キノコドン



<オープニング>


●キノコドン
 チキンレッグ領の辺境で、キノコのモンスターが確認された。
 このモンスターは辺りにある物を取り込んで鎧代わりにしたりするだけでなく、冒険者達に対して取り込んだものを飛ばして攻撃を仕掛けてくる。
 しかも、物を取り込んでいる間は、防御力が非常に高いので退治する事が難しい。
 そのため、誰かが何も無い荒地まで、モンスターを誘導する必要がある。
 そうしなければ辺りにある物を取り込むため、ダメージを与える事が出来ないからな。
 このモンスターは現在、チキンレッグの村をねぐらにしており、多くの村人達が避難する事が出来ず息を殺して納屋に隠れているようだ。
 いまのところモンスターに気づかれていないようだが、早くしないと敵に見つかってしまう可能性が高い。
 チキンレッグの村人達が犠牲になる前に、モンスターを退治して欲しいんだ。

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参加者
黒兎は密かに哂う・ウヅキ(a03612)
快傑ズガット・マサカズ(a04969)
炎熱の賭博師・ジョーラム(a05559)
殲姫・アリシア(a13284)
銀の剣・ヨハン(a21564)
言いくるめのペ天使・ヨウリ(a45541)
赤眼の優男・アーバイン(a50638)
ゴロゴロ・サーディーン(a57418)
バナナん王子・ロア(a59124)
蒼紅の焔・ラキ(a61436)
高機動爆撃騎・ミーヤ(a63081)
正面突破型・ストルモサ(a63322)
NPC:ガリーボーイ・トガリ(a90058)



<リプレイ>

●誘導班
「ザウス神の脅威が去ってチキンレッグ領の復興もこれから……。モンスターになんて負けられません。そのための冒険者ですからね。……必ず救い出しましょう」
 事前にキノコドンを誘導する方向を確認しておき、銀の剣・ヨハン(a21564)がなるべく音を立てないようにして村にむかう。
 キノコドンの現れた村は異様な緊張に包まれており、殆どの建物が壊されて瓦礫の山と化している。
「……モンスター相手の依頼は……どちらが正しいと悩まずに済むから……多少、気が楽です。……でも……まったく楽……というわけじゃありませんが……」
 避難する事が出来ずに取り残された村人がいる事を知り、黒兎は密かに哂う・ウヅキ(a03612)が深い溜息を漏らす。
 村に取り残されたチキンレッグの大半が商人である事から、自分の財産を持っていこうとして逃げ遅れたのかも知れない。
「どちらにしても、気を引き締めていかねばなりませんね」
 泥や草木を擦り込んで体臭を消しておき、赤眼の優男・アーバイン(a50638)が瓦礫の山に身を隠して遠眼鏡を覗き込む。
 キノコドンは鼻をヒクヒクとさせていたが、アーバイン達を見つける事は出来ないようだ。
「村の人達がいるのは……、確か納屋の中ですよね……」
 警戒した様子で納屋に近づき、ガリーボーイ・トガリ(a90058)が扉をノックする。
 しかし、何度ドアをノックしても、村人達が顔を出す事はない。
「もしかすると、モンスターと勘違いされているのかも知れませんね」
 聞き耳を立てて納屋の中に人がいる事を確認し、アーバインが険しい表情を浮かべて口を開く。
 大声を出した途端に襲われると思っているためか、室内からコソコソと話し声が聞こえてきた。
「お待たせしました、皆さんもう大丈夫ですよ」
 なるべく村人達を驚かせないようにしながら、ヨハンが優しくドアをノックして話しかける。
 そのため、村人のひとりが恐る恐る顔を出し、怯えた様子で『殺されるぞ』と呟いた。
「……安心して……ください。……他の冒険者達が……敵を引きつけています。……彼らは仮面ラルフー並に強いので……あなた達に危害は及びません」
 仮面ラルフーのネームバリューを理由し、ウヅキが村人達の説得を試みる。
 しかし、仮面ラルフーの公演が無くなってからしばらく経つため、村人達は怪訝な表情を浮かべてウヅキを睨む。
「あ、あの……、ラルフさんって知ってますよね? ほら、大作戦にも参加した事のあるチキンレッグの勇者です。噂くらいは……知ってますよね?」
 申し訳無さそうな表情を浮かべ、トガリが慌ててフォローを入れる。
 そのため、村人達も何となくトガリ達の事を信じ、村から避難する事に合意した。
「頑張ったので……ご褒美を上げないと……いけませんね……先月18歳になったから……色々できるようになりました」
 恥ずかしそうに頬を染め、ウヅキがトガリに迫っていく。
 それと同時にキノコドンの咆哮が聞こえたため、一瞬にして仲間達の間に緊張が走る。
「これじゃ、どこでもフワリンを使った避難は不可能ですね」
 キノコドンが襲ってきた場合、フワリンが消えてしまうため、アーバインが村人達の避難を急ぐ。
 それでも村人達は頻繁に後ろを向いていたが、命が惜しいのでアーバイン達についていった。
「いま仲間がモンスターを退治しますからね。すぐ村に戻れますよ」
 村人達に言い聞かせるようにしながら、ヨハンが避難用のテントにむかう。
 このまま戦闘に加わる事が出来ないので歯痒いが、村人達を避難させるまで安心する事は出来ない。

●誘導班
「……キノコか。俺様のキノコの方が大……って、どうして俺にモザイクが掛かる! いや、目張りをしても駄目だから! ぜ、前回のボディペインティングでいた男達はいないよな、うん」
 最近、疲れているのか様々な幻を見つつ、炎熱の賭博師・ジョーラム(a05559)が気まずい様子で汗を流す。
 キノコドンは瓦礫の山を掴んで口に放り込み、自分の身体を鎧のように固めている。
「まだ被害が出ていないのは不幸中の幸いと言った所ですね。このまま上手く退治する事が出来れば良いのですが……」
 険しい表情を浮かべながら、正面突破型・ストルモサ(a63322)が岩陰に潜む。
 村人達の避難は無事に終了したようなので、後はキノコドンを何も無い荒野まで誘導するだけだ。
「防御力がいかに高かろうと、貫き通す矢を使えば問題ない」
 クールな表情を浮かべながら、ゴロゴロ・サーディーン(a57418)が土塊の下僕を召喚した。
 それに合わせて言いくるめのペ天使・ヨウリ(a45541)も土塊の下僕を召喚し、キノコドンの足止め用としてズラリと横に並ばせる。
「はっはっは、そこの●●野郎。防御が硬くても女性には嫌われるぞ」
 高笑いを上げながら、ジョーラムがキノコドンを指差した。
 次の瞬間、キノコドンが怒り狂って胞子を吐き、体内に取り込んでいた岩を吐き捨てる。
「ゲッ……、思ったよりも素早いな。だが、これも想定範囲内だ。この程度の事で俺を止める事が出来ると思うなよ!」
 土塊の下僕を盾代わりにしながら、サーディーンが横に飛んで貫き通す矢を放つ。
 その一撃によってキノコドンは咆哮を上げたが、辺りに散らばった土塊を喰らって再び動き出した。
「あまり無理をせんようになぁ」
 のほほんとした表情を浮かべ、ヨウリがヒーリングウェーブを発動させる。
 その間にキノコドンが瓦礫の山に喰らいつき、左腕を巨大なハンマーに変化させた。
「敵もヤル気になっているようですね」
 スーパースポットライトを使ってキノコドンを麻痺させ、ストルモサがバッドラックシュートを放つ。
 そのため、キノコドンが唸り声を上げながら、身体を回転させるようにして巨大なハンマーを振り下ろす。
「ははははっ、当らなければどうという事はないのだよ」
 イリュージョンステップを発動させ、ジョーラムがキノコドンの攻撃を避けていく。
 しかし、キノコドンの攻撃が激しかったため、笑い声を響かせながら天高く吹っ飛ばされた。
「ほ、星じゃ、ジョーラムは星になったのじゃ」
 青空に浮かんだジョーラムの笑顔を見つめ、ヨウリがなむなむと両手を合わす。
 実際のジョーラムは既に落下して瓦礫の山に突き刺さっているが、ほとんどの仲間達は何故か見て見ぬフリをした。
「僕達の役目はモンスターを荒野まで誘導する事です。ここで立ち止まっているわけにはいきません!」
 気絶したジョーラムをグランスティードに乗せ、ストルモサが立て札を頼りに荒野を目指す。
 そのため、キノコドンは咆哮をあげながら、ドンドンと足音を立ててストルモサ達を追いかけていく。
「あそこじゃ! あの場所に行けば、わしらの役目は終りじゃ」
 でっぷりとした腹を揺らし、ヨウリが疲れた様子で転がり込む。
 それに合わせて退治班が飛び出し、キノコドンに攻撃を仕掛けていった。
「ふ、想定通りだ。……やれやれだな」
 大量の砂煙を上げて滑り込み、サーディーンがホッとした様子で汗を拭う。
 これでしばらくの間、のんびりする事が出来そうだ。

●退治班
 ……数分前。
「チキンレッグ領で依頼を受けるのは久し振りかな。……プリマスロックは元気かしら、ね。護衛士章も、緑の鶏冠に所属していた証の指輪も返してしまったけれど、あの時の経験や、あった出来事は忘れてないし、無駄にはなっていないと思うから……」
 懐かしそうに辺りを眺め、殲姫・アリシア(a13284)が昔の事を思い出す。
 神との戦いによって荒れ果てたチキンレッグ領内。
 アリシアがいた頃とは、何もかもが変わっていた。
 しかし、この土地で生きる者達の力強さは、あの頃とまったく変わっていないと思っている。
「みんな、誘導班が見えたよ♪」
 能天気な笑みを浮かべながら、バナナん王子・ロア(a59124)が元気よく手を振った。
 キノコドンは右手をハンマーに変化させており、それをブンブンと勢いよく振り回している。
「ようやく敵さんのおでましか♪」
 遠眼鏡を使ってキノコドンを確認し、快傑ズガット・マサカズ(a04969)が鎧聖降臨を発動させた。
 そして、怪傑ズガットに変身するとグランスティードに飛び乗り、咆哮をあげて襲い掛かってきたキノコドンに迎え撃つ。
 そのため、キノコドンの咆哮を上げながら、右手のハンマーを振り回してマサカズを攻撃する。
 キノコドンの攻撃を喰らって、吹っ飛ぶマサカズ。
 その間に仲間達が背後からキノコドンを攻撃し、少しずつダメージを与えていく。
「てっきりキノコタイプのグドンかと思っていたが、単なるキノコの化け物か。それにしてもデカイな。食料になるんだったら、これでしばらく生きていけるんじゃないのか?」
 キノコドンをマジマジと見つめ、神殺し・ラキ(a61436)が溜息を漏らす。
 次の瞬間、キノコドンがハンマーを振り回し、ラキを叩き潰そうとする。
(「うわっ……、こんな時に動いたら、あっという間にペチャンコだよ……」)
 ハイドインシャドウをつかって気配を消し、弓騎兵・ミーヤ(a63081)がゴクリと唾を飲み込んだ。
 キノコドンは冒険者達さえ取り込むほどの勢いで、咆哮を上げて暴れまわっている。
「クッ……! これじゃ、攻撃を避けるのがやっとだな」
 荒く息を吐きながらキノコドンとの間合いをつめ、マサカズがズガットクラッシャーを振り下ろす。
 しかし、キノコドンの動きが速い上に強力なため、あと一発喰らえば重傷になってしまう。
「確か物を取り込んで防御力を上げていくんだよなぁ。右手がハンマーになっているって事は、既にマックス状態になっているって事だろ? 何とかしてモノを吐かせて、ヤツを弱らせないとなぁ……」
 引きつった笑みを浮かべながら、ラキが黒炎覚醒を発動させる。
 遠距離から攻撃すればキノコドンもモノを吐く事しか出来なくなるため、ここで作戦を変更した方が良さそうだ。
「それじゃ、キノコドンが弱くなったら教えてね〜。それまでバナナを食べて待っているから♪」
 のほほんとした表情を浮かべ、ロアがバナナを頬張った。
 それと同時にキノコドンがハンマーを振り回してきたため、ロアの持っていたバナナの皮が宙を舞う。
「のんびりしているわけには行かないようね。……ここで死にたくなかったら」
 険しい表情を浮かべながら、アリシアがロアの腕を掴んで走り出す。
 キノコドンは大きく息を吸い込み、取り込んだ岩を吐き出した。
(「タ、タイミングを逃したわ。こ、これじゃ、動けない……」)
 キノコドンが真横に立っているため、ミーヤが困った様子で瞳を潤ませる。
 迂闊に動けばハンマーで潰されるか、踏み潰されてしまうため、キノコドンが通り過ぎるまで我慢するしか無さそうだ。
「毒キノコはモノによっては薬にもなる。だが、薬にもならないキノコに用は無いんだよね」
 キノコドンの吐き出した岩を避けながら、アリシアが緑の束縛を放って動きを封じ込めた。
 そのため、キノコドンは悔しそうな表情を浮かべ、緑の束縛から逃れようとする。
「いくら硬い防御でも、コイツの効果までは防ぎきれねぇだろ!?」
 キノコドンとの間合いを一気につめ、ラキがスキュラフレイムを放つ。
 その一撃を喰らってキノコドンが魔炎に包まれ、岩を吐き出しながら狂ったように暴れだす。
「キノコさんへのプレゼントだよ、しっかり受け取ってね」
 満面の笑みを浮かべながら、ロアが貫き通す矢を撃ち込んだ。
 続けざまに攻撃を喰らった事で、膝をつくキノコドン。
「いまだよっ! みんな!」
 それと同時にミーヤがハイドインシャドウを解除し、仲間達に合図を送って貫き通す矢を放つ。
「くらえ、ズガットアターーック!!」
 そして、キノコドンはマサカズの放った蹴りを喰らい、取り込んだものを吐き出しながらドロドロと崩れていった。
 こうしてキノコドンは退治され、辺りには村人達の所有物が散らばった……。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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