まゆげ犬



<オープニング>


●まゆげ犬
「カーネル猫の商品化が遠のいた以上、我々に残された道はひとつ。……まゆげ犬を商品として売り出す事だ!」
 険しい表情を浮かべながら、チキンレッグの商人が禁断の言葉を口にする。

「ま、まゆげ犬だって!?」

「……知っているのか、ライゲン!」

「あれは禁断の秘術。普通の犬にマユゲを書く事によって、市場価値を高めるチキンレッグ流のイカサマ術!」

「な、なんだってぇー!」

 ザワザワ、ザワザワ。

「しょ、正気か。そんな事をすれば、どうなるか分からないぞ!」

「マユゲが消えたら……、また書けばいい。しかもタダで」
 クールな表情を浮かべ、チキンレッグの商人が答えを返す。

「ダ、タダだって!?」

 ザワザワ、ザワザワ。

「ナ、ナイスアイデア!」

 ザワザワ、ザワザワ。

 途端にまわりにいたチキンレッグ達から感嘆の声をあげる。
 ‥‥それだけ彼の言葉は画期的であった。
 しかし、その計画を実行するためには、ひとつの問題がある。
 辺りをウロつき回っているモンスターの存在だ。
 そのため、チキンレッグ達はガイに助けを求めるのであった……。

●ガイからの依頼
「チキンレッグ領の辺境で、サルのモンスターが暴れている。このモンスターは犬が大好物で、特に赤犬には目がないようだ。しかも、近くにはチキンレッグ達が育てている犬の犬舎があるらしい。そこでお前達にモンスターの退治をお願いしたい」
 そう言ってガイがペコリと頭を下げた。

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参加者
爆乳翔剣士・ルナ(a00331)
湯の瀬遊撃隊旅団長の・ホノカ(a00396)
降りそそぐ木漏れ日・スタイン(a04948)
銀の剣・ヨハン(a21564)
終わらない夢とともに・キアン(a27381)
嵐を呼ぶ風雲児・ミミュ(a42672)
吟遊詩人・アカネ(a43373)
青・ケロ(a45847)
普通を愛するエルフの医術士・ハウマ(a54840)
夢見る白百合・リズ(a56117)
夜明けの・トゥルティ(a58831)
喪家の犬・リョウト(a61097)


<リプレイ>

●チキンレッグ
「まゆげ犬って、どんな犬なのかしら。……楽しみだわ」
 キラキラと輝くまゆげ犬を思い浮かべ、爆乳翔剣士・ルナ(a00331)がウットリとした表情を浮かべる。
 まゆげ犬はチキンレッグ達の商人が売り出した、新たなペット。
 塗料などを使って犬に眉毛を書いただけなのだが、これがチキンレッグ達の大受け。
 まゆげ犬は飛ぶように売れている……らしい。
「ワンちゃんに眉毛を書いて売ろうとするなんて、だめなぁ〜ん!! 長老様は、言っていたなぁ〜ん。『自分に無いものは人にも与えられないなぁ〜ん』と。自分達に眉毛が無いのに、ワンちゃんにだけ書くなんて、不公平なぁ〜ん」
 不機嫌な表情を浮かべながら、嵐を呼ぶ風雲児・ミミュ(a42672)が人差し指で天を指差した。
「それは違うぞ、少年! 我々には眉毛がある。すなわち、犬達にまゆげを書く事によって、我々の家族として迎え入れるという意味があるのだっ!」
 くわっと表情を険しくさせ、ライゲンがまゆ毛犬について熱く語る。
 ちなみにまゆげ犬については、ハウゼン著の本を参照にすると分かりやすいらしい。
「ライゲンって物知りなのね。ある意味、エギュレ神殿図書館を凌駕するかも……」
 感心した様子でライゲンを見つめ、ルナがまゆげ犬を抱き上げクスリと笑う。
 そのため、まゆげ犬は少し困った表情を浮かべ、可愛らしく『きゅーん』と鳴いた。
「あんたらアホちゃうか。いや、これどう見たかて、ただの犬やん。犬に眉毛を書いたぐらいでアップするのは間抜け度ぐらいやん。だったら森羅万象全てのものにまゆげを書いたらなんや、皆売れ行きアップするんか?」
 不機嫌な表情を浮かべながら、夜明けの・トゥルティ(a58831)がハリセンで地面を叩く。
 しかし、まゆげを書いただけで売り上げが伸びているのも、また事実。
 ……トゥルティは返す言葉がなくなった。
「うなうな♪ うなうな♪ うなうな♪」
 クレヨンでトゥルティに眉毛を書き加え、ミミュが満面の笑みを浮かべて手鏡を渡す。
「……って、いきなり何をするんや! こんな事をしたら、わいの顔が……渋くなっているやんけ! せやけど、わいは騙されへんでぇ! 何が画期的やねん! こんなん何度も書き直していたら、赤字になってしまうでぇ! どうせなら一生消えんもんで書いとけや!」
 キリリッとした表情を浮かべ、トゥルティがハリセンで再び地面を叩く。
「それは違うぞ、相棒! きちんとしたケアが出来ているからこそ、商売! 例え赤字が出たとしても、長い目で見れば必ず黒字が出る!」
 ミンヒュ著『売れるマユゲ学』の本を突き出し、ライゲンがキッパリと断言した。
 次の瞬間、モンスターの咆哮が聞こえ、ルナがハッとした表情を浮かべてライゲンの腕を掴む。
「もうすぐここは戦場になります! モンスター退治に向かっている人達を信じて避難して下さい(本音:つーか、此処に居たら邪魔よ!)」
 険しい表情を浮かべながら、ルナがチキンレッグ達を説得する。
 しかし、犬達の安全を確保していないため、チキンレッグ達がなかなか避難しようとしない。
「とりあえず犬達は他の冒険者がなんとかしてるさかい、あんさんらは先に逃げとき! 眉毛については後でジックリ話すから……」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、トゥルティがハリセンを振り下ろす。
「……うむ。ならばおぬしらを信じよう。ションボリ眉毛に悪い奴はいないからな」
 トゥルティの眉毛を見つめ、ライゲンがニカッと笑う。
 ミミュの可愛らしいイタズラがライゲン達の心を動かしたのである。
 ……たぶん。

●眉毛犬
「チキンレッグの商魂逞しさには頭が下がりますが、たまにあらぬ方向へ思考が吹っ飛んで見てて飽きな……いえ、心配になります」
 身軽な格好で現場に駆けつけ、銀の剣・ヨハン(a21564)が獣達の歌を使って、『ここはサルに狙われていて危険ですので、しばらく他の場所へ行きましょう?』と犬達に伝える。
 そのため、犬達は申し訳無さそうにヨハンを見つめ、『分かったワン』と答えを返す。
「あぁ……! 皆さん、なんて悲しそうな顔をされているのでしょう!! どこか痛むところなどありませんか? あれば、私に見せて下さいね」
 思わず涙ぐみながら、夢見る白百合・リズ(a56117)が癒しの水滴を使う。
 しかし、犬達は何処も怪我をしていないため、不思議そうに首を傾げる。
『この物悲しげな表情はぁ、きっとぉ、ご飯もらっていないのねぇ。どうなのですかぁ』
 獣達の歌を使って犬達に話しかけ、吟遊詩人・アカネ(a43373)が瞳をウルウルさせた。
 ちなみに昨日の御飯は肉料理だったらしく、特に飢えているという事もないようだ。
「何だか困った表情を浮かべている割には、幸せな生活をしていたようだね。とにかく安全な場所まで避難しよう」
 犬達の身体にロープをハーネス状に縛っておき、湯の瀬遊撃隊旅団長の・ホノカ(a00396)がニコリと微笑んだ。
 既にチキンレッグ達が避難している事もあり、犬達は素直にホノカ達の後をついていく。
「そんな申し訳なさそうな顔しなくてもいいんですよ。生きとし生けるものの為に、手を差し伸べるのが冒険者の務めであり、そして何よりの喜びで存在意義でありー……。ちょっと難しい話をし過ぎてしまいましたね」
 苦笑いを浮かべながら、ヨハンが犬達の頭を優しく撫でる。
「み、みんな、御利巧さんですねぇ。本当に何もされていないんですかぁ? チキンレッグさん達もいないから、本当の事を言うのなら今がチャンスですよぉ」
 心配した様子で犬達を見つめ、アカネが獣達の歌を歌う。
 しかし、犬達はチキンレッグの商人に可愛がられていたため、特に不満はないようだ。
「のわあああ! た、大変です! こっちまでモンスターがっ!」
 ホッとしたのも束の間、モンスターに追いつかれていたため、リズが悲鳴を上げて犬達の誘導をする。
 それとモンスター達が咆哮を上げ、持っていたバナナを振り下ろす。
「み、みなさん! 落ち着いて……! あぁ、押さないで下さい! 危ないですよ! あ〜〜〜〜……!」
 モンスターのせいで犬達が興奮したため、リズが尻餅をついて悲鳴を上げる。
 そのせいで犬達の波に飲み込まれ、リズの意識が吹っ飛んだ。
「み、皆さん、そっちに逃げたら駄目ですよぉ。あ、あたし達の指示に従って安全な場所にぃ〜」
 犬達がバラバラに逃げていったため、アカネがグルグルと目をまわす。
 その間にモンスター達が犬に飛びかかり、牙を剥いて喰らいつこうとした。
「だ、大丈夫ですか? こんなに困った顔をして……。よほど怖かったんですね。早く安全な場所まで行きましょう」
 モンスターに斬りかかり、ヨハンが襲われていた犬を助け出す。
 それに合わせて仲間達がモンスターに攻撃を仕掛けていったため、ヨハンも獣達の歌を使ってバラバラになった犬達を呼び集める。
「何だかキミ達を見ていると、こっちまで寂しくなるね……、なんでだろ?」
 集まってきた犬達を見つめ、ホノカがボソリと呟いた。
 犬達の眉毛が書き加えられたものだと最後まで気づかずに……。

●モンスター
「……たくっ! まさか俺達の裏をかくとはな。モンスターにしちゃあ、上出来だ。しかし、いたいけな犬を食べるなんてけしからんな。だいたいなんでサル型のくせに犬なんて食べるんだ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、普通に・ハウマ(a54840)がモンスター達の後を追う。
 モンスター達は犬の匂いを嗅ぎつけたのか、ハウマ達の裏をかいて先回りをしていた。
「あ、あれが噂の犬か。本当に申し訳なさそうな表情を浮かべているね。だ、大丈夫かな?」
 心配した様子で犬達を見つめ、青・ケロ(a45847)がダラリと汗を流す。
 それと同時にモンスターが行く手を阻み、次々とバナナを投げてくる。
「クッ……、なかなかやりますね。しかし、こんな妙なアイデアを出す前に、普通の商売をやった方がいいような気も……。まぁ、これで売れているようですから、私達が口を出す事でもないような気がしますけど……」
 険しい表情を浮かべながら、降りそそぐ木漏れ日・スタイン(a04948)がバナナを避けていく。
 モンスターの投げたバナナはほとんどが食べられており、残っているのは腐っているものだけである。
「アレがサルのモンスターか。……なんていうか。……サルって人間のプライドをくすぐる動物だよな……」
 生暖かい視線をモンスターに送り、ハウマが疲れた様子で溜息をつく。
 モンスター達はハウマの真似をして溜息をつき、狂ったようにケラケラと笑う。
「わわっ、バナナが滑るですなぁん!」
 青ざめた表情を浮かべながら、終わらない夢とともに・キアン(a27381)がバナナの皮を踏む。
 そして、立ち上がろうとした時に、再びバナナの皮を踏んでしまい、モンスター達の前で派手に転ぶ。
 その姿を見てモンスター達が腹を抱えて笑い出す。
 あまりにもおかしかったせいか、キアンの真似をしてモンスター達も転んでいる。
「さすがキアンさん。モンスターを油断させる事によって、俺達にチャンスを与えてくれたんですね」
 感動した様子でキアンを見つめ、喪家の犬・リョウト(a61097)が紅蓮の咆哮を使う。
 そのため、モンスター達は妙な格好で動きを封じ込まれ、リョウトの放った爆砕拳の餌食になった。
「わ、わたしはわざとコケているわけじゃないですなぁん」
 なかなか立ち上がる事が出来ず、キアンが大粒の涙を浮かべて答えを返す。
 不幸の女神に愛されてしまったのか、立ち上がるたびにバナナを踏んで転んでいる。
「そ、それじゃ、これは……一体!?」
 唖然とした表情を浮かべ、リョウトがダラリと汗を流す。
「もしや、これはトラップフィールド!? まさかサルが……。そ、そんなわけないよな。お前達なぞ、この剣のひと……」
 自分自身に言い聞かせながら、ケロが緑の剣を握り締め、モンスターに斬りかかっていく。
 しかし、途中でバナナの皮を踏み、悲鳴を上げて尻餅をつく。
「うぐっ……、馬鹿な」
 目の前に突き刺さった緑の剣を見つめ、ケロがダラダラと汗を流す。
 ケロもキアンと同じような状態に陥っているのか、立ち上がるたびにステンとコケている。
「ハハハハッ……、随分と苦戦しているようだな。だが、モンスターの力が何であれ、俺には関係のない事だ。まさかここまでバナナの皮が飛んで……ぐはっ!」
 モンスターの投げたバナナが直撃し、ハウマが後ろに吹っ飛んだ。
 そのせいでモンスターが調子に乗り、ハウマめがけてバナナの皮を投げていく。
「こ、こら! お前達、こんな事をして、どうなるのか分かっているのか!」
 バナナの山から顔を出し、ハウマが慈悲の聖槍を放つ。
 それに合わせてスタインがヒーリングウェーブを使い、ハウマを見つめてハッとした表情を浮かべる。
「……すみません。私の技ではハウマさんの傷ついた心は癒せません」
 申し訳なさそうな表情を浮かべ、スタインがそっと涙を拭う。
 そのせいでハウマの心がさらに傷つき、トドメとばかりにバナナでコケた。
「フフッ……、そうか、これを投げつけて来てたのか、ならば!」
 すぐさまストリームフィールドを発動させ、ケロがモンスターの投げたバナナを弾く。
 それと同時にキアンがモンスターの懐に潜り込み、必殺の一撃を放とうとして豪快にコケた。
「くっ……、食らえ!」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、ケロがスーパースポットライトを放つ。
 それに合わせてケロが薔薇の剣戟を炸裂させ、モンスター達を倒していく。
(「……終わったな……」)
 ホッとした表情を浮かべ、リョウトがバナナの皮を踏む。
 次の瞬間、サマーソルトばりに真円を描き、地響きが聞こえるほど派手に転倒した。
「さぁて、それじゃ帰るとするか」
 そう言ってハウマが仲間達を連れて帰っていく。
 まゆげ犬に関する被害が報告されていない以上、ハウマ達が関知するわけにはいかないからだ。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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参加者:12人
作成日:2007/01/28
得票数:ほのぼの4  コメディ9 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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