【箱の中】これからのこと



<オープニング>


 そのグレースという名の娘は、少しばかりの高邁さと多くの後悔とを露わとしながら、自らが犯してしまったという失敗について、次のように語ったのだった。
「父がすごい剣幕でまくしたてるものだから、思わず私も乗せられてしまって……。卑怯だけど、それが上手いやり口だったの。ジャーメインが私を誘拐した犯人じゃないってことはわかってたみたい。なのに、彼のことを悪く言うものだから頭に血が登っちゃって。いつの間にか、彼が私の従者みたいな存在だってことにされてしまったの。父はジャーメインを雇うって言うの。だけど、そうなっちゃったら……私は彼と……」
 暗い面持ちながらも、初めて言えるほどの素直さで、グレースは商家に伝えられた規則を口にした。雇用された人間とスラトム家――グレースの家名である――の人間との婚姻は、いっさい認めないというのである。
「ジャーメインは今、どちらに?」
 そう尋ねたのは、薄明の霊査士・ベベウだった。
「お姉さんが暮らす村にいます。この間、腕を折ってしまったばかりですから。きっとベッドに」
 と、グレースが応える。
「そちらに、あなたの父君が向かっておられるのですね」
「はい」
「ジャーメインを商会の一員とすべく誓約書を持参して」
「はい」
「父君が相手になれば、きっとジャーメインは太刀打ちできまい……誓約書に署名を済ませ、今にも商会の一員となってしまうだろう、と?」
「はい……」
 グレースとのやりとりを終えた後、ベベウは彼女が父から預かってきたという品の霊視に取りかかった。スラトムはすでに自ら商隊を率いて館から出立している。グレースは霊査士を尋ねるよう申しつけられ、それに抗えずにいた。その間に父は、目的地へと赴く中途、ジャーメインが滞在する集落へと寄り道をして、若い娘の情熱に蓋をしようというのである。
 霊視を終えたベベウは、薄く結んだ口元に指先を触れさせた後、しばらくは瞳を閉じたままだったが、やがて口を開いて、その言葉によってグレースの顔を蒼白とさせた。
 名のある商人らしからぬ浅慮であったと言わざるをえない。スラトムは、ジャーメイン訪問を急ぐあまりに、館へと届けられた不可思議な荷にまつわる事実の確認を怠ったのである。
 紅い風なる夜盗が、荷を奪うばかりか人々の命すらも失わせるという残虐な手立て悪行を働いたばかりのものたちが、スラトム一行を狙っている。この夜盗集団は、闇に身を潜め、人々を囲み、その足を止めるような手立てを講ずる特徴があった。
「それでは……父の身にも危機が……」
 震える声で言ったグレースに、ベベウは聞くものの心を安堵させる穏やかな抑揚の言葉で応えた。
「今からなら十分に間に合うでしょう。幸いにして、父君の商隊はジャーメイン訪問のために迂回路に入っている。ただ問題は、夜盗たちが集落ごと商隊を遅い、略奪行為を働く可能性があるということ……。たしか、その集落は丘の上に家々が集まっているのでしたね?」
「そうです。小さな、三角の帽子みたいな屋根の家だそうです。前にジャーメインが話してくれました。あまり、要領をえない説明でしたけど、いつか行ってみたいと思ったのを覚えてます」
 席から立ちあがるなり、霊査士は言った。
「冒険者を集めます。すぐに動いていただくとしましょう。最後の敵は……そうですね、時と人間……」

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参加者
太白・シュハク(a01461)
凪影・ナギ(a08272)
渡り鳥・ヨアフ(a17868)
奏でるは悠久の旋律・ククル(a22464)
幸福の記憶・ユキノシン(a37388)
現実に眠る姫君・レーニエ(a39827)
美白の歌姫・シュチ(a42569)
無限の刻の中静かに月を抱け・ユイ(a44536)
大地を歩みゆく者・ラング(a50721)
灰白狼・オワリ(a53247)
宵闇に散る花音・オリヴィエ(a54096)
斜陽支えし鋼盾・ジェフリー(a60090)


<リプレイ>

●夜の丘
(「夜陰に乗じ、荷を奪うばかりか人々の命すらも失わせる……そうか火か……『紅い風』とはよく言ったものだ……」)
 丘を降り、月の瞬く空を見あげ、風上へと向かいながら、住所不定・ヨアフ(a17868)は先ほど目にしたばかりの光景を不意に思いだすと、こみあげる笑いのせいで口髭を乱した。
(「ジャーメイン、あいつ……可笑しかったな」)
 
 スラトム商会なる飾り文字が躍るいくつかの小箱が、集落へと通じる道の入口に積みあげられている。そのすぐ側には、旅人が手にすることの覆い扱いやすい天幕が張られ、小さな焚き火を囲むいくつかの人影があった。
 背後から忍び寄る者の気配に、そのエルフの少女は気がついていた。玲瓏な光を秘めた天藍色の瞳を、焔の揺らめく影へと傾けながら、真夜中に降り積もる牡丹雪・ユキノシン(a37388)は心の裡で呟く。
(「残酷なことを好む輩か……さて、捕らえられても笑っていられるのかねぇ……」)
 炎の先に浮かびあがる仲間の白い顔に、夜盗が襲来したとの印を見てとると、ドリアッドの青年は静かに立ちあがった。典雅な笑みを浮かべて振り返えると、宵闇に散る花音・オリヴィエ(a54096)は白刃を閃かせる男たちに対し、そのきりっとした美貌から歌声を紡ぎだした。そこはかとないが眠ったように美しい旋律は、獰猛な男たちにすやすやと寝息をたてさせてゆく……。
 異変を悟ったのだろう、男は丘に背を向けて逃走を図った。だが、緑の黒髪をしたヒトの少女が追き、彼らのことを琥珀色の瞳で見据えいた。指先から拡散させた糸によって、数人の男を一挙に絡めとると、大地を歩み行く者・ラング(a50721)は小さく息を吐いた。うなじに触れる伸びた髪が夜気に晒されたせいか冷たい――。ヒトの少女は駆けだしていた、次なる敵を求めて。
 神々しいまでの輝きに縁取られる短剣を手に、ユキノシンは平伏する男を見ている。卑怯にも繰りだされた不意打ちを、短剣の嶺で弾くと、一転して恐怖のあまりに震える賊の姿を見やりながら、彼女は首を左右に振った。
(「ほらのう……思ったとおりや……」)
 
 濃藍色の瞳をしたその少年は、銀の輪が通された、白く、細長くて、先の尖った指先に、念の力を収斂させていた。
(「ジャーメインと、ちゃんと……素直に……話した、ら……ちゃんと想えば……きっと、叶う……そうだ、よ……グレース……」)
 無限の刻の中静かに月を抱け・ユイ(a44536)の指先からたなびいた、朝露のような輝きを帯びた弧たちは、黒衣に身を包む悪党たちを絡めとり、不格好な有様の彼らを長閑な村の眺めのなかに転がした。
「こんな時間に村をうろつくか……賊の一味だと言っているようなもんだぜ……」
 斬りかかってきた男の腕から、鞘に納められたままの『タービュランス』のひと振りで曲刀を叩き落とすと、地にはされた腕を踏みつけ、その自由を奪いながら、斜陽支えし鋼盾・ジェフリー(a60090)は言葉を続けた。
「大人しくしてもらおうか……わからないか? 俺はお前を殺してくはない、少なくとも……この村ではな」
 
 小屋の影から現れた人影に、黒衣をまとう男たちは動揺した様子だった。『紅の風』の面々は、気づかぬうちに村の北端へと集められ、そこで冒険者たちに囲まれていたのである。
「君も同じエルフならわかるのカナ」
 そう言ったのは地蔵星・シュハク(a01461)だった。彼はステッキの石突きを、自分たちが象る輪の内側へと突きつける。悪党たちはあたりを見渡し、逃亡を図ろうとしていたが、それは叶わなかった。エルフの医術士が口ずさんだ歌声が、彼らの精神へと染みこんで、その身体に深い眠りへの押さえきれぬ衝動を呼び起こしてしまったせいだった。
 歌声の不可思議な力の及ぶ範囲から逃れた者は、わが身の幸運を歌いあげるような気持ちでいたに違いない。だが、その男は弦から飛びたったはずの矢が、ただちに自身へと戻った瞬間、悲鳴をあげて、肩に焼けつくような痛みを覚えねばならなかった。身を貫かれた男の傍らに歩みでたのは現実に眠る姫君・レーニエ(a39827)、煌めく刀剣を手にするこの少女こそが、矢を射手の元へと帰還させる因果応報の風を起こしたのである。少女は言った。
「これ以上の争いは……無駄です……。どうか降伏してください……」
 傷を負った男を立ちあがらせ、後ろ手にしばりあげると、奏でるは悠久の旋律・ククル(a22464)は彼を村人たちに任せ、草地で眠りこける者たちの捕縛にとりかかった。
 雁首を揃えて座りこむ男たちを見渡し、片方の眉を掲げてみせた後、凪し残影・ナギ(a08272)は視線を丘の麓へと移した。囮となった仲間たちは、手筈通り首尾良く動いたようだった。スラトムから借り受けた荷や天幕の無事を確かめるため、彼はうねる道を斜に横切るようにして坂を駆けおりた。
 その中途で出会った賊には、足を払い、小太刀の柄で腹を打ち据え、あるいは、指先から煌めく糸の束を投げかける――といった手立てを講じてやった。
 
 青いたてがみに漆黒の甲冑――その武人がまたがる召喚獣は、どこかその風貌が主と似ている。
(「全員を沈めるんが先決か――」)
 こちらの気配に気づいた賊たちが、逃亡のための常套手段――散り散りになる――を講じる前に、灰白狼・オワリ(a53247)は振りあげた鈍色の刀身を降ろし、その代わりに、朗々と楓華の子守歌を唄いあげた。
 集落をのぞむ高台に響いた歌声は、ひとつだけではなかった。天蓋から降り注ぐ月影に、その美貌を浮かびあがらせ、美白の歌姫・シュチ(a42569)が寝息をたてる男たちに囁きかける――。
「夜は眠る時間ですわよ。おやすみなさいませ。新しい朝にはこれまでとは違う新しい人生が待っていることでしょう。相応の報いを受けたあとに、ですけれどね」
「あんただな」
 そう言ったのはヨアフだった。彼の目前には、黒いフードをかぶった人物の影がある。額に紅い前髪がかかっている、『紅の風』は若い女だった。
「どうしてここがわかった?」
 吐き捨てるような女の問いに、ヨアフは『闘神の短剣』の先端に緑の風を渦巻かせながら、こう答えた。
「『紅い風』は優秀で残酷。なら、自分で手を汚すようなことはしなさそうな気がする。とすると、居場所はあたりの様子が見渡せる、馬鹿と煙が好きそうなところってわけだ」
 
●時を遡って
 これらはすべて、冒険者たちが丘の集落――三角帽子みたいな家々を軒を連ねる、それはそれは小さな――到着した直後から、『紅の風』を名乗る夜盗どもを捕縛するために夜の闇へと飛びだした、そのわずかな合間の時間に起こった出来事である。
 あまりに無防備で長閑な村を走り抜け、ジャーメインの姉の小屋を目指しながら、ナギはこう思わずにはいられなかった。この村で彼が育ったと言われれば、誰しも納得せずにはいられないな――と。
「嫌な予感がするんだ……」
 普段の礼儀正しい物言いではなく、ラングは思わず自らへと問いかけでもするかのような言葉遣いで囁いた。丘の傾斜をうねりながら登る道を駆けながら、シュハクはそんな彼女の言葉に肯いて、カンテラから発せられる紅い輪を暗がりに向けつつ言った。
「好き同士ならシアワセにならなきゃ。グレースさんのおとーさんて頑固なのカシラ……」
 オリヴィエは彼女の背を押すような助力は申し出ないつもりだった。仲間の召喚獣の背にあり、青ざめた娘の顔を見やりながら、ドリアッドの吟遊詩人は心で囁く――。
(「お嬢はんは意地はってええのん? それで大事な人、永久に逃してしもてええのん? でも、後押しはせえへん……スラトムはんの押しで崩れる仲やったら、それまでなんや……」)
 彼女が話さなくなってからどれほどの時が流れたのだろうか。オワリは自らの分身ともいえる漆黒のグランスティードに、グレースの小さな身体を後ろから支える姿勢で乗りこんでいた。目指す家を目前に控えた地点で、グレースはジェフリーの手を借り、召喚獣の背から細かな石の敷き詰められた小径に降りたった。ふらついてしまった彼女の身体を、そっと差しだした手で支えてやると、シュチは様々な助言を行った。
「先手必勝で既成事実を作りましょう。順番を逆にして、婚姻の前に子供を作ってしまうのもいい手ですわ」
 それらは実践的ではあったものの、グレースには難しいもののようだった。青ざめさせていた頬を紅潮させてしまう。――そんな彼女に、心配はないと断言したのはヨアフだった。彼だけが不思議なほど余裕たっぷりの態度でいる。
 耳を澄ませば、小屋のなかから、うぐぐぐ――なる呻き声が聞こえてくるのがわかった。ユイが扉を叩き、控えめな三度の響きを連ねる。すると、どこかジャーメインに似た容姿の女性が、扉を開いてくれた。彼女に礼の言葉を残すと、グレースは短い廊下を駆けぬけ――そして行きすぎた。
「あの子がいる寝室はそちら」
 グレースは再び礼の言葉を口にすると、戸を叩くことも忘れて部屋に飛びこんだ。そこで、彼女――それに、廊下に集まっていた冒険者たち――が目にした光景とは、奇妙で可笑しいものだった。
 寸足らずのベッドから突きでた足は、つぎの当てられた黒い靴下を履いていた。石膏で固められた両腕は胸の上に、ジャーメインはナイトキャップをかむった頭を、激しく左右に揺り動かしている。そして、彼の傍らには、インクの滴る羽根ペンを手にし、重傷者の口にその端をくわえさせようと躍起になる商人の姿があった――。
 高名なる商人に飛びかかり、シュハクはその手から誓約書を奪っていた。
「ジャーメインさんの腕は……まだ完治していません……それに……本当にこれが幸せなのでしょうか?」
 悲しげな光を帯びる双眸を伏せさせて、レーニエがそう云うと、スラトムは声を詰まらせた。ラングが羊皮紙に目を通す仲間に尋ねる。
「署名は? もう済んでいるのですか?」
 スラトム商会――なる飾り文字から綴りはじめられるその書面には、多くの事細かな規則が記載されていた。その最後には、スラトムの署名が力強い文字で踊っている。だが、その真下にはわずかなインクの染みすらも見られなかった。
 安堵のあまりか、またしても身体をふらつかせたグレースを支えてやると、彼女をベッドの脇に置かれた椅子へと連れてやりながら、ヨアフは嬉々とした様子で言った。
「ようジャーメイン、怪我の調子はどうだ?」
「なかなかいいよ」
「そうか、よかったな。ところで、折れた腕ってどっちだった? 確か両方だよな。それで文字が書けるのか? 無理だよなぁ。こういう誓約書は、本人の直筆じゃないと意味がないしなぁ」
 その後、娘の体調を気遣うために歩み寄った商人は、怒りのあまり伸ばされた、華奢だが力強い指先によって喉を締めつけられた。
 あまりに苛烈な親子の親愛を披露した後、スラトムは涙目ではあったもののしっかりとした声で、冒険者たちが求めた『紅の風』捕縛のための協力への、最大限の助力を申し出たのだった。
 
●これからのこと
 悪名高き『紅の風』一味を、すべて捕縛するという成果をあげ、一部をのぞいて揚々とした足取りでグレースたちが待つ小屋へと戻った冒険者たち――。
「グレースはん、家すら捨てかねんで……それも、あんたさんひとりのためにやわ」
 高い空のように澄んだ天藍色の瞳を細めて、ユキノシンはそうジャーメインに告げた。カップの中身は彼女の舌先を苛んだが、紅い茶の香気はふわりと広がり、とても心地がよかった。
 寝室と廊下を結ぶ戸口に立って、ナギは唇から赤い舌をのぞかせる青年の、他人と比べるといささかひょろながい顔を眺めている。そうしながら、彼は思うのだった。
(「若いふたりのことだ……当人同士が決めねぇとな。親父さんを説得するくらいの気概を、あいつが奮い起こしてくれると嬉しいんだけど……がんばれよ、ジャーメイン」)
 先ほどから、ジャーメインの口元にカップを運ぶか、自分の息を湯気の立つ水面へと吹きつけるかしかしていないグレースから、間を埋めるための道具を取りあげたのは、白い柔肌を晒した肩に青い髪を流すセイレーンだった。シュチが耳元に何事かを囁くと、グレースは口元を指先で覆っていたが、やがて決心をつけたのだろう、突然の行動に出た。
 グレースが見せた精一杯の動きとは、スラトム家から離れることでも、怪我人を連れての愛の逃避行ですらなかった。彼女はベッドに飛び移り、ジャーメインのひょろ長い首に腕を巻きつけたのだ。悶絶させるほどの力ではなく、優しく穏やかに……。
 唖然とする父に対して、その娘は言った。
「離れないから! お父さんにも彼のことを好きになってほしいの! 今はそうじゃないかもしれないけど、対等な商売人として見てほしいのよ!」
 ジャーメインは目を剥いて驚いていた。彼の両腕は石膏で固められており、彼女の身体を抱きしめることができない。それでも、彼はあることにようやくと気づいたのだった。それは、自身が注ぎ続けてきた愛が、相手に届いていたという事実――。優しく穏やかな眼差しとなって、ジャーメインは首を傾けた。そして、愛する彼女の髪にくちづけをする……。
「ほらみい、落ち着くとこに落ち着くもんやねんて。だって色んな目におうたけど、こうやってふたりで乗り越えてさ、ちゃんとここまで来てるもん。ふたりなら、これから先もさ、きっとやっていけるって」
 思わずそう口にした後、オワリは自身に集まった注目を掻き消すように両腕を振りまわした。寡黙な武人でありたい彼なのだが、どうしても生まれた土地の訛りがのぞき饒舌となってしまう。
「何よ……」
 そう言ったグレースの視線には、悪戯を仕掛ける子供の目をしたユイの顔があった。照れたような仕草で頬をかいた後、ユイはジャーメインに教えてやった。
「……ジャーメイン、グレースの……あれ……あの告白、聞いてないんだっけ……そっか……もったいない……グレース、可愛かったのに……」
 ひと騒動が収束を迎えてから、グレースはラングに言った。
「自分が思ったり感じたりしてるだけでは、他人にはわかってもらえないって、あなた言ってくれたわよね」
「はい」
「口にしてみるわ……応援してくれる?」
「応援しています」
 寝台の傍らに椅子を引き寄せ、ジャーメインの頭から三角の帽子を退場させると、彼の額に指先を這わせながら、グレースは言った。
「結婚してくれる? わたしと……」
 晴れやかな笑顔で室内を見渡した後、ジャーメインは言った。
「はい、喜んで」
 告白の直後、グレースは父親に婚姻のための書類を用意するよう言いつけて、さすがは商人の娘と友人たちを呻らせた。
 グレースという伴侶を得たジャーメインは、正直で誰よりも信用できる人物として大成することになるのだが……それはまた後の後のまた後の話である。


マスター:水原曜 紹介ページ
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作成日:2007/02/27
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