【萌えフェチ団】濡れ濡れを夢見て



<オープニング>


 ――男、否……漢には誰にだって夢がある。
 叶えてみたい夢がある。
 それが自分の趣味……フェチに繋がるものなら、なおさらの事。
 ならば、叶えようではないか。1人では難しい事も、複数集まれば力となる。
 ストップの合図、みんなで崩せば怖くない。
 集まれ同志よ! 目指すは最高のフェチシズム!
 フェチこそ、漢の最高の夢なんだ……!!

 昼下がりの酒場。そのカウンター席の奥の方で、荒野西部の霊査士・ライト(a90286)が冒険者達を集めて依頼の説明を行うところだった。集まった面々を見て、ライトはひとつ頷いていく。
「ん、集まったみたいだな。それじゃ説明するが……グドン退治とか、そう言う類じゃない事だけは先に言っておく」
 そう先に注意事を述べると、ライトは早速依頼の説明に入った。
「まぁ、早い話が奇怪な行動をしている男集団をひっ捕らえてきて欲しいんだ。どうも街の自警団じゃ手に余るようでな……」
 そう話を切り出し、説明を続けていく。
 ――なんでも最近、街に夜な夜な現れては女性にバケツ一杯の水をぶち撒けて、その全身を濡れ濡れにさせていく集団が出没したらしい。
 最初は自警団が警備に当たっていたのだが……なぜか、自警団の警備情報が漏れているらしく、警備のない所で事件が多発、騒ぎを聞きつけた頃には被害が拡散している……という始末。
 しかもその集団は調子に乗り出したのか……濡れ濡れにしたその衣装を脱がしては強奪するという悪行まで働き出した、との事。
「そこで俺たちに白羽の矢が立ったわけだが……霊視した結果、集団の人数は5人。内、実行しているのは4人だ。後1人がどこにいるかは掴めなかった。だが、次奴らが襲う場所はわかったから……実行犯をとっ捕まえて、仲間の居場所を吐かせて、ついでに説教してやって欲しい。これが今回の依頼だ」
 ライトがそこまで説明し終わると、霊視の際に見えたものの追加説明が入る。
「あー……それで、だな。なんでか霊視では実行犯達が濡れ濡れになった女性の姿を見ては、なんだか興奮をしているようだった。よくは分からんが……まぁ、気をつけてくれ。とりあえず、この依頼……受ける奴はいるか?」

マスターからのコメントを見る

参加者
朱い翼・ナミ(a10048)
ヒッポロ系ニャポーン・カエネ(a15341)
黒き疾風の花嫁・マーシャ(a26614)
手紙屋・フゥ(a39727)
苛烈なる壮風・ラグニス(a40885)
紅の魔女・サレナ(a46398)
黒き薔薇の怪人・シャルロット(a55770)
剣より解き放たれし者・シュテ(a56385)


<リプレイ>

●冒険者VS萌えフェチ団 〜下準備〜
 不埒な集団が犯行を行うとされる当日……すでに陽の高い内から、依頼を受けた冒険者達による作戦の準備が進められていた。
 現場となるであろう路地街には、剣より解き放たれし者・シュテ(a56385)、スリルシーカー・フゥ(a39727)、紅の魔女・サレナ(a46398)達が現場の確認に訪れていた。
 集団の各人を捕らえるに最適な場所、罠を仕掛けるに適した場所、そして身を潜めるに一番いい場所などを探るためである。
「ふム……ここハこうなってルかラ、あそこガああなっていル……成程」
 後々バリケードを張る予定の、苛烈なる壮風・ラグニス(a40885)へ情報を交換するため、しっかりと地形情報を頭に叩き込んでいくフゥ。時折、メモなんかをとっていた。
 走るのが嫌いなサレナは、襲撃予定地点付近で連中が通るであろう場所を探し、そこに身を潜めるに十分な箇所があるかどうかを調べていた。とはいえ、ハイドインシャドウを使う予定なので、申し訳程度の場所を探していたのだが。
 シュテは……とにかく現場になりそうな場所を歩き回っていた。地理を頭に叩き込んで、入り組んだこの路地裏を自由に歩けるように。
「自分が迷子にならないように、注意しなきゃ……」
 そう何度も呟き、注意深く歩き回り続ける。さすがに、作戦前に迷ってしまったらもともこうも無い。
 ――屋根の上にも、冒険者の姿はあった。黒薔薇の怪人・シャルロット(a55770)である。
 どうやら彼は、上から連中の動きを探れるようにと屋根の状況を調べているようだった。
 ……そうやって現場確認班が現場を確認している中……もうひとつの班も、連中を捕らえるべく行動を起こしているわけで……。

「――Dead or Destroy!! 奴らの道はこの2つのみよっ!!」
 性犯罪者の存在の抹殺に始まり、破廉恥の撲滅、変態は極刑確定、不埒者は即・滅・斬の名の下に斬り伏せる……と、まるで強硬派の演説するが如くに力説しつつ、最後はその言葉で締めたラグニス。
 それを聞いて圧倒されていたのは、朱い翼・ナミ(a10048)、眼鏡戦隊メガネンジャー・マーシャ(a26614)。さすがに力説中は圧倒されていたが、不埒者とはいえ一般人は殺しちゃいけない……と、必死の説得。
「……ああもぅ、分かったわよっ! 殺さなければいいんでしょ……仕方ないわ、命『だけ』は助けてあげる」
 何とか説得に応じたラグニスの容赦ない言葉に、ナミとマーシャは苦笑いを浮かべるしかなかった。ちなみにこの一連の動きの間、ヒッポロ系ニャポーン・カエネ(a15341)は3人の後方の方でこけてばかりで、距離が離れていたり。
「ナミさんナミさん、ぜひとも白いワイシャツを期待してるっちゃ! 大きめのダボダボだったらポイント高いっちゃよ!」
 やっとこさ追いついたカエネが、ナミにそう言う。マーシャも続くように「ナミさん、とっても可愛いのです〜。囮ふぁいとー!」と応援とも思えないような応援の声が。
 ……そう、今回の作戦において一番重要と思われるポジション、『濡れ濡れになる囮』にナミが志願したのだ。
 理由はその実に中性的な外見。男ながらも、ボーイッシュな女性としか思えないようなその外見に、満場一致で志願が通ったわけである。
 現在彼は純白をコンセプトに、ボーイッシュな女子の外見に磨きに磨きをかけた格好をしていた。薄手ながらゆとりのある前開きのコートを羽織っており、中にはカエネリクエストの白いワイシャツ。どちらも、濡れれば確実に肌に密着して肌色っぽく見えるように工夫がこさえてある。
 もはやその筋の人が見れば、濡らしたくなる事請け合いの着衣であった。常にそうなるよう意識しつつも、一方で寒さ対策として水泳用サポーターをきつく付けていたりもしていたが。
 さて……現在そのナミがどこにいるかというと、街の賑やかな通りである。ここでナミの存在を存分、かつ自然にアピールして標的になるためだった。
 とにかくナミを目立たすように、他の3人も自然を装いながらウィンドウショッピングや買い食いを楽しむ。傍目から見れば、仲良し女の子4人組に見えるだろう。
 時折、男の通行人が女の子達の可愛さに振り向いていく。その度に、ラグニスのきつい視線が飛んでいくのだが。
 勿論……連中がその可愛い子を逃すはずが、無かった。

 路地裏の影……4人の男が、こそこそと話し込む。
「同志よ……見たであるな?」
「ああ、でらベッピンな女子でござった」
「今夜はあの、濡らし甲斐のありそうな女子がターゲットですな?」
「了解した、それでは小隊長に報告して自警団の動きを鈍らせてもらい……我々は行動に移ろう」
「――では、今夜再会しよう……健闘を祈る。1人では出来ぬ事も、皆ならできる。ジーク・フェチズム!」
「「「ジーク・フェチズム!」」」

●冒険者VS萌えフェチ団 〜路地裏決戦〜
 ――時は暫く経って、夜の帳が落ちだした頃。
 ひとつの影が、いそいそと路地裏を抜けようと早足で進んでいた。
 そしてそれを狙う、水のたっぷり入ったバケツを持った影……。
 人影はふと止まり、化粧直しだろうか……その場に留まる。バケツを持った影は、その機を逃がすはずが無かった。
「濡れ濡れ姿、もらったぁーーーっ!!!」
 叫び声と共に、ほぼ不意打ちのような形で四方よりバケツいっぱいの水を、ひとつの影――ナミに向かってぶち撒けていく!
「きゃーーーっ!!!」
 ナミの絹を裂くような叫び声。両手で胸を隠しながら、その場に蹲ってしまう。……もちろんこれは、ナミの立派な演技であり、蹲ったのも連中を足止めするためである。
「ふーひーひぃ、その濡れ濡れになった姿……フェチズムに準ずる、正しい姿なり。実に興奮する候」
「せ、性欲を持て余す……ぜひともその服を頂戴して、永遠のコレクションとしようぞ……はぁはぁ」
 青い服と黒い服の男がゆっくり、ゆっくりと……鼻息を荒くしながら近づいてくる。
「い、嫌……お戯れは止めてください……」
 プルプルと小さく震えながら、頬を紅潮させて上目遣いに青服を見つめる……被虐心をたっぷりそそるその姿に、青服含め周りの連中達は絶頂寸前になりそうになる。
 と……そこへ、ナミに向かってさらに水がかかる。予期せぬ5杯目のバケツ水に、男達は何事かとそちらの方を向いた。
 ………そこにいたのは、こけてバケツをひっくり返したカエネの姿だった。全員の視線を一気に浴びつつ……「わざとじゃないっちゃ」と言ってはこそこそ闇に紛れようとする。……こっそり、ナミの濡れ濡れ姿を楽しんでいたのは秘密だ。
 だが、男達にとっては新たな同士の登場だ! とか言っては盛り上がっていた。寂しい男の性である。
「どどどどどど、同士達よ落ち着け! まさか新規女性団員の登場で盛り上がるのはわかるぞぉっ!!」
 てんやわんやしてきた現場……だが、確実に男達の足は止まっている。――今がチャンスだった。
「今すぐこの世から……消えなさいこの変態蛆虫共ぉっっ!!」
 黒服の後方より叫ばれる怒号、そして黒服の背中に刺さる慈悲の聖槍奥義……ハイドインシャドウを使って姿を隠していたラグニスがその姿を見せ、見事な切り込みぶりを見せた。
 当然の事ながら、今の一撃で気絶してしまう黒服。突然の事態に、慌てふためく他の3人。
「お、お、おい……め、メイド服の眼鏡っ子が月夜をバックにして我々に攻撃を仕掛けてきたであるぞ!?」
「おつちけ! おけちつんだっ! こういう時はそう、素数! 素数を数えろ!」
「2、4、6、8、10……」
「そりゃ偶数だっ!」
 そう言い合いながらも、すでに足は逃走態勢。そこへ、ラグニスの冷たい言葉が容赦なく突き刺さる。
「……次に死にたい変態は誰かしら?」
 紅蓮の咆哮が篭った、深く静かな怒声。先にかかっている黒炎覚醒のオーラにより、妙な威圧感が増えていた。
「――ひ、ひぃぃっ!!」
 恐怖に顔を引きつらせ、声を揃えてその場からのエスケープを試みようとする3人。シンガリの白服は、気絶している黒服を担いでの逃亡である。
 だがそう問屋が卸さない。同じくハイドインシャドウを使って身を隠していたサレナが仕掛けていた、トラップフィールド奥義が発動した!
「お、おわぁぁっ!? ――黒服防壁!」
 必死な者には幸運が宿るのか……赤服と青服はトラップフィールドを抜け出したものの、白服が引っかかってしまった。だが、気絶している黒服を身代わりにしつつ……それをその場に放棄して白服も逃げ去ってしまう。
 そして……身代わりにされた黒服はトラップフィールドによるトラップ地獄を受け、泣きっ面に蜂を実感せざる負えなかった……気絶してるが。
「うぉぉぉいっ!! なんかバリケードが多い気がするのは気のせいであるかぁぁぁっ!!??」
「気のせいではないかと思うでござ……ぎゃああああ!!」
 ――状況を一言で言うならば……もはや戦場の最前線と言った状況か。
 先頭を物凄い形相で走る赤服は、フゥに追いかけられつつ慈悲の聖槍を進行方向に次々に撃たれ、苦手な曲がり角を曲がらざる負えず……掴まるのも時間の問題であった。
 青服の方も、曲がり角に曲がろうとしても、土塊の下僕や設置されたバリケードのせいで思うように曲がれず、直線を走る他無かった。そしてお留守になった足元を、シュテが仕掛けたロープが襲い……見事に引っかかってすっ転んだ。
 そこへさらに、マーシャが仕掛けたトラップフィールドによって追い討ちを仕掛け……それもまた見事に引っかかった。幸運は二度続かないものである。
 白服はマキビシを撒きながらシンガリを勤めていたが、前方の屋根の上から颯爽とその姿を現したシャルロットによって、その進行方向を塞がれていた。
「ふははは! 悪在る処、怪人は現れる!! 粛清っ!!」
 躊躇する事無く、シャルロットは白服へ死なない程度に手加減した殴打を繰り出した! ――口と鼻から血を出し、白服は倒れこんでしまった。
 そして……最後まで逃げていた赤服も、同志の断末魔を聞いて足を止めてしまったところを、フゥの慈悲の聖槍の直撃を受け……気絶するのであった。

●黒幕を捕まえよ
「ぐるぐるぐるっと、いっちょ上がりですぅ♪」
 ――捕らえられた男達は、ロープやら粘り蜘蛛糸やら緑の束縛やらで厳重に拘束されていた。完全に達磨状態である。
「くそ……まさか冒険者が絡んでいたなんて……一生の不覚!」
 悔しそうにそう次々に口にする男達。サレナの作った土塊の下僕によって、踏まれたりされていたが。
 ……と、そこへ騒ぎを聞いてか自警団のメンバーがぞろぞろとやってきた。
「こらぁ! 何の騒ぎですか……って、ええと……?」
 自警団のリーダーらしき男が、現場の状況に首を傾げる。――今回の捕り物劇はある意図の下、自警団には一切知らせていなかったのでそうなるのも無理は無かった。
「えっとですネ、近頃世ヲ騒がしていル不埒な奴らヲ捕まえタところでス。今かラそちらヘ連行しようト――」
「お、おぜうさん!? 大丈夫ですかっ!」
 フゥが自警団のリーダーヘ説明をしていると、自警団のメンバーの1人が濡れ濡れの姿になったままのナミへと慌てて近づいて介抱しようとする。
「はいはい、近づかないでねー。――ところでさ、何か一人足りなくない?」
 シュテがその自警団員を制しながら、全員に聞こえるようにそう質問する。……その質問に、答える者は無し。ただ、男達の様子は心なしか不味そうな雰囲気だ。
「……明らかニ何か知っテますネ。次答えなかったラ、冷水ぶっかけまス。この時期ノ風邪はこじらせるト死にますヨ?」
 そう言うなり、フゥはバケツに汲んでおいた冷水を赤服にかけようとする。
「それでモ答えなイ場合……アタシは何もしなイですガ、他の仲間たチはどう動くカ分かりませんヨ?」
 そう言うと、ちらりとラグニスの方を見る。……すでに滅殺準備を整えつつあった。
「ひぃっ! わ、わかったっ! 言う! そこで介抱しようとした奴! そいつが俺達の小隊長だ!!」
 数重なる脅迫に屈服し、あっさりと白状した白服。視線が一斉にナミを介抱しようとした自警団員に集まる。
「ちょ、おまっ! あっさりばらすんじゃないですって!?」
 声がひっくり返るのも虚しく、冒険者と残りの自警団員達によって、小隊長と呼ばれた自警団員はあっさり捕まってしまった……。

「く、くそぉっ! 俺等が捕まったとしても第2、第3の別小隊がフェチズムを追求するぞぉぉぉっっ!!」
 全員捕まった男達は、街の一角にて晒し者にされていた。簀巻きにされ、『この者達、濡れた婦女に欲情する変態のため逮捕』と張り紙をされていた。ちなみに、今の叫び声は小隊長の虚しき声である。
 これから、ラグニスの提案により公開処刑を行う事になっていた。
 簀巻きにされた男達の前に、ラグニスが鬼気迫るオーラを出しながらゆっくりと近づく。
「――さて、それじゃ死んで頂戴。とはいっても……『男として』死んでもらうだけだから」
 そう言うと、ラグニスは一人ずつ……確実に男の欲望の源の中心部を蹴り潰していく。それはもう勢いよく、完膚なきまでに。
「ぎゃあああああああああっ!!!???」
「のぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ひぎぃぃぃぃいっ!?」
「―――――――――っっっっ!?!?」
「くしヵっっ―――!?」
 5種それぞれの言葉にならぬ叫び声が、寒空の下響いていくのであった……。

 合掌。


マスター:秋みかん 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:8人
作成日:2006/12/02
得票数:コメディ39 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。