まりも・まりもも・まりもろこし(隅っこでエリソンの誕生日)



<オープニング>


「まりもころし?」
「殺すの?」
 パレトラ・キリオ(a90362)とヨハナ・ユディト(a90346)のそんな言葉には特に突っ込まず一言『殺しませんよ』と答え、祈らない霊査士・エリソン(a90312)は事の次第を話し始めた。

 ――エリソンは丸いものが好きだ。中でも緑色のものが好きで、二つの条件を満たす『まりも』は特に好ましい。
「〜♪」
 故に彼はその日も、鼻歌混じりに桜模様の如雨露で汲みたての清水をまりも瓶に注いでいた。まりもは澄んだ水を好む植物なので、鼻歌の歌詞はお察しだが週一度の水換えはこまめに欠かせないらしい。

「ところが、困った事にですね」

 霊査士の話は非常に長かった。
 長過ぎるので割愛して要点を摘めば、『水替えの際うっかりまりもの1つを落とし、それが転がりに転がった末庭向こうの湖に落ちてしまった』という、要はそれだけの話なのだが。語る合間に様々な『まりもエピソード』が挟まれ、話が終わる迄にユディトが首を傾げる事5回、苦笑混じりに頷く事4回。キリオが足を組み替える事7回、指の動きで先を促す事3回。兎角長かった。依頼に付いては端的に要点だけを述べる心掛けを持つ霊査士だが、愛玩植物の話となるとまた違う様だ。
 それで、と女性陣に促されて霊査士が語るによると、まりもを拾いに庭を通り抜ける際に、家庭菜園の様子を改めて見渡してみた所、故郷から種を持ち来て育てた『まりもも』と『まりもろこし』がもっさりと沢山――配っても有り余る豊作ぶりでまるまると実っていたのだと言う。因みに『まりもも』とはとても丸く転がり易い桃で、『まりもろこし』とはすごく丸く転がり易いとうもろこしだそうだ。
「食べ方や調理法は普通の桃やとうもろこしと一緒ですが、どちらも甘くてとても美味しいですよ。……丸いですしね」
 詰まる所。
 まりもが転がった話が行き着く先は『それらを茶菓に庭で茶会でも開こうと思うのですが、どなたかご一緒しませんか』という冒険者達への誘いだった。
「勿論それら……つまり茶菓の中にまりもは含まれませんから、お気を付けを」
「「判ってるから」」

 時に件のまりもは、水没したまま未だ湖からサルベージ出来ていない。曰く、湖底に掬い網を下ろしてみるも、ボールに椀に置物に――掛かる物は『他の丸いもの』ばかりだったのだと。きっと知らない内に軒から転がり落ちてたのだろう、と霊査士は項を掻く。
「湖には、落としたまりもの他にも結構沢山のまりもが棲んでいます」
 湖を探れば霊査士が落とした物々もそうでない物も含め、何やら色々と丸いものが出て来そうな気配がして来た。

「……まりもが欲しい方がいれば、茶会の前に一緒に湖を探してみましょうか」
 『他の丸いもの』が掛かるかも知れませんが、と申し訳なさそうに頭を下げた後、霊査士は冒険者達を手招きした。

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参加者
NPC:祈りはじめた霊査士・エリソン(a90312)



<リプレイ>

●サルベージまりも
 雨の季節を前に、麦秋の朝は麗らか。水音と綯うざわめきを木漏れ日が照らす。

「エリソンさん、お誕生日おめでとうなのー♪」
 赫色の風・バーミリオン(a00184)が岸辺に向かい諸手を振ると、おめでとうございますと湖畔に声が重なる。襷掛けに袂を絡げ網を寄せ、祈らない霊査士・エリソン(a90312)は方々に頭を下げた。
「まりも、見付かると良いよね」
 香水茅・シトラ(a07329)が掬い網を受け取り、僕もお手伝いするねっとバーミリオンも手を伸べた。
「今日はマリモさんの救出作戦を行うそうですね」
 野良ドリアッド・カロア(a27766)が祝辞がてら霊査士に挨拶をすれば、鈴花雪・ソア(a32648)は目を丸くして、救出、救出っと岸辺に駆ける。アンパン妖精・カルア(a28603)も義姉に網を渡そうとするが、
「私? 私ですか?」
 持病の神経痛とか腰痛とか筋肉痛がアレなので――と口早に告げ、カロアは後退りながら去って行った。
「あのアホ姉は……」
 溜息を吐くカルアの裾を引き、天藍石の牙狩人・ユユ(a39253)は竹輪の餌を付けた特性釣竿を掲げて首を傾げる。
「これでマリモが釣れるかなぁ? ふんふふんふ〜ん♪」
 鼻歌混じりに釣糸を垂れれば、赤と黒の壊れた世界・モニカ(a46747)も団子に結った髪の上に聖光を掲げて網を振るう。
「サルベージー♪ ……浚えば何か出る!」

 一種の宝探しみたい――と、夜河の歌唄い・ステュクス(a46875)は静かに胸躍らせた。水際から周囲を眺めれば、同じ思惑を抱いた者達が伺える。
「わくわくしますね!」
「ほんとにまんまるなのかな?」
 小さな盾・マリエッタ(a63925)は語尾を弾ませ、紫水銀・ミシャ(a33246)は『まりもキャッチャー』と名付けた緑色のふさ付き自家製網を水面に揺らす。その網が気になったらしく、注視する霊査士。
(「好みのタイプかも……」)
 マリエッタが彼の横顔をちらちらと見ていると、不意に当人と目が合ってしまう。
「は、初めまして! マリエッタと申します!」
「? 初めまして」
 余り力んで湖に落ちない様お気を付けを、と告げて作業に戻る霊査士の横顔を再びちら見し、彼女は使命感と鑑賞欲の狭間に揺れる。
「全然釣れないんだよ〜……まりもちゃんは竹輪食べないのかなぁ?」
 ユユは足をぶらつかせながら、欠伸を噛殺す。
「毬藻もふと遠出をしてみたくなったんだろうさ」
 この陽気だからな……とカルアは空を一瞥し、彼女の頭に手を置く。仰いだ陽は既に高く、空行く鶫の姿は眩さに瞬いた刹那の雲間に消えた。

●ころ
 賑やかな湖畔から幾許か離れ、庭先の収穫はのんびりと行われている。久し振り、とヨハナ・ユディト(a90346)に挨拶を交わす二人は、餞殉花・リオン(a28537)と、猪突妄進・スズ(a02822)。
「二人とも元気そうで良かった」
 見知った顔に女重騎士が表情を緩める。沢山収穫出来ると良いな、とスズは背高いまりもろこしの穂を見上げた。今回も宜しくねとユディトに寄り、リオンはまりもものパイが食べてみたいと和らいだ面を見せる。
「へへ、楽しみだなー……おぉ?!」
 まりももに手を伸べ尾を振るスズの頬を、ばさりと大きく揺れた枝が掠める。
「……ところでこれ、どうやって収穫するのかね?」
「うぅん。もっと優しくした方が良いんじゃないかしら。……多分」
 力加減を掴めず枝を撓めたまま、手解きを乞うリオン。その腕に、覚束ない語尾のユディトが手を添えた。

「水遊びには丁度良い天気ですわね」
 軒先から庭・湖畔と眺望して知己の不在を検め、槿花一朝の夢・チグユーノ(a27747)は厨にそっと忍び寄る。見れば採れたてのまりもろこしを網で焼くカロアの背後、パレトラ・キリオ(a90362)がスツールに足を組み、簾を上げた窓から外を観ていた。
「何か良い物でも見えますの?」
 不意な真後ろからの声に、音を立てる息を嚥下して振り返れば、お久し振りですわねぇと天使の笑顔が咲く。
「……水の煌きを」
 狼狽の残滓を残さず軽く礼を交わし、キリオは応えた。遠目に見える輝きは、正体すら判らない位の遠さが一番良い――と、戯れな套言は聞いてか聞かずか、チグユーノは彼女の髪に指先を通す。
「ちょっと」
「邪魔でしょう、結われますか?」
 女詩人は数度肩をたじろがせるが、髪を梳く感触に厭う所はない。好きになさればと投遣りに吐き、やがて桜の簪を傍らの卓に置いて託した。
「ニギャー?!」
 黙々とまりもろこしを焼いていたカロアが、奇妙な悲鳴を上げる。
「おのれー! 止まれー!!」
 網上から焼きまりもろこしを取り落としたらしい。彼女は聖槍をも厭わぬ勢いで屋外へ駆け去った。

「本当に丸くて……何だか可愛いです」
 銀花紫苑・ヒヅキ(a00023)は、ころころと熟れたまりももを突付く。憂うべき食生活を営む同行者――流水の道標・グラースプ(a13405)にも枝先を示し、和みますねと微笑んだ。
「止まらんと撃つぞー!!!」
 その傍らを、憤怒のカロアと焼きまりもろこしが駆け抜ける。
「っと」
 黙々と収穫に専念し重作業も率先してこなしていたスズが、まりももを一つ採り零す。瞬間、彼の瞳が見開かれた。
「にゃーにゃーにゃー」
 スズは思わず無意識に転がるまりももを追いかける。
「に゛ゃ゛〜〜〜!??」
 その鼻先を掠め、誰かと何かが転がって行った。俄かに我に返るスズ。ごめん、つい……と頬を掻けば、土に汚れた額をユディトの手巾が拭う。
 どぼん、と豪快な水音が湖畔に響いた。

●先輩
 奇妙な悲鳴と共にダイビング――豪快な再登場を遂げた義姉の前に、カルアは立ち尽くす。お姉ちゃんですよ、と手を振っても彼の仏頂面は直らない。飛入り参加ですよ、と胸を張っても眉間の皺が深まるばかり。
「……まりもろこし、焼けたかなぁ?」
 転寝をしていたユユが目を擦ると、泣きながら掬い網を受け取るカロアの姿が見えた。傍らには『ご愛嬌』と頬を染め、濡れ髪を拭うシトラ。彼女も勢い余って転落したらしい。
「シゼットは漁師なんだからまりも獲り位楽勝だよね」
 よく解らないけど楽しそう、と同行の友の横で伸びをする、武娘・リュナス(a55182)。近頃の暑さを紛らわそうと水遊び心地で網を返せば、狩師・シゼット(a48433)は溜息を吐く。
「だから、私は猟師で漁師とは違うと言うのに……」
 ゆったり憩いを楽しむ算段が外れ落胆もあったが、始めた以上誇りにかけ、彼女は心の目を研ぎ澄ます。
「……そこ!」
 鋭い動作でしなやかに、狩師の腕が網を放つ。歓声と拍手を上げリュナスが覗き込むと、中には見事まるまるとしたまりもが二つ掛かっていた。

「引き上げのお手伝いをしますね」
 多人数での牽引を要する大網の先頭を引き、楽風の・ニューラ(a00126)が湖に足を浸す。水泳は心得がありますので――と余裕を見せつつも、湖底のまりもをうっかり踏まぬ心配りも忘れない。
「ちょっと手伝ってみよう」
 グラースプが腕を捲れば、既に裾を捲りタオルも携え用意万端、自然と昼寝愛好家・ファンバス(a01913)も加わる。湖畔の冒険者達が手に手を添え、末尾に霊査士も並んだ。高らかな掛声と共、大網が引き上げられる。

「にしても……色々出て来る出て来るー」
 岸辺に広げられた網を覗き、ファンバスは息を吐いた。まりもは元より、丸い金魚鉢に不思議な輝きをした黒曜石の玉、貯金箱や小さな鏡等も網の中にある。
「えと……どのコでしょ……?」
 ソアは眉をひそめた。見れば岸に上がったまりもは二桁を越えている。
「見分け付くのかな?」
「んー、良く解らないなぁ」
 グラースプとシトラにもやはり判別は難しい。霊査士の判断を仰ぐ間に、一先ずまりもとそれ以外の物を選り分ける手筈となった。
「何処から転がって来たのやらーです」
 網端に絡むまりもをざぶざぶと解くソア。
「まりもと言えば、雪深い山間の湖にひっそりと息づく生き物と聞きますが、この様な所でも見られるとは」
 紫眼の緑鱗・ボルチュ(a47504)はふっくらと大きなまりもを掌に掬い上げ、それを飼う者がいるという事実に感嘆を示す。
「あ、先輩!」
 彼の掌上に向け、エリソンが声を上げた。
「「……先輩?」」
 冒険者達の声が重なる。霊査士はそれをボルチュから受け取り、『これです、これです』と一同に見せた。『先輩』とはまりもの名前らしい。
「まりもがここ迄成長するには何百年もかかるんですよ。だから人生の先輩なんです。……ともあれ、皆さん本当に有難うございました」
 そう言って霊査士は、頭を下げた。

●安らぎの残照
 庭先に腰を下ろせば芝は馨しく、昼下りの陽は穏やかに肌を暖める。
「こうして見詰めていると、心が落ち着きますね」
 無事戻った『先輩』に、ボルチュは目を細めた。丸と緑、人心を落ち着かせる要素を兼ね備えていると称えれば、霊査士は嬉しげに頷く。最初の出会いと再会と、どちらも掛替えのない『先輩』との縁だと説くファンバスには、三度目がない様に気を付けますと頭を垂れた。
「「「そう言えば」」」
 会話の節目に三つの声が重なる。バーミリオンとニューラ、そして簪で髪を結われたキリオと共に茶具を運び来たチグユーノの三者が、顔を見合わせ微妙に空気を読み合う。
「エリソンさんはどうしてそんなに丸いものが好きなの?」
 三竦みの間にミシャが訊ねた。尖った物は怪我をしそうだからと、霊査士は愛猫・よけを撫でて答える。手先は不器用ではないが、漫ろ気があり物をよく落とすらしい。他のまりもにも名前があるのかとバーミリオンが問えば、傍らの瓶を示し、右から順に『まるも・まるもも・まるももも』だと答えた。解り辛い。
「……本当に見分けが付くのかしら?」
 チグユーノが瓶をシャッフルすると、今度は右から『まるもも・まるも・まるももも』だと答える。順番が違う様な気もしたが、話が長くなりそうなので黙っておく事にした。
「と、兎に角っ、今日から始まる一年が、エリソンにとって良い一年になります様に……かんぱーい!」
 気不味くなる前にとスズが諸手で音頭を取り、なし崩し的に茶会は始まった。

「そう言えば、まりもってお水にほんの少し塩を入れて育てると良く育つんですよね」
 ニューラが改めて話の種を蒔くと、霊査士は彼女の知識に笑顔で応じ、『塩浴』『雑藻』等の言葉を交えて語る。遅くなりましたがとその背を突付き、金双魚の騎士・ノヴァーリス(a36914)が渡した物は、抹茶で色付けしてチョコで顔を描いた丸いクッキーだった。そのコミカルな表情が気に入ったらしく、霊査士は頻りに感謝する。まりもものパイとコンポート、ジャムにクレープを運び来るユディトとリオン。まりもろこしにもバターと塩を添え並べれば、熱に凝縮された果実と焦げた糖の香、溶けたバターの香が満ちて労働を終えた身体に染みた。
 濡れた服は着替え心機一転、シトラは採れたてのまりももを搾った生ジュースをグラスに注ぐ。くしゃみを一つするカロアと、焼きまりもろこしに紅茶と饅頭を添え並べるカルア。二人の間に座るユユの手には、湖で拾った風船豚の貯金箱があった。濡れた身体を拭き身嗜みを整え、シゼットとリュナスも戻り来る。『まりもが獲れなかった』と肩を落とししょんぼりと地を向く友を見かね、シゼットは彼女の眼前に先程掬ったまりもを一つ差し出す。
「天の恵みは人に均等に……狩人の心得です」

「素敵な1年になる事を願ってます」
 ヒヅキは粉砂糖やチョコでデコレートした丸ドーナツ、まりももの種を抜いて寄せたゼリーを並べる。霊査士は『まりもさん』と名付けられた抹茶ドーナツを食べるに暫し逡巡した。ノヴァーリスはジャムを溶かした紅茶を片手に、まったりと茶話を眺める。
「まりも・まりもも・まりもろこし……何か早口言葉みたいですね」
 そう言って手にしたまりももを生のままがぶりといけば、たっぷりとした果汁と糖蜜の様な甘味に頬が綻ぶ。丸さが旨さの秘訣なのかとモニカが道化れば、実は私もそう思うんです、と霊査士は真顔。遅ればせの祝辞は、言う側がタイミングを逸しただけの事――モニカは咳払いしてそう告げ、にぃっと笑んだ。
「だから気にせず祝われろー?」
 言葉と同時に顔を描いたまりもろこしを転がせば、リオンも二つ重ねて顔を描いた『まりももだるま』を転がす。霊査士は直ぐ様立ち上がって追いかけ始めた。
「私のグランに乗りますか? 丸くはないですが緑ですよ!」
 マリエッタは走る霊査士に手を伸べる。この日の為に用意された緑のグランスティードが相乗りで芝生を駆けた。

「新しい一年に沢山の幸せがあります様に」
「これからの一年、幸多からん事を」
 漸く果実の数々を取り戻した霊査士を、ミシャとボルチュが囲む。冒険者の日常は死と隣合せ。危険な戦いの連続に身を置くからこそ、こうして祝いの席にいられる喜びが一入なのだと、彼は感慨深げに瞳を閉ざす。先の解らないこの稼業にとって、それは確かな糧なのだとステュクスも呟いた。
「貴方に出会えて、こうして節目を一緒にお祝いできる事を、とても嬉しく思う、わ」
 はにかんだ言葉と共に渡された物は、球形の水槽。次いでニューラが硝子のティーポットを差し出す。茶漉し網でまりも零れを防ぐ優れ物らしい。
「ドリアッドさん達は感覚が違うかも知れないけど……」
 それでも無病息災は喜ばしいと、ファンバスは鞄から取り出した丸い日記帳を贈った。
「プレゼントは二人で用意しました」
 シゼットとリュナスは、千鳥草をボール状にアレンジした鉢植えを渡し、これからも宜しくと声を揃える。
「旅団に転がってる白い丸い物も上げるね」
「お誕生日プレゼントに、まりもの新顔さん」
 シトラが生物の様にふわふわとした毛玉を霊査士の頭に乗せると、更にその手を取り、ソアが先程掬ったまりもの幾つかを盛る。
「いや有難うございます色々。こんなに沢山贈物を頂いたのはいつ以来か……併しこれは正に『まるづくし』……故郷の伝説を思い出します」
 それがどんな伝説か、知る者は勿論いない。

「幾ら隅っことは言え、お祝い遅くないですか」
 元々庭の隅にいたものが贈物に恐縮してか、更に一隅へと寄り行く霊査士。指先の粉砂糖を拭ったグラースプがその襟を捕まえると、『年が終わる頃に思い出す事も良くある』との答が丸まったエリソンから返る。貴方らしいと苦笑の後、去年と変わった所はあるかと問えば、居なくなった人もいれば新しく出会った人もいると応え、霊査士は視線を空へと擡げる。貴方が本当は何歳かも知らぬが、それが良き変化であれば幸いだと、グラースプも空を仰いだ。刻々と形を変える雲が、空を往く風を象って渡る。

「来年また、楽しく集まれると良いですね」
 明日の見えぬ戦いを前に、今は遠く知れぬ未来を願い――
 伏せた瞳の裏に映る夕べの色は、束の間の安らぎの残照を長く長く焼き付けた。


マスター:神坂晶 紹介ページ
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参加者:21人
作成日:2007/05/30
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冒険結果:成功!
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