【注意報発令!】泥棒にゃんにゃん注意報



<オープニング>


 冒険者の酒場に立ち寄った冒険者達は、いつもの席に座ったヴェインの姿を見て、しばらくの間……止まった。
「あ、皆さん。どうですかコレ、似合います?」
 ネコ耳カチューシャを付けた彼は嬉しそうに笑って手を振る。横の紐を引くとピクピク耳が動く仕掛け付きだ。
 そして『たまたまこの場にいる石像』状態になってしまった冒険者達に依頼の内容をその格好のまま伝えた。
「ええと、大富豪のナアン氏からの依頼です。氏は広大な屋敷に100匹以上の猫を飼っていらっしゃる程の大大大の猫好きでして。この度、多くの客を招いて『にゃんにゃんパーティー』を開く事にしたそうなんですが……」
 パーティーへの参加資格は『猫好きである』事と『猫の仮装をする事』。それさえ守れば誰でも参加出来るフリーパーティーだ。
 そこにある盗賊団が目を付けた。彼らは猫の仮装をし、屋敷に侵入してお宝を盗もうと計画しているらしい。
「そこで皆さんには会場となる屋敷の警備と、盗賊団の捕獲をお願いしたいのです……が」
 言葉を句切ったヴェインに、やっと彼の姿に慣れてきた冒険者達は身構えた。
「氏が仰るには『なるべくパーティーの雰囲気は壊さないで欲しい』と」
 つまり、屋敷内では猫の仮装姿で警備しなくてはならないらしい。
「さらに戦闘を客に見られそうな時には、なるべく猫らしい戦い方にしてくれと……猫パンチとか、猫キックとか……掛け声だけでもいいんです!ええと、本当に申し訳ありませんが、どうか宜しくお願いします〜」
 殺気を噴出する周囲に向かって、ヴェインは慌てて言い繕うと、深々と頭を下げた。

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参加者
明告の風・ヒース(a00692)
星刻の牙狩人・セイナ(a01373)
深森の弓猟犬・ドラート(a01440)
ニュー・ダグラス(a02103)
さすらいのギター宣教師・フェイ(a02632)
舞い降りし蒼鷹・エルフレイア(a03925)
放浪傭兵稼業・ダウザー(a05769)
夕暮れにまどろむ白い月・カレリア(a05885)


<リプレイ>

●にゃん会談
 ナアン氏と対面した冒険者達はその風貌にちょっぴりドキドキしていた。精巧な猫の面をすっぽり被った燕尾服姿はまだいいのだが、服から出ている手足はどう見ても猫の手、猫の足だ。
 異様な迫力に圧されつつも、放浪傭兵稼業・ダウザー(a05769)が屋敷の間取り図を、夕暮れにまどろむ白い月・カレリア(a05885)が空き部屋の使用許可を求めると、ナアン氏は喉を鳴らして快く応じてくれた。
「屋敷にゃいは自由に歩き回ってくれて構わないにゃ。頼りにしてるにゃー」
「大丈夫、貧乳様を信じていれば平気なのだ」
 貧乳様の像を手渡した貧乳教宣教師・フェイ(a02632)が力強く請け負う。
「あー駄目だ! この陽気には暑すぎるぜ!」
 突然、毛むくじゃらペルシャ着ぐるみ姿のニュー・ダグラス(a02103)が漢汗をだらだらと流しながら叫んだ。すると何処からか現れた黒子土塊の下僕たちが、彼の衣装を素早くチェンジする。
「完成! 邪ま虎猫にゃ!」
 じゃ――ん!
「…………」
 黄と黒の虎猫衣装に見事変身し、メガホン片手に漢笑な彼に仲間達は凍りつく。斑猫がくあーっと大きく欠伸をする横で、ナアン氏だけが嬉しそうにぽてぽてと拍手を送っていた。

 屋敷内には猫専用の遊戯室や庭園がある。
 そこに集った猫を見て、星刻の牙狩人・セイナ(a01373)は大はしゃぎだ。
「うに〜♪ 猫さんが一杯なのです♪」
「本当にたくさん居るな〜」
 毛色や大きさも様々な猫達に囲まれて深森の弓猟犬・ドラート(a01440)も笑顔になる。既に愛猫ロッシュとお揃いの、白猫着ぐるみ姿の彼は『にゃんにゃんパーティー』の開催に胸をときめかせていた。
「でもやっぱりロッシュが一番可愛いな!」
「……にゃ〜」
 ぎゅっと抱き締められたロッシュは溜息のような声で鳴いた。親馬鹿っぷり炸裂の主人に呆れているのかも知れない。
 一方セイナは片隅でポツンと丸まっている目付きの悪い虎猫を抱いて胸を高鳴らせていた。
「うに〜? 誰かに似てます〜♪」
 嫌がって暴れるのも構わず頬ずりをする。ここに居るどの猫よりも可愛いと思った。
「こんな可愛い猫さんのお命頂戴なんて、酷いです。残酷です。……わたし、許せませんです!!」
「ドサクサ紛れで宝を盗もうとは図々しいやつらだ。……お灸をすえなきゃな」
 激しく勘違い中のセイナと盗賊捕獲に燃えるドラート。さらにちょっと離れた場所では。
 『御主人の為、一肌脱ぐニャ!』
 猫にモテる為の勝負猫服姿で明告の風・ヒース(a00692)が獣達の歌を使い、猫向けストロベリートーク、いやカツオブシトークで猫に協力を求めていた。
 全身白タイツ(水色の花模様入り)にフワ白猫耳。尻尾(自前)は白く塗り猫風アレンジ、金の首輪にピアス。鰹節で作ったステッキを片手に白ハイヒールとマント。今日の彼は中性的で憎いアンチキショウな『大和ニャデシコ』だ!
 無理矢理にでもそう思うように!
 猫達を説得して周り、何とか数匹の約束を取り付けた時にはパーティーの開始時刻だった。

●にゃんにゃんパーティー捕り物帳
 猫仮装に身を包んだ人々がぞくぞくと絢爛な大広間に集う。その中でも特に男性の熱い視線を独占しているのは露出度が極めて高い猫衣装のフェイだ。胸の辺りに突き刺さる視線が痛い。
「む……参加したはいいが、恥ずかしいな。もうすぐ22なのだがな……」
 自分で思っていたよりもミニなスカートの裾を気にし、豊満な胸元を押さえて独り語ちる。落ち着かない気持ちながらも周囲を観察したフェイは、斑猫着ぐるみ数人を確認すると、会場の片隅で話し合う『目つきが悪くちょっとニヒルな白と黒のトラ縞猫の着ぐるみ』と『虎猫の着ぐるみ(蝶ネクタイ付)』に何気ない素振りで近付いて行った。
「見付けたのだ」
「私も何名か発見しました。まだ動く気配は無いですが」
「客の目を惹いとくか。ちょいとお膳立てしてやれば奴らも動きやすいだろ」
 フェイが小声で話しかけたのは舞い降りし蒼鷹・エルフレイア(a03925)とダウザーだった。周囲が聞き取れない程の声で打ち合わせを済ませた後、彼らは再び会場に散る。
「レディース&ジェントルメーン!」
 一段高い位置に設けられたナアン氏の席。その横に立った巨大虎猫(ダウザー)が声を張り上げた。会場の視線が一気に集中する。
「愛猫を連れて来場した諸君に朗報だ! これより抜き打ち『猫コンテスト』を開催する! 優秀猫には賞品もでるので、奮って参加してくれ! ……にゃ」
 どよめきが走った。賞品という言葉に釣られて何人かが早速名乗りを上げる。熱気が渦巻く会場をひっそりと出る斑着ぐるみ達は、その後を追う複数の影に気付かなかった。


 会場から少し離れた廊下の片隅では、壁に凭れて読書をする黒耳に黒シッポを付けた女性が居た。プリンセスラインの黒いドレスが肌に映えて美しい。
「えぇと。上目遣いで顔を覗き込んで、ですか……」
 『内気な貴女にも出来る誘惑の1、2、3〜初心者編〜』を熱心に読み、復唱するのはカレリアだった。彼女は宝物庫に続く廊下に陣取って、賊を待ち構えているのである。
 折しも斑猫着ぐるみが周囲を警戒しながらこちら向かってくるのが見えた。
「……すぅ、……はぁ、……よしっ」
 心を落ち着かせ、気合を入れると、彼女は斑猫に声を掛ける。
「おにいさん、向こうでお話ししませんか?」
「え?! 喜んで! さあ行きましょう!!」
「あ、あ、ちょっと〜?」
 人気の無い場所に誘い込むつもりが、逆に腕を引かれて空室に連れ込まれそうになるカレリア。
「にゃ〜ん!!」
 ビシリ。
 危機一髪。紅蓮の咆哮で男の動きが止まった。羞恥と驚きに顔を真っ赤にしてカレリアは手刀を相手の首筋に叩き込む。そこで視線を感じた。
「……」
「う、あ、ええと、私よりも先に潰れるなんてヒドイ人なのにゃぁ〜」
 もの凄く苦しい言い訳を呟きながら、ずるずると斑猫を空き室に引き摺って入室する彼女を一般客は点目のまま見送っていた。

 別の場所ではヒース&猫達と共に巡回するダグラスが斑猫男二人組を発見していた。
「そこ、そこのマダラ!」
「お、俺達?」
 ダグラスに鋭い声を掛けられオドオドと振り返る。
「駄目だ、駄目だ、なっちゃいねぇーな。猫神様にきちんと挨拶しねぇとだぜにゃ!」
 漢猫語で無意味にダメ出しをしながらヒースをメガホンで示し。
「お猫様がお通りになる時は、こう! 『にゃにゃー(ははぁー)』ってな、頭が高いぜにゃ!」
 地面に伏せ行き過ぎるのを待つよう首を押さえて強制する。
「う、止せ!」
「にゃーん。最近お見限りだったニャ、会いたかったニャー!」
「ぐぇ!」
 抵抗する一人に、ヒースの頭突きがぶち当たった。飛び付くと見せ掛けた強烈な一撃に昏倒した仲間を見て、もう一人がいきり立つ。
「てめぇ!」
 パコ――ン!!
 小気味いい音を響かせダグラスのメガホンがヒットすると、斑猫はヘナヘナと崩れ落ちた。こうして上手く賊を連携で沈めた『邪ま虎猫&大和ニャデシコ』ペアはがっちり握手を交わし、一般客に目撃されると。
「こんなトコでは嫌ニャ」
「良いではないか〜、良いではないか〜」
 不気味な演技をしながら斑猫男達を抱えて空室に入っていった。

●にゃん決闘
「ワル〜イ泥棒猫にはお仕置きなのだ……にゃ!」
 方やフェイがにゃん言葉に苦労しつつ猫パンチで倒し。
「お日様が見逃しても、猫さんはみんな知っているのです!!」
 方や盗みを働こうとしている現場を押さえた猫さんスーツ姿のセイナが可愛らしい猫ダンス(幻惑の剣舞)を披露した後、鋭い爪で顔中を引っ掻いて。
「毛繕いシュート!」
 方や猫じゃらし風にアレンジしたドラートの矢が影を射抜き、縛り上げて『この部屋には猫の天敵がいます』と張り紙した部屋に押し込む。
 何とかパーティーの雰囲気を壊さないように振舞う冒険者達に次々と捕らわれて行く斑猫盗賊団。そして中庭では世紀の猫対決が勃発していたのだ!

 巨大な噴水の前で両者は向き合っていた。筋骨隆々とした盗賊団のボス(やっぱり斑猫着ぐるみ姿)とニヒルな黒白虎猫の睨み合いを、居合わせた客が見守っている。
「我らの正体を見破るとはな。名を聞いておこうか」
「私の名はエルフ……にゃ。にゃあ……踊る猫妖精えるふにゃーにゃだ!」
 しゃきーん!
 猫手から爪を出して名乗りを上げるエルフレイア。やっぱり本名を言うのは抵抗があったらしい。
「えるふにゃーにゃ、か。相手にとって不足なし! ゆくぞ!!」
 渋い声で不適に笑ったボス斑猫は助走を付け、飛んだ。
「必殺! 空中三回転キィィィーック!!」
「う・っ・にゃああぁぁあ!」
 ガキィィ――ン!!
 両者の爪と爪とが激突する!
 景色が白色に包まれた……気がした。
「や……る、にゃ〜」
 立ち位置の入れ替わった二人。崩れ落ちたのは斑猫だった。
 周囲の観客から歓声が沸き起こる。どうやら余興の一つだと思ってくれたようだ。
 駆け付けた仲間を見て、エルフレイアは着ぐるみの頭を取った。汗に濡れた肌に、夜風が心地良い。
「ふう……終わりましたね」
 真面目な顔で呟く彼は猫耳カチューシャを付けている事をすっかり忘れていた。素敵な仲間達も星空を仰ぐ彼に何も言わず、そっとしておいたのだった。


●顛末記
「うに〜、この猫さん下さい!! わたし、一生懸命育てますから!!」
 目付きの悪い虎猫を抱え、セイナがナアン氏に直談判していた。
「ダメにゃ」
「下さい!!」
「ダメにゃ」
「く・だ・さ・い〜」
「……いいにゃ」
「ありがとうございます!」
 力技のようであったが、とても大切な家族の出来た瞬間だった。

 その後。
 ヒースのフールダンス♪は嫌がるダグラス&猫の可愛いダンスパレードを演出しパーティーを大いに賑わした。
 その片隅では。
「今日の猫語の事は忘れましょう……」
 ひっそりと影でワインを飲みながら、真っ赤になって落ち込むカレリアを、猫だけが見ていた。


マスター:有馬悠 紹介ページ
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参加者:8人
作成日:2004/04/11
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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