旧ソルレオン王国復興〜双頭の獅子〜



<オープニング>


 旧ソルレオン王国の辺境地域。
 モンスターたちが未だ目撃されているその地域に、紅焔舞う夢幻之宵天・オキ(a34580)は仲間と共にやってきていた。
 目の前にあるのは廃村。あと少し進めば、村の中に入る。
 この場から見えるのは壊れて瓦礫と化してしまった元家だったものや荒らされた花壇であったもの、畑などなど……。
 そして、村の入り口の少し奥にどっしりと構えていた、それ。

 そこには、双頭を持つ獅子が居座っていた。
 それぞれの鬣は、日の光を浴びてきらきらと金色に輝いている。
 身体の方は堅そうで、構えた前両足から見える爪も口元から覗く牙も頑丈そうであった。
「行きましょう」
 オキは仲間たちに声をかけ、歩を進める。
 彼らが村の中に足を踏み入れると同時に、そのモンスターは反応した。
 この村を守りたいのかもしれない。よそ者を排除するかのように、そのモンスターはオキたちへと襲い掛かってきた。

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参加者
淙滔赫灼・オキ(a34580)
泡沫の眠り姫・フィーリ(a37243)
夕闇に染まる白き大翼・トワ(a37542)
月露は蛍のように儚く・ユウナ(a40033)
愛染大火・ニンブス(a41401)
春風そよめく舞蝶円舞曲・ミア(a41826)
無限の刻の中静かに月を抱け・ユイ(a44536)
漂う耀きの記憶・ロレンツァ(a48556)
NPC:護りの幻影姫・キラ(a90153)



<リプレイ>

●囲うは後衛
 一行が村の敷地に踏み込むと共に、立ち上がった双頭の獅子。一行に襲い掛かるため、向かってくるがまだ距離はある。
(「……いつか……共に、そう、願っていたのに」)
 心の中で呟いて、紅焔舞う夢幻之宵天・オキ(a34580)は、軽々とした足捌きでステップを踏み始めた。それと同時に、壁となるように立つ。
「みんな、絶対に無理しちゃダメだよ……? ねっ」
 そう言って、泡沫の眠り姫・フィーリ(a37243)は、彼女らを守るように、囲って立つ愛染大火・ニンブス(a41401)の纏う鎖帷子へと強大な力を注ぎ込んだ。夕闇に染まる白き翼・トワ(a37542)は獅子のモンスターからの攻撃を避けれるように、準備をする。
 春風そよめく舞蝶円舞曲・ミア(a41826)の力で、その身に纏った金属鎧の強度を上げてもらいながら、月露は蛍のように儚く・ユウナ(a40033)は、漂う耀きの記憶・ロレンツァ(a48556)の纏う鎖帷子へと強大な力を注ぎ込んでいく。
(「此処に……大切な想い出が……あるのだろうか。……それとも、今も眠る……何かが……?」)
 ロレンツァはそう思いながら、その身に黒き炎を纏う。
「終わらせるために来たんじゃないんだぞ……始めるためにきたんだ……」
 呟き、ニンブスは両の手で巨大剣を構えた。そして、深呼吸する。
 一行の傍へと辿り着いた獅子のモンスターは、片側の首がオキへと、もう片側の首がトワへと、大きな口を開け、中で光る牙で噛み付いてきた。オキもトワもそれぞれのステップで、その牙での攻撃を交わす。そして、後衛へと抜かれないよう、またすぐさま仲間を囲うように立つ。
 フィーリは次にミアの硬革鎧へと強大な力を注ぎ込み、鎧の強度を高めた。そして、ミアは無限の刻の中静かに月を抱け・ユイ(a44536)の鎖帷子の強度を上げる。そうされながらユイはその身に黒き炎を纏った。
「会えた事には素直に喜ぶよ……そこから先は、……これから」
 トワはぽつりと呟く。トワの鎖鎌の鎖の部分が、金属の重なり合う音を立てた。その鎖鎌を素早く振るい、衝撃波を放つ。衝撃波はモンスターの前脚へと向かった。
 衝撃波はモンスターの前脚に突き刺さる。痛みにモンスターは、咆哮をあげた。
 ユウナはフィーリの金属鎧へと、強大な力を注ぎ込んだ。
 前脚の痛みに、モンスターはその前脚を振るう。前脚の鋭い爪が、ニンブスを襲った。避けきれず、爪が腕を掠る。傷口から血がにじみ、更に鈍い痛みが広がってくる。
「トワ、絶対に無理しない、みんなで一緒に帰る、全部約束ねっ」
 フィーリは、トワの戦装束に力を注ぎ込みながら、そう言った。
 トワは、ただ優しく微笑んで、こくりと一つ頷く。彼女に何かあるときは必ず守ると、口にせず、瞳だけで伝えて。
「オキだんちょの背中はミアが守りますのなぁ〜ん♪」
 にぱっと微笑んで、ミアはオキの戦装束へと強大な力を注ぎ込む。
「聖女よ……」
 ロレンツァの傍に、光り輝く聖女が現れる。聖女はニンブスに口付けると、傷を癒し、鈍い痛みも取り払う。
 トワは再び、鎖鎌を勢い良く振るった。そこから衝撃波が放たれ、モンスターへと向かう。けれど、モンスターもそうそう攻撃を受けていられないと思ったか、掠りそうになりながらもその衝撃波を避けた。
 最後にユウナが、護りの幻影姫・キラ(a90153)の術士服へと強大な力を注ぎ込んだ。
「キラさん、行きますよ」
「うん、そっちは任せたよ!」
 オキのかけた言葉に、キラは不吉な絵柄のカードを作り出し、モンスターへと投げつけた。カードはモンスターの身体へと辺り、その部分を黒く変色させていく。それと同時にオキは粘着性の高い蜘蛛の糸を作り出すと、それそモンスターに向かって放った。蜘蛛の糸はモンスターを捕らえようとするが、避けられてしまう。
 拘束できなかったものの、今まで準備を整えてくれていた後衛陣を囲っていた前衛陣は、獅子のモンスターを囲う形へと陣形を変えた。

●囲うは双頭の獅子
 獅子のモンスターは、囲われながらもトワに向かって勢い良く前脚を振るってくる。
 避けきれず、トワへと爪が突き刺さる。傷を受けたという痛みだけではなく、毒のような、鈍い痛みが傷口を中心にじわじわと広がってくる。
「っ! ……毒まで、か」
 オキは改めて、ステップを踏み始める。
 フィーリは儀礼用長剣を振るった。彼女の身体に融合した召喚獣キルドレッドブルーの魔氷と魔炎がモンスターの身体へと纏わりつく。長剣からの切り傷だけでなく、魔氷と魔炎による痛みもモンスターに加わった。
「大人しくしていて欲しいの……なぁん」
 オキの傍で、ミアは強弓で矢を放った。彼女の身体に融合した召喚獣もまたキルドレッドブルーで、矢に魔氷と魔炎が付与され、モンスターへと向かう。けれど、モンスターはその矢を屈強な身体で弾いてしまった。見た目、生身のように見えるのに、毛が硬いようだ。
 キラは全身の力を振り絞って、螺旋のごとく回転しながら突撃する。太刀の刃が微かに傷を与える。
 力強い、励ましの歌が響き渡る。ユイが歌をつむぎ始めたのだ。トワが受けた傷が癒え、毒の傷みもすぅっと消えていく。
 ロレンツァの指の先から、黒い炎の蛇を打ち出される。召喚獣の魔炎と魔氷の効果が加わり、炎の蛇はモンスターに向かう。蛇が当たったモンスターの傷口は火傷を負ったようになった。
 傷口が治ると、トワは鎖鎌を振るう。鎖鎌から放たれた衝撃波は、モンスターの硬い毛を無視して、痛みを与えた。
 怪我を負った人が居ないことを確認し、ユウナは様子を見る。
(「これしかできない俺とこうして居座ってることしかできないこいつは同じかな……いや……違うよな、俺はまだ、強くなれる」)
 巨大剣を握ったニンブスの両腕の筋肉が盛り上がった。
 モンスターは、攻撃しようと思うものの、魔氷に阻まれて、思うように身体を動かすことが出来ない。それに、身体を動かせないだけでなく、その身に纏わりつく魔氷と魔炎の力によって、体力も奪われていく。
 そんなモンスターへと、容赦なくオキがサーベル片手に、全身の力を振り絞って、螺旋のごとく突撃を入れる。ロレンツァとキラがそれに続いた。ロレンツァから放たれた黒い炎の蛇がモンスターに襲い掛かり火傷のような傷を負わす。更にキラの振るった闇の闘気を込めた太刀がその身体に傷を与えた。
「チャンスよねっ」
 フィーリは一歩前へと踏み出ると、モンスターの両方の前脚を掴んだ。重みに一瞬ふらつくけれど、勢い良く振り回して、その遠心力を利用して仲間の居ない方へと投げ飛ばす。投げ飛ばされ、地面に落ちても反動でいくらか滑る。それでもまだ、モンスターは立ち上がった。
 ミアの強弓から矢が放たれる。矢は、立ち上がったばかりのモンスターの身体へ容赦なく突き刺さった。
(「……仲間は、もう……先、行ってしまったのか……?」)
 黒き炎を纏うユイの術手袋を嵌めた指先から、黒い炎が放たれた。炎は異形の悪魔のような頭の形をしている。炎はモンスターを包み込み、その身の一部を焦がしていった。
 トワは衝撃波を放つ。
(「お前を倒して、俺はもっと強くなるんだ!」)
 ニンブスは先ほど高めた筋力で以って、巨大剣に極限まで闘気を込めると、一撃、モンスターへと叩き込んだ。
「グァォォォォォォゥッ!!」
 受けた痛みに、モンスターが声を上げる。辺りにその声が響き渡った。それと共に、その身に纏わりつく魔氷と魔炎を振り払う。そして、一番傍に居たニンブスへと両方の頭が喰らい付いた。
「ニンブスさん、危ないっ!」
 彼のことや他何人かの仲間のことを気にかけていたオキが叫ぶ。
「っぐ、あぁっ!」
 それでも声だけでは間に合わなくて、ニンブスは避け切れなかった。肩と腕に喰らいつかれ、強度を高められていても鎖帷子の力だけでは防ぎきれず、ニンブスはモンスターを振り払うと、数歩下がって、膝をついた。
「ニンブスさんっ!」
 フィーリが慌てて、回復に回る。彼女の身体から、淡い光の波が溢れ、ニンブスを含む仲間達を包み込む。それでもニンブスの傷の回復には追いつかない。それどころか、ただ回復しただけでは傷は塞がりそうになかった。
 畳み掛けるように、オキはサーベルの柄を握り締めると、全身の力を振り絞って、突撃していった。その一撃は大きな痛みをモンスターへと与える。
 それに続いて、ミアが一本の矢を放った。雷光を描いて飛ぶその矢は、稲妻を纏っている。矢はモンスターの身体に深く突き刺さり、その命を絶った。
 モンスターの巨体が、その場に倒れこむ。

●葬送
 膝をついていたニンブスは、モンスターが倒れたのを見るとホッとしたのかその場に座り込む。
「へへっ……ごめん、皆」
 心配をかけてしまったことに謝る。傷は深く、すぐには治すことは出来そうにはない。
「帰る前に、皆で埋葬してやりたいな。……太陽の光をたくさん浴びれる場所に」
 ユイが皆に提案する。
「彼が立っていた場所も……十分、陽が当たっていたよね。そこで……どうかな?」
 ロレンツァが場所を提案した。
 手分けをして、モンスターが立っていた村の入り口付近に穴を掘り、埋葬する。ロレンツァは、戦役のことを思い出し、祈りを篭めながら、埋葬していく。
(「……夢はもう叶わない……けれど、……貴方の、その思いや、意思だけは……覚えておくから……。例え誰が、何を言っても……。例え皆が、忘れてしまっても……」)
 埋葬を終え、モンスターが埋められた分だけ盛り上がった土を見て、オキは思う。
(「お前が……いつまでもずっと、この場所を見守って……いられるように……な?」)
 ユイもまた、その盛り上がった土を見て思う。そして、小さく微笑んだ。
(「……おやすみ。あの日……救えなかった分、俺達がもっと頑張るから……」)
 トワも盛り上がった土に、そう思う。
「そこで、見守っていてくれな……太陽のように……さ……」
 最後に呟いて、一行はその村を後にした。

終。


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