ジュエル・サファイア



<オープニング>


●サファイア・ソルジャー
「ある古びた遺跡から、四体のモンスターが動き出したという情報が入りました」
 真実求む霊査士・ゼロ(a90250)の話に冒険者たちも真剣な眼差しを向けていた。それら全てを一身に浴びながら、ゼロは話を続けてゆく。
「四体のモンスターはそれぞれ別の方向へ向かって移動しており、霊査によればその遺跡には何者も残っていません。よって皆さんには四手に分かれていただき、それぞれモンスターを退治して頂きます」
 ゼロの言葉に冒険者たちは静かに頷くのだった。

「あなた方は、氷の如く輝くサファイアの剣を持つモンスターを退治していただきます」
 どうもこのモンスターたちは宝石のような質感をした装備品をもっているらしい。中でもこのモンスターは、凍えるような冷徹な光を宿すサファイアの剣を持っているのだという。
「このモンスターが向かった方向には激しい流れの川があり、どう陣取るかで戦況が変わりそうです。相手を追い詰めるか背水の陣となるか……一つのポイントとも言えるでしょう」
 どちらがどちらを追い詰めるのか、川を気にして自由に動けなければ、本来の力が発揮できないかもしれないとゼロは言う。
「このモンスターからは素早さ……スピードや攻撃のテクニックが優れていることが感じられます。相手の弱点を見極める巧みな斬撃と、攻撃の威力を剣で捌き、カウンターの衝撃波を返す構えが特殊能力として備わっている様子です」
 ゼロはそう説明し、よろしくお願いしますと冒険者たちに一礼を送るのだった。

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参加者
幼き眩惑の狐姫・セレス(a16159)
雄風を纏いし碧眼の黒猫・ユダ(a27741)
怨嗟の黒狐・シイナ(a37130)
虚静なる形代・ロティオン(a38484)
穏流蒼風・ゼツ(a41945)
千秋楽・アデュラリア(a43551)
青銀の飛竜・ウィル(a47045)
灰影・ハヤテ(a59487)
夢見る雫姫・セイカ(a61244)



<リプレイ>

 さらさらと流れる川の流れを背景に、冒険者たちはそのモンスターとの遭遇を果たしていた。
「いざ勝負だよっ!」
 イリュージョンステップの巧みな足捌きから接近し、魔物の目前に貼り付く幼き眩惑の狐姫・セレス(a16159)。
「このタイミングで出会えて嬉しく思いますよ」
 人に危害を及ぼす前に倒さねばならぬと怨嗟の黒狐・シイナ(a37130)も呟き、黒炎覚醒を発動させてゆく。冒険者たちの接近に魔物も剣をすっと構え、隙の無い佇まいを見せる。
「さて、どう攻めるか」
 青銀の飛竜・ウィル(a47045)が投げるチャクラムを魔物は剣で捌き、弾く。同時にその威力を剣に纏って衝撃波と化し、チャクラムを投げたウィルへと投げ返す!
「くっ……」
 思わぬ反撃にウィルは小さく息を漏らすものの、夢見る雫姫・セイカ(a61244)が癒しの聖女を飛ばして即座にダメージを回復させていった。
「何とかしなくちゃ!」
 穏流蒼風・ゼツ(a41945)が軽く牽制に放った飛燕刃はひょい、と軽く魔物にかわされる。しかしその間に〜輪廻〜・アデュラリア(a43551)は黒炎覚醒を発動させ、邪竜の力を黒き炎としてその身に纏ってゆく。風皇殿を守りし銀の猫・ハヤテ(a59487)はその傍らで待機し、魔物が川岸に追い立てられるのを待っていた。
 先手を取るべく雄風を纏いし碧眼の黒猫・ユダ(a27741)がチキンスピードを発動させ、虚静なる形代・ロティオン(a38484)も黒炎覚醒で攻撃力を高めてゆく。

「ボクより速い人なんて滅多に居ないんだから」
 蹴り上げるセレスの斬鉄蹴を魔物は身を捻って回避する。反撃の衝撃波も絶対に発動する訳ではないのか、この時は発生していない。
「覚悟するんだな」
 しゅっ、と鋭く鋼糸『紅龍』を振り抜き、ユダはソニックウェーブを解き放つ。だが魔物はその衝撃波をサファイアの剣で斬り払い、カウンターの衝撃波をユダへと返す!
「大丈夫です」
 すぐに回復しますからとロティオンが癒しの聖女を飛ばしてユダの傷を癒していた。今は立ち止まっている場合ではない。作戦通りに魔物を川岸まで追い詰めなくてはならないのだ。
 そういった仲間達の意志を動きで代弁するように、シィナはスキュラフレイムを撃ち出す! 三頭を持つ炎が魔物の左腕を掠めて過ぎるが、じりっと大地を踏み締めて魔物はその場に踏み止まっていた。下がるほどの攻撃ではないとでも言うかの如く。
「そなたは何を望んでおるのじゃ」
 アデュラリアから放たれるブラックフレイムを剣で捌き、衝撃波として返す魔物。それからざっと視線を巡らせるように顔を動かしていた。
 剣の届く間合いに居るのはセレスとユダの二人のみ。正面から攻めるセレス側には何人か後ろに控えており、ゼツに鎧聖降臨を施すウィルも急いでチャクラムの間合いから前へと移動して迫ってきている。
 対して左方向に居るのは、ユダとロティオンだけ。
 ざっ……!
 魔物の考えた内容は正確には不明だが、その剣はユダの胸元を捉えて斬り裂き血を噴き出させる。鋭い剣閃にユダは一瞬だけ怯むが、歯を食い縛って痛みに耐え、その場に踏み止まる。
 突破される訳にはいかない。セイカの癒しの聖女で回復してもらいながら、ユダは残像を生み出しミラージュアタックを叩き込む!
 ざざっ!
 鋼糸が駆け抜けて魔物の脇腹を薙ぐ。続いてセレスも斬鉄蹴を仕掛けるが、そちらは魔物が剣で捌いて防ぎ、カウンターの衝撃波を浴びせ掛けている。
 シイナが両手杖を突き出し、スキュラフレイムを放つ。ペインヴァイパーの力が込められた炎は魔物に喰らい付き、魔炎・毒・出血の効果を与える。ロティオンも続いてスキュラフレイムを攻撃するが、こちらは剣で弾き返されてしまう。
 そして魔物はその衝撃波を追うように踏み出し、再びユダに剣を繰り出す。
 ざくっ!
「………!」
 肩口から袈裟懸けにサファイアの剣が斬り付け、ユダの意識ごと肉体を断つ。がくりと膝を付くユダにアデュラリアがヒーリングウェーブを放つが……既に限界を突破していたのか、そのまま崩れ落ちて倒れてしまった。
 敵を追い込む包囲作戦は、確かに敵の動きを限定して多角攻撃を仕掛けることができるかもしれない。しかしその反面、一部の層が薄くなるという危険性をも併せ持っていた。
 ウィルはセイカへと鎧聖降臨を発動させ、ゼツは牽制の飛燕刃を放つ。
 ひゅっ、と切り返す剣が気の刃を絡め取り、カウンターの衝撃波がゼツの身を打った。

 セレスはイリュージョンステップを掛け直し、シイナはスキュラフレイムを放つ。
「突破させる訳にはいきません……」
 だが魔物はこの炎をかわすと同時に踏み出し、当然のようにロティオンへと刃を突き出す。ずっと胸を貫かれてロティオンは倒れ伏した。
 包囲の一角は、崩された。
「早々、安易に倒されるとは……」
 アデュラリアの放つブラックフレイムを避けて振り返り、魔物は次にセレスの方へと向かう。セレスと共に並ぶウィルはハヤテへと鎧聖降臨を施しており、その効果を受けながらハヤテはぶわり、とミストフィールドを展開させる。
 包囲が崩されたことで作戦の失敗を感じ、ハヤテは体勢を立て直すべく距離を取っていった。ちなみにそう考えていたのはハヤテだけだったので、他の冒険者たちは誰一人引く気配は無い。
 霧を生み出し、敵味方関わらず全ての行動を成功し辛くするアビリティ、ミストフィールド。この効果が以後の戦闘にどのような効果を与えるのだろうか。
「はっ!」
 ゼツの投げる飛燕刃を魔物は剣で弾く。カウンターの衝撃波が来るかと構えるゼツだったが、今回それは発生しなかったようだ。ひょっとしたら冒険者の使う無風の構えやイリュージョンステップのように、ある程度の効果時間があるのかもしれない。

「投げ飛ばしちゃうよ!」
 迫り来る魔物の体を掴み、セレスはデンジャラススイングで投げ飛ばし押し返す! 吹き飛ばされた魔物はザザっと地面を擦って立ち上がり、すっと剣を油断無く構えた。これは最初に見せたカウンターの構えに似ている。確かめるようにシイナがスキュラフレイムを撃ち出せばそれを斬り弾き、衝撃波を返してきた。
 アデュラリアはちらりとセイカの動きを確認し、ブラックフレイムを放つ。黒き炎が魔物の胸に着弾して燃え上がり、セイカは癒しの聖女でシイナが受けたカウンターのダメージを回復させてゆく。
 ウィルがそのシイナへ鎧聖降臨を発動させ、ゼツは粘り蜘蛛糸を投げる。ばさりと降り掛かる白い糸をひらりとかわし、魔物は剣を下げて構えたまま再びセレスへと突っ込んできた!

 ぎぃん! とセレスの槍が斬り上げられる魔物の剣を受け止め、捌く。イリュージョンステップのお陰もあるだろうが、攻撃を防いだセレスはそのまま斬鉄蹴を叩き込む! 
 魔物は何とか腕を間に挟んでクリティカルヒットだけは避けた様子だったが、みしりと確かな手応え……もとい足応えがセレスにも伝わった。
「そこです」
 続いてシイナがスキュラフレイムを放つが、セレスから離れざまに身をかわし、異形の炎は魔物の腕を掠めて通過してしまう。カウンターが発生しなかったのがせめてもの幸いか。
「心のままに生きる者は、嫌いでは無いがの!」
 両手杖『千夜迦逅』を振り抜き、黒炎覚醒の黒を伝えて搾り出すようにアデュラリアはブラックフレイムを放つ。向かい来る黒き炎を、魔物はスパン! と斬り上げた。
 弾かれた威力が衝撃波となって剣を伝わり、アデュラリアの胸に突き刺さる。その攻防の間にウィルは自身へ鎧聖降臨を発動させており、戻ってきたハヤテは粘り蜘蛛糸を投げ放つ。
 ばさりと降り掛かる白い糸から身をかわす魔物だが、その目前にゼツが踏み込んでいた!
「これで……!」
 至近距離から粘り蜘蛛糸を仕掛けるが、距離が近いからといって成功するとは限らない。ただ一つ確実に変わったのは、この距離ならば魔物の剣はゼツに届くということだった。
 一瞬絡まる糸をすぐに振り払い、魔物は剣を振り下ろす。
 ――っ!
 受けようと掲げたゼツの太刀は空を切り、それを掻い潜って魔物の刃は的確に弱点を捉える。斬り裂かれた腹部から血を流しつつ、ゼツはどさりと崩れ落ちた。
「早く回復をっ!」
 踏み込み、斬鉄蹴を繰り出すセレスが叫ぶ! その一撃は魔物の剣が捌いてカウンターを浴びせ掛けているが、その間にセイカがゼツの体を引っ張って敵から離すと共に、癒しの聖女で傷を回復させてゆく。
「ただの石ころにして差し上げます」
 続いてシイナがスキュラフレイムを放つ。魔物は剣で振り払おうとするが……みしりと小さく音が鳴り、切り払えずに炎の獅子・山羊・蛇が喰らい付いていった。
 見れば魔物の剣には無数の小さな亀裂が走り始めていた。冒険者たちの猛攻に、疲労が蓄積してきたのかもしれない。
「そなたの鼓動は戦う為に鳴っておるのじゃろう」
 ぐらりと体勢を乱しながらも、アデュラリアの放つブラックフレイムを斬り払うサファイアの魔物。今度はカウンターの衝撃波が生まれ、放ったアデュラリアの胸を叩いた。ウィルはそのアデュラリアに急いで鎧聖降臨の効果を与えている。
「お主の自由、奪わせてもらうゾイ!」
 手に生み出した白い糸を投げつけるハヤテ。魔物は一歩踏み出して身を沈め、掻い潜るようにしてその拘束から逃れていった。

「会心の一撃、いっくよぉ〜っ!」
 だがそこに構えていたのはセレスだ! 輝く軌跡を描いて斬鉄蹴が迫る! 魔物は剣で捌こうとして……、
 ぼごん!
 サファイアの剣は半ばから折れ砕け、蹴りは魔物の脇腹に突き刺さった。パラパラとその破片が散り落ちる中で、魔物の動きが呆然とした様子で止まった。
「完膚なきまでに、絶対です」
 その虚を突いてシイナの炎が命中する! スキュラフレイムに加わるペインヴァイパーの力が、魔炎と毒と出血で魔物の体を蝕み落としてゆく。炎の中で剣を失った魔物はよろりと小さく動き……ばきん、と静かな音を立てて崩れ落ちた。

 魔物が倒れた後にはただ塵のようなものが散らばり、サファイアの剣も回収不能なほどに細かな破片となって大地と混ざっているようだった。
 剣が回収できなくて残念がる冒険者も居た様子だったが、魔物を何とか倒せたことに安堵の息を吐いている。

 激しい戦いを繰り広げた戦士に別れを告げ、冒険者たちはそれぞれの帰路に着くのであった。

 (おわり)


マスター:零風堂 紹介ページ
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死亡者:なし
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