【祝福を届けよう】煌きのシルバー



<オープニング>


「今回は、モンスター、退治する、冒険者、募集」
 烏珠の霊査士・モニク(a90270)は冒険者たちに向けてそう言った後、純朴な藍黒月・ベニト(a90052)へちらりと視線を向けた。
「先日、パールを、買いつけた娘から、また、依頼。兄の花嫁に贈る、ヴェールに、煌く銀糸で刺繍をする、そうだ。その、銀糸を、作る、村に、銀を、食べる、モンスターが、現れた、そうだ。その、モンスターを、倒して欲しいと、依頼が来た」
 モニクはそこまで言って、一度言葉を止める。

「今のところ、モンスターは、銀糸に、手をつけるまでには、至っていない、らしい。だが、それも、時間の、問題、だろう。銀の、燭台や、皿を与えて、なんとか、している。だが、村、w全部から、集めた物を、与えている為、残りは、少ない。」
 モニクは淡々と言葉を続けて行く。銀を食べるモンスターは銀を与えておけば、とりあえずは大人しい。だが、攻撃を受けたり、銀がなくなると激しく暴れだし、村を壊滅させてから次の銀を求めて移動する性質を持っていた。
「モンスターを、倒さなければ、当然、銀糸を作る、村は、いずれ、モンスターに、蹂躙され、村人は、死に絶える、だろう。モンスターの、攻撃は、飛燕連撃に似た物と、カラミティエッジに、似た物に、なる。村に、向かえば、モンスターの、姿は、すぐに、わかる、だろう。モンスターは、銀色の、ネズミに似た、姿を、している。大きさは、2m弱。不利な形勢だと、判断すると、モンスターは、逃げ出す。逃がさない、工夫が、必要、だろう」
 モニクは軽く首を傾げ、冒険者たちにさらりと言う。
「キミたちはこの仕事、するかい?」
 説明出来る事は全てしたと判断したらしいモニクは、面倒くさそうにも見える表情を変えずにそう言った。

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参加者
うっかり医師・フィー(a05298)
晴天陽光・メリーナ(a10320)
七年九月三十日撤退・アスゥ(a24783)
花紅風緑・ルラ(a27865)
世界樹・ユグドラシル(a34640)
繊月・マヒナ(a48535)
黒竜導士・ファナ(a51001)
ヒトリの武人・ナツルォ(a61049)
闇の熾火・アリスローゼ(a63400)
真夏の夜の夢・ティターニア(a64330)
NPC:純朴な藍黒月・ベニト(a90052)



<リプレイ>

●村
「……銀を食うなど、奇妙なモンスターもいるものだな……」
 黒竜導士・ファナ(a51001)は怪訝な表情を浮かべて呟く。最も、すぐに意識を依頼へと向けなおしたようだ。
「うちは質素な食事ばっかりやのに、ネズミの癖にそないに高い物食べるんは許されへんー」
 そもそも、質素な食事と銀を食べるモンスターはあまり関係な気がするし、色々と問題がすり替わっている気はするわけだが、真夏の夜の夢・ティターニア(a64330)が不満そうに呟く。
「好みはそれぞれと思うのだけど……。お腹壊したりしないのかな?」
 ファナの言葉に晴天陽光・メリーナ(a10320)は不思議そうな表情で首を傾げる。理由は分からずとも、モンスターが銀のみを食べ続けている事実は変わらない。そもそも、腹を壊すようならばモンスターも銀を食べたりはしないだろう。多分。
「モンスターは体長2mくらいって事は、あんまり大きくないのね」
 歪みの国の・アリスローゼ(a63400) は少し考えてそう呟いた。2mが大きいか大きくないかは、個人の印象にもよるだろう。最も、元来のネズミの体躯を考えれば充分大きいと言えそうだ。
「ネズミだけに小回りが利くのかな?」
 もし小回りが利くようならば実に鬱陶しい敵になるだろうと、アリスローゼは嫌そうな表情を浮かべる。敵を逃がすわけには行かない以上、小回りが利く敵であれば確かに手間がかかるだろう。
「……どうしてこう、素敵なヴェール作りに邪魔ばかり入るのかしらなぁん?」
 不満そうに晦冥なる月・マヒナ(a48535)は呟く。このモンスターを倒し損ねれば当然、後の被害は甚大となる。その事実は理解しているマヒナ、冒険者たちはモンスターを誘き寄せて倒すべく、餌となる銀の準備を開始した。
「ベニトさん、ネコミミカチューシャですよ〜♪」
 満面の笑顔を向け、うっかり医師・フィー(a05298)は猫の耳を模したカチューシャを取り出す。相手がネズミ型モンスターと言う事でわざわざ用意したらしい。しかも、別にフィーが身に着けるわけではないようだ。
「これでネズミに勝つ事、間違いなしですよ〜♪」
 ベニトの頭にネコミミカチューシャを取り付け、フィーはとても嬉しそうな顔で言う。ネコミミカチューシャをつけられたベニトは、なんとも言いがたい微妙な表情を浮かべてフィーを見る。もちろん、そんな視線の意味に気づくフィーではない。
「ま、誰かの為になにかをしようって娘の依頼は、受けてやりたいよな」
 ヒトリの武人・ナツルォ(a61049)はそう言う。
「必ず成功させて、村の人たちを安心させてあげなきゃね!」
 握りこぶしを作り、花紅風緑・ルラ(a27865)はきっぱりと言い切った。
「少しずつヴェールが素敵になっていく様を想像すると、なんだかうきうきしてしまうの〜」
 ルラの言葉に頷きつつも、メリーナはほんのり頬を染め、うっとりと楽しそうに言う。村人の為ももちろんあるが、やはりせっかくの祝いの品でもあるヴェールを完成させる為にも仕事を完遂させたいと、メリーナは考えているようだ。
 冒険者たちがある程度用意した銀を集めて世界樹・ユグドラシル(a34640)は村へ運ぶ。ユグドラシルがノソリンに変身して運ぶわけではなく、召還獣のグランスティードを使う事で少しでも他の冒険者たちを疲れさせないようにとの配慮なのだ。
「ベニトもこれに乗ってみたかったら、乗せてあげるなぁ〜ん♪」
 満面の笑顔でユグドラシルは言う。ユグドラシルの申し出にベニトはそのうちと答え、今回は断る事にしたようであった。

●銀を食べるモノ
「これで足りるといいのだけど……」
 メリーナは不安そうに呟く。村にどれだけの銀が残っているかわからなかった事もあり、冒険者たちはそれぞれ、なるべく銀を用意はした。とは言え、実際にモンスターが食べる銀の量を見たわけではない。それゆえ、モンスターを誘き寄せるのに一体どれだけ銀の量を用意すればいいのかわからないのだ。それでも可能な限り用意した冒険者たちは作戦を実行する。
 銀糸にする以外の銀を譲って欲しいとマヒナは村人に声をかけた。だが、既に村には銀糸に使う以外の銀は残っていないと言っても過言ではないほど、モンスターに銀を食われた後だったらしい。モンスターを誘き寄せるのに分けてもらえたのは、ほんの一握りになるかどうかの銀であった。
 無所属・アスゥ(a24783)は村に被害の出にくい場所を選び、ネズミ型モンスターと戦えるよう、村人に話を聞いてまわる。その上で、戦闘に都合のいい場所へモンスターが移動するよう、準備を整えた。
 準備と言っても、冒険者たちが用意したのは実に古典的な罠だ。道に沿って銀を点々と置いてまわり、銀を追って行くと最終的にはモンスターと戦闘する予定の場所にたどり着く、そんな罠である。誘き寄せる地点から少しずつ銀を落としてモンスターのいる方向まで移動する冒険者たち。準備を整える前にモンスターが現場に来てしまっては都合が悪い。
「まだこれを食べていてくださいねなぁん」
 その可能性を考えていたマヒナはモンスターに持参した銀を与え、冒険者たちが準備する時間を稼いでいた模様。

 冒険者たちは誘き寄せる予定地に待機する者と、誘き寄せる予定の場所へネズミ型モンスターが向かうようその動きを確認する者の2組に別れ、行動していた。村人へは危険が伴う可能性がある事を伝え、外へ出ないようフィーにルラ、アリスローゼが手分けして言い含めずみだ。
 念の為、モンスターの様子を見張り後を追う冒険者たちの内、数人が少量の銀を手にしていた。アスゥはネズミ型モンスターを誘き寄せる予定の広場においた銀と共に自らの武器を置く。モンスターが餌として用意した銀にかかったのを確認し、アスゥはウェポン・オーバーロードで武器を呼び戻す予定なのだ。
 ファナは身を隠し、待機する場所を探す。向かって来るモンスターの様子が確認出来ると思われる場所を選び、彼女は身を潜めた。メリーナは物音を立てる事でモンスターを警戒させないよう、息を潜めて隠れている。
「引っ込んでてくださいね〜」
 フィーもやはり身を潜め、自らの召還獣にそう命令を出し、よりモンスターに気づかれにくいように気を遣っている様子。自身が隠れたルラもやはり、召還獣には隠れているよう指示を出している。召還獣を連れていないティターニアも隠れるのにいい場所を探し、身を潜めた。
 ルラはモンスターが向かってくる様子を確認する為、遠眼鏡を使いモンスターが向かってくる予定の道を見張る。モンスターが間違いなく場に向かい、やってきた場合ルラが待機する冒険者たちに合図を送る予定なのだ。その為、モンスターの様子がわからない冒険者たちはルラの位置を確認し、彼女の反応を待っていた。

 銀を食べている間、ネズミ型モンスターは大人しい。冒険者や村人、村を襲う様子も大きく動く事もないが、霊査士の話通りならば冒険者たちがモンスターを退治しなければ、銀が切れた後、村を壊滅させるような行動を取るのだ。
 最終的にモンスターが予定通り、現場に行かなかった時の為、アリスローゼはトランペットを用意していた。逃げられる可能性や予定外の場所での戦闘になった時、トランペットを使う事で待機している冒険者たちに異変を知らせる予定なのだ。
 準備を整えた冒険者たちはモンスターが銀を食べ、進んでいく様子をモンスターの後方から確認する。とは言っても見張る冒険者たちの中、数人が銀を持っている為か、モンスターは時折後方を気にして戻る気配を見せてもいた様子。とは言え、より強い銀の匂いにつられているのか、攻撃などを行う事なく、モンスターは冒険者たちの用意した罠の元へ向かってくれているようだ。
 こうしてかなりの時間を必要とはしたが、冒険者たちはなんとか目的通り、広くなった場所にモンスターをおびき寄せる事が出来た。

●退治
 モンスターが向かってくる事を確認し、ルラは予め決めていた通り、片手を上げて他の冒険者たちへ合図を送る。ルラの合図を確認し、数人の冒険者が隠れていた位置から動き出す。フィーは冒険者たちの後方に位置取る。恐らく全体の様子を確認し、傷を受けた者がいた場合、すぐに回復が出来るようにする為だろう。
 戦闘開始の合図になる予定のウェポン・オーバーロードを使うタイミングを計る為、アスゥは銀とモンスターをじっと見守る。モンスターの手が銀の中に混じる武器に触れる直前に、使うつもりでいるのだ。モンスターの手が伸びるのをじっと待ち、アスゥはウェポン・オーバーロードを使った。その直後に冒険者たちはそれぞれ、行動を開始する。
 黒炎覚醒を使っていたファナはデモニックフレイムを使い、モンスターを攻撃した。フやはりァナと同じく、フィーやメリーナは黒炎覚醒を使い、自らの攻撃力を引き上げる。
「行きますなぁん! ヴァイパー、補助をお願いなぁん!」
 マヒナは自らの召還獣へそう声をかけ、影縫いの矢を放つ。ルラがチキンスピードを使い、ベニトがアビスフィールドを場に使う。
「大人しく、攻撃喰らいやがれッ」
 そう言いながら、ナツルォは達人の一撃を使って攻撃をかける。
「てめぇ、動くんじゃねぇよ!」
 アリスローゼはそんな叫びを上げながら、デストロイブレードを使い、モンスターを攻撃した。明らかにそれまでと口調が変わっているが、アリスローゼはそう言う性格らしい。
 ティターニアは電刃衝でモンスターを攻撃し、傷を負わせたうえで、少しでもモンスターの動きを押さえ込もうとしている。ユグドラシルはホーリースマッシュを使い、モンスターに斬りかかった。
 冒険者たちはそれぞれ、ネズミ型モンスターを逃がさぬよう、他の冒険者の動きを確認し、包囲網に穴が出来ないよう気をつけて動いている。モンスターに逃亡されないよう、この場で確実に倒そうと考えて行動しているのだ。

 マヒナの影縫いの矢が効力を発揮し、少しの間モンスターはその動きを止めていた。だが、それほど長い時間動きを止めておく事は出来ず、モンスターは動き出す。最も手近な位置にいた冒険者へカラミティエッジらしき攻撃をかけるネズミ型モンスター。最も攻撃しやすかったのだろう、ティターニアに放たれたその攻撃を、ユグドラシルがあえてかばい、その身に受ける。重騎士としての役割だと、そう決めていたのだろう。ユグドラシルが受けた傷はフィーがヒーリングウェーブで癒す。その間にメリーナが緑の束縛を使い、ネズミ型モンスターの動きを再び封じ込めた。
「残念だったな……絶対逃がさねぇぜ!」
 不敵な笑みを浮かべ、ナツルォがモンスターに言う。手薄になった場所を見つけた者が手薄な場所に移動し、その場から再び攻撃を開始する。
「あ、当たるかなぁ……んっ?」
 身動きがとれずにいるネズミ型モンスターへ鮫牙の矢を放つマヒナ。
 冒険者たちの繰り返しの攻撃に、ネズミ型モンスターは弱っていく。冒険者たちはモンスターを逃がさぬよう、モンスターの身が自由な間は動きを押さえ込む為の攻撃をかけ、モンスターが動けぬ間はひたすらに攻撃をかける。
「斬り飛ばしたるー」
 ティターニアはそう言いながら、達人の一撃を放った。
 次第に弱って行ったモンスターはやがて、その身を地に伏せる。
「……みんなおつかれさま〜。上手くいってよかったね♪」
 モンスターを倒せたか確認したルラが明るく言う。倒されたモンスターは原形を留めず、食われた銀も残らなかったが、それでもメリーナはモンスターが倒れた位置に手をあわせてごめんねと小さく呟いた。

 無事退治が出来た事を、アリスローゼは村人に伝える。フィーは銀糸を見てみたいと笑顔で言い、メリーナは依頼主を呼びに戻り、村で銀糸の買い物に付き合う。
「刺繍ってどんな感じなのかな……初心者にはやっぱり無理?」
 糸を買う依頼主に同行したルラはやはり糸に目を輝かせながら、実にやってみたそうな表情で依頼主に尋ねる。図案を難しくしなければ、少しの練習で出来るようになると思うと依頼主はルラに笑顔で答えてくれた。
 数人の冒険者が銀糸を見ている間。ファナはキラリと目を輝かせてベニトの後をつけていた。ベニトの身に着けたフードつきの上着に白くたなびく布があり、それが気になっていたらしい。隙を見てグイっと引っ張ってみたファナは、その布が首周りにゆるく巻かれていたものだと知る。首が絞まってしまったベニトはしばらくすごい勢いで咳を繰り返していた模様。
 マヒナは大きくため息をつき、今度こそ滞りなくヴェールが完成するだろう事にほっとしたようだ。
 冒険者たちは今回も無事に仕事を終える。冒険者たちの尽力に、依頼主が感謝したのは言うまでもない。6月はもう目の前。花嫁を飾るヴェールにはこれから銀糸で刺繍が施され、より美しいものとなるだろう。依頼主に見送られ、冒険者たちは帰路に着いた。


マスター:月草 紹介ページ
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