≪笑顔の調査隊〜解き明かせ真実〜≫地下室の怪



<オープニング>


 探検隊の皆で掃除し、ようやく住まいとして機能するようになった湖畔ちかくの古びた屋敷。
 その地下には、いまだ手を入れていない小部屋が沢山ある。大きな屋敷を捜索しつくした皆の探究心は、やはりそこに向かうのであった。
「ねえ、今度は本格的に地下室を探検しない?」
 笑顔のヒーロー・リュウ(a36407) がサロンに集まる団員に提案すると、そりゃいいやと皆目を輝かせて頷く。
「何時行くのですか?」
 小さな探究者・シルス(a38751)が訊ねると、皆の準備が整ったら何時でも、と返る。
「楽しみね。あの地下には何があるのかしら」
「みんなで探検だね、楽しみなんだよ」
 蒼海の水面・キュール(a36040) がにこにこ笑顔で言うと、楽しそうに踊ってる・シロップ(a52015)も頷いて。
「いよいよかなぁ〜ん? 腕が鳴るなぁ〜ん!」
 森羅万象の野獣・グリュウ(a39510) が力こぶを作って見せる。

 やがて用意を済ませ、皆は連れ立って地下に降りていく。暗く沈んだ風景は灯りがあっても隅々までは見渡せない。かさり、と乾いた音とともにぶうんと低い羽音が……いくつも重なり。
「皆、気をつけて! 虫が集まってきた!」
 リュウの鋭い警告に、団員達は己の武器を構え、そして戦いが始まった!

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参加者
幸せを呼ぶ黒猫・ニャコ(a31704)
蒼海の水面・キュール(a36040)
笑顔のヒーロー・リュウ(a36407)
小さな探究者・シルス(a38751)
森羅万象の野獣・グリュウ(a39510)
美しい花を見守る白雲・フラレ(a42669)
依頼依存症・ノリス(a42975)
楽しそうに踊ってる・シロップ(a52015)
NPC:春風色の自由な翼・ミントレット(a90249)



<リプレイ>

「今回は以前に『笑顔の調査隊』 本拠地(?) の屋敷を大掃除した時に見つけた地下室の本格調査なぁ〜ん!
 以前調べた時はつづらから虫の大群が出てきて、あわてて逃げ帰ったなぁ〜んね。
 今度こそ徹底的に調査なぁ〜ん」
「誰に向かって説明してるんですか、グリュウ先輩」
 森羅万象の野獣・グリュウ(a39510)が真面目な顔をしてあらすじ(?)を説明するところを、春風色の自由な翼・ミントレット(a90249)が不思議そうな顔で突っ込む。
「な、なんでもないなぁ〜ん。行こうなぁ〜ん!」

「地下にこんな空間があったなんて、これはちょっと、本格的に探索しないとね〜」
「何があるのでしょうねぇ、楽しみです」
「えへへ、ボクも楽しみなんだよ」
 興味津々の笑顔のヒーロー・リュウ(a36407)と満面の笑顔のネタを・フラレ(a42669)、称号通り今にも踊りだしそうな楽しそうに踊ってる・シロップ(a52015)の言葉に、
「繋がってる先は、海だったり山だったり火山だったりするかもしれないにゃ。とってもわくわくするにゃ」
 幸せを呼ぶ黒猫・ニャコ(a31704)が壮大な夢を語り。でも虫は苦手にゃぁと猫の尻尾を垂れる。
「皆で探検は嬉しいけど、私、昔から虫と肝試し苦手なのよ」
「大丈夫、一緒に行きましょう。それにちゃんと調べて、掃除もして来ないといけませんしね」
 既に涙声の蒼海の水面・キュール(a36040)を励ますように小さな探究者・シルス(a38751)が手を握った。頼もしそうに隣を見やるキュール。

 そうして一行は地下へ続く扉を潜り、探検へ向かうのだった。

●地下室とむし
 一行は階段を下り、地下へ降り立った。前へ立つのはカンテラを提げたリュウとフラレ。そして……。
「やっぱり両手は開けておきたいなぁ〜ん。ここはホーリーライトで……な、なぁ〜ん!?」
 ぽっと頭上を光らせるグリュウ。
 ぶぶぶぶ……。
 何だか悪い予感のする音が、光へ向かって殺到した!

 光の中に浮かぶのは形、色、大きさいろいろの虫の大群である。中には数匹ほどみょーにでっかい姿の虫もいる。変異体かも知れない。

「な、なんで私のほうによって来るんですカー!」
 声を裏返らせフラレは虫嫌いの女性陣を避けて脇の方へ。しかしカンテラを持っている為そちらにも虫は襲い来る。虫は光に集まるのである。
「む、虫なんて、こ、怖くないにゃ。ニャコちゃんは蛍飼ってるにゃ」
 ニャコは冷静なふりをして、しかしぷるぷる震えながらたくさんの虫に向かい黒き針の雨を向けた。
「キュールさん、さがってて下さい」
 シルスもキュールの前に出て紋章を描き、光の雨を降らす。
「シルス君、ありがとう。でも、どうしてこんなに虫が一杯居るのかしら?」
 せめて被害を軽減しようと巧みな武器と体捌きで虫を避けながらキュールは首を傾げる。それに答えられる者は、この場には居なかった。
「唸れ、ダークソウル! ……うわ〜。何かいっぱいついてる!」
「一気に叩くなぁーん……! 拳に何かついたなぁ〜ん」
 虫の苦手でないリュウとグリュウは積極的に前へ出て剣を薙ぎ払い、あるいは拳を向けて光の雨を降らせ、全体を攻撃していく。
「う、……何か、黒いものとか、太古の昔から生き続けた触角が長いものがいたような気がするけど」
 そんな中、光の中に何かを見出し、依頼依存症・ノリス(a42975)は思わず後ずさった。
 ぷち
「い、いまあしも……うわあああ」
 混乱したノリスはそのまま暗がりに突進する。同時にその存在に気付いてしまった二人は。
「き゛に゛ゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「いやー、こないでー!」
 ニャコは魂からの叫びのように狂気の歌をこだまさせ、キュールはやみくもに剣を振るっては衝撃波を飛ばす。
 いやなものに対する拒否反応からの攻撃であったが、それはすさまじかった。
「ミントお兄ちゃん、なんかすごい声が聞こえるけど、みんな大丈夫かなぁ」
「さ、さあどうだろうねぇ……」
 背後で回復に専念するシロップとミントレットは、虫にひっつかれながらも何だか平和そうにのたまった。

 虫嫌い二人の猛攻もあり、やがて大方の虫が片付く。前に出た者達が後で洗濯しないととしょんぼりしたり、
「ほらほら、シルスお兄ちゃん。虫さんの生き残りが背中をよじ登ってたよ。かわいいね」
「シロップちゃん、虫をこっち持ってきちゃ駄目〜」
 シロップがシルスに虫を近づけ驚かせたりしたものの、フラレが蜘蛛糸で虫達を一斉撤去し、とりあえずの平穏を得た。
 だが、シロップはめげない。
(「えへへ、こっそり虫さんを連れて帰って、飼ちゃお」)
 シロップがマントに隠そうとしたそれは、あっさりシルスとリュウに発見されて置いていかれたようだ。

●地下室はワンダーランド?
 一行はカンテラとグリュウのホーリーライトの灯りを頼りに、地下室の探索を開始した。地下室は頑丈な石造りで、石積みのところどころが崩れ落ち、土が剥き出しになっているようである。堆積した埃や壁に打ち付けられた蝋燭立ての錆び具合を見ても、閉じられてからそれなりの年月が経つ事が分かる。実際上に住んでいて気付かなかったぐらいだから、設置してみたものの閉鎖したまま屋敷を住居として利用していた可能性が高い。
「随分長く放置されていたようですね……」
「そうだね。とりあえず一通り回ろうか」
 フラレとリュウがカンテラで通路を照らす。扉もいくつか見つかるが、あちらこちら、曲がり角が見えるのが気に掛かる。
 まずは通路を見回った。壁に突き当たったり、隠れた扉を見つけたり。あげく迷ったり。
「あら、ノリスさんはどうしたのかしら」
 ぽつぽつと扉の中を調べる途中、キュールが首を傾げる。そういえば、虫との戦闘からこちら姿を見ないような。皆は顔を見合わせる。

 部屋の中には、特別変わったものも存在した。
「うう、何が原因で臭うんでしょう?」
 扉を開けてすぐ、それに気付く。鼻が曲がるかと思うぐらいくさい。後で換気しようと考えながらも、シルスは鼻を摘んで顔をしかめる。
「くさいよぉ。羽に匂いがついたらどうしよう? フラレお兄ちゃん」
 シロップも臭いに閉口しながらフラレを見上げた。中を照らして見ると、端の方に臭いの原因らしきものを見つける。積み重なるたくさんの箱と、箍が外れ、壊れた樽。
「……ワイン樽かにゃあ」
「食糧庫でしたか。樽が壊れた時に色々混じってしまったのでしょう。……先を急ぎましょう」
 ニャコの言葉にフラレが料理人らしい見解を添えた。

「あれ? 天井の辺りに何かあるよ? 引っ張ってみよ」
 リュウがそれを引っ張ったのは、ある意味無意識の行動だった。
 ボタンがあったら押してみたい。紐があったらとりあえず引っ張る。……好奇心には勝てないものである。
 ぐいっ。ドサドサバサバサ
 音を立てて埃まみれの網が皆の上に落ちてきた。もわっと舞い上がる埃で、視界すら曇る。
「くちゅん、こんなところは、くちゅん、早く、くちゅん、抜けるのにゃ」
「くしゅんくしゅんくしゅん」
「はくしゅんくしゅんくしゃみがくしゅんとまりませんくしゅん!」
「くちんくちん、埃いっぱいだよぉ」
 慌てて長年の埃を吸い込んだ網から抜け出す一同。皆涙を浮かべて咳き込む。
「もう、無茶しちゃだめだぞ」
「キュールさん、大丈夫ですか?」
 リーナがリュウをたしなめつつそっと咳を止めてやり、シルスはハンカチをマスク代わりにしてキュールを救出している。
 慌てて埃だらけの空間から避難する。

 皆盛大に咳き込んで体力を消耗したように感じつつも、まだまだ探索は続く。
「うう、なかなか危険な迷宮なぁーん。注意して進むなぁ〜ん」
 咳き込みながらまた上から何か降ってこないものかと、頭上を光らせグリュウが天井を見上げていると。
「……師匠、上ばかり気にしてると足元のねばねばに引っかかるにゃ」
 ニャコの指摘通り、べったりと、足が何かにくっついた。
「な、なぁ〜ん? 上に注意をひきつけておいて下に罠……恐ろしいなぁーん」
 予想外の出来事にグリュウが白目で驚愕する。
「何、ここ。動けないよ〜」
「何でこんなところに鳥もちがッ。羽根が、私の羽根にねばねばが〜!」
 その間にも、とりもち状のなにかに足を取られたキュールに、躓いたフラレ、あちこちから悲鳴が上がる。どうも、通路自体に罠が仕掛けられていたようである。埃などで粘着力は低下しているものの、なかなか侮れない罠だった。
 さらに。
「あれ、動けないよ? でも、グリュウお兄ちゃんを見下ろすなんて、不思議な感じだよ。ヤッホー。」
 ぼーっとしていたらしく体が浮かび上がって、ぺったり天井にくっついたシロップは楽しげに皆に手を振る。
「シ、シロップちゃん?」
 ミントレットは目を丸くして天井を見上げる。何ともシュールな光景だ。
「はぅう、しっかりしてー」
 慌ててシルスが皆と協力して天井から引き剥がした。

 次の扉を開けた。そこはからっぽの部屋だ。向かいに扉が見えた。一行はその扉の先を確かめる事にする。
 次の扉も、また次の扉も。崩れかけ、土砂が半分を占める部屋もあった。場所によっては小刻みな段差があったり、何故か小さな穴が無数に開いていたり、不審なスリットがあったりもしたが、確認すると全てが人が居て何かしら動かさないといけないような、小さな細工ばかりだった。
「……何を考えて作ったんでしょうねぇ」
 ミントレットが途方に暮れた声を出す。確かにこうも続いてくれると、作った者の意図を疑わざる得ない。

 様々な罠を潜り抜け、ようやく、何かの文献が見つかりそうな部屋を見付けた。
「ここは手分けして探そう。僕とリーナはこっちに回るね♪」
 リュウの提案で皆はいくつかに別れ、沢山の棚で区切られた大きな部屋の捜索に掛かる。
 光源の関係もあり、最初は3つに、途中先に到着していたのか棚を攫っているノリスに出会い、光源が増えたため4つに分かれる。

 分かれた中でも、色々と悲喜こもごもに起こっていたようで。
「…うわ、迷っちゃったよ! でも悩んでも仕方ないよね。行こう、リーナ!」
(「リュウの手って、意外に大きいんだ」)
 リーナは手を引かれながらそう思った。

「棚の中で変な物みつけたよ。コレ何、リーナたん?」
 シロップは興味が引いたものを次々掴んではリーナに聞く。

「うわわ、キュールさんどこですかー」
 シルスは転んだ拍子にキュールの手を離して、きょろきょろと姿を探し。

「おかしいですね。まるで同じところをぐるぐると回っているような」
 フラレは中心付近の棚に迷い込んだようで、入り込んだ一人分ほどの隙間に気付けず、ぐるぐると同じところをしばらく回っていた。

 捜索の結果分かった事だが、棚の殆どは空である。ぽつぽつと取り残しのように物が残っている事があったが、元の住人の持ち物であったか、着古した外套や錆びた装飾品、なまくらの刀剣類など、使えない物が多い。
 ノリスも目ぼしい物は無いかと探していたが、数が少ないうえに殆どの本は湿気で痛み、虫食いによって判読が難しい状態のようだ。かろうじて読める物も現在でも入手に足る物ばかりで、希少な物は見当たらない。洗いざらい移動したか、あるいは既に、誰かに探られた後なのか。
 ……結局、手元に残ったものは、一枚の羊皮紙のみ。
 そこにはこう書かれていた。

『この下も奴らに占拠された。
 厳重に封印したのでそうそう奴らも出ては来れないだろう
 だが、先祖代々受け継がれた迷宮探検競技が、私の代で出来なくなるとは。
 願わくば誰かが迷宮を取り戻さん事を』

●地下室はまだ続く?
 皆はひとまず休憩を取る事にした。羊皮紙には簡略な地下の説明が残されている。どうやら、この地下室から下にも迷路が続いているらしい。階層はそう深くなく、やがては外部に続くようであるが。
 道は見付け出した。シロップが何気なく引いた、本に偽装されたレバーで固定されていた部分が外れ、棚が横にスライドすると、そこに階段が続いていたのだ。
 とりあえず本棚を元に戻すと、閲覧用か、部屋の一角にあったテーブルと椅子を持ち出して腰を落ち着ける。
「まんもー肉とか非常食とかも持ってきたから一緒に食べるなぁ〜ん」
「ミントお兄ちゃんのイチョウのお茶を水筒に持ってきたんだよ」
 テーブルの上に置いたほの明るいカンテラの光に照らされ、グリュウの食糧とシロップの持って来たお茶を分けて、皆は羊皮紙を囲む。シロップはミントレットの隣に座って、えへへと笑った。
「探検競技って? この迷路って、何かの競技の為に作ったのかなぁ……」
「奴らって……やっぱりアレですか?」
 皆の頭に浮かぶのか共通のイメージ。Gとかゴとかつくアレである。
「でしょうかねぇ……ではこの下にもさらにアレが?」
「……いやよぉ。またアレと戦うのぉ?」
「へ、平気だにゃぁ」
 ぼそぼそと話し合う中でも、どこか疲労感が見えている。きっと帰りにも少なからず待ち構えているだろうし。
「まあ……一通り探検も終わりましたし、掃除でもして帰りましょうか」
 にこりと微笑んだフラレの言葉に、皆は重い腰を上げた。
 とりあえず大きな本棚は、確保した訳だから。

 掃除に明け暮れて、ある程度の目処が付いたところで皆は上階に向かう。

 ……そうして、地下室の探検は幕を閉じた。


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