【萌えフェチ団】ワイルドファイア風POLTAPEMUGBショコラ



<オープニング>


 ――男、否……漢には誰にだって夢がある。
 叶えてみたい夢がある。
 それが自分の趣味……フェチに繋がるものなら、なおさらの事。
 ならば、叶えようではないか。1人では難しい事も、複数集まれば力となる。
 ストップの合図、みんなで崩せば怖くない。
 集まれ同志よ! 目指すは最高のフェチシズム!
 フェチこそ、漢の最高の夢なんだ……!!

「よーし、集まったみたいだな。それじゃ、依頼の説明に入る」
 冒険者達に声をかけ、集まった様子に荒野西部の霊査士・ライト(a90286)はひとつ頷けば、冒険者達を見渡した後にそう切り出していく。
「喫茶店『ポプリ』って店があるんだが……そこで年に一度のデザートフェスティバルってのがあるんだが……」
 わずかばかりのデジャヴを覚えつつも、ライトは説明を続ける。
「そのデザートフェスティバルの警備が今回の依頼だ。前にも似たような依頼があったんだが、その時の活躍ぶりのおかげか、またまた俺達の所へ白羽の矢が立った」
 ライトの説明はさらに続いた。『ポプリ』のデザートフェスティバルでは、いつも以上のお客がくるため、その分悪質な客が増えて困った事態になりやすいという。そのため、警備を依頼する事になった……との事。
 そして、『ポプリ』ではスイーツの味はさる事ながら、店長お手製の大胆かつ可愛らしいウェイトレス服が好評を博している。それを見ようと、マナーのなってない一部のお客まで紛れ込むらしい。
「特にデザートフェスティバルの制服はその日限定のお披露目、って事もあって、どんな手を使ってでも奪おうという輩もいるはずだ」
 そして、それはデザートフェスティバルのみに出てくるという目玉スイーツにも同じ事が言える。
 目玉スイーツとは、招待客のみが食する事ができるという、フェスティバル限定のスイーツ。当日はそれ見たさや、とにかく策を練ってそれを食おうとする者も出てくるとの事。
「まぁ……早い話が、マナーのなってない悪質な客をとっ捕まえて説教、ってのが主な警備内容だな」
 依頼の概要をひっくるめてそう片付けると、冒険者の1人から「目玉スイーツってどんな物か?」という質問が。
 それを聞いたライト、ひとつ息を吸った後に返答を返していく。
「確か……今年は『ワイルドファイア風POLTAPEMUGBショコラ』とか言ったか。なんでも、ワイルドファイア帰りの冒険者から、ワイルドファイアの話を聞いて、その話を元にそれっぽく作った力作なんだそうな。ランララに向けての最新作、とも言ってたな」
 ……その長ったらしいショコラの名前に、冒険者達は思わず怪訝な顔をする。
「……ちなみに、正式名称は『ワイルドファイア風・パーフェクト・オメガ・ラージ・トロピカル・アンビシャス・パワフル・エクセレント・ミステリアス・ウルトラ・グッド・ビター・ショコラ』……だそうだ」
 ライトもライトで、その名前を言い切る度に軽く息を切らしていた。

 ――と、ライトが最後に注意をひとつ加えた。
「そうそう……何でも、最近フェスティバル会場付近にまるで下見をするかのように、6〜7人ぐらいの怪しい男の集団がいた、という話が店長からあった。一応気をつけておいて欲しい。さて……この依頼、受ける奴はいるか?」

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参加者
無頼・ギド(a02750)
朱い翼・ナミ(a10048)
黒き疾風の花嫁・マーシャ(a26614)
苛烈なる壮風・ラグニス(a40885)
紅の魔女・サレナ(a46398)
月を宿す風の翼・アキナ(a50602)
物怪王女・マイハ(a56215)
剣より解き放たれし者・シュテ(a56385)


<リプレイ>

●会場戦線異常アリ!?
『デザートフェスティバル・新作スイーツ実食会のご招待
 日頃お世話になっております。この度、デザートフェスティバルを開催するにあたり、日頃のご愛顧を込めまして新作スイーツの実食ご招待をさせていただきます。
 (中略)
 なお当日、警備担当の冒険者達の方からの要請で、偽物の新作スイーツを特別室に置く事になっております。本物は会場での実食となりますので、ご注意ください。
 喫茶『ポプリ』店長 』

 ――これは、招待者にのみ配られた招待文の一文である。
 これに書かれてあるとおり、新作スイーツを狙う不届き者を捕まえるため、剣より解き放たれし者・シュテ(a56385)の発案を元に、招待文にこう書き加えられた。
 そして、シュテも当日までに『会場に出てくるのは偽物のスイーツ、本物は別室での試食となる』という噂を流せるだけ流していった。

「ふぅ……本当に大丈夫っスかねぇ……」
 ――そんなわけで、デザートフェスティバル当日前夜。喫茶『ポプリ』の店長が、偽物のショコラの仕込みをせっせと行っていた。今までとは少しばかり警備の方向性が違うためか、店長も心配そうである。
 今回も事前準備で、冒険者達には前日から来てもらっている。黒き疾風の花嫁・マーシャ(a26614)が数少ない男手である無頼・ギド(a02750)と共に、列整理用のロープを張りに行ってもらった際、既に待っているお客がいるという情報が。
「いつもの事ながら、早すぎるお客様もいるっスなぁ。なんにせよ、今回も皆さんよろしくお願いするっスよ!」
 仕込みを一度中断し、ぐっと握り拳を作りながら、会場に集まっている冒険者達にそう言う店長。
「っと、そうだった。変装ウェイトレスの人はちょっと来て欲しいっス。今回のウェイトレス服を渡すっス」
 店長の言葉を聞いて、一歩前に出たのは……ブラック・サレナ(a46398)、月を宿す風翼・アキナ(a50602)、捧ゲル死ト百合・マイハ(a56215)、そして……朱い翼・ナミ(a10048)の4人。
「……えーっと、ちょっといいっスか? ナミさんは……確か男じゃなかったっスか?」
 ナミの姿を見ながら、店長は少しだけ困ったような表情を浮かべる。まぁ当然の事だが。
 だが、当のナミは既に覚悟を決めているようだった。
「大丈夫です、一般人を護る為の冒険者としての責務……その意志の元に僕は進んで餌になります。決して、そういう性行ではないのです」
 真剣な表情でそう決意の言葉を述べるナミ。確かに中性的……というよりは女性寄りに近いその顔立ちや細身の身体なら、男だとバレる事はないだろう……多分。
「そこまで言うんだったら着る分には構わないっスけど……あまり店の評判に傷つくような事にならないように気を付けて欲しいっス」
 店長もその固い覚悟の意志に折れたのか、小さく溜息をつきながら了承。急いで、今回のために製作したというウェイトレス服を人数分持ってきた。
 今回のウェイトレス服……イメージは『ラヴ・ハート』らしい。ピンクのフリルの付いたフレアスカート、ハートをあしらった胸の部分、と今回も中々趣向を凝らした出来となっている。
「いつも言ってる事っスが、サイズは様々な嗜好……ニーズに応えるべく、たくさん用意してあるっス。ぴったりなサイズを持ってきているから、安心して着て欲しいっス!」
 そう言いながら、店長はウェイトレスに変装する担当の冒険者達に、丁度合いそうなサイズのウェイトレス服を手渡していく。
 と、そこへ厨房に置いてある材料の在庫の様子を見に行っていた苛烈なる壮風・ラグニス(a40885)が戻ってきた。……そして、着替え終わった変装班の姿を見て一言。
「―――ショコラの警備にしておいて正解だったわね」
 そして、そのままツカツカと会場設営の方へと向かっていったラグニス。制服を作った当の本人の前での言葉だったので、その当の本人である店長は苦笑いを浮かべるほかなかった。
「と、とりあえず会場警備を兼ねた設営の方をお願いするっスよ! 設営中に忍び込む奴もいるかも知れないっスから、気を付けて設営してほしいっス!」
 その場を持ち直すかのようにしてそう冒険者達に伝える店長。かくして、壮絶な事になるであろうデザートフェスティバルの準備が再開するのだった。

「いらっしゃいませお客様! 本日はデザートフェスティバルへおいで下さいましてありがとうございます! 本日はわたくし達店員一同精一杯御奉仕いたします!」
 盛大に賑わう会場に、にこやかな笑顔と甘い菓子達の匂い、そして恋する心を身に纏ったウェイトレス達が立ち回っていく。
 ――デザートフェスティバル当日。まさに満員御礼と言うに相応しい賑わいを見せ、これ以上にない活気を見せていた。
 ただ、そうなるとやはり心配になるのはマナーのなっていないお客の増加である。
「うぅ……頼むっスよぉ皆さん……」
 厨房の入り口から会場を見つつ、店長はそう小さく呟く。
 ……さて、その会場の方では既に小さな捕り物劇が始まっていたりする。
 わざと転んだ拍子に一般ウェイトレスの爆乳を後ろから揉もうとした男性客(28)、実行寸前にギドによって首根っこを掴まれ、ドスの効いた説教付きであえなく御用。
 厨房にあるスイーツを狙おうとして、厨房の天井より侵入を果たそうとした男性客(41)、天井で入り口を開けたところで全開の笑顔で威圧するマーシャに発見され、ロープでグルグル巻きにされた挙句、死角へと放り込まれて御用。
 悪質なナンパでお持ち帰りを狙おうとした男性客(21)と女性客(22)のコンビ、サレナをナンパし、そのサレナの案内の元、VIPルーム……否、反省室へと誘導。そのまま素早く御用。
 そして、またしても厨房にあるショコラを狙おうと、無理やり突貫して奪取しようとした男性客(30)、ラグニスにあっけなく捕まり、容赦のない慈悲の聖槍の一撃を喰らって御用……。
 これ以上にも細かい捕縛劇があったのだが、割愛する。
「むぅ……なんだか厨房の襲撃が多いっス……心なしか、生クリームの量も少しばかり減りが速いっスし……」
 メレンゲを泡立てつつ、捕縛劇が繰り広げられる中、店長が首を傾げる。……と、そこへマイハが、用意してもらったVIPルーム(使われてない地下倉庫)へ不届き者を放り込んだ後に厨房へとやってきた。
「店長さん、そろそろあれの準備をお願いします」
 礼儀作法で丁寧な言葉になったままらしく、店長へそう声をかける。それを聞き、店長は小さく頷くのだった。

●萌えフェチ団VSワイルド風(中略)ショコラ
 さて一方、会場の外。冒険者達に気付かれぬよう、外で呼び込みをかける集団の姿があった。――そう、萌えフェチ団である。
「生クリーム持ってきたら食糧と交換もふよー」
「おにゃのこを連れてきたらそれこそ素晴らしい報酬が!!」
 ……どうやら、利害一致しそうな人間に声をかけ、そのまま仲間に引き込んで会場を襲わせる……という荒業を使って、生クリームとウェイトレスを確保するつもりらしい。
 と、そこに慌てた様子のメンバーの1人が会場より駆けつけてくる。
「うるぁぁぁぁぁぁぁっっ!!! 大変だぁ、たぁいへんだぁぁぁっ!!」
 駆けつけてきた男は、妙なハスキーボイスで、会場での捕り物劇の事に関して情報を伝えていく。その情報の中には、生クリームまみれにしたらよさげなウェイトレスとかの情報も混じっていたが。
 それを聞いたもふの男と出っ歯は顔を見合わせ……その視線を会場へと向ける。
「――どうやら、尖兵作戦は失敗もふねぇ」
「――だな。よし、先に捕まった数名の同志の屍を越えて、生クリ小隊……会場へと乗り込むぞ!」
「うるぁぁぁぁっっ!!」

 ――そんなわけで、何食わぬ顔で会場に潜入した、団のメンバー3人。
 ひとまずの目的は『生クリームまみれにしたら丁度いいおにゃのこ』を見つけ、生クリームまみれにする事に定めていた。
 途中、シュテが周りのお客達に「そろそろワイルドファイア風・パーフェクト・オメガ・ラージ・トロピカル・アンビシャス・パワフル・エクセレント・ミステリアス・ウルトラ・グッド・ビター・ショコラを出しますよー! でも! 今から出すのは、食べちゃおうとする悪い人を防ぐための偽物でーす! 食べられませんよ〜!」とアピールしている声が聞こえてきた。
 それを聞いて、より作業がしやすい……と心の中で思うメンバー3人。
 そして……目的のおにゃのこを発見した! ――ちなみに、そのおにゃのこ……とは、紛れもないナミであった。
「店員さ〜ん、この生クリームたっぷりパフェを3人前お願いするもふぅ」
 そこへ丁度マイハが通りかかってきたので、もふの男が手を上げて素早く注文。マイハはそれを聞いて、笑顔を振り撒きながら厨房へと向かっていった。
 ……ナミは3人組の視線に気付いたのか、羞恥で被虐を煽る表情を見せつつ、3人組の視線を釘付けにしようとその姿を見せつける。
「やれやれ……なんかノリノリだな、ナミの奴」
 ギドがその様子を見て呆れながら、一般のウェイトレスをそれとなく3人組から離していく。
 少しした後、マイハが店長に用意してもらった生クリームたっぷりパフェ(作戦用なので生クリームのみ)3人前を持って、3人組とナミの方へ近づいていった。そして――
「お待たせいたしました、生クリームたっぷりパフェで――きゃぁっっ!?」
 テーブルに置こうとしたその矢先、マイハは盛大にすっ転び(もちろん、わざと)、頭からパフェを被ってしまう。
 さらにふっ飛んだパフェはそれぞれナミとアキナの方へと飛んでいく。だが、その飛んだ残り2つはまるで猫のような動きでハスキーボイスの男と出っ歯がキャッチする!
「うるぁぁぁぁっっ!!」
「キャッチー!!」
 そして、それぞれナミとアキナの前に綺麗に着地。……途端、目を血走らせて興奮寸前の様子で二人に近づきだす。
「うるぁ、うるぁ……べっとり生クリームゥ……!」
 徐々に近づく2人……いや、3人の影。クリームまみれにこれからなるであろうナミとアキナ。と、そこへ全身ベトベトになったままのマイハが近づく3人へ耳打ちをする。
「あの、お客様……本日ご来店頂いたお客様方に特別なサービスがございます。是非いらして下さいませ……」
 それを聞いた3人は、ごくりと唾を飲みながらその提案を何度も頷いて了承。マイハとナミ、そしてアキナに連れられて……向かった先は超・VIPルームと称された特別監禁室。
 ゆっくりと扉が閉じられ、―――その後、中に入った萌えフェチ団の3人の姿を見た者はいなかったとか。
 噂では、マイハ達によって動きを止められ監禁された後、ラグニスの変態制裁で男の勲章を潰され、さらに店長お手製の更正プログラムを受けた……らしい。

 さて、萌えフェチ団の大捕り物が行われている間に、ワイルドファイア風POLTAPEMUGBショコラの実食会が行われてもいた。
 シュテが流した情報操作により、ある程度の不届き者が偽物の置かれてある特別室へとこぞって移動していた。当然、実食が行われる時には一網打尽に捕縛されていたとか。
 それでも情報に惑わされずに、本物を嗅ぎつけて奪取しようと試みる者もいたが、これらは全て冒険者達によって簡単に捕まっていく。数も少ないだけあって、このあたりの捕り物は簡単に済んだようだ。
 ――そんなこんなで今年もデザートフェスティバルは異様な盛り上がりと共に終了を迎えた。
 最近では、冒険者による捕り物もフェスティバルの目玉となりつつあり、同時に不届き者の抑制にも繋がるだろう、と店長は語る。
「今回も無事に終了したっス! 皆さん、お疲れ様っスよ! これはほんの気持ちっス! お土産用も用意したから、良ければ持っていって欲しいっス!」
 そう言って店長は、警備を終えてクタクタ状態の冒険者達に、寸分違わぬ本物のワイル(中略)ショコラを振舞っていく。
 ……その姿は、まさに女神が微笑むかのような黒い輝きを持つ水晶。食べた者を恋に落とすかのような芳香は、その形だけで幸せを物語っていよう。
 その幸せを、字の如く噛み締めるようにして、冒険者達はショコラを食して警備の疲れを癒すのであった。


マスター:秋みかん 紹介ページ
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作成日:2007/01/24
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