≪デウカリオン独立遊撃傭兵部隊≫密林実戦訓練&食材確保作戦開始!



<オープニング>


 ここはカフェ「蘇る大地亭」。
 ある日、ここの若きマスターことライナー・サイデルは真っ赤な帳面を睨みながら一人唸っていた。
「ううむ、団員が増えたのは良いが、食費が馬鹿にならんのう……」
「そりゃあ、腹が減っては戦は出来ないしねぇ……」
 そう言いながらサンドイッチ片手に覗き込んだのはその比較的最近増えた団員であるキィルスであった。絶好調に食費圧迫食事中。
 そう、ここはただのカフェではない。その実体は「デウカリオン独立遊撃傭兵部隊」!! 従業員達はその部隊員! カフェはあくまで仮の姿なのだ! ……多分。
「むぅ……此処は一つ、最近噂になっとる巨大生物でも退治して、ついでに食えるなら食材にしてしまおうかのう……」
「あー、あの森の中の?」
 此処から程近い密林地帯。そこには巨大なアリゲーターと巨大なアナコンダが生息しているという話があった。ちなみに、特に近隣に迷惑も被害もかかってない。森の奥でのほほんと生息しているらしいので、わざわざ入り込まない限り遭遇する事も襲われる事もない。
「……美味いのかなぁ、爬虫類。鳥の味に近いって聞いた事はあるけども……」
「ふむ、待てよ、密林戦か……。ならばアンブッシュ(待ち伏せ)、トラップ、ストーキング(隠密接近)が実践出来るのう」
「……ライナー……?(汗)」
 ぶつぶつ呟くライナーの目の色が次第に変化し出す。ガタンと椅子から立ち上がって、身につけていたエプロンの紐を解きながら奥の部屋に向かい出す。
「よし、ならばもう一つついでに、今までの訓練成果を確認してみるのも良いな。キィルス、皆を呼び集めておけい! かっきり10分後じゃ!!」


 ――かっきり15分後。
 集まった団員達の前にはベレー帽に迷彩服、竹刀にエプロン(え?)身につけ、鬼軍曹にチェンジしたライナーが皆を睨み付けて大声で話しだした。
「よくぞ集まった! 素敵なヒヨッコども!! 今日のおままごとは中止! 代わりにジャングルまで軽くピクニックだ!!」
 ライナーの言葉に顔見合わせる団員達。構わず話続ける鬼軍曹。
「とはいってもただのピクニックではないぞ! ピクニックの途中で、ジャングルに生息している巨大生物2匹と軽く遊ぶからな!! 遊びは鬼ごっこ、かくれんぼ、落とし穴など、何でもありだ!」
「軍曹殿! 質問であります!」
「何だ! 言ってみろ!」
「つまり、実戦訓練と言う事でありますかっ!?」
「まさにその通りっ!」
 竹刀で肩を叩きながら満足そうに頷くライナー。
「同時に赤字脱出食材確保作戦でもあるんだけどな……」
「何か言ったか、キィルス」
「いえ、何も」
 慌てて手を振ってライナーから目を逸らすキィルス。ライナーは竹刀をびしぃっと明後日の方向に翳して叫んだ。
「今まで積んできたおままごとの成果を見事発揮してみせろ!!」

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参加者
薔薇の狂戦士・ライナー(a02455)
双拳閃華・ディアナ(a03077)
黒劒・リエル(a05292)
魔楽師・マルス(a05368)
ストライダーの重騎士・ガイガー(a05795)
ぐったり・パブロフ(a06097)
斬魔刀・ルネ(a06632)

NPC:紅き柘榴の翼剣・キィルス(a90077)



<リプレイ>

●デウカリオン食材調達部隊出動!
「ふふふ……イナバ君やカワムラさんに恨みはないが、わしらも食わねば生きていけぬでな。すまぬが犠牲になってもらうぞ……」
 そう不気味な笑いを浮かべながら言い放ったのは、我らがデウカリオン独立遊撃傭兵部隊の若き鬼軍曹ことエプロン纏いし鬼軍曹・ライナー(a02455)。
 彼を先頭に他隊員8名はジャングルの中をゆっくりと進軍していく。
 ある程度進んだ所で設置されるベースキャンプ……とは言っても移動式カフェの一部を動かしただけの物である為、ものの一時間で設置完了する。
「密林実戦訓練だ♪ ……ふっふっふ……」
 訓練だというのに楽しそうにワクワクとしているグラスランナーの戦闘楽師・マルス(a05368)。笑い声に邪な物を多少感じるが気のせいだろうか。
「流石にジャングルは暑いわ。服装からキチンと対策してきて良かったわね」
 琥珀瞳の獣・リエル(a05292)は軽く額の汗を拭いながら皆の出で立ちを見回す。湿地・密林対策にとブーツや肌の出ない服を着用。此処はジャングル。藪蚊は半端じゃなく、生い茂った葉っぱで怪我をしかねない世界なのだ。朝焼けの刺客・ルネ(a06632)も迷彩柄の外套とヘルメットを準備し、密林戦の準備は整う。
「へへっ、流石にワニとか大蛇をぶん殴ったことはねえな。面白そうだぜ!」
 双拳閃華・ディアナ(a03077)は両拳を合わせて気合い入れる。実に楽しそうだ。
「無事に捕獲して食費分黒字に向かえば言う事なさそうさねぇ……」
「やっぱ食料を確保するのは大変だからなぁ……」
 スコップ肩に担いだ翔る緋紅の剣・キィルス(a90077)の小さな呟きに、ディアナは振り向いてウンウンと頷いた。
 そして彼らはジャングルを歩み出す。目指すは食材ゲットだぜ!

●斥候部隊&罠部隊、状況開始!
「うぁー……ジャングルってメンドくせぇ……」
 進んで10分もしない内にディアナがぼやく。進めど進めど見える物は草木の深い茂みばかり。掻き分けて進むのもなかなか面倒な物である。
 隊列組んで行軍する一行。殿のルネは周囲に注意払いながら、ふと意味深な一言を呟いた。
「ふぅ……密林戦か……思い出すぜ。あの時もこんな訓練をしてたんだ……」
「な、なんだなんだ?」
 目指せ勇者王・ガイガー(a05795)やキィルスは振り向いて彼の話に反応する。他の皆も歩みながら耳を傾けだした。ルネは青ざめた表情で、まるで地獄の底から聞こえてくる様な声で語る。
「そして事件は起こった……密林の奥から現れたんだ。――アフロだよ……どでかいアフロに腰蓑姿の男たちが踊り狂いながら突進して来たんだ……」
「ひぃぃぃっっ!?」
「あれ程恐ろしい思いをしたのは今迄に無いね……」
 何だか訳の解らない昔話ではあるが、内容はともかくその語り口が異様なまでに仲間の恐怖心を煽り混乱を招く。
「え、ええぃ貴様等っ! こんな事で狼狽えるとは何事だぁっ!」
 竹刀振りかざして怒鳴り散らすライナー。そういう彼も狼狽えている。
「妙な話は忘れて、斥候は目標確認に行けぃ! 残りはトラップ設置だ!」
 そんな訳で、斥候が偵察に行く間、残りはトラップの設置を開始した。
 ワニ担当のルネとディアナは敵の大きさに合わせてエッサホイサと捕獲用の落とし穴をスコップで掘り出す。
「穴の大きさはイナバ君の体長に合わせて、幅11m深さは3mくらいかな」
 そう自分の案を述べながら言うルネ。
 だが、短時間でそんなデカイ穴、掘れるのか。
 ……否、ちょっとどころじゃなく無理な気がする。
 その横でマルスは落とし穴周囲の草を結んで罠を作り、落とし穴の横に更に落とし穴を掘ろうとしている。
『躓く→落とし穴を何とか回避→その先に更に落とし穴→捕獲』
 こんなコンボを決めたいらしい。果たして上手く行くのか解らないが、その辺の木の枝を削って作った槍を底に仕掛けておくなど、中に色々仕掛けておく。
「♪〜」
「今度は何仕掛けてるさよ?」
 楽しそうに新たな作業に着手するマルスにキィルスは首傾げて尋ねる。
「落ち物トラップだよ。木の上に色々積んで糸を繋いで地面すれすれに張って糸を引っ張ると物が落ちる仕掛け♪ 落ちてくる物は木の枝から石つぶて、金ダライ、果てには大木が倒れてくる♪」
「すげぇ……流石傭兵部隊、器用なモンさね」
「でも、時々ハズレで只単に糸を張っただけの足払いや、刃物や食料が、果てには僕が落ちてくるのも有るの♪」
「をい」
 敵だけでなく味方にも酷く危険っぽい罠果たして無事に帰還出来るのか。
 さて、斥候として偵察に出向いたエルフの牙狩人・パブロフ(a06097)は地面を注意深く観察しながらワニと蛇の居場所の特定に勤しんでいた。
「やっぱり両生類や爬虫類には純粋な意味での『足跡』を見つけるのは難しいね」
 それでも、動く時に地面を引きづった跡は残る物。ガイガーと一緒に慎重に探し、生息地を徐々に限定していく。
「僕だって幼い頃から伊達に狩人をやってきたわけじゃないさ。必ず見つけてあげるよ……ふふ」
 しばらくして。斥候の二人が本体に合流する。どうやら目標を発見したらしい。
「それでは、これより二隊に分かれて食材確保に向け、作戦を展開する! 行けぃ、ひよっ子共よ!」
 ライナーの号令に合わせて、作戦行動が開始された!

●カワムラさん捕獲部隊
 大蛇・カワムラさん担当の4人はゆっくりひっそりとそれが住んでいる大樹の傍に近づいていた。
「息を殺して、蟻のように密やかに……」
 リエルは慎重に近づくように皆に促す。パブロフはそっとガイガーに囁く。
「それでは、トラップはあちらに準備してあるから、宜しく頼むよ」
 そう言って彼は音も立てずに向こうに消える。ガイガーはさて、と言いながら進み出る。
「ここはやっぱり鬼ごっこだな!」
 パブロフの仕掛けた罠まで逃げながら誘き出す作戦。目立つように蛇の視界に自ら入っていくと、ガイガーは蛇に向けて大きな声で悪口やら馬鹿にした言葉をジェスチャー交えて投げかける。
『……シャーッ!!』
 言葉が通じた訳ではないだろうが、馬鹿にされた事は解ったのか。いきり立った蛇は牙向いて樹上からガイガーに向けて襲いかかる。
「ガイガー、左に!」
 動物知識を踏まえて警戒、奇襲に注意していたリエルはガイガーに叫ぶ。彼女の声に彼も素早く反応して避けると、攻撃を外した蛇に向けてニヤッと笑いながら手招きをしてから走り出す。
 ズザザザザ……!
 蛇も巨体を引きずってガイガーを追う。だが、少しして蛇は彼を見失う。辺り見渡す蛇。そこに――
 ズドドド!
 パブロフが罠を発動させた! 樹上に仕掛けられた大きな石や削り込んだ木が雨アラレとカワムラさんの上に降り注ぐ!
 細長い体躯を持つ蛇とは言え、これは一溜まりもなく。身体中に石をぶつけ、木が鱗を傷つける。
「トラップ成功! 畳みかけるよ!」
 樹上のパブロフの叫びに応じるように、隠れていたガイガーにリエル、エルフの武人・レティシア(a04033)が一斉に蛇に向かう。
 先頭に立ったガイガーが仲間を巻き込まないように確認してから砂礫陣を放ち、レティシアは怯んだ蛇の後ろから回り込んで居合い斬りを放ち、すぐに身を引いて振り回される尻尾から逃れる。
 その間もリエルはチェインシュートを放って牽制し、巻き付いてこようとする蛇の動きを見ながら電刃衝を叩き込む。そして続けて放たれたパブロフの影縫いの矢に、蛇は動きを一瞬止めた!
「今よ!」「今だな!」
 その隙を見逃さず。リエルは蛇の喉元狙って刃を叩き込み、ガイガーは蛇の頭頂目掛けて兜割り奥義を叩き込んだ!
 ズゴォッ!!
 その一撃は致命傷を与え、蛇は頭から左右対称に真っ二つに割れて地面に崩れ落ちた。
「よぉし、大蛇げっと!」
「さて、向こうは首尾良く行ったかな?」

●イナバ君捕獲部隊
 向こう、つまりは巨大ワニ・イナバ君捕獲部隊。
 ワニが生息する沼にそっと近づく一行。
 沼から呑気に顔を出すワニの姿を確認し、まずは様子見に遠くからマルスが獣達の歌で声をかけてみる。
「♪こんにちわ、こんにちわ、イナバさん……お元気ですか、最近どう?」
 世間話かい。
「ぐがぁ、ぐがぐが(どこのどいつだか解らねぇが、俺様も年でな。メシにありつくのも一苦労だぜ)」
「♪……そっか……最近は僕たち若者も大変なんだよ……」
「まぁ、確かに俺等も食材確保に大変さよね……」
 その会話の内容を聞いたキィルスは思わず苦笑い浮かべた。そして今度は囮役のルネが茂みから姿見せてイナバ君の見える場所から獣達の歌で罵詈雑言を浴びせかける。
「♪〜〜(注:激しく酷い悪口が飛んでいると御察し下さい)」
「……キシャーーッッッ!!!」
 怒り狂ったイナバ君、物凄い勢いでルネの事を追いかけ出す。だがルネは樹木の間をすり抜ける様に適度な間隔を保ちつつジグザグに逃走。その間、他の面子は隠れて見学しつつ罠の近くへ待機しに行く。
 逃げる事数分。ルネは突然跳躍し、木の枝に手をかけて飛び乗る。そのまま追うイナバ君。そして……
 ずぼおぉぉっっ!!
 穴に落ちたイナバ君。そんなに大きくない穴ではあるが、その巨体は足を取られてしまってはそうそう身動き取れる物ではない。
「オラオラ! 喰らいやがれ!」
 れっつタコ殴り。ディアナは一気にワニに詰め寄ると、破鎧掌中心に周りを動き回りながらボコボコに殴り出す。
 ルネも連撃蹴を叩き込み、マルスも上からワニの口を攻撃して槍で地面に縫いつけ、開かないように押さえつけてやる。
 そして何か尻尾を叩き付けられて伸びているキィルスがいたが、軍曹の手厚い看護が待っていた。
「ええぃだらしのない。気合いだ! 心頭滅却すれば何とやら! 痛みも快感に変えて行けぃ!」
 ビシバシビシィっ!
「ひぃああっ!?」
 唸る竹刀。これぞ精神論振りかざす『軍曹的看護』という奴であろう。合掌。
 さて、3人がかりで殴られ続けたイナバ君。いくら巨体でも鱗が丈夫でも弱って動きが鈍ってきた。そこでディアナは尻尾を引っ掴んで思い切り振り回し、ブン投げる!
「うぉぉぉぉおおお! 飛んできやがれー!!」
 ひゅぅぅぅぅ………ずべしゃっ!!
 ディアナの見事なジャイアントスイングに飛ばされたイナバ君、大きな木の幹に思い切り叩き付けられ、血反吐吐いてそのままズルズルと地面に崩れ落ちた。
「終わった? 倒した?」
 マルスとキィルスは動かなくなったワニをつついて絶命している事を確認。そこに、蛇を倒したもう一団がやってきて互いの作戦が成功した事を喜び合う一同であった。

●そして食材調理
「ワニって食べられるんでしょうか……?」
 確保したワニと蛇が運ばれるのを見ながら、レティシアが首傾げて誰ともなく問うた。
「そういや鰐肉とか蛇肉って鶏肉みたいな味がするって聞いたけどホントなのかな?」
 ディアナも同じく首傾げる。
「ま、食ってみたら違うも解るだろう? 腹壊す物でも毒でも無いからな」
 ガイガーが爽やかにそう言うとそれもそうだと皆頷いた。
 ベースキャンプに食材を持ってきた一行。早速リエルは持参した愛用の万能ナイフを使ってさくさくと捌きだした。
「僕が君を食べて 君が僕の血肉になって それはなんて嬉しいこと……♪」
 血抜き・皮剥ぎ・切り分けと歌いながら手際良く、ワニと蛇は料理へと変わっていく。
「ワニは鶏肉と同じ料理を、蛇は煮込み料理にすると良いじゃろうな」
 同じく調理しながらライナーは捌かれた肉を塩胡椒しながら串に刺していく。
 やがてリエル作の蛇の蒲焼やライナー作のワニの串焼き・蛇の煮込みなどが移動式カフェのテーブルに並んでいく。
「運動したら腹減った……。ぶっ倒れるまで食ってやるぜ!」
 いただきまーす、と戦いに消耗した皆は恐ろしい勢いで出された料理を食しだし、あっという間に平らげた。
「残りは持ち帰って……これでしばらく持つかのう」
 しみじみと言うライナー。これで赤い帳面からしばらくオサラバか。
「持ち帰るって……もう三分の一ほど食っちまったみたいだけど」
「なんじゃとぉぉっっ!!??」
 キィルスの冷静なツッコミに目を丸くするライナー。傭兵部隊員の胃は底無しであったらしい。

 結局。苦労して手に入れた食材も3日ほどで食い尽くし、赤字脱出には至らなかったそうな。ちゃんちゃん。


マスター:天宮朱那 紹介ページ
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作成日:2004/05/08
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