ケロケロ田んぼ



<オープニング>


●カエル
「とある稲作の盛んな村に、最近カエルが大量発生しているそうです」
 真実求む霊査士・ゼロ(a90250)の言葉に冒険者たちの視線も集まる。場合によっては食糧危機となる可能性もあるのかと不安がよぎった。
「そうですね……まだ稲に大きな被害は出ていないようですが、このまま増え続ければ田んぼがカエルで埋め尽くされて影響が出るかもしれません」
 ゼロの言葉に冒険者達も困ったものだと頷いていた。それからゼロは原因について説明を続けてゆく。
「広い田んぼの中央に巨大なカエルが居座っているようで、そいつは突然変異のカエルなようで……そいつに誘われて普通のカエルが大量に集まっているようですね」
 仲間を集めるだけでなく、突然変異の巨大カエルは周囲に近づく者に攻撃を仕掛けてくるのだそうだ。
「それにより農家の人々は勿論、蛇や鳥、動物などのカエルの天敵も近づけないようです。その影響で稲は荒れ始め、カエルは付近の食物連鎖から外れ始めています」
 自然にも影響を与えられては大変だと冒険者たちもざわめき立つ。
「巨大カエルは普通の大人くらいの大きさで、幾つかの田んぼが並んでいる辺りに居るようです。そこに到達するまでに大量のカエルがひしめいているでしょうし、巨大カエルが粘液を飛ばしてきたり舌を伸ばして攻撃してくるでしょうから気をつけてください」
 幾つかの田んぼなら、『あぜ道』などは無いのかと冒険者たちから質問が出た。ゼロはちょっとだけ首を傾けて……、
「あるにはあるのですが、田んぼもあぜ道も稲もカエルの緑色に埋め尽くされて何処が何処だか分かりません。村人に伺えば大体は分かるかもしれませんが……」
 ともかく巨大カエルを倒せば普通のカエルたちも去ってゆき、自然の流れも元通りになるだろうとゼロは付け加え、冒険者たちに一礼を送るのだった。

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参加者
六風の・ソルトムーン(a00180)
大空の友と歌う・モコモコ(a00538)
白銀の聖女・フィア(a27716)
黒騎士・アルファルド(a31480)
窺天鳥・カシエル(a32061)
蒼き戦乙女・アリア(a37121)
我牙・ベア(a49416)
黒猫・ネイ(a51608)
斎花・リーティア(a65018)



<リプレイ>

●全ては平穏を取り戻す為に
「田植えが終わったばかりなのに、大変なことになっちゃってるんだね〜」
 その村の中で大空の友と歌う・モコモコ(a00538)は村人達と話していた。何でもこの村の水田にカエルが大量発生し、稲の手入れが出来なくなっているのだそうだ。
「カエルがたくさん集まっているなら、鳴き声も相当なもの。村の皆様も憔悴していることでしょう」
 稲でなく人々も心労や迷惑を受けているでは無いかと村人達を見つめ、沈毒花・リーティア(a65018)は呟く。早く何とかしなければと胸中だけで拳を握り締めた。
「村の平和を取り戻すために頑張るね〜」
 窺天鳥・カシエル(a32061)は水田の形を村人から聞いて簡単な図を作成していた。これを元にあぜ道を通ることで、極力稲の被害が出ないようにしようというのである。
「稲への被害は最小限を心掛けますが、それでも落ちてしまう穂がありますこと……申し訳なく思いますの」
 そう言って闇纏の聖女・フィア(a27716)は頭を下げていた。そこに少々不満な視線を向ける者も居たが、何よりも水田が使えるようになることが第一であると納得してくれていた。真摯なフィアの態度に考えを改め、寛大に了解してくれた者も何人か居たという。
「無論、最大限の努力はさせてもらおう」
 それが自分達の務めだからと村人達に告げて六風の・ソルトムーン(a00180)はバサリとマントを翻す。赤銅色の風を纏い進むソルトムーンに続き、冒険者たちは問題の水田へと向かうのだった。

●乗り越えるべきは緑の海
「カエル……正直得意じゃないけど……」
 蒼き戦乙女・アリア(a37121)は自慢の髪を結びながらそう漏らしていた。まだ幾らかの距離があるのではっきりとは見えないが、鮮やかな緑の草むらのように広がっている場所が遠目にも見える。村人達の話からしても、ゲコゲコとカエルの鳴き声も聞こえることからしてもあそこが問題の水田なのだろう。
 各々が服装や足元をチェックして泥やカエルに足を取られないように準備し、モコモコは鎧聖降臨で鎧の質を変化させてゆく。
「うむ、材質等は絹や羽やらを思う浮かべよ、では行くぞ」
 鎧聖降臨は受けた対象がその形状を自由に変化させることができるアビリティである。黒騎士・アルファルド(a31480)は出来るだけ水田での活動を妨げぬようにと伝えながら仲間達にその力を発動させていくのだった。
「少しでも稲を巻き込まないように進んで戦いたいからね〜」
 村で聞いておいた地形を思い出しながら、水田を直に進まないように、あぜ道を進んでゆくように指示するカシエル。自身は弓の射程を利用する為、ソルトムーンと共に今は後方に控えていた。
「踏み潰したらかわいそうやし、滑ってしまいそうやしな」
 カエルを踏まないように炎舞・ベア(a49416)は足を踏み出すのではなく、地面に付けたまま前に押し出すようにして歩みを進めていた。すり足で進むようにとモコモコからも声が上がる。ゲコゲコと鳴きながら掻き分けられたカエルの後には、カシエルの指示通りあぜ道があって泥に足を取られることはほとんど無いようだ。
「ま、侮ってかかるわけにもいかないし、きちんと倒して帰らないと」
 黒猫・ネイ(a51608)はそう言って前を見ていた。その視線の先には水田の中央付近に居座る巨大なカエルが居る。こいつがこのカエル騒動の原因となった突然変異のカエルなのだろう。
 ぶじゅっ!
 しかし接近してくる冒険者たちに気付いたか、巨大カエルは口を開いて粘液塊を吐き出した!
 べたべたした液体がネイにぶつかり絡みつく。何とかネイはマントを脱ごうともがくが、それ自体がべたべたになって外れず上手く動けなくなってしまった。
「油断なく参りますわ……」
 すぐにフィアが毒消しの風を発動させてネイの拘束を解除にかかる。やわらかな風が吹き過ぎて、ネイは何とか粘り気を振り払った。
「踏み込む前に足場を確認しろ、踏み込む際には敵に集中するのだ」
 ソルトムーンはそう言って足を進めて付近のカエルを払い、あぜ道の上に板を置いた。それをぐっと押し込んで動かないようにし、その上に自身の踏み出す足を置く。
 水田の中のように泥では無く、あぜ道を確保することが出来た冒険者たちだったが、そこもカエルが居た為に濡れた草が生えていたり、湿り気を帯びた土があったりする。十分注意するようにとソルトムーンは指示し、自身の弓にウェポン・オーバーロードの力を注ぎ込んでいった。
「さぁ〜いくよ〜」
 言ってカシエルは強弓『Ourania』を引き、影縫いの矢を射出する! 闇色の矢は巨大カエルの影に迫るものの、びょんと飛び跳ねてその一矢は避けられてしまった。
「ええい、歩きにくい。しかし逃がす訳にはいかん」
 ぼやきながらもアルファルドは巨大カエルとの間合いを詰めるべく進んでいた。冒険者たちは取り囲むように四方から接近しており、先程のジャンプで巨大カエルはアルファルドやベアの居る方向に近くなっている。仲間達の位置を確認し、ベアを始めとする冒険者たちは逃げられぬように包囲を狭めていった。
 その際にアルファルドはウェポン・オーバーロードを発動させて武器の威力を強化していた。仲間達にも施していきたい所だが、ウェポン・オーバーロードは自分にしか使用できないアビリティである。仕方ないかと胸中だけで呟いてアルファルドは蛮刀を握り締めるのだった。
「カエルの歌よりも、こっちの方がいいよね」
 モコモコは眠りの歌を奏でて進む仲間達を援護していた。そうして動きの鈍くなったカエルたちを掻き分けて踏み出したリーティアが粘り蜘蛛糸を投げ放つ!
『ゲコッ!』
 ばさりと降り掛かる粘り蜘蛛糸。
「これって、けっこう、バランスが……」 
 動きを縛られた変異カエルの隙を狙い、細いあぜ道から外れないように注意しながらアリアたちは一気に間合いを詰めるべく走り出していた。

「近づくのに苦労した分、思いっきりいかせてもらうぞ!」
 最初に到達したのはアルファルド、ホーリースマッシュを思い切り振り下ろした!
 どっ
 しかし寸前で巨大カエルは粘り蜘蛛糸を振り払って跳び、アルファルドの一撃はあぜ道の土を叩く。
「あんまり調子乗っとると捌いて焼いて食ってまうぞ!」
 だが避けた方にはベアが迫っていた。ヌメるカエルの肌だが手の平を使ってガッチリキャッチし、デンジャラススイングで豪快に投げ飛ばす!
 田んぼは結構な広さがあるので外に放り出すとまでは行かないが、冒険者たちは包囲して迫っているので変異カエルの後方にはネイやアリアが接近していた。
 何とか横に跳んで逃げようとする巨大カエルだが、そこにモコモコから緑の束縛が放たれる! 眼前を掠める無数の木の葉に変異カエルは跳べず、アリアに向き直った。
 しゃっ!
 開いた口から舌が伸び、アリアの体に巻きついて締め上げる。べたつく粘液を纏う舌に触れられてアリアは嫌悪感から背筋に悪寒を感じつつも、何とか逃れようともがく。
「どんな生き物でも、モンスターでも……自然を破壊するものは、倒さなければならないから」
 だがその舌を気の刃が薙ぎ切っていた。飛燕刃を放ったのはリーティア! バランスを崩しながらもアリアは自由を取り戻し、変異カエルは痛みからか大きく仰け反っている。
「そこまで〜」
 その動きをカシエルの影縫いの矢が封じ込める。影縫いの矢はペインヴァイパーのガスと融合し、確かにその影を射抜いていたのだ。
「っ……よくも!」
 アリアが蛮刀を叩き付け、変異カエルが肩口から斬り裂かれる。そこにフィアが魔道書を開き、慈悲の聖槍を解き放った!
「カエルさんには申し訳ございませんが……」
 フィアの放った光槍に貫かれて巨大カエルは倒れゆく。しかし『慈悲』の効果によってその命までは奪われておらず、僅かに身を震わせていた。
「早く帰って一杯やりたい所だわ」
 戦いを終わらせるべくネイは地を蹴り、翔ぶ。螺旋の動きを突き出した太刀『Solid partner』に乗せ、スパイラルジェイドがカエルの体を貫き、裂いた。
「放っておけば被害が出る……悪いわね」
 振り抜いた太刀をきん……と鞘に収め、変異カエルの最後にネイは小さく別れを告げるのだった。

●田んぼに残るは
 それから幾らかのカエルは何処かに去っていったようで、まだ普通の水田よりは多いかもしれないが、普通に手入れが出来る程度までカエル騒ぎは収まったようだった。
「……これで皆さんの食事も無事にございましょう……」
 それから冒険者たちは変異カエルが卵などを残していないかのチェックをする。その合間に稲の様子を確認しつつ、フィアは小さく微笑んでいた。
「あーもう泥だらけ、早く汚れを落としたいわね……わぁ!」
 戦いを終えて気も緩んだのか、アリアが転んで泥に突っ込む。もう最低と泥だらけの顔を上げ、アリアは頬を膨らませるのだった。
「……このカエル、この図体ならば良い肥料になる……か?」
 変異カエルの亡骸は「村外れに埋葬しておこうね〜」と言うカシエルの提案もあって少し離れた場所に埋葬していた。作業を終えて首を傾げるアルファルド。モコモコもごめんよとその場所を見て別れを告げていた。
「あなたは自分でこんな風になった訳じゃなかったのにね」
 村へ報告に戻るその前にリーティアは振り返り、犠牲となった命にそう呟くのだった。

「カエルも可愛いんで好きなんやけどなぁ、限度っちゅうもんがあるワイ」
 村へと戻り報告を終え、ちょっと一服だと息をつくベア。残ったカエルはどうなるのかと声を上げる村人にはソルトムーンが対応していた。
「まぁカエルどもはこのまま一箇所に居ても餌が無くなり飢えるだけであるから、暫くすれば居なくなるよ」
 それも近いうちだと、不安を除くように笑顔で対応するソルトムーンであった。

 こうして水田の平穏を取り戻した冒険者たちはその実りを楽しみに思いつつ、それぞれが帰路に着くのであった。

 (おわり)


マスター:零風堂 紹介ページ
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