【無人島開拓計画!】灯台調査



<オープニング>


 無事に依頼人の視察も終えて、しかも優良な水源まで発見できた。ここに来て開拓はますます前進してきている。この調子でどんどんと新しいものを見つけたいところだ。
「今回は、前回に見つけた灯台の調査ですね」
 ドリアッドの霊査士・シィル(a90170)が集った冒険者たちを見渡す。持ち帰られた灯台の外壁から霊査した結果、なにやら生物がいる模様だと判明していた。
「ちょっと今までとは一味違う相手かもしれませんね。単なる動物の形じゃなく、モンスターっぽいんですが……。羽もあって、鋭い牙や爪もあって……。ひょっとしたら島の生物ではなく、空から飛んできて居ついたのかもしれません」
 モンスターを相手にするのは初めてのはずだ。しかし今後、そういうことがないとは限らない。予行演習としていい機会だろう。
「灯台の中に何があるのかはわかりませんが、敵を倒してからゆっくり調査するといいでしょう。頑張ってくださいね」

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参加者
六風の・ソルトムーン(a00180)
古き神の使徒・サビル(a00958)
剣難女難・シリュウ(a01390)
月夜に舞い降る銀羽・エルス(a30781)
うたかたのゆめ・ロン(a33766)
夢想歌の歌姫・ソレイユ(a33840)
珊瑚礁の歌姫・メルフェイス(a36190)
道楽娘・ガザミ(a42279)
魂に刻めその旋律・レシュノ(a45112)
灰色の岩山・ワング(a48598)
春風に舞う鈴の音・アンジェリカ(a48991)
根性戦士・ウォード(a54098)


<リプレイ>


 冒険者たちは前回切り開いた道筋を辿り、泉で小休止してから灯台へと足を運んだ。灯台は岩盤の突き出した岬のような地形にポツンと建っていた。眼下には穏やかな波を起こす碧海が十全に望める。
 灰色で四角い石造りの灯台はそれほど異様な高さではなく、10メートルに満たない。おそらくは3階建てか。幅は横、奥行き共に直径20メートルほどある。そして頂上の外周には壁がなく、等間隔で円柱が並んでいる。無論、灯りが漏れるようにするため。春風に舞う鈴の音・アンジェリカ(a48991)は初めて見る灯台に少し嬉しくなった。
「ふむふむ、今までの調査の内容は理解した。灯台があるということは、船舶の技術が達者な者たちであったのであろうか?」
 初参加の六風の・ソルトムーン(a00180)が顎をしゃくる。確かに灯台があるということは、必然的に船と結びつく。いずれにしても、それなりに高度な文明があったのだろうとうたかたのゆめ・ロン(a33766)は思った。
 一行はすぐには突入せず、ひとまずは外周を見て回った。入口はひとつだけで、壁には取っ掛かりもなく、羽根でもない限りよじ登るのは無理だ。月夜に舞い降る銀羽・エルス(a30781)は灯台の建築様式から何かわかるかもと考えていたが、これといった特徴は見受けられなかった。
「とにかく、中に入りましょう。何か手がかりがあればいいですが」
 剣難女難・シリュウ(a01390)が言った。入口は目の前にぽっかり開いている。一行はいつでも武器を振るえる用意をして、歩みを進めた。
「どれくらいの明るさか、わからないっスからね」
 魂に刻めその旋律・レシュノ(a45112)がホーリーライトを照射した。1階や2階にも採光用の窓などは見られるので、完全な暗闇ということもないだろうが、念のためだ。
 いざ進入した冒険者を待っていたのは、埃とカビの臭いでいっぱいの空気だった。窓はふたつだけでやはり暗め。本来はランプなどで明かりを取っていたのだろう。隅には石でできた机と椅子があり、さらに倉庫と思しき部屋も見つかった。だが今はモンスター退治を優先し、ひとまず無視した。
 中央の階段を上がっていく。2階はまったく何もないフロアだった。ただがらんとしているだけ。
 しかし、気配。そして冒険者たちは異形を目にする。
 フロアの隅に座るそのモンスターはわりと小柄だった。老人のように皺だらけで土色の皮膚をしている。背中にはコウモリのような羽があった。食事中のようで、手には大事そうに果物を持っている。その赤い眼は突如現れた冒険者に驚いていたが、徐々に不快そうに細まった。
 冒険者12人、無言のまま構える。20メートル四方、つまり半径約10メートルのこのフロア、戦うには充分広いとは言えない。戦闘を想定している造りではないのだから当然ではある。

 ――されど、いかなる状況であれ必勝。それが冒険者。

「流石にこの人数では遅れは取らぬよ」
 ソルトムーンは後ろに立ち、重装備でない者を庇う役目に徹する。絶対に傷つけさせはしないと鉄の意志を固めた。
「キイー!」
 モンスターは体を縮めたかと思うと低姿勢で突っ込んできた。もともとの小柄がさらに小さく見え、皆うかつにも反応が遅れた。古き神の使徒・サビル(a00958)をはじめ、前衛メンバーの脚を鋭利な爪が切り裂く。流水撃のような無駄のない動き。
「フッ――!」
 シリュウが稲妻の闘気を剣に帯びさせ、斜め上から振り下ろした。これを受けるのはまずいと感じ取ったのか、敵は防がず退いて避けようとした。剣の切っ先がかすり、薄皮一枚傷つけただけ。敵は痺れず、その場から離脱しようとする。
「後ろには手を出させない!」
 キルドレッドブルーと融合したサビルは怪我に構わず、空気を焦がす魔炎の鉄拳を連発する。モンスターの胸の皮が焼けて、醜い火傷を作った。地にまみれさせる暇を与えず、ロンが狙い定めて粘り蜘蛛糸を放つ。絡め取られた敵はキイキイと唸った。
 この間に根性戦士・ウォード(a54098)がエルスに鎧聖降臨を施し防御を高め、灰色の岩山・ワング(a48598)も同じく夢を唄う歌姫見習い・ソレイユ(a33840)の守りを強化した。戦闘においては術士の守護を重視する戦団が多いが、彼らも同様であった。
 モンスターはまだ動けない。エルス、レシュノ、アンジェリカ、珊瑚礁の歌姫・メルフェイス(a36190)、ソレイユが5人同時に黒炎覚醒した。ホーリーライトと相反する黒いオーラの競演。気温が上がり、モンスターは汗を浮かべている。
「攻撃は頼むでー」
 後方の道楽娘・ガザミ(a42279)は自身に鎧聖降臨を発動し、特に上方に気を配った。瞬く間に後衛に跳ばれるということもありうる。
 まずは様子見と自己強化に終始した1順目。本番はこれから。
 と、モンスターは拘束が解けてしまった。せいせいしたように声を張り上げ、真横に跳躍する。
 向かった先は壁だった。そして到達すると、三角飛びの要領でさらに速度を上げた。モンスターは水平飛行で後衛に向かっている。
 シリュウの剣に鎖が生まれ、超スピードで射出される。モンスターの羽根を切り裂いたが、深手には至らない。モンスターは冒険者たちの背後の壁を蹴り、そのままの勢いで、一番近いレシュノの首筋に噛み付こうとする。目まぐるしい移動に誰もが対処が遅れている――。
「そうはさせんっ!」
 ソルトムーンが間一髪のところで間に入った。有言実行してこそ真の武人。右手首に食い込んだ牙を振り払うと、怒りの鎗斧で敵を切り上げる。小柄な体躯が放物線を描いて、冒険者たちの中心に落ちた。着地直後、前衛のサビルが下がってきて斬鉄の蹴り上げを食らわせる。モンスターは血を散らしながら、戦闘開始時の位置まで飛ばされた。
 今のでかなり体力を奪えたはず。あとはじっくり攻めればいい。そう考えたロンがもう一度封じ込めようと蜘蛛糸を繰り出したが、敵は横に転がり寸前で回避した。敵はまだまだ戦意が衰えていないらしい。ウォードとワングは先刻同様、鎧聖降臨でアンジェリカ、レシュノ両名の防御を高めた。
「アンジェリカ様、ソレイユ様」
 エルスがアイコンタクトを取る。彼女の両手を邪竜導士最強の炎が纏っている。意図は明白だった。
「OKですよ。ふふー、お姉ちゃんになった気分♪」
「そんじゃ、いっちょ決めたろか!」
 エルスが正面からデモニックフレイムを、アンジェリカとソレイユがその脇からブラックフレイムを撃ち放つ。3つ合わさった巨大な黒い炎はとても避けること敵わず、モンスターの全身を覆いつくした。
 痛烈な悲鳴がフロアに響く中、レシュノは高らかな凱歌で傷を負ったメンバーを包み、癒した。さらにメルフェイスが念じながら内なるダークエネルギーを練る。
「我意は呪縛の暗鎖と変じて、数多の者どもを縛さん――」
 両腕を突き出すと、幾本もの暗黒の鎖が強襲し、縛り上げた。モンスターは肉と骨を軋ませて絶叫した。相変わらずの凄まじい威力である。ガザミはおおと感心しながら、反動で動けないメルフェイスの防具を変形強化させる。
 これが最大のチャンス。サビルが無言のままに突っかけ、モンスターの腹に二度目、そして最後となる斬鉄蹴を叩き込んだ。
 モンスターはしわくちゃな顔を一層歪ませ、血ヘドを吐きながら、よろよろと後退していく。力なく壁に背を預けると、ずるずると尻から落ちて頭を垂れた。もはや動く気配はなかった。


 いったん外に出て、モンスターの骸を適当な場所に埋葬した。今後のために、襲来してきたモンスター専用の墓場なども必要かもしれない。
 ともかく、ようやく調査に入れる。一行は息をつくと改めて灯台を見上げた。
「うちは海を調べてみるねん」
 ガザミがふいに言った。崖下の海中に何かあるのではと考えたのだ。時化てはいないしリザードマンだし(?)、好きにやらせてみることにした。
 残った11人は予定通り灯台に戻り、まず3階に上がった。
「うわ……」
 ウォードが思わず溜息を漏らす。円柱の隙間から空と海の輝きが滑り込んできた。目の前に現れた青は、崖の上から見るより遥かに美しく、皆たちまち先の戦闘の疲労を忘れて見入った。エルスは弁当を広げながらの遠見と洒落込んだ。灯台というよりは展望台として利用できるかもしれない。
 肝心の灯りは、中央に4箇所集まっている台に灯すらしい。台は何の変哲もなく、特別な仕掛けは見られない。燃料はどうしてたのかとワングは思ったが、具体的なことはわからなかった。
「うーん、絶景っスね」
「何か見えないかなー?」
 レシュノとアンジェリカは落ちないように端に寄って、彼方に目を凝らしている。海の方は水平線が広がるばかりだが、陸側に建物の残骸らしいものがいくつか見えた。かつての住居かもしれない。次回はあそこが探索候補になりそうだ。
 ここで待つと言うレシュノとアンジェリカを残し、皆は1階に降りて本命の調査に入った。調べるべきは倉庫だけ、そう時間はかからないはずだ。
「色々見つかるといいわね」
 そう言ってメルフェイスが扉に手をかけたが、経年により立て付けが悪化しているらしく、開かない。相談の上、やむを得ずサビルが斬鉄蹴で破壊した。
 中は思ったより整っていた。石の長机がひとつと数個の椅子、あとは書物を収めた棚が壁の一面を支配している。他は窓から潮風とかすかな光が入ってくるばかり。
「灯台は外敵がいる場合に標的になりやすいので、対策の為に武器庫や身を隠すための部屋などを作ることが多いと聞くでな。先の遺跡の話を聞くに蛮族と呼ばれる敵がおり、襲来したならば灯台は格好の標的となったであろうし……」
 ソルトムーンがハルバートで棚のない壁を突く。確かに何か隠されていそうな雰囲気がある。
「む、これは」
 ロンが声を上げた。棚から1枚の羊皮紙が見つかったのだ。古びているが解読に支障はなく、そこに描かれているものがはっきりとわかった。
「島の……地図のようですね」
 脇から覗き込んだシリュウが帽子の下で目を見開いた。これがあれば、もう行き当たりばったりで行動する必要もない。皆、嬉しさに満ちた微笑を漏らした。
「こっちには日記みたいのがあったで」
 ソレイユが別の棚から冊子を持ってきた。おそらく灯台守のものだ。机に置き、手の空いた者全員で見る。最初のページにこうあった。

 ○月×日
 本日、灯台を建築することに決まった。
 今使っているような魚捕りの小舟よりも、
 遥かに大きな船を作れるはずだと長老は言う。
 それが本当なら、いつかは作って乗ってみたい。
 だからその時のための標識を、今のうちに建てるのだ。
 ずいぶん大変そうだが、頑張ることにしよう。

 これが灯台建築の理由らしい。いつか大海原を航海する時のために――何ともロマンチックだ。結局灯台が船のために機能することは、一度もなかったわけだが――。
 灯台に灯をつける方法も書かれていた。この島には火を燃やすのに最適な植物があるらしく、燃料の作り方が詳しく記載されている。そのうちに試そうということになった。
 その時、ソルトムーンが皆を呼んだ。壁の一部が奥に押し込まれている。本当に隠し部屋があったのだ。
 そこはほんの2メートル四方の小部屋。中には一振りの長剣が立てかけられていた。なかなかにデザイン性が高い。切れ味も鋭そうで、この島一番の武器かもしれない。かつてこの島を支配した蛮族は気づかなかったのだろうか。
「お、何か見つけたんか?」
 ガザミが戻ってきた。あいにく海中に目に付くものはなかったようだ。

 隠し部屋はこれだけのようで、一行は外に出た。潮風が一層気持ちよく感じられた。
 今回は地図という予想以上の収穫があった。今後はじっくりと計画を立てて探索することができそうだ。


マスター:silflu 紹介ページ
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参加者:12人
作成日:2006/11/12
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