111 vs 11



<オープニング>


 あるところに、110匹のグドンの群れがいました。
 ある時その群れに、1匹のピルグリムグドンが加わりました。
 とても強いそのピルグリムグドンは、あっという間に群れのリーダーになりました。
 強いリーダーに率いられたその群れは、近くにあった1つの村を滅ぼしてしまいました。

 滅んだ村から逃げ出せた村人は11人。
 彼らはグドンたちが許せませんでした。ですが多勢に無勢なうえ、ピルグリムグドンにはとても敵いません。
 そこで彼らは、自分たちの代わりにグドンたちをやっつけてくれる冒険者を募ることにしました。

 ――もちろん、その数は11人に決まっているのです。

マスター:磯山公樹 紹介ページ
ども、磯山です。
村の食料をあらかた貪り尽くし、目下移動中のグドンの群れを倒してください。

群れは、強力なリーダーシップ能力を持ったピルグリムグドンの指示に従って行動します。
といっても、「ぶっ飛ばせ!」「やっちまえ!」「集まれ!」「逃げろ!」のわずか4つですが。
指示を受けたグドンの行動は、その指示に従うグドンの数に応じてボーナスを受けます。
ですが逆に、ピルグリムグドンはそれ以外の能力を持っていません。
さすがに1対1で仕留めるのは難しいかもしれませんが、邪魔さえなければ倒すのはそれほど苦労しないかもしれません。

逃がしても依頼失敗にならない数は、ピルグリムグドンを除けば11匹までです。
村人たちの意を汲んで、彼らの村の仇を取ってあげてください。

参加者
翡翠色のレスキュー戦乙女・ナタク(a00229)
シェルブリッドの・シロウ(a01577)
緑薔薇さま・エレナ(a06559)
トーデスフェイフラメー・シルフェア(a27973)
緋閃・クレス(a35740)
夢・リーファン(a42360)
偽神の少年鏡・ゼロ(a50162)
ラトルスネーク・ングホール(a61172)
蒼紅の焔・ラキ(a61436)
外す事無き魔眼の一矢・アルト(a62749)
セイレーンの吟遊詩人・ルヴェル(a63515)



<リプレイ>

●フォーメーション3−4−4
 村を滅ぼしたグドンの群れを追跡するのは、たとえ霊査がなくとも容易であった。
 春先というのに寒々しく残骸の残る滅びた村を起点として、喰われていた先を探ればよいのだから。
「では……参りましょうか、ゼロさん、ングホールさん」
 鎧は大事ですよ、と同行する二人に鎧聖降臨を施しつつ、トーデスフェイフラメー・シルフェア(a27973)が正面を見据えてそう言葉を発した。
 視線の先では、総数111のグドンの群れが蠢いていた。彼女ら三人に気づいているグドンもいるようだが、どう対処すべきか困惑しているらしく、特に動き出す様子はない。
「は〜い。でも、やっぱり多いなぁ〜」
「ったく、あれが犬グドンなら十ほど少なく済んだかもしれねぇのにな」
 銀白と闇黒を身にまとい、虚無の少年鏡・ゼロ(a50162)とラトルスネーク・ングホール(a61172)が軽口を叩き合う。
 口では驚いたりうんざりした風を見せつつも、平然と歩を進めてゆく。そのままで、抜き放たれる剣、握られる拳、噴き上がる黒い炎。
「でもまぁ、そのぶん沢山殺れますよ」
「そりゃ違いねぇや」
「……参ります」
 距離的に頃合いと見たところで、シルフェアの黒炎が獲物を撃たんと噴き上がる。
 振るった長剣によって撃ち出された黒炎が、いまだに呆然としていたグドンの一匹へと炸裂して燃え上がり、あっという間に消し炭と化す。
 攻撃を仕掛けられたことによってにわかに色めき立つグドンたち。わずかに数体、仲間を殺された憤りから彼らの方へと向かってくるが、あるグドンは無数の連撃で全身の骨を砕かれ、あるグドンは胸の中央を貫かれてそれぞれ絶命した。
「おう、グドンども! んなとこノコノコ歩いてんじゃねぇよ!」
 ングホールの罵声が辺りに響く。その言葉が通じたのか仲間が斃されたのを見てのことか、さらに数体のグドンが手に手に武器を持ち、歩調も荒く近づいてくる。
 が、冒険者はそれを真正面から迎え撃つでもなく、じわじわと後ろに退いてゆく。
 グドンが追う。さらに追う。冒険者たちは退く。さらに退く。時折グドンたちが引き返そうという気配を発すれば、シルフェアがそこに黒炎を撃ち込んでさらなる追撃を誘う。
 それを数回繰り返した頃、突如としてグドンたちの追撃速度が増した。わざとじわじわと詰めさせていた距離が、あっという間に無に近づく。
 驚きながらも慌てずに後退速度を上げる冒険者たちだったが、そこに巨大な石が投げつけられた。
 どすん、どすんと次々に地を穿つ特大の飛礫が、ングホールの腕をかすめ、シルフェアの鎧を直撃する。致命傷にこそほど遠いが、掠めた肌は赤く染まり、衝撃は息を詰まらせ足を鈍らせた。
「大丈夫か!?」
 続けて飛んできた至近弾をゼロが打ち払う。ひどく手が痺れたが、それでほんの僅かな余裕を稼げる。
「ええ、大事ありません」
「早くもおいでなすったぜ」
 再度後退速度を上げつつグドンの群れを見やる三人。
 変わらず目を血走らせて迫るグドンたちの中に、目立って大きな姿が一つ。
 岩と言っても過言ではない大きな石を、拾い上げては足を止め、思い切り投げつけるその異形。ピルグリムグドンに違いない。
 今度は盾でしっかりと石飛礫を弾き返すシルフェア。防いだにもかかわらず痺れる腕。鎧を強化していなければと思うと、先ほどの直撃弾にぞっとする。
「さすがに強敵ですね。ですが――」
 ぴたりと足を止める。今度はダメージによって足が止まったわけではない。残る二人も同じように足を止めていた。
 その様子を怪訝に思って足を止める――などという繊細さを持ち合わせていないグドンたちは止まらない。リーダーから下された『ぶっ飛ばせ!』の命令を完遂すべく、目の前の敵を蹂躙せんと前へ、前へ。
「爆砕一矢……吹き飛べ!」
 横合いから声。間髪入れず紅の一矢が先行するグドンの只中に射込まれる。グドン数体がまとめて吹き飛んだ。
「さあ、逃しませんわ!」
 逆側からも目映い閃光が迸り、グドンたちの一部が針路を変える。
「こっからは遠慮なしでいくぜ!」
 四方八方から飛び出してくる冒険者たちに呼応して、ングホールが真っ先に飛び出した。その後ろからシルフェアとゼロも並んで突き進む。
 こうして冒険者側の注文通りの奇襲により、本格的な戦闘に突入する。

●戦力比≠頭数
「一射で倒し切れませんか」
 口の端をぎゅっと結び、ほんの少し口惜しそうな表情を見せるのは、外す事無き魔眼の一矢・アルト(a62749)である。
 彼女の高い視力は、無数の群れの中、爆炎の矢で吹き飛んだグドンたちが起きあがる様子をしっかりと捉えていた。
「それだけ強化されているんだろ。構わずにどんどん撃ち込もうぜ!」
 迎撃体勢を整えながらの混沌の戦士・シロウ(a01577)の言葉に、アルトは頷いてすぐさま二の矢をつがえ放つ。
 着弾、爆発。吹き飛ぶグドンと巻き起こる土煙。僅かながらに行軍速度が鈍ったそこに、長大なる棍棒を振りかざして突っ込んでゆく蒼白の一騎。
「数が多けりゃいいってもんじゃないっすよ!」
 視界を遮る砂塵ごとグドンを払う横凪ぎの一撃。蒼龍之夢・リーファン(a42360)の馬上からの攻撃が、近寄るグドンを片っ端から打ち払い、叩き伏せてゆく。
「さすがねぇ。わたしも頑張らなきゃあ」
 その奮迅の戦いぶりに合わせ、セイレーンの吟遊詩人・ルヴェル(a63515)の歌がグドンたちの動きをほんの僅かに鈍らせる。
 効果が薄い。恐らくダメージを受けるなどで、リーダーからの指令を一時的にでも失念したグドンにのみ効果があるようだ。指令に従う、という強化効果条件下にあるグドンにはあきらかに効果を発揮していない。――シロウがそう分析して、ルヴェルへと伝えた。
 それを聞いて、やや口惜しそうにしつつ一歩退くルヴェル。どれだけ最前線の働きが凄まじくとも、数差十倍を単独で止めきれるわけではない。
 補助効果が薄いとなれば彼女の役目は癒し手だ。役目を果たさずに一人足手まといとなるわけにはいかない。
「安心しな。俺から後ろには一歩も通さねぇから」
 リーファンという厚い壁の脇から溢れ『ぶっとばす』ために突っ込んでくるグドンを殴りつけて止め、漆黒の爪でそのまま引き裂くシロウ。
 攻撃と攻撃の合間、隙を衝いて武器を叩きつけてくるグドンの攻撃は、とにかく直撃を防ぐように務める。手数の差だけはいかんともしがたいのだ。
「それじゃあ、わたしの代わりにグドンたちを安らかな眠りへ誘ってあげてちょうだいな!」
「永遠の、っすけどね!」
 そこでルヴェルの凱歌が前衛の負った傷を癒してゆく。グドンの奔流にわずかに綻んだ右翼は、リーファンという名の堤が修復されて再び猛攻をしっかりとせき止めていた。

 さらに、グドンの群れを挟んでちょうど反対側でも戦端が開かれていた。
「さあ、どんどん行くよっ!」
 先陣を切って駆ける翡翠色のレスキュー戦乙女・ナタク(a00229)の蹴りが、グランスティードのそれを伴って二発三発とグドンに叩き込まれる。
「囲まれないように注意だ。まず確実に一体」
 突出した形となったナタクに殺到しようとするグドンたちに、横合いから三人の緋閃・クレス(a35740)が六刀をもって斬りかかり、一体を仕留めて一人に戻る。
「先は長そうですけれど、頑張りましょうね」
 隣では緑薔薇さま・エレナ(a06559)が黒い炎を噴き上げつつ、彼女の周囲を囲うグドンからの攻撃を数発、踊るように鮮やかに撃ち返していた。
 三人の前衛が左翼包囲を維持したまま、押し止めるに留まらず戦線をじわじわと押し込んでゆく。加えてそこに降り注ぐ無数の針雨。
「さて、眠気も吹っ飛んだろ?」
 後方より緋色の外套をなびかせ、炎よりもなお熱く・ラキ(a61436)がさらに黒炎を放つ。
 悪魔の如き黒炎によって、グドンが瞬時に焼き尽くされた。燃え残った炎がぐにゃりと形を変え、そのままグドンの姿へと固着する。
 『こちらからの攻撃の範囲外で、ピルグリムグドンの指示に従うふりをしていろ』という命令を与える。入れ替わり立ち替わり突っ込んでくるグドンに、多すぎる数によって攻撃に参加しない遊兵グドンは存在していないため、ただ待機させては悪目立ちするからだ。
「みなさまに、癒しを――」
「邪魔するなっ! それ、飛んでけーっ!」
「そら、余所見してるなよ?」
 開幕に放った閃光の効果もあって多めの攻撃を受け、カウンターと同じぐらいの割合で打撃を食らっていたエレナが、癒しの光を放ち自らと仲間たちを回復させる。
 その隙に彼女に肉薄したグドンが一匹、ナタクに引っ掴まれて投げ飛ばされる。前衛を無視する形でラキに狙いを定めていたグドンが、死角からクレスによって仕留められた。

 開戦時の逃げからとって返した囮班の三人も、正面外側に位置するグドンをすり潰すように突っ込んでゆく。
 数匹打ち倒したところで、直接戦闘では後発となっており余裕のあった彼ら三人が最初にそれに気づいた。
 次いで、相手の動きを注意深く観察していたシロウも気がつく。いつの間に指示を出していたのか、各方面最前線に位置する十数匹のグドンを除き、残り全てのグドンがリーダーの周囲に集中していた。
 ぐるりと周囲を見回すピルグリムグドン。集っているグドンの数は七十ほどだろうか。まだ半数以上が残っている。油断は出来ない。
 ピルグリムグドンが、大きく口を開き、叫ぶ。一見孤立しているようにも見える、一人で戦うリーファンを指さして。
 ――『やっちまえ!』と。

●Accumulation
「やばいっ!」
 それに気づいた四人が一斉に駆け出した。次いで標的となったリーファンも、一直線に自分に向けて殺到するグドンに気づく。
 元々グドンの相手をする予定だったリーファンは、間合いこそやや広げて後退しつつも、適度な位置で迎え撃たんと得物を構える。
 シルフェアの放った炎がグドンを焦がし、ゼロとングホールが横合いから切り伏せ、殴りつける。
 爆発の矢と針の雨が同時に降り注ぎ、さらには闘気の竜巻がグドンの行軍を遮るように圧し飛ばす。
 ――それでもまだ、三十ほどのグドンが残っている。
 ギリギリでそれに気づいたエレナが追いつき、再度閃光を放つ。行動目標が明確になっている状況、つまり集中攻撃指令の前では、注目効果は意味を成さないが、目くらましにはなる。
 1対30が、真正面からぶつかる。

 一方で、取り残された形になり、指令効果を失った最前線のグドンを二人であっさり片づけたナタクとクレスが、考え方を切り替える。
 集めたグドンを突っ込ませたピルグリムグドンの周囲には、取り巻きがほとんどいない。
 元々の予定通り、グドンの数も半数も割った。ここが好機だろうと。
「予定通りにっ!」
 ナタクがそう叫んで軍馬と駆ける。一塊となったグドンの群れに突っ込んで、リーファンへの集中攻撃を妨害する。
 クレスは無言でピルグリムグドンに衝撃波を放った。寸前に気づいて身をよじるも、ほぼ直撃といってよいダメージを与えた。
 予定通りの言葉通り、囮班三人も一斉にピルグリムグドンへ攻撃を仕掛ける。よほどショックが大きかったのか、悲鳴を上げるように叫んだ。
 それと同時に、リーファンただ一人に集中していたグドンたちが、波のようにするすると退いていった。
「助かったッすねえ……」
 後に残ったリーファン、さすがにきつかったっすとぼやきながら力尽きて倒れ込むが、深刻な負傷はないようだ。
 慌ててルヴェルがそこに駆け寄るのを横目で見つつ、後衛組が一斉に追撃を仕掛けた。
 いくら強化がされていると言っても、元がグドン。そして回復能力を備えているわけでもない。次々と力尽き倒れてゆくグドン。
 再度出した『集まれ!』の指令の中途で、仲間のグドンが壊滅状態になってしまったピルグリムグドンも大慌て。
 慌てふためいて半泣きで『逃げろ!』の指令を出し――むしろ『逃げる!』の悲鳴だったのかもしれないが――、一目散に逃亡を始めた。

 しかし、すっかり網口の窄められた包囲網から逃れることは到底叶わず。
 いつかの村を滅ぼしたグドンの群れは、逃した十一人の願いによって、こうして全滅の憂き目を見たのであった。


マスター:磯山公樹 紹介ページ
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わからない
参加者:11人
作成日:2007/05/08
得票数:冒険活劇7  戦闘7 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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