助けて! カボチャマン!! 〜撃破! 石焼き芋!!〜



<オープニング>


●フィーネの街はカボチャ祭
 遥か高く澄み渡る明るい青空は、秋を迎えた人々の心を浮き立たせずにはいられない。
 天高くノソリン肥ゆる秋、晴れ渡る青空と過ごしやすい陽気にフィーネの人々も心を弾ませている。
 いや――心を弾ませるだけでなく、ちょっぴりテンションも高かった。
 何せ清々しいほどの好天に恵まれ続けているフィーネでは、ただいま街をあげての『カボチャ祭』真っ最中。広場や街路ではパンプキンパイやカボチャプリンに南瓜のポタージュといった様々な南瓜菓子や南瓜料理が振舞われ、街のいたるところがカボチャマングッズで飾りたてられているのだ。心からカボチャマンを愛するフィーネの人々がこれで盛り上がらないわけがない。
 今月末まで続くのだというカボチャ祭を取り仕切るのは、カボチャ団子の食べ過ぎで療養中の町長に代わり『代理カボチャ祭管理委員長』に就任したヨハン爺。老いてなおかくしゃくとしたヨハン爺の統轄手腕、そして商いの表も裏も知り尽くしたエティゴ屋の暗躍によって滞りなく運営されてきたカボチャ祭は、今最高潮を迎えようとしていた――が。
 よく晴れたある日の朝、突如謎の集団がフィーネの街に襲撃を仕掛けてきた。
「い〜しや〜きいも〜♪ オラオラオラァ! 焼き芋様のお通りだぁ!!」
「何がカボチャだぁ? ふざけんな秋は焼き芋様って相場が決まってンだろぉ!?」
 焼き芋万歳を叫ぶ謎の男達はそう凄みながらフィーネの街を爆走し始めた。焼き芋万歳と言うからには当然石焼き芋の屋台を牽きつつ爆走しているのである。これはとてつもなく迷惑だった。
 しかも『焼き芋愛好会』なる彼らによる暴挙は屋台爆走のみに留まらなかった。「熱々の焼き芋をねじ込まれて口の中を火傷した」「南瓜ポタージュに極甘スイートポテトを投入された」「カボチャマン人形の頭が焼き芋に挿げ替えられた」といった被害報告が相次ぐようになったのである。
 だがここで泣き寝入りする者などフィーネの街には存在しない。それどころか、ヨハン爺を始めとして皆この事態を楽しんでいる様子さえあった。
「おうおう、こりゃまた派手なことになったのぅ。やはりカボチャ祭には『彼ら』を呼ばないかんっちゅう……天の思し召しじゃろうなぁ」
「おお、流石はお代官様ですな。実は手前ども、こういうこともあろうかと、既にお手紙用の便箋を用意させて頂いておりまして……」
「ふぉっふぉっふぉ。エティゴ屋、そちはちと気が利きすぎておるわ」
 今日も今日とて爆走していく石焼き芋の屋台を眺めながら、茶屋の二階でヨハン爺とエティゴ屋が言葉を交わす。ちなみに『代理カボチャ祭管理委員長』略して『だいかん』。当て字は気にしないのがお約束である。そして二人の話が一段落した丁度その時、茶屋の一人娘である少女が泣きながら彼らの所へやってきた。
「うわああんお代官様ぁ! あのね、焼き芋男達がね、あたしのパンプキンオレンジのリボンを取り上げて、焼き芋色に塗っちゃったの! ひどいよう!」
 ヨハン爺は少女の頭を優しく撫でてやり、エティゴ屋はいそいそと便箋を取り出した。
「おうおう。嬢ちゃんも可哀想にのう」
「嬢さまも酷い目に会われましたな……ささ、ここで南瓜クッキーでも食べながら、ゆっくりお手紙を書くとよろしいですよ」
「うん! 今回はあたしがお手紙書いてみる!」
 南瓜クッキーで機嫌を直した少女はすぐさまペンを取り、真剣な表情で便箋に向かい始めた。

●助けて! カボチャマン!!
『フィーネのまちに やきいも愛好会 が やってきました
 やきいも愛好会は フィーネのまちを やたいでばくそうして
 みんなに めいわくを かけています
 ほかにも らんぼうをして カボチャまつりを じゃましています
 たすけて! カボチャマン!!
 やきいも愛好会をやっつけて また へいわなフィーネのまちに もどしてください』

「……うちにこんな手紙が届いたんです」
 そう言って藍深き霊査士・テフィン(a90155)を訪ねてきたのは、先日も依頼を持ち込んできた旅芸人一座の座長であった。カボチャマンとはこの一座の人気芝居の主人公。カボチャランタンを模したマスクを被った男が世にはびこる悪を斬る――つまり勧善懲悪モノのヒーローである。
「屋台で爆走してるとか乱暴を働いてるとかいう集団相手ですから、ここはまた冒険者様方にお願いするほかなく……」
「ええ……冒険者でない方々では怪我をされてしまうかもしれませんものね」
 何処か生姜に似た香を漂わせる月桃茶の杯に口をつけ、暫し瞳を伏せてから霊査士は席を立つ。
「ボギー様、またお願いしますの」
 酒場のカウンターに向かってそう言えば、ハニーハンター・ボギー(a90182)がホットレモネードの杯を置いて駆けてきた。心得たもので、小脇にはしっかりとカボチャマスクを抱えている。
「カボチャマン、出動なのです!」
 座長と霊査士に向かって敬礼し、ボギーはすちゃっとカボチャマスクを装着した。

マスターからのコメントを見る

参加者
NPC:ハニーハンター・ボギー(a90182)



<リプレイ>

●秋の空にはカボチャマン!
 爽やかな秋空に抱かれたフィーネの街は鮮やかなパンプキンオレンジに染め上げられ、街をあげての『カボチャ祭』も最高潮を迎えようとしていた。だが、ここ数日フィーネの街を席巻している『焼き芋愛好会』がこの日も街の広場に現れる。
「今日も屋台でひと暴れしてやるか。行くぜ! い〜しや〜きいも〜♪」
 石焼き芋屋台の爆走が始まらんとした、その――刹那。
「はーっはっはっは!」
「な、何者?」
 突如響き渡った高らかな笑い声に、焼き芋愛好会達は思わず天を振り仰ぐ。広場の前に聳える塔の天辺で鮮やかに翻るマントの色は――パンプキンオレンジ!
「フィーネの平和は我らが守る! カボチャマン参上!!」
「秋の味覚に誘われて、カボチャマン・ハードボイルド見参なぁ〜ん!」
 正統派カボチャマンスタイルで決めたロックと、トレンチコートを秋空に靡かせたカボチャマン・ハードボイルドことマスカレイド。二人はフィーネの人々に大歓声で迎えられ、颯爽と塔から飛び降りる!
 颯爽と塔から、飛び、降り……?
「……おーい、もしも〜し? さっさと降りて来いよカボチャ野郎」
 しかし、流石に塔は高すぎた。
「う、うるさい! 今降り……あっ」
 ぽろっとロックが塔から落ちる。遥か下方から聞こえてきた「ずべしゃ」という音にマスカレイドが足を竦ませた。だがヒーローたるもの間違っても「高い所怖くて降りられないなぁ〜ん!」などと口にすることはできない。ここは全力で誤魔化すのだ!!
「ふっ……ひっかかったなぁ〜ん? 実は俺達はお前達の目を逸らす囮……後ろを見るなぁ〜ん!」
 適当な所を指差すマスカレイド。だがそこには正義の心を通じ合わせた仲間の姿が!
「その通り! 嫌がる人に焼き芋を押し付けるのはただの迷惑です!」
「カボチャ祭なんですから、皆さんで南瓜を称えて踊りましょう!」
 即興でマスカレイドに合わせたフェイシアが蜘蛛糸を放ち、ユリディケが巧みなダンスで無理矢理愛好会を躍らせる。突如始まったカボチャマンのダンスにフィーネの人々は盛大なる喝采を送った。
「素晴らしい! これぞカボチャ祭!!」
「カボチャマンばんざーい!!」
 だがカボチャマン登場で俄かに盛り上がる人々の間を、涼しい顔で抜けていく人影があった。「秋は優雅に過ごさないとね! 読書とか!」などと呟きつつ歩いていくパークの手には『フィーネタウンマップ 秋の味覚編』。偶々行きあったミヤクサはひょいと彼の手元を覗き込み、素早く目当ての場所を読み取った。広場を抜けて街路へ行き、目指すは南瓜餡入り鯛焼きの露店。しかしそこにも爆走屋台が襲い来る!!
「い〜しや〜きいも〜♪」
「きゃあああっ!?」
 爆走してくる石焼き芋屋台に思わず顔を覆うミヤクサ。だがカボチャマンが彼らの悪行を見逃すはずはない。屋台を牽いていた愛好会は一瞬の内に魔法の木の葉に絡め取られた!
「……祭りには必ず意味がある。……それを知りもせずに己が欲望を押し付けるとは、愚の骨頂!」
 カボチャマン・フォックステイル参上、と名乗りを上げたアルムが街路樹から飛び降りる。「現れたかカボチャマン!」と路地裏からわらわらと愛好会達が集まってきたが、そこには「カボチャマンZX復活!」とヒヅキが躍り出た!
「必殺、カボチャソウルフラァァァァッッッシュ!!」
 ヒヅキが目も眩むような鮮烈な光を放ち、その隙に露店の影から飛び出したワスプが電光石火の早業で石焼き芋屋台をカボチャ屋台に作り変える。
「お前達の爆走もここまでだ! 石焼き芋屋台はたった今、カボチャ屋台として生まれ変わった!!」
「な、何だってー!?」
 動きを封じられた焼き芋愛好会達が驚愕に目を見開いた。
 だが既に彼らはワスプの眼中になく、カボチャ屋台を牽いたワスプは次なる石焼き芋屋台と走りで勝負すべく街路を走り去って行く。
 それ行け! カボチャマン!! 激走カボチャ屋台でフィーネの街を席巻せよ!!!

●撃破! 石焼き芋!!
 激走カボチャ屋台の出現で対抗心を煽られた石焼き芋屋台達が街中で一斉に活気づいた。
 大通りに飛び込んで来た爆走屋台の前に一人の男が敢然と立ち塞がる!
「この世に悪で栄えたお芋無し! 悪党よ、美味しいお芋に変わって成敗だ!」
 だが男が「変身っ! カボチャマン・シュバルツ!!」と鎧聖降臨を決めている間に、屋台は男の脇を駆け抜けて行った。
「うわああんシュウさん何やってるんですかーっ!」
「シュウの人はいない!」
 ハニーハンター・ボギー(a90182)に突っ込まれながらもカボチャマン・シュバルツことシュウが爆走屋台の後を追うが、屋台を止めたのは店のテラスから飛び降りたテンユウであった。
「爆裂! カボチャフィンガー……カボチャ・エンド!!」
 爆走屋台を片手で止めたテンユウが、破鎧掌で屋台を吹き飛ばし鍛え上げた拳で粉砕する!!
「すごい、すごいよ! 楽しすぎるー!! ねっ、お代官様!?」
 今回もちゃっかりテラスで観戦していたルキが南瓜団子を頬張りつつ振り返る。流石ですのうと髭を撫でつつ頷くヨハン爺とももうすっかり顔馴染みだ。彼らの勇姿をこの目に焼き付けるよとルキは再びテラスから顔を出し、路地裏にこっそり潜んでいる継ぎ当てマスクのカボチャマンを発見する。その手には妙な汁が垂れたスコップが握られていた。
「ひぃ! な、何だおまえっ!?」
 屋台を粉砕され路地裏に逃げ込んできた愛好会が、見るからに怪しいその姿に硬直する。
「まぁ別にお前等に恨みが有る訳では無いのだが……その、何だ……せめて悪く思え」
 カボチャマンフロムヘルことオセは瞬く間に愛好会を縛り上げ、ご丁寧に路地の石畳を剥がして愛好会の首から下を埋めてやる。路地裏にはまるで彼の足跡の如く、点々と首だけ出して埋められた愛好会の哀れな姿が連なっていた。
「神聖なるカボチャを穢すような行為は絶対に許せませんの〜」
 大通りには騒ぎを聞きつけた愛好会達が集まってくる。だがムウが次々と彼らを縛り上げ、鮮やかな染めの派手な着物を翻したマユミがカボチャマスクを被せた人形を操りながら愛好会達に眠りの歌で迫る。
「南瓜の魂穢す者は己が魂抜かれるぞェ♪ ……おや、南瓜の娘に魂抜き取られちまったようだねェ」
 愛好会達はあっさりと陥落していき、彼らの完全敗北も近いかと思われた……その時。
 ほかほかの焼き芋を手にしたキズスが愛好会のもとへ救世主として降臨した。
「行くぞ……焼き芋愛好会の諸君!」
 愛好会を指揮しカボチャマンへ真っ向から立ち向かう彼の名は――怪人ペピ・ヨン!
 だが彗星の如く現れた彼もカボチャマンの敵ではなかった。
「カボチャ・ザ・ダンサー参上! 私と手を取って踊りましょう!」
 ペピ、ヨン! の掛け声と共にフールダンス♪を仕掛けようとしたキズスは、颯爽と現れたカボチャ・ザ・ダンサーことアスティアにフールダンス♪を返される。続いて現れた巫女装束のアーケィも術扇を高く掲げ見事な舞を披露した。無論こちらもフールダンス♪。これでは怪人の踊りも全く目立たない。
「南瓜の愛で改心するがよいのです! 南瓜の栄養パワーを得て踊りまくれ〜!」
 さらにはふらりと現れた老人が怪しげな踊りを始めた。
「ほれほれ、どうじゃ、わしの踊りは?」
 カクカクと震える足腰が怪しいが、カボチャマン・グラン・パことテツノシンの踊りは幻惑の剣舞。フールダンス♪こそ効かなかったが、流石のペピ・ヨンもこれには消沈せずにいられない!
 ……と、思ったが。
「ぬぉっ! こ、腰が……っ!」
 いい所でテツノシンが崩れ落ちた。またもや腰をやられたらしい。だが!
「う、動けぬともできる事があるのじゃよ!」
 石畳の上に倒れた彼は最後の力を振り絞ってスーパースポットライトを放つ。
 これによって愛好会達は体の自由を奪われ、反射的に目を覆ったペピ・ヨンはアスティアの緑の束縛に捕らえられた。

●燃えよ焼き芋!
 綺羅星の如きカボチャマンの活躍により、フィーネの大通りは無事平和を取り戻した。
 だが街のあちこちにはまだまだ焼き芋愛好会がはびこっている!
「焼き芋様がなんだってーの。こっちはフィーネの南瓜様なのよっ」
「そうだっ! しかも焼き芋食べさせるだけならまだしもリボンを焼き芋色にって何だーっ!」
 疾風の如く街路を駆け抜け、マーガレットとクリスが爆走屋台の前に立ち塞がる。ボギーも引っ張り込んでポーズを決め、今こそ名乗りを!
「「カボチャマン・リターンズ参じ」」
「い〜しや〜きいも〜♪」
 だが当然の如く屋台は彼らの脇をかすめ駆け抜けた。
「まてぇ! 神聖な名乗りを邪魔するんじゃなーいっ!」
 慌てて後を追ったクリスが蜘蛛糸で爆走屋台を捕らえ、マーガレットが勢いよく水をぶちまける。
「どう? これで芋を焼くどころじゃないでしょ?」
 屋台を台無しにされた愛好会達はあたふたと逃げ出そうとするが、そうは問屋が卸さない。ぶちまけられた水に呼応するが如く霧が立ち込めて、その中から新たに二人のカボチャマンが現れた!
「悪の根源、紅き道化師が許さぬ訳が無し! カボチャマン・ヴェルミリオクラウン、只今参上や!!」
「わ、悪い魂を浄化するべき、カボチャマン・プロイスィッシュブラウ、推参只今……ん? 只今推参?」
 カボチャマン・ヴェルミリオクラウンことスバルが「焼き芋は美味いけど、俺は猫舌なんじゃあ!」と鬱憤を晴らすかの如く蜘蛛糸を放ち、カボチャマン・プロイスィッシュブラウことトゥルースが「台詞長いよ!!」とやけくそ気味に咆哮を放つ。
「カボチャマンシリアス参上! じーくカボチャ!! この猫の手の威力味わっていけ♪」
 続いて現れたカボチャマンシリアスことセイガが咆哮を浴びせ、挙句どこからともなく取り出した猫の手で麻痺した愛好会を擽り始めた。ひとしきり愛好会を悶絶させた所でセイガは立ち上がり、さぁ次の悪を成敗に行くぞとボギーを振り返る。だがボギーを含め、何かヤバ気な気配を嗅ぎ取ったらしいカボチャマン・リターンズ達は霧に紛れ既に姿を消していた。そして……
「おーほほほほっ、アテクシの名はマドモアゼル・凹レンズ! 焼き芋は季節の花! ですわね!」
 高飛車な笑い声が響き渡ると同時に、スバルの展開したミストフィールドが掻き消える。代わりに広がる紋章の光は……エンブレムフィールド!! 紋章陣を展開したマドモアゼル・凹レンズこと女神風に装ったリーナに続き、同じ衣装のドリアッド女性(乙女の事情により名前を記すことはできません!)が現れた!!
「あの、ええとですね……ま、マドモアゼル、凸レンズ……芋を焼く火を作るお手伝い、しますね?」
 言うと同時に愛好会へ向け広がる癒しの光。その光に煌くのはマドモアゼル達が全身に飾った数多の虫眼鏡だ。まさかこの二人、虫眼鏡を使って火を起こそうとでも言うのか……!?
「お前らの好きにはさせない! カボチャマン・ウォーリア! ただいま参上!!」
 その時黒衣を翻して現れたのは、カボチャマン・ウォーリアことシルフィード! 彼の両手が鮮やかに宙を切り、溢れる蜘蛛の糸が二人のマドモアゼルを絡め取る!!
「ねぇねぇあの糸、後で掃除するの大変そうだね」
「大丈夫、あれは時間が経ったら勝手に消えます。カボチャマンはゴミなんて作りませんよ」
 すっかり街の子供達に懐かれたマサキが、彼らと祭のゴミ拾いをしながら丁寧に解説を加えてやる。
 だが。
「どうして消えちゃうの?」
「どうしてあの糸ネバネバするの?」
「ねぇいつになったらあたしと結婚してくれるの?」
 子供達が一斉に答えに窮する質問を投げかけたきた。
 言葉に詰まったマサキはいつもの如くマントを翻す。
「……こ、木枯らしが私に伝えてくれました。まだ悪は滅びていないと!」

 頑張れカボチャマン! 子供達は君の答えを待っている!!

●真の爆走王
 確かにフィーネの街にはまだ悪が残っていた。だがその悪役の一人であるはずのノリスは、街路の脇でぽつねんと事の成り行きを見守っているだけであった。
「ふっふっふ、貴様らの正義とやらを見せてもらおうかっ!」
「し、しまったのです!」
 ノリスの眼前では、真っ黒な全身鎧に身を包んだグラリアが如何にも悪役ちっくに笑い蜘蛛糸でボギーを絡め取っている。グラリアに対するのはカボチャマン162号ことガングだ。
「貴様焼き芋の仲間だな! 絶食一ヶ月半の俺が貴様の焼き芋を食い尽くしてやる!!」
 そしてボギーの悲鳴を聞きつけ現れた新たなるカボチャマン、シャオもグラリアに向け指を突きつけた。
「天知る地知る我ぞ知る! 毎度お馴染正義の味方! カボチャマン参上ッ!!」
 芋も良いが、それをお腹いっぱい食べたあとの悲劇! 特に女性だと致命的……ッ! その悲しみがわかるかー!! と熱弁を振るうシャオを宥めようとして転びつつ、オランジュもまたグラリアを真直ぐに見据える。
「芋には芋の良さがありますが、焼き芋愛好会さん達には退場していただきます!」
 さらには突如展開されたアビスフィールドの闇からカボチャマン・ブラックサイズことリーアが現れ、やはり漆黒の大鎌をグラリアに突きつけた。
「ふふ、焼き芋が無くなれば焼き芋愛好会もただの愛好会よね〜。思う存分食い尽くすわよ〜♪」
「え。いや、ちょっと待って、俺焼き芋は持ってな……」
 カボチャマン達の異様な迫力にグラリアは思わず後退ったが、当然逃げられるはずもない。あっけなく袋叩きにされるグラリアをノリスは呆然と見守るしかなかった。彼はカボチャマン達が南瓜料理を食べにきたら嫌がらせをしようと思っていたのだが、カボチャマン達の意識は悉く焼き芋の方へ向いていたのである。
 しかしそこに、更なる悪の輝きが到来した。
「トウナス仮面、見参!」
 通りの彼方から現れたのは、大量の土塊の下僕達が担ぐ御輿に乗ったトウナス仮面ことノリソン!
「そこなカボチャマンよ! 覚悟するでござぁぁ……」
 だがトウナス仮面御輿は低く伸びていく音を残し、そのまま駆け抜けていった。
 どうやら下僕への指令にミスがあったらしい。
「カボチャマン! 今度こそ覚悟おぉぉぉ……」
 あ、また。
 誰もが声を失っている中、トウナス仮面御輿が幾度も街路を往復する。
 だが下僕の効果時間が尽きようとしたその時、ようやく最後のカボチャマンが現れた。
「カボチャマンリザード推参! 町の平和を乱す悪党を退治してくれよう!!」
 ただひとり街路に飛び出したカボチャマンリザードことロンが、爆走御輿を真っ向から迎え撃つ!
 トウナス仮面御輿はロンの蜘蛛糸に見事絡め取られ、ようやくその爆走を止めた。

 こうしてカボチャ祭を脅かす悪は潰えた。
 ありがとうカボチャマン!
 焼き芋愛好会プラスアルファの爆走を止めた君達の活躍を、フィーネの人々は決して忘れない!!


マスター:藍鳶カナン 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:36人
作成日:2006/11/03
得票数:ほのぼの2  コメディ23 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
 
双天牙・マサキ(a21623)  2010年06月30日 22時  通報
今、一連のシリーズを読み返して気づいた
女の子からの求婚から逃げることがお決まりのパターンになったのはここからか(笑