≪angel’s halem≫バースデーファイヤー



<オープニング>


●バースデーファイヤー
「さぁて、パーティすっか、パーティ!」
 ある日突然、美獣の皮を被った悪魔・エアロ(a23837)から飛び出したのは、こんな台詞。
「なに、ナニ? パーティ? あ、もしかして私の誕生日かしら? そうなの、私…来月で20歳だから……ありがとう。ちょっと早いけど、賑やかなのは好きだし、大歓迎よ!!」
 が、その『パーティ』の言葉にレア者ハンター・ユイノ(a90198)がいち早く反応し、勝手に盛り上がって切り返した。
「あ、ユイノさん。誕生日なんですか!? それはおめでとうございます♪」
 すかさず祝いを述べてみせたのは、蒼穹に舞う翼・アウィス(a24878)。その辺り、ソツの無さに関して言えば、天下一品である。
「ありがと〜。じゃ、プレゼントはね、やっぱりレアな……」
「楽しそうですね〜。じゃ、ここはひとつ盛大にやりましょうか!?」
 なんとなく最後まで喋らせてたら負けっぽい気がして、姫揚羽・ミソラ(a35915)が話に参入。いや、ユイノの後ろでハリセンを振り上げている団長から、彼女を守ったのかも!?
 だが、それが仇となった。
 くるっ、とハリセンの矛先がミソラに向けられると、キランと光るエアロの瞳と共に、それが思いっきり振り下ろされる。
「ちげーよ! その前にお前のがあんだろーが!!」

 バッシーーーン!!!

 小気味良いどころじゃない爆音が旅団中に響き渡る。もはやツッコミの次元を超越……。
 しかし……、
「痛たたたっ……」
 痛々しい後頭部を摩りながら立ち上がったのは、ミソラではなくスーパーマッシヴブラック・シズカ(a38205)。
 彼女には副団長として、団長の傍若無人な振る舞いを止めるという崇高な使命があった―――のだと思う。たぶん、きっと……。
「という訳で、さっそく段取りを決めちゃいましょうかね。あの人(注:エアロ)に任せとくと、勢いだけでとんでもないことになりそうですから」
 ……さすがに鋭いかも。でも、何より凄いのはさっきのツッコミを痛いの一言で済ませられる所だったり。
「どーせ、やるなら屋外で。星空の下で皆でシュークリームを食べるにゃ!」
 幸せを呼ぶ黒猫・ニャコ(a31704)が真っ先に提案。やはりシュークリームの魔術師としてコレだけは外せないらしい。
「いや、屋外ならフツーにバーベキューとかは……」
 ここは魔導監査官・クリセナ(a48485)が真面目にツッコミ。
「そうだぜ。仮にもミソラはウチの最古参の団員だぞ。やっぱりキャンプファイヤーを囲んで、だな……」
 ハリセンの反動ダメージで硬直していたエアロが話に復帰。もちろんシズカを押しのけて。
 だが『最古参』と『キャンプファイヤー』の関係はよく見えないが。
「最古参、ですか。それは素晴らしい。そのような方のお祝いでしたら、入団して日は浅いですが私も是非、末席に……」
 慎ましいのか、その逆なのか、赤眼の優男・アーバイン(a50638)も名乗りをあげる。
「日が浅いから、挨拶代わりに芸でも披露するのか? さすがだな。それなら俺も見物させてもらおうかね……席があれば、の話だが」
「……芸? そいつぁ良いアイディアだな」
 すかさず話を進めてしまう玄風・アムリア(a38131)とエアロ――ええ、妙な方向に。

 誕生日の話から、どんどん話が固まりつつある展開(ま、いつもの事……って噂もある)に、ミソラは――、
「……っ! ……!?」
 話のやり場に困って、その辺で踊っていた。

「キャンプファイヤー? 芸? 踊り? ……あっ、ファイヤーダンスとか!?」
 諸々の会話とミソラの様子を交互に見やりながら、ユイノが閃く。もちろん彼女には、その台詞に責任など持てる筈もなかった……。

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参加者
業の刻印・ヴァイス(a06493)
唸る真空飛び膝蹴り・エアロ(a23837)
蒼穹に舞う翼・アウィス(a24878)
幸せを呼ぶ黒猫・ニャコ(a31704)
姫揚羽・ミソラ(a35915)
鉄拳制裁・グロウベリー(a36232)
玄風・アムリア(a38131)
雌軍鶏・シズカ(a38205)
鉄弓・ヨイチ(a42044)
保険医・クリセナ(a48485)
赤眼の優男・アーバイン(a50638)

NPC:レア物ハンター・ユイノ(a90198)



<リプレイ>

●準備はいつだって大切ね
(「しかし、これは王様ゲームの一種……と言うより罰ゲームだよね」)
 と、各自に割り当てられた使命に必要そうな道具の数々を用意する蒼穹に舞う翼・アウィス(a24878)。今回のパーティは他人が決めた事をするという、行動制限が皆に課せられていたのだから。ほっかむり、割り箸、魚籠、掬い網。あるいは執事3点セットとか。
「ちょ、それ……」
 一緒に準備に従事していた魔導監査官・クリセナ(a48485)が激しく突っ込む。
「ダメ……ですか? 仕方ないですね……」
 と極めて残念そうなアウィス。その強い期待は誰に向いていたのやら……。
「で、クリセナさんにはコレですね」
 と薔薇の花束を差し出す。
「な、なんで!?」
「だって、愛を囁くんでしょう、愛を!」
 とりあえず『愛』の辺りを強調してみる。
 思わず遠い目をしながらクリセナは、そそくさと逃げだす。
 アウィスも、追いかけてまで更にからかうつもりはなく、更なる準備に余念がない。松明やら何やら、特に女性物の服の数々。着物にドレスにチャイナ服、ナース、CA(違っ?)まで、各種取り揃えていた。
 一方で逃げたクリセナはといえば、皆の楽器や小道具の手入れ、そして配られるであろうシュークリームの用意、そして……焼き串!? もとい、命の抱擁♪
「それって、まさか……!?」
 様子を見に来たスーパーマッシヴブラック・シズカ(a38205)が、いきなり目にした金串に、不吉なものを感じて震える。
「大丈夫、心配ありませんよ。皆さま常識人ですから……」
 と、キャンプファイヤーに必要な薪を調達しに向かう途中の赤眼の優男・アーバイン(a50638)が慰める。
「バーベキューか…。ワイルドファイア出身の俺には得意分野かもしれんね……」
 と呟きながら、狩りに向かう玄風・アムリア(a38131)。
 そんな2人を見送りながら、鉄拳制裁・グロウベリー(a36232)もお菓子の準備に余念がない。
 いずれにせよ皆、準備は万端……かと思いきや、まだ姫揚羽・ミソラ(a35915)と黒蟷螂・ヨイチ(a42044)が準備中。
(「実は、ユイノさんもお誕生日が近いってお話が聞こえたのですよ…ということで、内緒でコソコソ準備です…♪ えへへ、内緒ってなんだかドキドキしますっ」)
 と、生クリームを作り始めるミソラ♪
 そしてもう一方のヨイチは、衣装(自前?)から小道具までを取り揃え、メイクもバッチリ。すべては『ミソラの誕生日とあれば、参加しない訳にはッ!』の一念だろう。

 いよいよ明日はミソラのバースデー本番。いったいどんな1日が待っているのやら???

●混乱必至! 凄絶、キャンプファイヤー!!
 ――というわけで、ついに迎えた当日の夕方。さっそく誕生日パーティの始まり。
 もちろん、最初の挨拶はこの人、団長の美獣の皮を被った悪魔・エアロ(a23837)。今日の良き日に正装のタキシードでの登場。
「さて、まずは集まってくれてありがとな。今日はミソラの誕生日を祝うパーティ……という名目で、皆で騒いで楽しみたいと思う。ま、アレだ。騒ぎたいためのダシっつーか。だって別に誕生日なんていいじゃん、不老種族なんだし。要はドンチャン騒ぎする大義名分みてぇな……」
 とそこまで話したところで竹刀を持ったグロウベリーが団長を強制退去。
「不死種族のセイレーンだって、誕生日って嬉しいものなのですよ」と。
「オイ、どこに連れてく!? まだ話は終わってね……」

 そんな訳でいよいよ、キャンプファイヤーの炎が燃え上がる。ゴォという音と共に盛大な火が……。
 そして主役の登場。
「……は、はっぴーばーすでーとぅーみーっっ!!?」
 どハデな登場。気持ちは『みんな、最大限愛してるー!!』。
「ミソラさん、誕生日おめでとうございます! 今日は楽しんでくださいね!」
「ミソラちゃん誕生日おめでとにゃぁ」
「ミソラ、誕生日おめでとう!」
「パッピーバースデー、ミソラさん。大事な友達のこれからの一年が、幸福なものでありますように」
 シズカに幸せを呼ぶ黒猫・ニャコ(a31704)、業の刻印・ヴァイス(a06493)にグロウベリー。口々に祝福の言葉を述べていく。更にグロウベリーは、桃を使ったタルトのプレゼント。
「おめでとー、ミソラさん。誕生日も近いし、次は一緒にお祝いしよっ♪」
 遅れてユイノも祝辞。てゆーか、何か一物を含んでるし。
「次と言わず、今やりましょうか♪ ユイノさん誕生日おめでとうございますー」
 と、お祝い返しのミソラ。実は彼女の準備はこの時の為。
 旬のフルーツに生クリームで『ユイノさん、もうすぐハタチおめでとう!』と。
 拙い文字はご愛嬌。だって、クリームで上手い字を書くのって、マジ難しいんだってば!!
「ありがとー。よーし、張り切って料理を披露しちゃおっかな!?」
「わー、楽しみですー」
 しかしその前にまず、ちょっとした余興が待っている。
「1番、ヴァイス。期待に応えて、ファイヤーダンスをやらせてもらう」
 ノリノリのラメ入り衣装なヴァイスは、両手に松明を握り締めて登場!!
 さっそく松明に炎を移し変え、Let’s fire―!!
 アウィスがノリノリのラテン系ミュージックを弾き、熱く激しく踊るヴァイス。一同の拍手も熱いか、それだけでは終わらない。
 地面に立てた2本の棒の間横たえる1本の棒――となれば、やることは、リンボー! 盛り上がる拍手を受け、松明を掲げて棒の下へ。反って、反って、反り返る!!
 地面すれすれのところをジワジワと進む彼に、誰もが思わず手に汗握る……。
 そして、成功!! 大絶賛の嵐。
「さぁて、どうだ皆も!? 特に…主役のミソラとユイノ?」
「よーし、乗った!! 団長権限で承認だ。やっちまえ、2人とも!!」
 エアロの一言で決定! やっぱ女の子がやるなら水着だろ……という声もあり、いきなりの生着替え。そして、Let’s リンボー!!
「んっ……、あっ、あぁ……」
 上手く行ったり、途中で敢無く力尽きたりと、なかなか際どい演出付きのリンボーだったが、それはそれでOK! 参加者も増え、いつの間にか川原はぷちリンボー大会……。
「2番、ミソラへ歌のプレゼントだ」
 ♪♪♪ 
 そんな妙なノリの中、普段なら歌わないような明るい曲をセレクトしたアムリア。初めはアカペラだったが、すぐにアウィスがメロディを取って曲を合わせる。
 すると、それに合わせて歌いだすのは謎の女性……更に曲に乗せたダンスまで披露。
 ザワッ……。
「誰!?」
 と囁く声。
「あれは、ヨイチさんですっ!」
 ふくれるミソラ。なんで分からないのか、と。
 メイクもダンスもなかなか見事なのは、芝居巧者の賜物か? 鎧進化を応用し、各種衣装に早変わりである。
 そんなヨイチをマジマジと見つめ、コレしかない……と思ったのはアーバイン。
 それまで皆に酌をして回りながら、ある意味、新人っぷりを満喫していた彼だったが、彼の使命は宴会芸。そこでコレに決めた。
「お嬢さん、キミは何て素敵なんでしょう。次々と変わる服も素敵ですが、何よりそこから見えるその足……素敵だ」
 何だか視線は既に十分、熱い眼差し。さて、どこで止めたものか……!?
「あの……えっと………アーバイン?」
 かなり困惑気味のヨイチ。だけど、これはこれで面白くって、思わずエアロもニヤリ。
 だけど困った彼を助けるべく、ミソラの『お願い目線』、つまり回りに助けを求めた。
「任せて! 私の料理で解決してあげるっ!!」
 ユイノが料理マンガよろしく、自信ありげに請け負う。
「じゃ、開始めるわね。ニャコちゃん!!」
 それを受けたニャコは、すかさずその意を悟り――。
「5番、ニャコちゃん。いきますにゃぁ♪ シズカちゃん協力してにゃ」
 と、シズカの足を鷲摑み。
「えっ!? えぇぇぇっ!!?」
 そして期待通りのデンジャラススイング。ぶん、ぶん、ぶん……1回2回と回転が増し、スピードも最高潮。
「あとは火の中に突っ込めば、私の料理は完成。悪いけど、シズカさんも協力お願い♪」
「お願い♪ じゃなぁぁぁぁぁぁーーーーいっ!!」
 回されながら叫ぶシズカ。しかし無情にもニャコの手は途中で滑り、思わず足を離してしまう。
「うにゃ? 狙いがそれたにゃ」
「うひょぉぉぉぉぉい!」
 哀れ、シズカは燃え盛る炎の中へ……。チーン!
 かと思いきや、響いた音はジャボーン!
「…プアッ! アップ! は、羽が水を吸って……服、重っ! お、泳い…泳……」
 ボチャン! そして、ブクブクブク……。アーバインを止めるという崇高な使命を果たしたもの。アーメン!
「仕方ありませんね…」
 即座にクリセナが川に飛び込む。伊達に水泳で鍛えちゃいないから。だけど実はその行動は、胸中の苦悩を誰にも悟らせないが為。なぜなら彼女の使命は愛を囁くことだったから。
(「愛を囁く……愛を……誰に? やっぱりこれは愛してるといわなければならないのだろうか……」)
 と。
「そうだ、お祝いついでにミソラさんに……」
 いや、とっくにタイミング逸してるし!
(「マズい……この流れでは絶対やらない気がする! お酒に酔った勢い……が出来る年齢なら良かったのに」)
 悩んでいる所へ、エアロ登場!
「ユイノっちの料理の為にシズカを助けに行くなんてな。すげぇ、感心した。愛してる!!」
 キュピーン。今だ! 何かがクリセナの脳裏に告げた。
「ボ……ボクも、愛してます。ます」
 どこからともなく薔薇の花束つきで。
 おぉぉーーっ! 思わず全員が拍手。よもや愛を受け入れるとは!?
「……ちょ、ちょっと川に流されてきます!」
 ホントにお持ち帰りされる前に脱兎。いや、それで回避できるかまでは責任取れないから。
 そんな風に、カオスな気配を漂わせ始めた頃。
 不意に羽目を外さなくてはいけないグロウベリーが放蕩の宴を歌い始めた。
(「って、自分に効きましたっけ?……ま、いいか」)
 大丈夫。そこはちゃんとアウィスが想定済み。受け入れ体勢のグロウベリーは何の抵抗もなく理性の箍が外れた。
「……ふむ、何か気分がいいですね」
 歌いましょう。
「あいらーびゅーべいべー!」
 歌うのは、Fender Stratocasterをかき鳴らしつつ、ロックンロールな高らかな凱歌。
「エアロさん、一緒に歌いません?」
「とーぜんOK。グロちゃん、いくぜっ!!」
 そこからの2人は、まさに弾けまくり。
 ……どーでもいいですけど、私……いったいエアロさんをどう思っているのやら?
(「彼女のほっぺにキスの一つでもしてみたら、自分の気持ちがはっきりするんでしょうかね。えっと……今日が、羽目を外していい日なら……!?」)
 そんな気持ちが湧き上がるのは放蕩の宴……?

 流れる甘そうな時間。そしてついに……、
「いや、やめときましょう。ふん、冷静に考えれば、沢山の人と夫婦な人なんて……」
 ぷいっ!
 我に返るグロウベリー。
「ちょ、ちょっと……グロちゃん!?」
 突然そっぽを向かれたエアロはちょっと悲しげな顔。
「よしよし、それじゃとりあえず、バーベキューの続きと行くか。せっかくだし俺が採ってきたものも焼かせてもらおうかね」
 と、何だか得体の知れない肉(?)を焼き始めるアムリア。
「……味付けは……ま、適当で良いよな?」
「おう!」
 既に立ち直ったエアロが即答。けど、誰も見てないところでアムリアがかけているのは、砂糖どばーっ、一味ドバドバ。
「焼き加減は……まぁ赤い方が上手いって言うよな」
 まだ殆ど生肉だし。
「さぁ、どんどん食ってくれ。まだまだあるからな〜」
 本能で危険を感じ取ったヴァイスは、すかさずフェイクデス。結局そのお肉を誰が食べたか……それは。
「死ぬかと思いましたよ。まったく……」
 川から上がって、火に当たるシズカ。体を乾かさないと大変ですからね。
「シズカちゃん、さっきはゴメンだにゃ。これを食べて元気出すにゃ!」
「ニャコさん……」
 優しい言葉にちょっとうるうる。でも……
「………なんで皆、コッチの方をじっと見てるんですか」
「ううん。何でもない、ない」
 フェイクデスから起き上がったヴァイスの脳裡に、何かが引っかかる。
「……何か、とっても致命的な事を失念している気が……。チキンレッグが裸足で逃げ出すような、そんな嫌な予感がするんだが……」
 シャキーン。2本の金串が奏でる甲高い音。
「いや、ちょっと……えっ!?」
 再び後ずさるシズカ……彼女の運命や、如何に!?
「……き、気のせいじゃなかった」
 そんな感じで、なんだか収拾もつかないままに夜は更け、そろそろパーティも終わりを告げる。

●未来につながる素敵なバースデー
「……茶でも飲みつつ星を見るとしようかね……」
 アムリアが川原にゆっくりと腰掛ける。
「楽しかったにゃぁ。今度は誰をネタにして遊ぶにゃ?」
 横に座ったニャコが不穏な発言。
「皆さん、本当にありがとうございます。キャンプファイヤーと、綺麗な星空、大好きなみんなの笑顔。こんな幸せな誕生日を迎えることが出来て、心から幸せ。私の目標は……そんなみんなの笑顔を守れるようになりたい。…かな」
 照れながら誕生日の抱負を語るミソラ。そんな彼女にニャコがお約束のシュークリームを手渡す。
「はい。星空の下で食べるシュークリームは格別なはずにゃ!」
 そして更に、ミソラに『にゃんこ座』について尋ねるニャコ。星は好きだけれど……、さすがのミソラも答えに詰まる。
「で、盛り上がってるトコロ悪いけど、ちぃとミソラを貸してくれっか!?」
 間に入り、有無を言わせずミソラを拉致するエアロ。そのまま誰も居ないところまで連れていき……、
「あー、なんつーかアレだ。その、ありがとな、いつも一緒に居てくれて。アタシはこんな性格だから、こう、上手く言えねーんだけど、オマエや皆が居てくれるコトが、スゲェ嬉しいのよ。誕生日だからってんじゃねえけど、オマエには、いつか改めて言おうって思ってたんだ。ミソラ、誕生日おめでと。これからも一緒に遊んでくれると、スゲェ嬉しいっス」
 一息に言ってのけたエアロの頬はもう、真っ赤。
「あーチクショウ、照れるぜ!」
「ありがとうございます、エアロさん♪」

 こうして、本当にミソラのバースデーは終わりを告げる。
 川原で寝てしまうもの。旅団に帰る者。どこかに姿を消す者……その辺りは人それぞれ。
 そんな中……コッソリとミソラを呼び止めたのはヨイチ。もちろん既に本来の姿(※女装ではない……)に戻っている。
「最後になったけど、誕生日おめでとう。俺の気持ちだ……受け取ってくれ」
 それは7月の誕生石、ルビーをあしらった指輪。ヨイチの今表せるめいっぱいの形。気持ちはもっともっといっぱいで……本当は表しきれないのだけれど。
 ミソラは今……世界で最も幸せな気持ちに包まれていた。

【終わり】


マスター:斉藤七海 紹介ページ
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