【無人島開拓計画!】クラッシュ廃屋



<オープニング>


「さて、晴れて地図を発見できたわけですね。あとは皆さんで探索したいところを決めてしまえばいいわけで……まあ私は相変わらず霊査でのお手伝いですが」
 いつもどおりのドリアッドの霊査士・シィル(a90170)が冒険者たちを眺める。そしていつもどおりに任務開始である。
「さて今回ですが……前回は家の残骸らしきものを確認できたんですよね。人が住んでいたんだから、そういうのがあってもおかしくはないです。で、タイミングよくまた依頼人さんから連絡があって、そろそろ人が泊まれる建物を作る準備に取りかかってほしいということです。どうでしょう?」
 確かに最終目的はそういう島にすることなのだから、それは必要だ。
 まずは廃屋を片っ端から壊さねばなるまい。そしたら廃材は燃やして、地面をならし、材木を調達して……なんだか思い切り破壊活動(?)ができそうだった。
「嬉しそうですね。とりあえず家を建てるのはすぐには難しいですから、今回はそのベースを作るということで。思い切り暴れてきてくださいね」
 にこやかにシィルは笑った。

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参加者
剣難女難・シリュウ(a01390)
悪辣な獣・ジン(a08625)
うたかたのゆめ・ロン(a33766)
瑠璃色竜胆・オヴェリア(a34061)
伐剣者・コウ(a38524)
道楽娘・ガザミ(a42279)
魂に刻めその旋律・レシュノ(a45112)
灰色の岩山・ワング(a48598)
春風に舞う鈴の音・アンジェリカ(a48991)
孤独な嘘と狼少年・ショーティ(a55613)
黄色の羽毛・ピヨピヨ(a57902)
時空を彷徨う・ルシファ(a59028)


<リプレイ>


 いつものように小舟で島に到着した冒険者たちは、まず地図を改めて確認した。
 島は内陸の南に浮かんでいる。つまり入口たる浜辺は北側だ。そこから南下すれば中心に到達する。
 前回の灯台は北西の崖にあった。今回目指す住居跡地は、そこより南東方面に位置している。つまり島の中心あたり。どの場所にも最短距離で行けて、人が住む建物を建てるにはふさわしい位置だろう。ここ以外にも住居は点在しているだろうが、ともかく今回はここでの活動だ。
 一行はすっかりリラックスして濃い森の間を抜けていく。今回は戦わなくて済むと決定しているので、皆心に余裕があった。
 やがて彼らは目標物を見つけた。
 元は拓かれて平坦だったのだろうが、今や雑草生い茂りすっかり荒廃したという風情の場所。そこに、指で突けば倒れてしまいそうなほどに朽ち果てた木造の家が7棟。1階建てで、こじんまりしている。石柱を支えにして床が上がっている。おそらくは湿気対策だろう。
「僕、ナパームぶっぱなして良いですか?」
 時空を彷徨う・ルシファ(a59028)が目を輝かせた。実にぶっ壊しがいがありそうだとわくわくしてたまらない。
「さて、壊す前に調査だったね」
 旅人・コウ(a38524)が言った。何か貴重なものがあるかもしれない。そう思った彼らは、最初に廃屋の中を調査することに決めていた。
 カンテラを持つうたかたのゆめ・ロン(a33766)と黄色の羽毛・ピヨピヨ(a57902)を先頭に、瑠璃色竜胆・オヴェリア(a34061)、魂に刻めその旋律・レシュノ(a45112)、春風に舞う鈴の音・アンジェリカ(a48991)が続く。さすがに床板が腐っており、いつ抜けてしまわないかとヒヤヒヤしながら彼らは調べていった。ロンは先住民の資料とするためにスケッチなどしている。
「楽器は残ってるッスかね……」
 レシュノが吟遊詩人らしいことを呟いた。そういうものがあるとしたら、動物の骨や皮を利用した原始的な打楽器になると思われた。

 数十分後、最後の家を調べ終えて調査隊は外に出た。残念ながら楽器や宝物、島の詳細に触れるような資料はなかった。わずかに古ぼけた日記が数冊ある程度だったが、かつての人々の暮らしぶりを知るにはなかなか重要なので、大切に取っておこうということになった。そのうちに資料館ができるとするなら、立派に陳列されるだろう。


 どこをどう壊すかを入念に打ち合わせたあと、いよいよ本作業に入ることに。誰も傷つかない破壊活動に、心震える者も少なくない。
「さーて、皆? 出番だよ」
 構ってくれないと死んじゃう・ショーティ(a55613)をはじめとして、土塊の下僕を生み出せるメンバーはできるかぎりの数を生み出しておいた。作業員は多ければ多いほどいい。
「では私は材木の調達に向かいます」
 剣難女難・シリュウ(a01390)が手ごろな樹木を探すために歩き始める。ロンもその後についていく。全員が全員、廃屋の取り壊しをするわけではない。いずれ建てる新しい家用の材木調達係、廃材を燃やす係と、分担作業で効率を高める。
「あらよっと……おお、壊しがいのありそうな屋根だな」
 身軽に屋根に上がったバックバー・ジン(a08625)が長剣を抜いた。建造物の破壊は上からが基本。初手を任された彼は、楽しそうに得物を振りかぶる――!
「……よし、始めるぜ!」
 いきなりマックスパワーの大地斬が炸裂し、ドンガラガッシャーンと盛大に屋根をぶっ壊した。おがくずやら埃やら、粉塵がぶわっと周囲に巻き上がった。それを数度繰り返すとあっという間に屋根はなくなり、ジンは地面に降りた。その瞬間、道楽娘・ガザミ(a42279)と灰色の岩山・ワング(a48598)のリザードマンコンビが気合を入れる。
「廃材も使えるもんはとっとくんやろ?」
「特に柱、だな」
 ふたりもグレートアクス&シャベルアックスで大地斬。冒険者の技の前では紙にも等しく、壁板はいとも簡単に吹っ飛んでいく。ピヨピヨも埃対策のバンダナをクチバシに巻いてから斧を大上段に構え――やはり大地斬。まるで大地斬のバーゲンセールである。
「アンジェリカ♪ デストロイブレード、いっきま〜〜〜〜す♪♪」
 狂戦士の腕の見せ所だと張り切りまくるアンジェリカは、反対側に回ってデストロイブレードを思う存分にぶちかました。凝縮闘気の引き起こした爆発は凄まじく、それでほとんどの壁は消えてしまった。ちょっと威力が大きすぎるようである。
 ここでオヴェリアは家の中に入り、足元に気をつけつつ、ハイジャンプしながらの斬鉄蹴を繰り出した。食い残された骨のように残っている梁が真っ二つに折れた。
 それらを繰り返し、大方が取っ払われると、土塊の下僕が使えそうな廃材を運び出していく。これらが伐採した建築材を置く台座になる。
 さて残ったのは、台座にもなれない廃材の山と、家を支えていた石柱。こればかりは壊して捨てる以外にない。
「次は地ならしだな」
 コウは巨大剣に闘気を注入し、石柱に向かってデストロイブレードを繰り出す。轟音を立てて、石はあっけなく砕けた。さすがの威力だ。
 石柱がすべて砕けると仕上げにかかる。
「発破いきまーす。下がってくださーい」
 待ちに待ったとルシファがナパームアローを放出した。赤く透き通り先端に炎の付いた矢は、ひゅるひゅると廃材に向かい――爆発炎上した。壮大な光景である。思わず拍手してしまうメンバーたち。それからルシファがナパームアローを満遍なく撃っていくと、そこはすっかり跡形もなくなった。
 これで一軒目が終了だ。残りの廃屋についても、今やった作業を繰り返せばいい。皆さっそく二軒目に移り、張り切って得物を振った。オヴェリアは木陰でノソリンに変身し、廃材の運搬作業を請け負う。ワングは危険防止のため、鎧聖降臨でメンバーの装備を防護仕様にする。
「みんな、のんびりいくっスよ」
 レシュノは念のために周囲を警戒しながら廃材を利用して火を起こし、お茶やお菓子の準備をする。メンバーたちはおのおの適度に休憩を挟みながら、汗を流すのだった。

 シリュウとロンは材木の伐採に取りかかっていた。建築用の木は、とにかくまっすぐで節のないものでないと使えない。選定はなかなか難儀だったが、どうにか目ぼしいものをいくつか見つけることができた。近辺に動物がいないことも確認済みだ。
「では、やりましょう」
 ウェポン・オーバーロードでアクスを強化するシリュウ。上手い具合に角度をつけた切り込みを根元に入れて、木が自分から倒れるようにするのが伐採の基本。さらに周囲の木に被害が及ばないように留意しなければならない。
 シリュウが慎重に狙いを定め、2回3回とアクスを打ち込んでゆく。カンカンと心地よく響く音。やがて木はメキメキと音を鳴らし、ズズーンと倒れた。ロンもカラミティエッジでスパッと根元を切っていく。
 慣れてきたのか、ふたりのスピードは徐々に上がっていく。きこり気分で楽しく作業していった。
「手伝いに来たぞ」
 ジンがやってきて、倒れた木の枝打ちをしていく。余計な部分を落とさないことには保存もままならない。これも大切な作業だ。
 材木は順次運び出され、廃材で作った台座に乗せられ、ロンの粘り蜘蛛糸で仮止めされていく。後ほど本格的にロープを回して縛ることになる。
「そっちも好調やね」
 廃材を運びながらガザミが声をかけた。鎧進化で防具を変形して、肩に物を乗せやすいようにしている。その隣ではショーティが飛び散らないように灰と土を混ぜ、新しく生み出した土塊の下僕に消火用の水を汲みに行かせている。
 廃屋の方も、もうすぐ全部壊し終わるようだ。コウとアンジェリカがローラーで跡地をならしている。ピヨピヨは地面に宝物が埋まってないかとチェックしたが、あいにく何もなかった。
 やがて、小気味いい音を立てて最後の一軒が崩れた。
「これで最後ですね……それ!」
 ルシファがとどめのナパームアローを一閃させる。瓦礫は跡形もなく砕け散り灰燼と帰した。


「ふはぁ、大体こんな感じで大丈夫かなー? 終わったー!」
 ショーティがうーんと背伸びして土塊の下僕に礼を言う。ひとまず今回はこれで区切り。満足行く仕事ができて、皆の心に充足感が広がった。
「どんな建物が建つんでしょうね? 楽しみです」
「ホテルとか管理所とかできるんスかね」
 ルシファとレシュノが更地を見渡す。いくら冒険者といえど、本格的な家を建てるようなスキルはない。すべての調査が終了したら、職人を呼ぶことになるだろう。
「あとでバーベキューでもするか」
 廃材の山を見ながらワングが言った。バーベキュー用の食材はたんまりと買い込んでいる。
「ええ、楽しませてもらいましょう」
「ふっふー、明日の労働の為にガンガン食ったるで〜」
 ロンとガザミも続く。と、アンジェリカが額を手の甲で拭いながら提案する。
「その前に汗かいたし温泉に行くのはどうですか?」
「お、いいね。羽が埃だらけになったし、しっかり洗い流さないと」
 ピヨピヨが全面賛成すると、皆も頷いた。
 彼らは一直線に以前の探索で発見した天然温泉まで向かった。洞窟を抜けるとそこは別天地。暖かい湯気がもわもわと吹き抜けの天井まで昇っていく光景は、なんとも爽快感をもたらしてくれた。
「わあ、話には聞いてたけど予想以上だなぁ〜ん」
 喜色満面のオヴェリア、早く入りたいと体が疼きはじめている。
「そういえば、ここに脱衣所を作らねばなりませんね。それに柵も」
 そう言ったのは女性アレルギーに悩むシリュウ。今のままでは入浴ばかりか脱衣まで男女一緒にやることになってしまう。人を呼ぶならそれはまずい。
「脱衣所はともかく、混浴の方が喜ぶ客も多そうだけどね」
「だよなあ」
 笑い合うコウとジン。男というのは罪な生き物である。

 結局、先に女性陣が入浴して、男性陣はその次になった。すっかり汗を流した後は、予定通りバーベキュー。労働づくしでお腹ペコペコの彼らは、めいっぱいに食べた。
 綺麗な大自然に包まれて思う。次はどこを探索するのやら。
 けれど、こんなに気楽な仕事は……おそらく今回限りではないだろうか。そういう予感が皆の胸にあった。


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作成日:2006/12/10
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