合を入れていた。
「音楽隊を狙ったモンスターかぁ……。サクっと、やっつけてチキンレッグ達の平和を守らないとなぁ」
 カンテラを使って辺りを照らし、マグロ一名様予約入りま〜す・タンツェン(a31108)が辺りを見回した。
 しばらくして……。
 モンスターを誘き寄せる準備が整ったため、バルムンク音楽隊が楽器の演奏をし始めた。
「獅子のモンスター……。失われしソルレオンの冒険者達を思い出してしまうわね。せめて、これ以上被害を出させる前に退治出来ると良いのだけれど……」
 バルムンク音楽隊の曲に聞き惚れながら、無垢なる刃・ソニア(a44218)がモンスターの襲撃を待つ。
 彼らの曲はソニアの心に響き渡り、ハリセンの音がいいアクセントに鳴っている。
「……来ましたね。噂のモンスターが……。皆さん、覚悟は出来てますか?」
 警戒した様子で遠眼鏡を覗き込み、スタインがバルムンクを発見した。
 バルムンクは音楽に導かれるようにして、迷わずスタイン達にいる方向にむかって走ってくる。
「ええ……、もちろん!」
 武具の魂を使って精神を統一させ、蒼武・ステア(a52701)がゴクリと唾を飲み込んだ。
 それと同時にバルムンクが唸り声をあげ、ロッテ達を狙って攻撃を仕掛けてきた。
「絢爛っ!!」
 ポーズを決めて鎧聖降臨を発動させて超光天使アンジュリオンに変身し、超光天使・エリック(a23338)がバルムンクの行く手を阻む。
 その間にロッテ達が仲間を連れて、安全な場所まで避難した。
「破壊と再生を司りし炎よ……私に力を貸して!」
 黒炎覚醒を使って通常攻撃をブラックフレイムに変化させ、マリーがバルムンクの額にある宝石を狙って攻撃を仕掛ける。
 そのため、バルムンクが咆哮を上げて全身の毛を逆立たせ、ニードルスピアに似た技を使って反撃した。
「……大丈夫か? 怪我はないな?」
 カイトシールドを使って敵の攻撃を受け止め、エリックがホーリースマッシュを放つ。
 それと同時にバルムンクが体勢を変え、エリックの腕に噛みついてきた。
「我は無垢なる刃、魔を断つ剣なり!」
 すぐさまウェポン・オーバーロードを発動させ、ソニアがバルムンクの額を集中的に攻撃する。
 しかし、バルムンクの動きが素早いため、なかなか攻撃が当たらない。
「つ、強い……!」
 険しい表情を浮かべながら、ステアが間合いを取っていく。
 そのため、バルムンクは咆哮を上げ、再び全身の毛を飛ばしてきた。
「……おっと! 当たらないよん。いくのさ、相棒っ! 今回もバッチリ連携タックル!! フォーメーションAだすよー」
 イリュージョンステップを使って攻撃をかわし、タンツェンが相棒のマグロ片手にシャドウスラッシュを叩き込む。
「額に宝石にさえ攻撃が当たれば、敵を倒す事が出来るのに……」
 荒く息を吐きながら、ステラが額に浮かんだ汗を拭う。
 バルムンクの動きが早過ぎるため、仲間達の間にも疲労の色が見え始めている。
「まさか、ここまで強いとは……。少々、甘く見過ぎていましたね」
 ヒーリングウェーブを使って仲間達の傷を癒し、スタインがバルムンクを睨みつける。
 バルムンクはスタイン達には興味が無いのか、ロッテ達の避難した村を目指して走り出す。
「私の歌、聴いてください♪ この地に集いし勇者達に、祝福の歌を!」
 念のため高らかな凱歌を歌い、マリーがバルムンクの後を追う。
 そのため、バルムンクはフンと鼻を鳴らし、マリーめがけて大量の毛を飛ばしてきた。
「やらせないのさぁ!」
 バルムンクの傍でハイドインシャドウを解除し、タンツェンが背後からシャドウスラッシュを炸裂させる。
「トドメよ、滅びなさい!」
 それと同時にソニアがデストロイブレードを炸裂させ、バルムンクにトドメをさした。
「ふう……、何とか倒す事が出来たよう棚。それじゃ、村に戻って報告するか。……もう恐れるものは何も無いってな」
 そう言ってエリックがニヤリと笑い、バルムンクの死骸を引きずっていく。
 バルムンクが倒された事で脅威は去ったのだから、ロッテ達と演奏勝負でもしようかと思いつつ……。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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