≪冥暗天騎士団≫美しく青きダレヌ〜今美しく輝く君〜



<オープニング>


●美しく青きダレヌ
その昔『美しく青きダレヌ』と称された渓流。
 川真珠と呼ばれる淡水性真珠貝から採れる蒼い真珠の取れるその美しい渓流のほとりには、真珠を特産品として栄えた一つの都市国家があったという。その名も渓流にちなみ『ダレヌ王国』。
 だがそんな話も今は昔。そこにあるのは焼け落ちた廃墟と、薄汚れたどぶ川があるだけ。
 大粒のものならば一粒で家が建つとまで言われ川真珠を巡って争いが起き、更に争いによって疲弊したところにモンスターに襲われたのだと伝説は伝える。
 真偽のほどは分からない。ただ、廃墟の側を流れるどぶ川には、一体のモンスターが住み着いている。

 今では、どぶ川こそが自然。
 モンスターこそが主。
 そして、廃墟こそがあるべき姿。
 ここはそんな、忘れられた地……。

●夢見る画家オットー
 ここに一人の男がいる。
 極普通の画家だ。
 年も若く、まだ特別名が売れているわけではなく、食べていくのに苦労はしているが、副業が必要なほどではない。
 そんな駆け出しの画家である彼には夢があった。
「いつの日か、『美しき青きダレヌ』を復活させ、その姿を画布に留めたい」と言う夢が。
 それは彼が画家を目指した原点でもあった。子供の頃、寝物語に聞いた古の町の繁栄と、最後の女王メリーヌと最愛なる『蒼星の騎士・グラハム』の悲恋。
 母に連れられていった美術館で見た『美しき青きダレヌ』の絵画を見たときの感動。
 それらの思いがオットーを画家の道に進ませたと言っても過言ではない。
 そんな彼が辺境の村で、冥暗天騎士団の団長、闇夜の鴉・タカテル(a03876)と知り合ったのは偶然だが、オットーがタカテルにその依頼をしたのはある意味必然と言えた。
「どうか、『美しき青きダレヌ』復活にお力を貸していただけないでしょうかっ」
 聞けばダレヌの廃墟には今も尚『最後の女王メリーヌ』が使用していた『川真珠の冠』と『川真珠のドレス』が隠されているのだという。無論、信じるにはあまりに根拠の薄い噂でしかないが、そんなものがあると考えただけで、なにか心が沸き立つ。
 タカテルは、必死に説得するオットーにニコリを微笑み、簡潔に答えた。
「面白そうですね」

●今美しく輝く君
「と言うわけで、宝探しです」
 ロスロリエン村では珍しく、冥暗天騎士団団長のタカテルが、村にいる団員達を召集し、話をしていた。隣には、最近ロスロリエン村にやってきた画家のオットーが控え、ぺこりと頭を下げている。
「折角ですので二班に分かれ、モンスター退治と宝探しを同時に行いましょう。こちらの皆さんにお願いしたいのは宝探しの方です」
 宝探し。何とも心躍る言葉に、団員達の間にもざわめきが起こる。
「探していただくのは二つ。『川真珠の王冠』と『川真珠のドレス』。どちらも、『最後の女王』メリーヌが纏っていたとされる品です」
 それが、廃墟と化した街『ダレヌ」にあるのだという。眉唾な噂だが、どうやらオットーはその噂を固く信じているようだ。
「ヒントは、女王メリーヌとその恋人グラハムの悲恋を歌った歌にあるそうです。オットーさん」
 タカテルに促され、オットーはつたないながらも慣れた調子でその歌を歌い出す。よほど、小さなころから何度も口ずさんできたのだろう
「『蒼き星の騎士、13の蒼星を翳し愛を誓う。
川真珠の女王は、秘密の愛の言葉を密やかに歌う。
我想い蒼星の輝きが2日巡り大星輝き、4日巡り大星輝き、8日巡り、大星いと輝く時、二人の愛は成就されん』……以上です」
 照れくさそうにそそくさとオットーが下がる中、冒険者達は皆、今聞いた歌を口ずさみ首を傾げていた。
 これだけでは正直分からない。後は現場で調べるしかないのだろう。
「ちなみにできたらオットーさんは、そのドレスと王冠をどなたかに身につけて貰ったその姿を絵に残したいと仰っています。女性の方は立候補して下さい」
 オットーは「よろしくお願いします」と頭を下げる。
「行きましょう、皆さん。私たちの手で伝説の女王の悲恋を成就させるのです」
 タカテルの言葉に、一同は頷いた。

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参加者
彷徨猟兵・ザルフィン(a12274)
雲穿銀華・チハヤ(a19827)
珊瑚礁の歌姫・メルフェイス(a36190)
想いを謳う医術士・スズネ(a36692)
風薫る剣の使い手・ユズ(a50407)

NPC:どこにでもいる少女・ナンシー(a90238)



<リプレイ>

●そこに伝説の面影は無く、
 ここを訪れて、かつての栄光を想像できるモノはいないだろう。
「酷い……」
 長い旅路の末、やっとたどり着いた目的地のあまりに荒涼としたたたずまいに、珊瑚礁の歌姫・メルフェイス(a36190)は小さく唇を噛んだ。
 何処までも続く瓦礫の山。かつては綺麗に舗装されていたであろう、捲れ返った石畳。
 所々で倒れている、白骨死体。
 その瓦礫の多さだけが、辛うじてこの街のかつての繁栄を想像させる。
 そんな廃墟を横目に見ながら、全方位猟兵・ザルフィン(a12274)は呟く。
「んー『美しく青きダレヌ』か。俺はさっぱり知らないんだが、こっちでは有名な話なんかね?」
 一地方でのみ有名な話というのは、無数にあるモノだ。ドラゴンズゲートを使って移動が可能な冒険者には、いまいちピンとこないだろうが、大陸は広く、人は小さく、ノソリンは遅い。
 その街では知らぬ者のない恋歌が、山一つ越えただけで知ってる者が皆無ということは極普通にある。
 荒れた石畳の上を冒険者達は進む。
 乱れた石畳というのは、なまじ舗装されていない荒れ地よりも歩きづらい。
「わっ、と」
「大丈夫ですか、ユズさん」
 飛び出た石畳に足を取られた、風薫る剣の使い手・ユズ(a50407)を、どこにでもいる少女・ナンシー(a90238)が横から支える。
「ありがとう御座います、ナンシーさん」
「いえ、気を付けて進みましょう」
 そんな会話をしながら、空虚な廃墟を進むことしばし、歩きやすさを優先し、大きな道を選んでいった冒険者達は、必然的に街の中央にある、王宮跡にたどり着いた。
 流石に土台がしっかりしているのか、王宮だけはまだ原形をとどめている。雨露ぐらいは凌げそうだ。
「ふーん、結構大きな建物ねぇ」
 少し目を見張るようにして、流れの歌うたい医術士・スズネ(a36692)は、眼前に広がる巨大な廃墟に見入る。
 確かに、古の財宝が隠れているといわれたら、信じられるくらいには雰囲気のある建物だ。
「確かに大きいですね。探索するにも時間がかかりそうですし、手分けして探しましょうか」
 雲穿銀華・チハヤ(a19827)の提案に、一同は少し考えたあとで同意した。さほど危険もなさそうだし、この規模の建物を一カ所に固まって探索したら、今日中には終わらないかも知れない。
 とはいえ、流石に単独行動は危険が大きい。
「では、組分けはこういうことで」
「はい、よろしくお願いします」
「ああ、いいとこなんじゃないか」
 冒険者達は二人一組の三組に別れ行動することとなった。幸いちょうど、前衛が三人に後衛が三人だ。
 組み合わせは、ザルフィンとメルフェイス。チハヤとユズ。そして、ナンシーとスズネの三組だ。
「では、皆さんお気をつけて」
「うん、じゃあねぇ」
「おう、そっちこそな」
 チハヤ、スズネ、ザルフィンは互いにそう声を掛け合う。
 三組に分かれた六人の冒険者は、ゆっくりとした足取りで、廃王宮へと足を踏み入れていく。
 カツンカツンと靴底が石造りの床を叩く音が、廃王宮の奥へと吸い込まれていく。
 三方向に分かれた六つの人影は、程なくして廃王宮の中へとその姿を眩ませていった。

●かつての繁栄を思わせる玉座は、
 三方向に分かれ王宮の中を探索していた六人は、ここ、『玉座の間』にて数刻ぶりの対面を果たしていた。
 互いに信頼はしていても、こうして無事顔を合わせるとホッと安堵のため息が漏れる。
「よう、全員無事のようだな」
「なにか、見つかりましたか?」
 最初に玉座にたどり着いていた、ザルフィンとメルフェイスが、今たどり着いた四人にそう尋ねる。
 チハヤとスズネは、小さく頷くと、
「ええ。ゲストルームや貴族の控え室と思われる所を発見しました」
「探せば何かありそうだけど、今は軽く見てきただけ。歌と符合するような所はなかったと思うわぁ」
 一番遅れてやってきたユズとナンシーも報告する。
「こっちは、騎士団の詰め所があったよ」
「朽ちた武具が散乱していました。探せばまだ使えるモノもあるかも知れませんが。そちらは?」
 問い返したナンシーに、ザルフィンは手にもつブーメランでトントンと肩を叩きながら答えた。
「ああ、女王の私室があった。机の引き出しなんかは鍵がかかっていたから今はそれ以上調べなかったけどな」
 どうやら、どの組も肝心のドレスと王冠にたどり着く手がかりは手に入らなかったようだ。
 しかし、彼らが皆それぞれの場所の調査を途中で切り上げてこの場にやってきたのにも、当然ながらわけがある。
「やはり、この謁見の間にある玉座背後の壁が怪しいですね」
 チハヤの言葉に、一同の視線は、玉座の後ろの壁に向けられた。
 まず目を引くのが真ん中に埋め込まれた特大の青真珠だ。女の握り拳ほどはあろうか。 そしてその周りを円形に取り囲む、一回り小さな青真珠。その数十二。
 全て合わせて、十三の青真珠。
 メルフェイスは鍵となる歌を思い出し口ずさむ。
「『蒼き星の騎士、13の蒼星を翳し愛を誓う。
川真珠の女王は、秘密の愛の言葉を密やかに歌う。
我想い蒼星の輝きが2日巡り大星輝き、4日巡り大星輝き、8日巡り、大星いと輝く時、二人の愛は成就されん』。13の蒼星と十三個の青真珠。符合しますね」
「そうねぇ、私も此処だと思うわ」
「うん、今まで見た中では一番怪しいかな?」
 スズネとユズも参道の意を示し、ゆっくりと玉座の裏に回る。
「うわあ、大きい」
 思わず壁に埋め込まれた真珠を手で撫でる。ひんやりとした冷たく、ツルツルしている。
 冒険者達は、歌の歌詞を思い出しながら、真珠の埋め込まれた壁に手を伸ばす。
「あれ? これは何かな?」
 ふと、ユズは壁の上に突き出ている棒に気がついた。暗い上、材質が後ろの壁と同じなため、間近に寄るまで分からなかったのだ。
 ユズは何の気無しに、棒を手で握る。
「あ、動く」
 棒を掴むと、十三の青真珠の乗った円形の部分が動く。ちょうど、石臼を縦にしたような感じだ。此処に何か秘密があるのは間違いないようだ。
 後はどのように動かすかだ。
「2、4、8……こうかしら」
 メルフェイスは周りの青真珠の埋め込まれた円形部分を時計見立て右に回し、取っ手の部分を二時に合わせる。続いて今度は左にぐるり回し、四時に。最後にもう一度、右に大きく回し、八時に合わせる。
「……駄目ね、違うみたい」
 メルフェイスは肩をすくめる。何の反応ものない。
「ねえ、逆に回したらどうかしら?」
「逆、そうね」
 スズネの声を受け、メルフェイスは一度取っ手を最初の位置に戻すと、今度は左回りに二時、右回りに四時、右回りに八時に動かすが……やはり何の反応もない。
「あら、違うのかしら?」
「あれ、困りましたね」
 同じ事を考えていたチハヤとユズも、困った顔で首を傾げる。十三の青真珠に、回すための取っ手。此処に秘密があるのはまず間違いないと思うのだが。
「どれ、ちょっと良いか」
 その時、それまでずっと側で見ていたザルフィンが、メルフェイスに代わって取っ手に手を伸ばす。
「まず二日だろ……」
 そう言いながら、ザルフィンは取っ手を掴んでグルグルと右に回す。一回、二回、三回、四回。この円盤を時計と見るなら、一回転で半日、二回転で一日。二日なら四回転。
 ちょうど四回回転させ、ザルフィンがポンと軽く中央の大青真珠に手を触れたその時、
「あっ!」
「光りました!」
 真ん中の大きな青真珠が明るく光を放ったのだった。
「よし、次は四日だから八回転か」
 確かな反応にザルフィンはニヤリと笑い、続けてすぐ八回回す。回す方向は、あくまで右だ。「2日巡り、4日巡り」と言っているのだから、時間を進ませる方向、つまり右回りが正しいはずだ。
 その判断の正否はすぐに出た。
 大青真珠の点灯という結果を持って。
「間違いないな、最後は……十六回っと!」
 数え間違えないよう、慎重に「一回、二回……」と声を出しながら、回し続ける。
「十六回ッ、これでどうだ!」
 大青真珠に触れる手にも思わず力が入る。みんなが固唾を呑んで見守る中、大青真珠は一際強い輝きを放った。そして、
「気を付けろ、なにか動くぞっ!」
 重い地鳴り音が響きわたり、玉座がその下の石材ごとゆっくりと横にずれていく。その下には、長く地下に続く階段が。
「凄い……」
「これは本当に、ありそうですね」
 隠し階段の発見に、冒険者達の期待は必然的に高まった。

●女王の願いは時を越えて、
 地下へと続く階段は、予想以上に長かった。深い地の底へと続く道は、すぐに真っ暗闇になる。先頭に立つナンシーと最後尾を守るユズがカンテラを用意していなかったら、もっと難儀していたことだろう。
 長いくらい道階段を下り、たどり着いたそこは予想以上に狭い一つの部屋だった。
 長らく開け放たれたことのない地下室の空気は重くよどんでおり、二つのカンテラに照らし出される室内は、ほとんど何もなかった。
 目に付くモノは、部屋の中央にある一つの棺だけ。他には何もない。
「……どうしよう?」
 途方に暮れように、ユズは皆の顔色をうかがった。手がかりはある。目の前に一つだけある。だが、それは果たして我々が手を出して良いものなのだろうか。躊躇いを感じずにはいられない。
 答えたのはナンシーだった。
「開けましょう。歌を信じるのなら、メリーヌ女王の愛は、このままでは成就されないのですから」
 それは多少強引な理論ではあった。だが、確かにここは安らかに眠るに相応しい場所ではない。
 意を決した冒険者達はゆっくりと棺の蓋を開き、中をカンテラで照らす。
「……うわああ」
 そこには、予想していた者はなかった。そして予想していた物があった。
 川真珠のちりばめられたドレスと、王冠がまるで亡骸の変わりのように、棺の中に納められていた。
 ドレスの布地は、ほとんど白に近い淡い蒼。踝まで隠れるロングのドレスで、胸元は鋭角に、背中は丸く大きく開かれている。袖はなく、腕は肩までむき出しだ。おそらくわざとであろう、使われている川真珠は決して大振りなものは無く、主に左肩口から下に螺旋を描くように無数にちりばめられている。遠めに見れば、まるで輝く星の川をまとったように見えるだろう。
 対して王冠の土台は白金。作り自体が細く、元から女性用に作られたものであることが見て取れる。ひょっとするとダレヌ王国は女系王族だったのかもしれない。こちらに使われている川真珠は十三個。周囲を飾る十二の川真珠と中央鎮座するひときわ大きな川真珠。周りの川真珠でも男の親指ほどもある。形はもちろん真球で、傷も無く色も濃い一品ばかりだ。
「素敵な衣装ね。私にサイズが合うかしら?」
 うっとりとした目でメルフェイスは棺に納められたドレスをみる。
「これが、伝説のドレスと王冠……」
 チハヤがゆっくりとドレスを手に取ったその時だった。突然音を立てて、部屋壁の一角が崩れ落ちる。
「きゃっ!?」
 罠か、一瞬冒険者達の中に緊張が走るが、崩壊はすぐに収まった。どうやら、壁表面に張られていた石材が剥がれ落ちただけだったようだ。
 それにしても、チハヤがドレスを手に取ったタイミングと完全にシンクロしていたのが気になる。
 カンテラを片手にユズは、崩れた壁のほうへと近づく。
「大丈夫みたい……あれ、これなんか書いてある!」
 ユズの発した驚きの声に、一同はすぐに集まり、壁に刻まれた言葉を読んだ。

『いずれ此処にいたる者達が、儚き我が願いを聞き届けてくれること信じ、これを記す。
 死を覚悟した今、ただ一つ心残りは、最愛なる騎士グラハムの所在。
『蒼星の騎士・グラハム』が所持せし『蒼星の剣』を、見つけだしてくれた者に、我がドレス、我が冠を譲る事をこれに誓う。
 メリーヌ』

 そう、記されてあった。署名はメリーヌ。ただのメリーヌだ。女王ではない。王冠をさしだしても願うその願いは、女王ではない一人の女、メリーヌの心なのだろうか。
「メリーヌさん……」
 チハヤは手に取ったドレスをギュッと抱きしめた。
「お預かりしますね」
 そう言って、スズネは王冠を手に取る。
 伝説に謳われる悲恋を目の当たりにし、地下室はしんみりとした空気に支配される。
「やれやれ、どうやらまだ続きがありそうだな、この依頼は。まあ、まずは戻るとするか」
 ザルフィンの言葉に促されるようにして、一同は地上へと続く階段を上っていった。

●決意も新たに帰路につく
「ああ、俺ちょっと寄りたいとこあるんだけど、いいか?」
 長い階段を上り、玉座の間に戻ってきたところでザルフィンがそう切り出した。
 此処に来る途中、個人的な興味をそそられた場所がいくつかあったのだ。それは他の者達も一緒であった。
 ここは手つかずの廃王宮。何があるか分からない。
「分かりました、では各員自由に探索して、夕暮れに門の所に集合、ということにしましょう」
 ナンシーの提案に一同は頷き、各々目的の場所へと散っていった。

 夕暮れ時、黄昏色に染まる廃王宮の門の前に集まった冒険者達の顔は悲喜交々だった。
 手に入れた川真珠のロングネックレスを嬉しそうに首にかけている者。珍しい緑がかった川真珠の埋め込まれた剣を抱くように抱えている者。そして、全くの空手の者。
 とりあえず、これ以上ここにいる理由はなさそうだ。一同はゆっくりと帰路につく。
「そういえば、このドレスと王冠。誰かが着て、オットーさんのモデルになるのよねぇ?」
 帰り道、スズネがふと思い出したように呟いた。
「そうねえ、誰が良いかしら」
 当事者の一人であるはずなのだが、まるで他人事のようにチハヤはそう返す。
 似合うという一事をもって選択すれば、メルフェイスが一番に合いそうな気がするが、伝説で謳われるダレヌ王国は旧同盟領だ。メリーヌ女王はヒトか、エルフか、ストライダーだったのはまず間違いない。
 そうなると、意外なことにこの場には五人も女性がいるのに、基本三種族のものはナンシーとチハヤだけだ。
 美意識を優先させるべきか、史実にこだわるべきか。そんなものは一切気にせず、希望者が着るべきなのは確かなのだが、いかんせん皆謙虚がすぎるのか、互いに譲り合い、「我こそは」と名乗り出るものがいない。
「まあ、その辺は戻ってからゆっくり決めていいんじゃねえか」
 ザルフィンの言葉に女達は「そうですね」と頷き返した。


マスター:赤津詩乃 紹介ページ
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