≪息抜き隊♪≫引っ越し先は神秘の湖?



<オープニング>


「そろそろ旅団の引っ越しを考えないといけねえなぁ」
 息抜き隊の団長、ニュー・ダグラス(a02103)は悩んでいた。今の場所に不満はないのだが、団員が増え、手狭になってきていたからだ。心地よい春風がダグラスの頬を撫でる。ひょんなことから、うさんくさい行商人から仕入れた1枚の地図を開く。古びた羊皮紙のそれはなんの変哲もない地図。だが、地図に描かれた、小島の浮かぶ小さな湖にダグラスは心魅かれた。それを見透かすのように言った行商人の言葉。
「旦那、そいつは宝の地図でさぁ」
「宝の地図? はは、冗談はよしてくれよ親父」
「ほら、地図の真ん中に湖があるでしょ? そこには、古代の宝が眠ってるって話なんでさぁ」
「そんなご大層な地図が、売られてるわけないだろうが」
 行商人はち、ち、と指を振った。
「旦那、冒険者でしょ? 冒険者がそんな夢のないことを言っちゃあいけねぇなぁ。夢を買うと思ってどうだい?」
 夢を買うという、行商人の売り文句が気に入ったダグラスは、交渉の末地図を二束三文で買い叩いたのだった。
「こいつを、調べてもらうか」
 ダグラスは、一人の女性を思い出すと、身を翻した。

「地図は見せてもらったよ。引っ越しするんだってね」
 霊査士のアリシューザが、ダグラスと傍らの二つお下げの戦乙女・シフォン(a90090)を横目にキセルをくゆらせた。
「そういやシフォン、息抜き隊ではちゃんとしてもらってるかい?」
 口の端に笑みを浮かべるアリシューザは、眼鏡越しにダグラスを見た。その目が笑っていないことに気づいたダグラスが、一瞬冷汗をにじませた。笑顔で答えるシフォン。
「はい、団長もみんなも親切で優しいです。今、シルキスちゃんがこの前の依頼でもらったザリガニ、飼ってるんですよ。お父さんって言うんです」
「ああ、あのザリガニかい。あのでかいハサミに指持ってかれないように気をつけな」
 アリシューザの目じりが下がったのを見て、ダグラスは内心ほっとした。
「あたしが『見た』限りじゃ……」
 地図を取り上げて言った。
「あんたたちが言う、荷車が置けて、泉があって、泳ぎが出来るなんて贅沢な条件を満たすというのなら、ここは大丈夫だろうね」
「ほ、ホントですか、アリシューザお姉様?」
 頷くアリシューザに、顔を見合わせて喜ぶダグラスとシフォン。
「どんな場所なんですか?」
「それほど広くないけど、林が開けた先にその湖はあるね。湖の中央に小山のような小島があって、島には洞窟と湖の水源となっている泉があるよ」
 シフォンとダグラスの表情が明るくなった。
「そいつはいい。そこなら俺たちの引っ越し場所にふさわしいな」
 喜ぶダグラスに水を差すように、アリシューザは言った。
「それはどうかねぇ」
「どういう意味だ?」
 アリシューザはキセルを煙草盆の縁に叩き付けた。
「その湖には怪物が棲んでるよ。それに小島もちょいときな臭い感じがするね」
「怪物だと?」
「そうだよ。馬鹿でかいサンショウウオでね、怪物化しちまってて、体長9メートル近いよ。強くはないけど、肉食でどう猛のようだから、あんたたちとの共存は無理だね。それに……」
「それに?」
 アリシューザは言いよどんだ。
「小島の洞窟だけど、ただの洞窟じゃなさそうだね。奥に澄んだ泉があるんだけど、ところどころに人工で作られたとおぼしき構造物があるね。もしかしたら、洞窟の中に何かあるかもしれないよ。地下遺跡とかね」
「い、遺跡だぁ?」
 ダグラスの言葉に、キセルに火を入れ直すアリシューザ。
「断言は出来ないけどね。仮に地下遺跡があるとしても、入り口らしきものはあたしにはみえなかったから、現地で探してみる必要はあるね」
「じゃあ、その怪物を倒せばお引っ越し出来るんですね?」
「そういうことになるね」
 ダグラスは少し考えてから、にかっと漢笑いを浮かべた。
「よし、じゃあ行ってみるか、シフォン」
「うん!」
「湖の小島までは、いちばん近い岸から直線距離で1キロほどの距離がある。オオサンショウウオの怪物は、小島の湖岸に巣を作っていて、近づいてくる獲物に襲いかかるよ。それ以外に目立った生き物は見当たらない。けど」
 アリシューザは、ダグラスたちに言った。
「小島の洞窟はくれぐれも気をつけな。あたしには詳しく『見えなかった』んでね」
「すまねえな、アリシューザ」
 ダグラスが頭を下げると、アリシューザは微笑んだ。
「礼ならいいよ。じゃ、シフォンのこと頼んだよ」

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参加者
アイギスの赤壁・バルモルト(a00290)
明告の風・ヒース(a00692)
陽だまりの風に舞う・シルキス(a00939)
喰えない老人・ジュラン(a01956)
ニュー・ダグラス(a02103)
お日さまの匂い・リトル(a03000)
氷輪の影・サンタナ(a03094)
跳ねっ返りエルフの医術士・ミリアム(a03132)
緋炎を狩る者・チェリム(a03150)
真白に閃く空ろ・エスペシャル(a03671)
恋する乙女・エリオット(a04328)
銀の竪琴・アイシャ(a04915)
NPC:二つお下げの戦乙女・シフォン(a90090)



<リプレイ>

 ガタンという衝撃と共に、ノソリンが曳く荷車が止まった。
 よだれを垂らしたまま眠っていたドリアッドの邪竜導士・エリオット(a04328)が、目をこすりながら体を起こし、飛び込んできた景色に目を見開いた。荷車から降り立った、息抜き隊団長のニュー・ダグラス(a02103)は、地図を握りしめたままその景色に息を飲んだ。
 新緑の林の中を抜けた先に、その湖はひっそりと姿を現した。抜けるような青空の下、太陽の光を反射して光り輝く水面は驚く程澄んでいた。静まり返る湖岸の周囲に広がる白い砂浜と、湖にぽつんと浮かぶ小島。どこかで魚のはねる水音がし、鳥の声と、わずかに打ち寄せる波の音、そよ風が林の中を吹き抜けるさざめきの他は、何も聞こえなかった。
「うわぁ、こんなに綺麗な場所だなんて!」
 碧藍の瞬き・アイシャ(a04915)がはしゃいだ声を挙げてから、我に返って傍らの氷輪に仇成す・サンタナ(a03094)の顔を見上げた。サンタナはにっこりと微笑むと、アイシャの手を握った。
「綺麗なところで良かったですじゃ」
「アリシューザお姉様……これが『見え』てたんだ」
 二つお下げの戦乙女・シフォン(a90090)は目を丸くしていた。
「あれが例の小島か」
 アイギスの赤壁・バルモルト(a00290)は、真顔で言った。
「これは、湖の中の小島に秘密基地を作るしかないだろう!」
「ほぉ〜、これはこれは」
 一番最後に荷車から降り立った、喰えない老人・ジュラン(a01956)が景色の素晴らしさに目を細めた。
「綺麗だねシルキスさん……あれ?」
 陽だまりの風に舞う・シルキス(a00939)に話しかけようと、明告の風・ヒース(a00692)が振り返ると、そこにシルキスの姿がなかった。
「み・ず・う・みだぁーっ!」
 シルキスの声が湖岸に響き渡り、シルキスの服が宙に舞っていた。パステルグリーンのワンピースの水着が、派手な水しぶきと共に湖に飛び込んだ。
「あーん、シルキスちゃん、待ってなのねーッ」
 シルキスと一呼吸遅れて飛び出した、お日さまの匂い・リトル(a03000)が、同じように服を脱ぐのももどかしく、湖へと駆けていく。アイシャから借りたという、薄いピンク色のビキニの水着が水面に映え、歓声と共に湖に飛び込んだ。
「私も泳ぎますわ!」
 緋炎を狩る者・チェリム(a03150)も、いつの間に着替えたのか、赤いビキニの水着姿に着替えると、湖へと飛び出していく。その様子にあきれるバルモルト。
「シフォンたちはいいのか?」
 ダグラスの問いに、シフォンは微笑んだ。
「えと、水着持ってくるの忘れちゃいました。てへへ」
「ヒースさん?」
 白閃空・エスペシャル(a03671)が、ヒースの顔の前で手をひらひらさせた。はっと我に返るヒース。
「なんじゃ、見とれとったのか」
 ジュランの言葉に、慌てて取り繕うヒース。
「とりあえず荷ほどきは後にして、先に休憩がてら探索と行くか」
 ダグラスがそう宣言した。
「あ、ならお弁当にしようよ」
 エルフの医術士・ミリアム(a03132)が、弁当を取り出した。
「はい、今日の引越しのためにアタシが作ったんだよ」
「お、おぅ」
 額に汗をにじませながら、ダグラスが弁当を受け取る。
「みんなの分もあるからね」
 満面の笑みを浮かべるミリアムに、バルモルトとサンタナが後ずさる。
「なら、小島に行くための舟を準備するかのう。ヒース、エスペシャル、手伝ってくれんか」
 舟の準備をしようと、ジュランがヒースとエスペシャルを連れていった。
「アタシも夕食の準備しなきゃ」
 ミリアムの言葉に、青ざめるダグラス。
「ミリアムは、探検に来ないのか?」
「誰かがお留守番してなきゃいけないじゃない。シフォンは?」
 ミリアムの問いに、シフォンが頷いた。
「わたしも残ります。荷車を誰か見ていた方がいいだろうし」
「そうか。なら、シフォンたちに留守番頼むぜ」
 にかっと笑ったダグラスの背後で、大きな水音が響き渡った。ハッとなったダグラスが湖に目をやると、小島の近くで水柱が上がった。悲鳴が響き渡り、岸辺で遊んでいたシルキス達がばたばたと湖から上がってくるなり、まくし立てた。
「小島の向こうで何かはねたよ!」
「お、おっきな怪物みたいなのねー!」
「尻尾みたいなものがみえましたわ!」
 身振り手振りで語るリトルたち。。
「例のオオサンショウウオじゃねえのか?」
 ダグラスの言葉に、アイシャが答えた。
「オオサンショウウオは、小島に巣を作ってるみたいですから、小島に渡らないとダメかもしれませんわね」
 ほどなく、ジュランが即席でこしらえた丸木舟3艘に、ダグラスを隊長とする、小島探検隊の一同は乗り込んだ。シルキスだけは、「お父さんのお嫁さんを探すから」という理由で、残ることになった。
「夕食のおかずよろしくね」
「気をつけてね!」
 ミリアムとシフォンに見送られて、ダグラスたちは小島へと乗りだした。

 小島に音もなく小舟が接岸した。
「静かすぎるな」
 小舟が襲われるものだと思っていたバルモルトは拍子抜けした。全員が岸に降り立った時、チェリムが悲鳴を挙げた。
「後ろに何かいるですの!」
 一同が振り返ると、小舟の陰から、水面からゆらりと姿を現したのは、巨大なオオサンショウウオだった。湖岸に引き上げていた小舟にゆっくり近づいていく。身構える一同の前で、岸に上がってきたオオサンショウウオは、小舟目掛けてその尻尾を振上げた。鈍い音と共に、小舟の一艘がひしゃげてつぶれた。
「小舟を獲物と勘違いしとるんか?」
 慌てるジュラン。
「アイシャ殿、援護頼みますじゃ」
「サンタナ様、気をつけて下さい」
 2艘目の小舟に向かって攻撃を加えようとするオオサンショウウオに、アイシャが眠りの歌を歌う。尻尾を振上げかけたオオサンショウウオは、尻尾を投げ出すと不意に動きを止めた。
「悪く思うなよ」
 バルモルトの剣がオオサンショウウオの体を貫いた。目を覚まして身をよじらせるオオサンショウウオに、チェリムの影縫いの矢が命中し、ヒースの攻撃が、オオサンショウウオにダメージを与えた。
「これでも食らいやがれ!」
 ダグラスが投げつけたのは、ミリアムの弁当だった。オオサンショウウオは、それを器用に受け止めると、弁当を丸のみして、満身創痍の体を引きずって湖の底へと消えていった。
「逃げられちゃったのね」
「ちょっとかわいそうでしたわね」
 チェリムの言葉に、アイシャが頷いた。
「こっちは舟を一艘ぶっ壊されちまった」
「2艘あればなんとかなるわい」
 ダグラスの心配に、ジュランが大丈夫だと答えた。
「だんちょー!」
 小島の林の奥から、一人先に進んでいたリトルが息を切らせて戻ってきた。
「島の中に、変なほこらがあるのねー!」
「ほこらだぁ?」
 顔を見合わせる一同。

 バルモルトたちの探索の結果、小島は大して広くはなかったが、小島の中央に小さなほこらのような建物があった。それは明らかに人の手によって作られたもので、入り口が石作りで組まれていた。
「アリシューザ様のおっしゃっていた遺跡って、これのことでしょうか?」
 心配そうにほこらの入り口をのぞき込むアイシャ。
「んー。水神様とかが祀られているとか」
 とエスペシャル。
「とりあえず、用心した方がええじゃろ」
 ジュランがたいまつに火を付けた。
「よし、入るぞ」
 ダグラスが意を決して中に足を踏み入れた。人の手によって作られた、小さな階段が続いている。それをゆっくりと降りていくと、右に折れた小さな地下通路が続いていた。
「昔、誰か住んでたのでしょうか?」
 サンタナの服の裾を握りしめたまま、アイシャが言った。
「結構広いのう。天井も高い。かなり立派なもんじゃったかもしれんのう」
 ジュランが感心しながら言った。
「モンスターの気配はないようだな」
 バルモルトが慎重に進んでいく。
「特に怪しいものは見当たりませんね」
 ヒースも周囲を見回す。やがて、通路は突き当たり部屋に出た。そこは、かなり広い作りとなっていた。
「うわぁ。洞窟みたいですぅ」
 エリオットが声を挙げた。
「それにしては、不自然な作りになってますね」
 周囲を見回すヒース。天井は手が届かないくらいの高さにあり、中も相当広かったが、洞窟の床だけは、人の手が加えられていた。すり鉢状の床はその最深部が深さ10メートル四方ほどの大きさで、その1番底には、石畳が敷き詰められ、その中央には泉がわき出ていた。洞窟の地上部分から泉までは、数メートルは低くなっている。泉の前には、人一人が横になれる祭壇と、その四隅には、魚の頭をした人間の石像が4体、中央を向いて立っていた。
「神殿……みたいな場所だったのでしょうか」
 アイシャの言葉に頷くサンタナ。
「何か儀式に使われていたという可能性もありますじゃ」
「あの石像、いきなり動きそうですの」
「それはないと思うがな」
 チェリムの言葉に、バルモルトは槍を構えると慎重に降りていく。最深部に到達したバルモルトは、槍で石像を突いてみた。乾いた音が響き、何もないことを確認した。
「こいつはただの飾り物だろう」
 それを聞いたリトルとチェリムが降りてきた。アイシャもサンタナの後に続いて降りた。
「その水、飲めるかな?」
 エスペシャルの問いに、ダグラスが泉に手を突っ込んでみた。手がしびれるくらい冷たかった。泉の部分は自然のままになっており、こんこんとわき出る水は、小さな流れとなって石畳の下に消えていた。
「おそらく、湖の水源なのかもしれねえな」
 無意識に水を口に含むダグラス。
「冷たくて美味いぞ」
「だんちょー、ここに変な穴がありますのー!」
 リトルが目ざとく見つけたのは、すり鉢状の泉の周囲に作られた高さ2メートルほどの壁に開いた穴だった。同じ穴は、壁の周囲に何箇所もあった。
「団長、この石像動きますわ」
 チェリムはほら、と石像の一つを押した。石像がずるりと動くと、どこかで鈍い音がした。
「やんだ、エリオット怖い〜」
 ヒースにすがりつくエリオット。ヒースが苦笑し、一瞬その場の空気が緩んだかにみえた。突然、壁の穴という穴から、どっと水が噴き出してきた。
「いかん! 全員上がれッ!!」
 ダグラスが怒鳴った。悲鳴と共に、全員が降りてきた階段を駆け上がる。水は瞬く間に泉全体を沈めてしまった。怪しげな祭壇と石像は、数メートル下の水底に消えた。
「泉が沈んじゃったのね」
 へたり込むリトル。
「この仕掛けに何の意味があるんだ?」
 バルモルトの問いに、答える者はいなかった。

「お帰りなさい。どうだったの?」
 エプロン姿のミリアムとシフォンが出迎えた。
「どうもこうもなぁ……」
 帰ってきたダグラスは、シフォンたちに事の顛末を聞かせた。
「アリシューザお姉様に『見て』貰った方がいいかもね、団長さん」
 シフォンの言葉に、ダグラスがにかっと笑った。
「そうするぜ、シフォン」
「私はお夕食の準備しますね」
 戻ってきたばかりだというのに、アイシャはエプロンを手に取った。
「あ、料理ならアタシがやるのに」
「手伝ってもらえよ、ミリアム」
「一人よりみんなでやった方がいいですじゃ」
 ダグラス以下、男性陣の真剣な表情に、ミリアムはちょっとだけ頬を引きつらせてから頷いた。
「今晩はカレーにしましょうね。ミリアムさん、荷物からお野菜準備してくださいね。シフォンさん、お水、汲んできて下さいますか?」
 アイシャの料理する姿に、サンタナは一人うんうんと笑顔で頷いた。

「お父さんのお嫁さん、見つかった?」
 湖岸に作った生け簀に、ザリガニを放したエスペシャルが尋ねた。首を振るシルキス。
「あちこち探したけど、見つからなかったんだよね」
 溜息をつくシルキス。
「でも、きっといると思うから、頑張って探すね」
 そう言ったシルキスの足元で、ザリガニは静かに生け簀の中で泳いでいた。
「エスペシャルさんは、ザリガニに名前つけたの?」
「うん、つけた」
 エスペシャルは顔をほころばせた。
「『しっぽ』って、つけた」
「どうして?」
「シフォンさんのしっぽに似てるから」
 エスペシャルは、シフォンの二つお下げを思いだしてそう答えた。

 荷ほどきと夕食が終わり、一同が思い思いの時を過ごす頃。
 ザリガニの生け簀の側で、一人腰を下ろしていたシルキスは声を掛けられた。
「隣、いいですか?」
「あ、オウヂ様!」
 ヒースが微笑んでいた。シルキスの隣にヒースが腰を下ろした。
「綺麗なところで良かったですね」
 ヒースの言葉に、こくこくと頷くシルキス。
「ここなら、みんなで楽しく住めそうだよね?」
「そうですね」
 しばし沈黙する2人。
「あの」
「あの」
 2人同時に声を出した。顔を見合わせてから、ぷっと吹き出す2人。
「ここってお星さまが綺麗だよね?」
「そうですね。でも、シルキスさんの方がずっと綺麗ですよ」
 ヒースの言葉に、みるみる赤面するシルキス。
(「うわ……オウヂ様に綺麗って言われちゃった」)
「ヒースとシルキスはどこ行ったんじゃ?」
 不意に、ジュランの声がして我に返るシルキスとヒース。
「おお、ここにおったか……もしかして、邪魔だったかの?」
 慌てふためくシルキスを見て、ジュランは笑った。
「アイシャ殿が、夜食のスープを作ったから一緒に飲まんか?」
「行きましょうか、シルキスさん?」
 ヒースがシルキスの手を取った。その手をシルキスは握り返した。
「うん!」

 翌日。
「水着、着てみたんですけど……恥ずかしいですわ」
 純白のワンピースの水着を着たアイシャが顔を赤らめた。
「変、じゃありませんか?」
 アイシャの言葉に、サンタナは何度も頷いた。
「よく似合ってますじゃ。アイシャ殿」
「ありがとうございます、サンタナ様。嬉しいですわ」
 サンタナがアイシャの手を取って湖へと駆けていく。アイシャの水着姿に、ショックを受けるチェリム。
「アイシャ様、お綺麗ですわ」
「チェリムちゃん、泳ごうなのね!」
 リトルが、チェリムの手を引っ張った。
「なんだ、サンタナは褌を着けとらんのか」
 腰に白い褌姿のジュランを見て、黒いビキニの水着姿のエリオットが両手で顔を覆った。
「やんだ〜」
 指のすき間からしっかりチェックしていたのは言うまでもない。
「ダメだな、サンタナの奴は」
 ジュランの隣で褌姿のダグラスが、腕を組んだまま白い歯を浮かべて、にかっとした。
「みんな〜、お昼のおかず取ってきたよ。お昼はキノコスープだよ」
 そう言ってミリアムが手にしていたかごには、色とりどりの鮮やかなキノコが詰まっていた。

 オオサンショウウオは、その後姿を見せることはなかった。
 かくして、旅団の引っ越しは、多くの謎をはらみつつ、無事に終了したのであった。


マスター:氷魚中将 紹介ページ
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参加者:12人
作成日:2004/04/26
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