【祝福を届けよう】祝福のヴェール



<オープニング>


「今回は、モンスター、退治する、冒険者、募集」
 烏珠の霊査士・モニク(a90270)は冒険者たちに向けてそう言った後、純朴な藍黒月・ベニト(a90052)へちらりと視線を向けた。
「先日、銀糸を、作る、村の、モンスター退治を、依頼した、娘から、また、依頼。結婚式を、する、場所の近く、5mちかい、巨大な、ナメクジが、出た、そうだ。周りの物を、溶かして、進んでいる、らしい。それを、退治して、欲しいと、依頼が、来た」
 モニクはそこまで言って、一度言葉を止める。

「巨大ナメクジは、溶かす液を、全身から、出しながら、進む。周囲に、残った液は、すぐに、溶けなくなる、ようだ。攻撃を、受けると、溶液を、飛ばす。溶液は、魔炎に似た、効果がある。ナメクジの、いる場所は、結婚式の、会場に、向かえば、すぐに、わかる、だろう」
 モニクは軽く首を傾げ、冒険者たちにさらりと言う。
「キミたちはこの仕事、するかい?」
 説明出来る事は全てしたと判断したらしいモニクは、面倒くさそうにも見える表情を変えずにそう言った。

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参加者
蒼の閃剣・シュウ(a00014)
うっかり医師・フィー(a05298)
晴天陽光・メリーナ(a10320)
天皎・ルーシェン(a16220)
月夜に舞い降る銀羽・エルス(a30781)
世界樹・ユグドラシル(a34640)
騎士人形・レベッカ(a47078)
繊月・マヒナ(a48535)
ヒトリの武人・ナツルォ(a61049)
闇の熾火・アリスローゼ(a63400)
NPC:純朴な藍黒月・ベニト(a90052)



<リプレイ>

●下準備?
「やっと結婚式か」
 ヒトリの武人・ナツルォ(a61049)はそう言って笑みを浮かべる。慶事を祝うのはもちろんだが、冒険者たちの元へ伝えられた仕事はいわゆる巨大ナメクジの退治である。見た目……というより生理的な面で強敵と思われた。もちろんこれはナツルォにとっても、である。
「ナメクジ、かぁ……」
 晴天陽光・メリーナ(a10320)は小さくこっそりとため息をつく。倒さなければならない敵だと言う事実は重々承知している。ただまぁ、あえて言うなら生理的嫌悪とか、そう言う物とは別問題と言うわけだ。もう少し戦いやすい相手ならと、再び小さく息を吐くメリーナ。けれど、結婚式は目前。つまるところこれが手伝える最後の事なのだ。
「しっかり成功させて、幸せをお届けするのです」
 ぐっと拳を握ったメリーナは天を振り仰ぎ、やる気に満ちた表情できっぱり言った。

「ナメクジを退治して、結婚式場を守るのですね〜。素敵結婚式を挙げる為にがんばるですよ〜。服が溶ける男性陣も要チェックなのです〜」
 うきうきと色々楽しそうにそう言ってメモを取りつつ、うっかり医師・フィー(a05298)は塩やマント、それに布の用意をしていた。頬を染めて満面笑顔な辺り、間違いなくなんらかの楽しい想像……と言うよりも妄想にフィーの意識は向かっている様子。ついでにカエル柄のフードを用意していたりする。
「これでナメクジに負けない事、間違いなしです〜♪」
 嬉しそうにそう言い切ったフィーは、用意していたそのカエル柄フードをベニトにかぶせた。
「しかし結婚式目前にナメクジ出現ってちょっと悲しさを覚えるのぅ……。可愛そうに花嫁さん……」
 思わず呟く闇翳る月明・ルーシェン(a16220)。ルーシェンの言葉に晦冥なる月・マヒナ(a48535)は強く頷く。巨大ナメクジなぞしっかり倒して、完成したヴェールと幸せそうな花嫁さんを見たいと、マヒナはやる気満々だ。
 明るく言い切るフィーの声や、ルーシェンの呟きを耳にした月夜に舞い降る銀羽・エルス(a30781)は徐々に顔色を悪くしていく。どうやら、ナメクジはあまりお好みではないようだ。
「……ぬるぬるうにょうにょのあれですか……」
「……」
 そう呟きながら、巨大ナメクジを想像してエルスは身体をぶるりと震わせた。そんなエルスの隣では闇の熾火・アリスローゼ(a63400)が絶句している。巨大サイズのナメクジを想像し、声も出ないと言うのが正解のようだ。見たくもない敵ではあるが、これまで依頼主が準備してきた過程を知ると、やはり式を成功させてあげたいと強く思う。気持ちのいい見栄えでない敵が相手だと言う事実は、この際認めるしかなかろう。

「ナメクジには塩なぁ〜んっ!」
 嬉しそうな笑顔を浮かべ、懐から塩の入った布袋を取り出す世界樹・ユグドラシル(a34640)。効果音が聞こえてきそうな勢いである。とは言え、塩を直接かける事で巨大ナメクジに大暴れされては問題が出るだろうと言う事で、誘導にのみ使おうとユグドラシルは他の冒険者たちに言う。
「塩かけたら縮む……も、もしかしてナメクジは元々皆でかい……?!」
 ぎょっとしながら呟くエルス。ナメクジが元々大きかったら、日常生活の中で目に付かないわけがない。はっきりきっぱりエルスの勘違いなわけだが、人は嫌いなものについてほど嫌な考えになりやすい。そんなわけでエルスもやっぱり、嫌な考えにしっかり取り付かれている様子。
「依頼成功の為とは言え、敵を選べないのが辛い所ですね……」
 騎士人形・レベッカ(a47078)はそんな事を呟きながら、遠くを見つめる。これまであたった事のある敵の見目が比較的よかった為、嬉しくない気分でいるようだ。

「この時期これは辛いのぅ……」
 厚手のマントを羽織ってみたルーシェンは呟く。初夏も過ぎ、そろそろ本格的に暑くなり始めるこの時期に厚手のマントは確かに暑い。とは言え、巨大ナメクジの溶液を少しでも受けずにすめばそれに越した事はない。ルーシェンは現場で再びマントを羽織る事にして、とりあえずマントを外して塩の準備に取り掛かった。

●巨大ナメクジ発見!
「ナメクジは塩で溶ける……と言うが、アレは駄目か……」
 そう呟いたルーシェンの視線の先には、敵対予定の巨大ナメクジの姿がある。アリスローゼもやはり、同様に塩は効くだろうかと首をかしげていた。
「……塩かけたら縮むのかな? アレ」
 蒼の閃剣・シュウ(a00014)もやはり、ルーシェンやアリスローゼと同じく巨大ナメクジへ視線を向け、隣にいたベニトに尋ねる。
「……溶けるなら、冒険者に頼まないで……村人が、溶かしたのでは……?」
 聞かれたベニトはシュウに対し、首を傾げて逆に疑問を返す。
 溶けるだけの量の塩を集めれば、なんらかの問題が起きるか、塩では溶けないかのどちらかだろう。そうでなければ冒険者に頼む意味がないと思われる。と言うか、5mを干からびさせるのは無理があるのではと首を傾げるレベッカは幾人かの冒険者のように塩の準備は行っていない。巨大ナメクジの誘導については他の冒険者に任せる事にして、戦闘に集中するつもりでいるようだ。
 式場へ向かった冒険者たちは、時をおかず目的の巨大ナメクジを視界に捕らえた。大きさが大きさだけに、かなり目立ったようだ。巨大ナメクジは身体をぬらぬらとてからせながら、前へ前へと進んで行く。巨大ナメクジが通り過ぎた道筋には、それまであったはずの草が消えて地面が露出し、その上に通った証のように光る這いあとが記されていた。

「ベニトは拙者とシュウと一緒に前衛の生贄役なぁ〜ん♪」
 満面笑顔で言い切るユグドラシル。なにせ今回、この場に男性陣は全部で3名。残る女性陣に囮をさせて、着ている物が溶かされるような事があってはまずかろうと言う配慮らしい。
「多少フードが溶けても大丈夫なぁ〜ん。涼しくなっていいかもなぁ〜ん♪」
 笑顔のまま言い続けるユグドラシル。言われたベニトはぶるぶるしながら、覚悟を決めたんだか決めてないんだか。ともあれ、顔面蒼白である。
 で。まぁ、男性陣に期待とか言ってた女性陣の1人、ルーシェンは今回いる冒険者の中で一番第体力のないベニトを前に出すのはさすがにまずいと思ったようだ。更に巨大ナメクジとの直接対決は男性陣に任せようと思っていたナツルォは、ぶるぶるしているベニトを見て、なんとなくかわいそうに思い始めたようだ。筋肉は薄いし、更に言えば幸薄そうだしとひっそり涙を禁じえなかった様子。
「……と、言うのは冗談で、ベニトは後ろでひっそりデモニックとか使っててなぁ〜ん」
 ルーシェンが止める前に、けろりとユグドラシルが言う。緊張の糸が切れたせいか、ぐにゃりと崩れたベニトだが、すぐに気を取り直して立ち上がった。
「めでたい式に、こんなでっけーナメクジを目撃したんじゃ、とんだマリッジ・ブルーだし。さっさと誘導して退治しちゃいましょーかねー」
 肩をすくめてシュウが言う。シュウの言葉に同意の頷きを返し、塩を用意した冒険者たちは巨大ナメクジの向かう方向を誘導するべく塩をまき始めた。もちろん、巨大ナメクジとの戦闘によさそうな場所は村人に尋ねてある。もちろん、彼ら自身の目でも確認し、問題ないと判断しての誘導行動だ。冒険者たちは巨大ナメクジが式場へ向かうコースに塩をまき、巨大ナメクジが式場へ直接向かわないように行く手を阻み、その上で戦闘しやすい場所へ向かわせるようにしている。
「ナメは〜他所、福は〜うちぃ♪ ってな」
 ナツルォはそんな呟きを漏らしながら、道に塩を撒く。
 そうこうしている内に、巨大ナメクジは冒険者たちのまいた塩の辺りまでやって来たが、方向を変える様子は見受けられない。塩まきをそこそこに切り上げ、黒炎覚醒を使ったシュウはそんな巨大ナメクジの向かう先を変更させるべく、緑の突風を使って吹き飛ばした。吹き飛ばされた巨大ナメクジは、攻撃されたと判断したようで、周辺へ溶液を飛ばし始めた。

●退治
 溶液を飛ばす巨大ナメクジに対し、シュウはスーパースポットライトを使い、その注目を集める。巨大ナメクジが飛ばしてくる溶液は出来るだけ避けつつ、既に数人の冒険者たちが待機している戦闘に適した場所へ向かわせるべく、シュウは巨大ナメクジを引き付けながら移動を続けた。
「……普通でも気持ち悪いのに、アレだけ巨大だとなお……」
 続きを口に出すのもはばかられるのか、途中で言葉を切ったルーシェンは厚手のマントを羽織って、巨大ナメクジへ視線を向ける。巨大ナメクジを引きつけ誘導するシュウの援護をすべく、ルーシェンも黒炎覚醒を使用した上で時折緑の突風を使って吹き飛ばし、式場から遠ざけていった。

 誘導にとても時間がかかるのではないかと思っていたアリスローゼは、思っていたよりは早く巨大ナメクジが誘導されてきたのを確認し、ウェポン・オーバーロードを使う。レベッカとマヒナはその場で待機していた冒険者たちへ手分けして鎧聖降臨を使い、各自の防御力を引き上げる。
 待機していた冒険者たちが戦闘準備を整え始めた頃、巨大ナメクジを誘導していた冒険者たちの方もやはり、本格的な戦闘に備えて準備を開始していた。ユグドラシルによって鎧聖降臨がかけられ、効果が切れてきた黒炎覚醒やウェポン・オーバーロードの類を各自がかけなおす。
「深遠の業炎よ、我が身を喰い、刃となれ!」
 エルスは黒炎覚醒を使いながら、そんな言葉を口にする。ルーシェンは羽織っていたマントの状態を確認し、再び肩にかけなおした。
 黒炎覚醒を使ったフィーは巨大ナメクジの攻撃を何度か受けていたシュウを回復するべく、ヒーリングウェーブを使う。メリーナはフィーの行動を確認し、緑の束縛を使い、巨大ナメクジの動きを押さえ込んだ。

「服など飾りだ! 男なら飾りじゃない筋肉で勝負しろーッ」
 ナツルォはそう言いながら、グランスティードにまたがり、巨大ナメクジへ斧を振るう。ぱっと見男性に見えがちなナツルォだが、これでもれっきとした女性である。多分その辺の事……特に本人の今回の発言は気にしちゃいけないお約束と言うところなのだろう。
「てめぇ、人様の幸せの邪魔すんじゃねぇよ!」
 アリスローゼはそう叫びながら、電刃衝を使って巨大ナメクジを攻撃する。いろんな意味で性格が変わっているようだが、これもやっぱり気にしちゃいけないお約束。
「とりあえず、どんどん燃やしてみましょうか」
 レベッカはそう言いながら、黒炎覚醒により、ブラックフレイムと化した通常の攻撃を放つ。その攻撃には、レベッカのキルドレッドブルーによる魔炎と魔氷も当然ながら付与されている。
「……やはりこう言う時、男性は役に立つのぅ」
 うむうむと頷きながら、ルーシェンは紋章筆記によって強化されたエンブレムノヴァを放つ。一部男性ではないものは混ざっているのは見なかった事にしたようだ。
 ユグドラシルはホーリースマッシュを使い、巨大ナメクジを攻撃した。
「いや〜んなぁ〜ん!」
 ちょっとうっかり服の一部が溶け、ユグドラシルが声を上げる。
「二人の幸せを邪魔するのは絶対に許さないんだから……!」
 メリーナはそう言いながら、回復の手が開いたタイミングで黒炎覚醒によってブラックフレイム化した通常攻撃を放つ。そんなメリーナはさておき、一部女性陣、ユグドラシルの声に恥じらいからか目を覆ったり顔をそむけたものもいたりするわけだが……。
「ほら! そこの女子群! ガン見してないで援護する! え・ん・ごっ!」
 やっぱり一部服が溶けていたりするシュウの叱責が飛ぶ。一部の冒険者であれ手が止まれば当然、その分苦戦するのが目に見えているわけで、そんな注意が飛ぶのもまぁ当たり前と言えば当たり前。そんなシュウは注意の声を上げつつも、黒炎覚醒によってブラックフレイム化した通常攻撃をしっかり巨大ナメクジへ放ち続けている。
 戦闘に集中しているマヒナはライトニングアローを放ち、巨大ナメクジを攻撃していた。キルドレッドブルーレッドブルーの影響による魔氷や、緑の束縛により、動きを何度も押さえ込まれた巨大ナメクジは溶液をそれほど多く飛ばす事が出来ず、その間にも冒険者たちは攻撃を繰り返し、さほど苦戦する事もなく、無事に倒す事が出来た。この際、敵は巨大ナメクジよりもうっかり服を解かされた男性陣がさらされた女性陣の視線の中にあった気がしなくもない。
 戦闘が終わった後で、服が解けた男性冒険者の様子をやっぱり顔を覆ったその隙からこっそりとうかがう女性冒険者や、治療の後でしっかりガッツリ眺め、更になにやら謎メモを取る女性冒険者やら、用意しておいたマントを渡していいものか非常に悩む女性冒険者の姿を見る事が出来た模様。
「ナマモノ相手は毎度毎度大変です」
 そう呟くと、やれやれと言わんばかりに息を吐くシュウ。ともあれ冒険者たち、戦闘終了後の後始末をさっさとすませた。

 そして翌日。
「お嬢様、お兄さんの結婚式、ちゃんと出来そうでよかったでござるなぁ〜ん♪」
 ユグドラシルは依頼主の姿を見つけ、笑顔でそう声をかけた。その後で、またなにか困った事があればいつでも頼ってなぁ〜んと続ける。そう声をかけられた依頼主は笑顔でなにかあったらまたお願いねと頷く。
 式を挙げる2人の幸せな様子を見て、ナツルォは満足そうな笑みを浮かべる。
「この日の為にがんばってきたのだもの、幸せになってもらわなくちゃね」
 わが身の事のように嬉しそうな笑みを見せるメリーナ。ルーシェンは末永くお幸せにと声をかける。式を見てみたいと思っていたエルスは嬉しそうな表情を浮かべていた。
「あんな風になったんだね」
 依頼主が式までにとがんばって用意した花嫁のヴェールを見て、アリスローゼは感心の声をあげる。虹色に輝く白いヴェールには銀糸で細かな刺繍が入り、所々に白銀のパールがちりばめられていた。
 マヒナは式の幸せそうな様子を見た後で、空を仰ぎ見る。口には出さないけれど、今はもういない仲間に、命をかけて大陸を護ったから挙げられている式なぁ〜んとマヒナは胸の内で話しかけていた。
「あー俺ももう一度、ウェディングドレス姿が見たいなー、見たいよなー」
 妻の顔を思い浮かべ、思わず呟くシュウ。花嫁の幸せそうな顔を見て、もう一度そんな妻の姿を見たいと思ったようだ。
 ちなみにブーケトスに参加した女性冒険者の数は3名ほど。苦戦した結果、通常のブーケを1名が手にし、お色直しの際に使ったブーケを2つにわけた物を花嫁が好意で用意してくれ、結果3人とも花嫁の幸せをおすそ分けしてもらえた模様。
 こうして冒険者たちは無事に仕事を終え、幸せそうな挙式にも参列し、その後で帰路に着いた。


マスター:月草 紹介ページ
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参加者:10人
作成日:2007/07/12
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冒険結果:成功!
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