第2回新春ファッション市



<オープニング>


 新春ファッション市。
 古今東西の最新デザイン(かもしれない)色々なものが集まる市である。
 上手くいけば流行を先取りできるが、上手くいかなければ笑いものになるスリリングなデザインの服や装備などが集まるギャンブラーな市でもある。
 無論、流行というものは何が流行るか分からない。
 先取りしようと奇抜なデザインを選んで外れでもしたら笑いものではあるが、だからといって地味なデザインを選ぶのもつまらない。
 僅かな冒険心が深い墓穴とトラウマを残す事も多々あるという、非常にハイリスクな市でもある。
 非常にハイリスクな市ではあるのだが、その反面、他では手に入りそうにもない珍しいモノが手に入るという利点も存在している。
 つまりは、自分の目利きと冒険心次第。
「まあ、今年もやってきたわけですが。どうですか?」
 ミッドナーはそう言って、冒険者たちの返事を待つのだった。

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参加者
NPC:夜闇の霊査士・ミッドナー(a90283)



<リプレイ>

●第2回新春ファッション市
 誰が呼んだか、新春ファッション市。今年もまた天候に恵まれ、相当に盛況な様子であった。
「物好きが多いですよね」
 暁天の武侠・タダシ(a06685)のグランスティードの背中から降りた夜闇の霊査士・ミッドナー(a90283)が、そんな身も蓋も無い事を口にする。
 その物好きの一部ご一行様を引率しているのは自分だという事を、棚に上げているらしい。
「ま、何はともあれ。明けましておめでとうだってばよ」
「はい、どうも明けましておめでとうございます」
 悪をぶっ飛ばす疾風怒濤・コータロー(a05774)とそんな挨拶を交わしていると、仮面タイガーキマイラ・ゼソラ(a27083)に思い切りハグされる。
「ミッドナーさん、フォーナぶりですねー♪」
「はあ、どうも」
 そんな状態も、長くは続かない。ミッドナーはすぐに、人ごみを吹き飛ばしながらやってくる赤い風・セナ(a07132)に腕を引かれていく。
 何やら血を垂らすと色々と凄い事が起こりそうな石の仮面を被っているのは、なんの冗談なのかは分からないが。
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!! ワチキはヒトを辞めるぞミッドナー!!」
「はあ、そうですか」
 そもそも、彼女がストライダーである事に突っ込む人間は居ない。
「っちゅーわけで、選んで♪」
 どうやらブーツを探していたらしく、様々なブーツを置いてある店で立ち止まるセナ。
「ねー、ユルるん。なんだろ、あれ?」
「何処にでもいるマスクマンだよ」
「そっか。マスクマンなら仕方ないよね」
 そんな言葉を交わしつつ歩いていく轟然たる竜の鼓動・ラスティ(a20452)と海産ブツ・ユル(a40185)を見送るミッドナーとセナ。
「……仕方ないですよね」
 うんうん、と頷くミッドナーと、何が仕方ないのかも分からないままに切ない気持ちになって石仮面を外すセナ。
 今日の空も、ぬけるような青空だった。
「まぁたまにはこうしてオシャレに精を出すのも悪くないよねー」
 そう言いながら歩くユルは、ファッションとは無縁だという自覚はある。
 そして、ファッションと無縁ならば無縁なりに、縁のある人間と歩いていれば、それなりのものは手に入るものなのだ。
「ラスティは可愛いから大抵の服は着こなしそうじゃけどねー」
 鼻歌を歌うラスティの横で服を選んでいると、ラスティがいつの間にか居なくなっている事に気づいた。
 ちびうさぎを連れて歩いていく黒玻璃の月華・ルレイア(a34066)を何となく見送りつつ、少し考える。
「んー、つーかなんかイヤな予感がするのう……」
 そのユルの予感は見事に当たり、ラスティがお嬢様テイストな可愛い服を持ってくるのは、これから少し後の事であった。
「何か今、妙な声が聞こえませんでした事?」
「ああ、今のノゥ〜、とかいうの?」
 陽光のお嬢様・セレシア(a35790)の言葉に答えつつも、心に荊を纏う向日葵・アンナ(a40923)は何かを一心不乱に探している。
 まるで何を選ぶか、すでに決まっているかのように機敏な動きだ。何を選んだものか迷っている依頼依存症・ノリス(a42975)とは、随分と違いが出ている。
「はい、それを着けたお嬢様の姿、楽しみにしてるねー」
「……?」
 何を言っているのか分からない、といった顔でセレシアは、アンナが買ってきたばかりのものを袋から出す。
 そこにあるのは、とてもセクシーな黒の下着で。
 たった今アンナが出てきた店は、セクシーな下着ばかりが並べてあって。
「なんかすげーよなあ……女の子同士でもああいうのプレゼントするもんなんだな」
 喧嘩百戦・サカキ(a45916)に、そんな事を言われていて。
「アンナァァァーッ!?」
 始まる前から勝敗が見えた、追いかけっこにもならない追いかけっこが始まっていく。
「ほら、人のことはいいから」
「お、おう……」
 賭博堕天録・エクレール(a47555)に急かされて、視線を空中に泳がせるサカキ。
 一般的な男子はそうであるが、女性用の下着を扱う店などというものに入りなれている経験は、あまりない。
 選ぶ経験とあれば、普通は皆無である。
 ここに居るのは自由を求めるもの・エルフィー(a59851)のような、自分の下着を選びに来た女性くらいのものだ。
「今日は特別サービスよ。ここにあるセクシーな下着の中から好きな物を選びなさい。それをあたしが着てあげるから」
「う、うむ。エクレールは綺麗だからよ……その、どんなんでも似合うと思うぜ?」
 言いながらも、恐る恐る選んでいるサカキ。傍目に見てもサカキが尻に敷かれているラブラブカップルを何となく横目で見つつ、護りの盾・マイシャ(a46800)は歩いていく。
「しかし……年下の男子が望む物……思いつかんな……」
 なにやら独り言を言いながら、出店を見て歩いていく。
「彼は風景の絵を描く事とノソリンが好きらしいから……気分だけでも願いが叶う様な物がいい、か」
 そう頷いて、ふと目に入った店で足を止める。
 此処で何かを選ぼうか。そう思ったところに、突然視界に青き絆のカンタドール・ユナン(a37636)が入ってくる。
「お、お前にはこれが似合いそうだな!」
 何となく考えていた相手が目の前に現れると慌てるもので、マイシャはそう言って、慌ててつかんだ変なものをユナンに押し付ける。
「マイシャにお似合いですよ〜。可愛さと芸人魂ではマイシャに負けますから〜」
 そんな心を知ってか知らずか、茶化し返すユナン。2人の微妙な友人関係を横目で見ていた強蝕装甲・バルバロッサ(a40314)は、感嘆の溜息をあげる。
「バルバロッサさん、見て下さいDEATHー♪」
 何処と無くセクシーなウェディングドレスに身を包んだ貴方のお命頂戴するのデス・エルシィ(a52070)が、彼の前でクルリと一回転していたのだ。
「凄く綺麗です……!」
 何故ウェディングドレスのようなものが置いてあるのか。
 それをファッション市で問うのは愚かというものだ。
 ファッションとは、何よりも寛大であるが故に、身に着けるものならば何でもファッション市の対象なのだ。
 そう、例えば鎧でもそうだ。
 グランスティードにそっくりな鎧のサイズ合わせをしている小さき護りの楯・アドミニ(a27994)を見れば分かるように、鎧とはファッションの1つでもある。
 まあ、かなり特殊な例ではあるのだが。特殊でない例をあげるならば、アクセサリーなどもそうだ。
「……これなんてどうでしょうか?」
 そう言って月下のそよ風・ファリィ(a43580)にブレスレットを渡す蒼天の守護者・ツカサ(a30890)。
「……似合います……?」
「似合ってると……思いますよ」
 互いに微笑む2人を、ミッドナーがホカホカの饅頭を食べながら見守っている。どうにも暇らしい。
「ミッドナーさん、掘り出し物は買えましたか?」
「いえ、私は特に何も」
 大樹を守護せし戦乙女・モニカ(a37774)の言葉に答えて、ミッドナーはモニカの手元の袋に目をやる。
「うーん。確かにナウくてチョベリグな感じだね! ミッドナー、ありがとう!」
「いえ、お礼を言われるような事は」
 反対側の店から出てきた嗤う黒猫・ジュリ(a26455)を見つつ、ミッドナーは答える。
 本当にお礼を言われるような事はしてないよなあ、などと思いながら。
 自分で彼のアクセサリーを選んでおいて何ではあるが、ちょっと適当すぎたかもしれないなどと思う。
 それはさておき、モニカのほうが気になる事も事実だった。
「私、また店員さんの言われるがままに買ってしまいまして……実は中身をまだ確認していなかったりします」
「……そうですか」
 このファッション市でモニカのその行動は自殺行為に等しいが、あえて口にはしない。
 気づくとファリィとツカサはもう居なくなっていて、結局買ったのかどうかは分からない。
「やあ、ミッドナー。たまには女の子らしい格好とかしてみないの?」
 と、そこに現れたのは哉生明・シャオリィ(a39596)だ。
 手を振ってモニカと別れると、ミッドナーはシャオリィに面倒くさそうな様子で答える。
「……よく、そう言われるのですが」
「うん」
「……そういうの、似合いませんから」
 どうにも筋金入りであるようだが、そこに先程別れたモニカの悲鳴が響き渡る。
 先程会話していたミッドナーには中身を見て驚いたのだと分かるが、シャオリィには分からない。
 急いで悲鳴のした方へと走っていくのを見送り、ミッドナーは溜息を1つついて歩き出す。
「……こんにちは、ミッドナー」
「……こんにちは、ルノアさん」
「……」
「……」
 ローテンションで無口な2人が揃うと会話は続かないが、意思は通じるようだ。
 何となく2人で歩き出し、適当に店を見る。
「……ふと思うのだけど。ミッドナー、貴方は何か買わないの?」
「分かりません。特に何かが欲しいとは思いませんが」
 何やら目のキラキラ光るドクロのブレスレットを見ていたミッドナーは、そんな風に答える。
「せめて服を見立てるだけでもやってみたいがのう……」
 2人に合流していた光纏う黄金の刃・プラチナ(a41265)が残念そうに呟くが、当のミッドナーは非常にどうでも良さげな顔をしている。
 ファッションというものは興味が無い人間にとっては、とことん興味がないものであるようだ。
 しかし、ファッションとはいっても。
「ファッション市っていうけど……明らかにファッション関係ないものあるよね……」
 3人とは離れた場所で、そう呟く翔剣士・セリア(a16819)の言うとおり。
 ファッションの寛大さに付け込んで、明らかにファッションを通り越しているものも多い。
「いやあ、そんなことは無いよお嬢ちゃん! ファッションってのは巡るもんだ!」
 どう巡っていつ巡り合うのか不明だが、そういう事らしい。
 そんなセリアのいる店とは対照的に、普通っぽい店もないことは無い。
 紅色の剣術士・アムール(a47706)が今覗いている店などは、如何にもファッションといった感じの店ではある。
 探せばない事は無いのだ。あくまで、見つかりにくいだけで。
 買ってきたばかりのクッキー箱を抱えた風紋を想念で描く影・ルキ(a25948)が、燬沃紡唄・ウィー(a18981)に続けて近くの店に入っていく。
 マントを探しているのだが、中々思い通りのものには出会えなかった。
 エルヴォーグで着る事が出来るものを探していたのだが、一般人にエルヴォーグの事など分かるはずも無い。
 故に、中々見つからなかったのだが……。
「これは……?」
 どうやら、この店でウィーの探し物も見つかったようである。
「んー。大好きなクラウンに似合う服を探すと。約束した。けど。ぅぅぅぅ。どうしよう?そんなセンスない」
 スリルシーカー・フゥ(a39727)が目当てのレザージャケットを見つけた近くで、月虹姫・ラテル(a45910)が悩んでいる。
 クラウンとは、どうやら近藤・ルナンガ(a30566)の事らしいのだが。
 何故「クラウン」なのかは、フゥにはサッパリであった。
「あ、コレなんかいい感じじゃね?」
 一方のルナンガは、ラテルに気楽そうな様子で服を選んでいる。
 どうやら、先程の台詞は聞こえていなかったようだが……あまり、奇抜なものは選びそうにもない。
 ちょっと残念そうな顔をすると、フゥはレザージャケットを買うべく、店の主人を呼ぶのだった。
「これなんか……いいかもしれません」
 月夜の即興曲・カノル(a47936)は、慎重に店の品物を品定めしていた。
 大事な人に贈る品だ。いくら品定めしても、足りないということはない。
「いいものを選ぶというのは、大変なのですね……」
 一緒に歩いていた世界の果ての果てを目指して・エルシード(a53109)に軽く頷き、カノルは再び歩き出す。
「ねぇ、もう少し安くならない?」
「うーん、もうギリギリだぜ?」
 そんな話をしている青い氷薔薇・リヴァル(a58442)の交渉術も、ちょっとだけメモをしながら。
「ミッドナーさんも帽子なんてどうでありますか? んーそのワインレッドのベレー帽とか……似合いそうでありますよ」
「……少し、サイズが大きいみたいですけれど」
 通り過ぎていくリヴァル達の向かい側の店では、楓華式秋季蜥蜴迷彩・オゼット(a60054)がミッドナーに帽子を被せていた。
 自分の帽子を選ぶついでではあるが、人のものを選ぶというのは、中々楽しい。
「あぁ、丁度良かった。ミッドナー、俺のを何か見繕ってくれないか?」
 オゼットが何やら怪しげな帽子をつかんだ所で現れたのは、白霧ノ楔・レゾ(a57127)だった。
 どうにもレゾは、この怪しげな市で選ぶ事に慣れていないらしい。
 ミッドナーを見つけ、如何にも安堵した表情を浮かべる。
 ……だが、彼女に頼るのは、かなり危険な選択である事を、彼は知らない。
「ルビねぇじゃない。買い物?」
「あら、アリアも来てたのね」
 駆け抜けた先にある夢を信じて・ルビナス(a57547)の所にやってきたのは、瑠璃の太公望・アリア(a57701)だ。
「うん、ボクも買い物。一緒にどう?」
 そう言って、2人連れ立って歩いていく。
 まだまだ日は高い。冒険者達は、第2回目の新春ファッション市を思う存分楽しみ、家路につくのだった。


マスター:じぇい 紹介ページ
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参加者:39人
作成日:2007/01/20
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