【君を思う】森の奥、君と二人で。



<オープニング>


 今日はふたりで、ゆっくりと過ごしましょう
 互いの瞳だけをみつめて、優しい音楽に浸って
 ゆうるりと流れる時間は、まるで円舞曲のように
 とぎれることなく流れていくわ……だから。
 あなたと、ふたりで。

 森の中、ひっそり佇むお屋敷は、古くてちょっぴり厳しい雰囲気の外観。
 でも一歩入ると、そこには家庭的な温かさがありました。
 張り出したおおきな窓に、レースのカーテン。花瓶には季節柄か、ドライフラワーが飾られて。
 お屋敷の一階は、料理上手な奥さんと、狩りの上手な旦那様が営むレストラン。二階の一部は、遠出したお客様がゆっくり出来るようにと、宿泊も出来るようになっています。
 カントリー風に纏められた内装は、木の肌触りがする優しい色合い。落ち着いた草花の意匠が素朴な暖かさを演出しています。
 屋敷へ続く道はノソリン車が通れるくらいには広く、足元もしっかりしているので、食事の後のちょっとした散策に向いているでしょう。
 でも、……そんなすてきなお屋敷の近くに、グドンが最近出ているのだって。

●森の奥、君と二人で。
 酒場のテーブルでは、いつものように霊査士が手帳を片手にコーヒーのカップを傾けていた。
「……という事は、グドン退治をすれば、その素敵なお屋敷で過ごせるという事ですかしら」
 前述の話を聞かされて、カップをソーサーに戻しながら、マリーティアが首を傾げる。たちのぼる湯気は甘くもほろ苦いショコラの香り。向かいの席の霊査士は、娘の言葉に眼鏡の紫の瞳を愉快そうに細めて軽く頷いて見せた。その手元には黒革の手帳と使い古したペンに、黒いザッハトルテ。
「ん、その通りだ。……おっと、依頼だ」
 霊査士は目線で断ってから席を立ち、冒険者を呼び寄せる。前述の話を繰り返し、詳細を加えた。
「グドンの数は10匹程で、お屋敷の近くをうろついてる。森の中でなく道の近くだから、捜索はそう難しくはないだろう。
 そうだな……まあ、協力して探して、さっさと伸してくれれば、人数分の席を用意して待っててくれるそうだし、楽しんで来るんだな。宿泊用の部屋も、なかなか可愛らしいって話だ。それぞれ1つの花をテーマにしてリネン類を揃えているそうでな。周囲は散歩に丁度良いし、食事が済んだらのんびり過ごすのも良いだろう。
 奥さん特製のチョコフォンデュは、なかなかのもんだって言うぞ」
「チョコフォンデュ? まあ、美味しそうですの」
 セイレーンの娘の声に、うんうんと同意する者もあり。
「恋の季節にぴったりの場所だろう? 良い思い出作りの為にも、張り切って行って来い」

マスター:砂伯茶由 紹介ページ
 シリーズは今回で一応区切りとなります。デートシーンは3つの場所から1つ選んで下さい(いくつ書いても1つだけ描写されます)
 1.レストラン
 2.散歩道
 3.お部屋
【パートナーはサポート推奨】
 席数の関係もありまして、今回もパートナーはサポートでお呼びしていただけると宜しいかと。なお、呼ばれている事や関係などを了承している合図として、サポートさんは掲示板に挨拶をお願い致します。最悪感情を確認致しますが、ご挨拶なし、感情なしで熱愛関係など違和感のある関係であった場合、サポート描写を外す事がございます。また、サポート欄が白紙の場合も同様の処置となります。
【ステージ説明】
 本文参照。グドンの数は10匹。お強くなられた皆様ならばさして苦ではないといえ、必ず対処を。うっかり見逃すとやはり問題が発生します。お土産はチョコレート菓子です。
【恋のアイテム】
フォーマットは大体こんな感じです。プレイング末に「名称、説明」が書いてない場合はアイテムが発行されませんのでご注意下さい。字数オーバー、設定に不備・問題がある場合も同様に。
なお、アイテムは一律「レベル21、修正ALL4」でお配り致します。これは記念品の要素が濃い為です。
(設定はお好きに改変下さい。【聖花祭】は必ず前に付きます。サポート分が別設定で欲しい場合は、メインプレイングへ2つ書くか、サポートらんに書くかしましょう)
作例:
名称:【聖花祭】ハート形のプチケーキ(35文字迄)
説明:一口サイズのハート型ザッハトルテ。ほろ苦さも恋の味。(40文字迄)

 お一人で参加の方は、マリーティアが同行致しますので宜しければ彼女をお話相手にしてやって下さい。 作例のアイテムはあくまで例です。

参加者
蠱惑の妖狐・ライカ(a00857)
快傑ズガット・マサカズ(a04969)
蒼剣の騎士・ラザナス(a05138)
葬姫・ツバキ(a20015)
白水六花・ロッカ(a26514)
終焉の探求者・ガイヤ(a32280)
天水蒼舞・カナメ(a36261)
水天一碧・ロゼッタ(a39418)
青碧の百合姫・ユリカ(a47596)
根無し姫・セイフィール(a60475)
悲しみよこんにちは・エリナ(a61246)
静炎の大剣・ヒオ(a61559)
NPC:深蒼の萌花・マリーティア(a90343)



<リプレイ>

 その日は朝から暖かな陽気だった。うららかな日差しの下、針葉樹の森は冬の季節も尚深い緑色の葉を広げている。
「おいしいチョコ、うれしいなー。その前にグドン退治だね」
 スキップでもし兼ねない、水天一碧・ロゼッタ(a39418)の言葉に、仲間達は微笑みを浮かべ、頷く。
 まずは不安を取り除こうと、道の左右に別れ、各々調達した匂いの強い食べ物を手にグドンを誘き寄せる。
 まもなく、グドン達はふらふらと森から姿を現した。
 冒険者は目配せし合うと、行動を開始する。
「……ごめん、だけど、……逃がさない……から。覚悟……だよっ!」
 右手から白水六花・ロッカ(a26514)の描いた紋章より緑の木の葉が吹き上がり敵を拘束すれば、左手では天水蒼舞・カナメ(a36261)が、裂ぱくの気合を込めた叫びでグドンの足を止め。
「……悪いが、グドンに容赦をかけるつもりはない」
 拘束に動けぬグドンに、右手から終焉の探求者・ガイヤ(a32280)、青碧の百合姫・ユリカ(a47596)、神聖の卵・エリナ(a61246)が殺到する。衝撃波で敵を叩いた。撃ち漏らしが出ないよう目を光らせ、ロゼッタは光る軌跡を描いてグドンを蹴り飛ばし、蒼剣の騎士・ラザナス(a05138)は流れるように剣を横なぎに走らせる。
 左手では蠱惑の妖狐・ライカ(a00857)がチキンスピードで仲間を支援した。火槌・ヒオ(a61559)は素早く敵に近付くと斧を叩き付けその身を爆ぜさせ、快傑ズガット・マサカズ(a04969)が斬り付け、
「グドン退治とは、『冒険者』らしくて良いのぅ!」
 初めての冒険に瞳を輝かせる、根無し姫・セイフィール(a60475)と葬姫・ツバキ(a20015)は、光の雨と黒き針の雨で多くの敵を叩く。
 森のしじまに響く戦いの音は、やがて終息し。……グドンの数を数え、不足が無い事を確認し、互いにお疲れの声を掛け合うと、冒険者はそれぞれ、つかのまの休息へと足を向けたのだった。

●レストランにて
 飴色のよく磨かれた床に、草花の意匠の絨毯を敷いた一階のレストランは、いくつかの席が埋まっていた。ふくよかな奥方はねぎらいの言葉とともに、席を行き来し料理を提供する。今日のメインは猟師である旦那様の捕ってきた猪料理。野趣あふれたそれも、新鮮なうちならば臭みもなく美味しいものだ。

 ライカはヒエンと共に窓辺の席を取り、チョコフォンデュを楽しんでいた。カフェカーテンを通して差し込む光がきらきらとテーブルで揺れている。
 二人とも、初めて食べるチョコフォンデュ。食べ方はあえて聞かず、こうするのかな? ああするのかな? と、ドキドキしながら柄の長いフォークを手繰る。
 時に戸惑ったり、間違ったり、手探りで試すそれは二人のこれからを示しているかのよう。
「幸せをありがとう御座います」
「ライカも幸せですわ、ヒエン」
 満ち足りたヒエンの声に、ライカの笑顔が重なって。
 どんなときも、こうして二人手を携え、笑い合って……乗り越えていけたらいい。

 その時、マサカズはユウキと他愛ない雑談を交わし、チョコフォンデュを楽しんでいた。
「良かったら、食べさせあいっこでもしませんか♪」
 向かいに座る人の笑みがあれば、チョコの甘さは更に増すようで。

 一方、ガイヤはアルルと共にテーブルを囲み、のんびりした昼下がりを楽しんでいた。溶かしたチョコを絡めるのは、一口大に切ったパンやフルーツにマシュマロなど、どれもチョコに合うものばかりだ。
「甘くて美味しいの」
 にこにこと微笑む少女は、とても幸せそうだ。とろりととろける、ほろ苦くも甘いチョコレートはちょっぴり大人の味がする。
「そうか……では俺も少し食べてみようか」
 少女の様子にガイヤもつられたのか、柄の長いフォークを取って、とろけるチョコレートにフルーツを浸した。
 時間はゆっくりと流れていく。時には奥さんにチョコレートの美味しい作り方を教えて貰ったり、他愛ない会話に笑って。
 幸せな時間がそこに広がるならば、こうして二人きりでのんびりと過ごすのも、偶には良いだろう。

「いや、今回は誘うと思ったんだよ。でもねー、なんかねー。照れくさくてさー」
 ちょっともじもじしながら、ロゼッタが言うと。
「そうですわね。女の子から誘うのは、ちょっと勇気が要りますものね」
 よく分かりますわと深蒼の萌花・マリーティア(a90343)が頷き。
「ですわねぇ」
 ユリカもおっとりと同意して。
 女の子三人、レストランで顔を突き合わせ。ロゼッタはチョコフォンデュを、ユリカは苺デザートのフルコースを頼む。たっぷりの甘さがテーブルに並べば、寂しい気持ちも少しばかりは晴れるような気がする。
「やっぱりランララとかフォーナって、あたしには似合わないのかもー。あ、それ頂戴」
 頬杖を吐いてロゼッタが溜息。ユリカの苺デザートに手を伸ばす。
「そんな事はありませんわ。恋心がなくて何が乙女ですの? 緊張感を持たなければいけませんわ。そちらも美味しそうですわね」
 にこにこ微笑ながら、マリーティアはロゼッタのチョコフォンデュの苺に目をつけて。
「緊張感? ……あ、でもそっちも美味しそうー」
 ロゼッタが首を傾げる。マリーティアのクロテッドクリームがたっぷり付いたスコーンに目を惹かれ。
「恋する乙女は、常日頃己を磨くから綺麗になりますのよ。いつ誰かに、見られても良いように」
 チョコフォンデュを味見してちょっと満足げな、マリーティア。
「そう言われれば、分かる気がしますの。あ、わたくしもそちらのが欲しいですわ」
 ユリカは二人の会話にふんふんと頷く。

●森の散歩道
 針葉樹の森は、高くまっすぐにそびえる木々がすっきりとした姿を見せていた。散歩道は、森の中を巡るように円を描いていた。木々の隙間には、お屋敷の姿が小さく見える。これならば、迷子になる事はないだろう。

 散歩道を振り返ると、遠くにお屋敷が見えた。緑の木々に隠された、森の奥の、ちょっと古めかしいお家。ひっそりとたたずむ姿は、童話めいた愛らしさがある。
「……素敵な、所……だね。……こんな場所があったんだ……」
 のんびりと歩きながらロッカが呟くように言うと、隣でセイルが頷いた。冬の散歩道は、日差しがあっても風がつめたいから、隣のぬくもりが一際に恋しい。
 ぎゅっとくっついて、離れないようにして。二人のあいだに、隙間なんて作りたくないから。
「……セイルとこうやって歩けるなら……寒いのも、悪くない……ね」
「僕もこうしてると暖かいよ」
 優しく包むように抱きしめてくれる人がいるから……苦手な冬も、暖かく過ごせる。

「何!? もう終わってしまったのか!? うむ……そうか。冒険終了だな」
 戦いのあと。セイフィールは肩を落とす。初めての冒険は余りにもあっけなく終わってしまった。
「まぁ、怪我が無くて良かったな」
 イロルはそんな彼女の頭を撫で、無事が何よりで、落ち込む事は無いと労う。冒険の機会ならばこれから何度でもあろうし、それに、今日はまだ楽しみは待っているのだから。
 レストランで食事の後、二人は食後の散歩と森へ向かった。緑が生き生きとした森の様子に感嘆し、しばらく森を散策する。そういえば、と、セイフィールは思い出す。巷では聖花祭が催され、恋人達が愛を語らっているとか……。
「なんだったら今ここで私にこう……言いたい事を言っても良いのだぞ?」
 照れずとも良いと振り返ってみれば、イロルはふむふむと相槌を打ちながら、木々の観察に夢中で。
「でぇい! 草木を愛でている場合ではなかろうが!!!」
 森のしじまに、セイフィールの威勢の良い声が響いた。

「……俺はお前と共にいると、不思議と心が落ち着く」
 森の中、木々の間から差す日差しが、小さなひだまりを作る。ヒオの差し出した手にフォウはそっと手を添え、小さく微笑んだ。
 二人の間にある、ほのかな想い。それが恋とよべるものなのか、それとも違う名を付けるべきなのかは分からない。それでも、一緒に居るこの時間がとても大切に思えるから……。いつかは形を成すのだろうと、そう思う。
「これからも……、一緒に歩いていけると、いいね……」
 フォウの声がやわらかに響く。
 散歩道はいつしか終わってしまうけれど、約束はきっと、その先にも続くから。
「ああ……共にな」
 殊更にゆっくりと、二人は歩いた。出来ればこのやさしい時間が長く続いてくれるようにと。

「グドン退治も無事終わって良かったです〜♪」
 エリナは無事に依頼が終わった事にほっとして、木々の緑に目を細めながら散歩道を楽しげに歩いた。

(「皆……傷を負わなかった……みたい。良かった……わ」)
 ツバキは一人、森の散歩道を巡っていた。邪魔にならないよう……ひっそりと。
 2月14日は、彼女の誕生日でもある。
 こんな日ぐらいは、誰かのために力を振るうことが許されるのではないかと、思った。使命や、そんなものを抜きにして。ただ、純粋に。
 誰かが笑顔になるのなら。その笑顔で、少しばかりは気が晴れようか。
 感情などいらない。私に、そんなものは必要ない。いつもはそう思うけれど。
 風が渡る。梢を揺らし、冷たくこごえた冬の吐息で、ツバキの頬を撫でる。けれどその後に感じるのは、はるか高みから零れ落ちる、……優しい陽の光。
 この日差しのように……誰かが笑うならば。それが少しばかりでも手助け出来たならと、今は思うのだ。

●部屋には花の咲く
 草花の意匠が愛らしいベッドカバー。クッションやカーテンも、同じ柄でそろえれば、とても素敵な空間になる。
 明るい向日葵、神秘的な百合に、素朴な野アザミ。今日はどの部屋で、羽を伸ばそうか。

 二人は部屋を取り、のんびりと過ごしていた。
 ソファに並んで座ると、カレンがリボンを結んだ箱を取り出す。
「ランララの女神様に捧げたお菓子かな?」
 手渡されたラザナスは包装を解き、箱を開ける。そこにはチョコレートが並んでいた。
「貴女の好きな苺をチョコで包んでみたの」
「それは素敵だ。……貴女が食べさせてくれるんですか」
 黒髪を梳きながら、ラザナスが微笑む。
「今日は、特別だから」
 そっと近づく影は、やがて重なる。
 それはきっと甘酸っぱい味で、魅了してくれるに違いない。

 ソファの上、のんびり話しをしよう。貴女の居場所は、俺の膝の上。
 どうしていつも不意打ちするのと、ハルヒが照れるのにカナメは笑う。
 話の内容は何でもいい。今日のこと、昨日のこと、どんなことでもいい、その分お互いの心が知れるならば。
 貴女の声が好きだとカナメが言えば、暖かい腕の中が好きだと、ハルヒも返す。
 そうして側で、飽きることなく話していれば……。
「カナメ、さん……大好き……」
 眠りに落ちる間際、小さくこぼれた声に、カナメは幸せを噛み締める。
 当たり前の、なんでもない時間を、ずっと一緒に。望むのはきっと、それだけ。


マスター:砂伯茶由 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:12人
作成日:2007/02/24
得票数:戦闘1  恋愛9  ほのぼの1 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。