リザードマンの術士部隊侵攻



<オープニング>


●西からの凶報
 西方から届いた報告は同盟全体に大きな衝撃を与えた。
 それは、同盟諸国西部の城塞都市レグルスが、リザードマンの襲撃により陥落したという凶報であった。
 城塞都市レグルスは、同盟諸国の西の要として難攻不落を謡われていたのだが、それも、列強種族の侵攻の前には、あまりに脆かったのだ……。

 ランドアース大陸東方は、列強種族が抗争を繰り返す大陸中西部から隔絶し、数百年の平和な時代を過ごしてきた。
 しかし、その平和が破られる時が来てしまったのだ。

 列強種族リザードマンの侵略。

 レグルスを陥落させたリザードマンの軍勢は、そこを拠点として周辺地域への侵攻を開始した。
 既に同盟諸国の西方では、幾つもの村が襲われており、リザードマンに占拠された村々では、とても酷い蛮行が繰り返されている。
 また、略奪した食料や財貨はレグルスへと運び込まれ、大規模な戦いの準備も行われているらしい。

 この状態を放置する事は出来ない。
 冒険者の皆は、霊査士からの情報を確認し、占領された村々の開放、或いは、略奪の阻止に向かって欲しい。

 希望のグリモアの冒険者達よ、このリザードマンの魔の手から人々を救うのだ。

 リザードマンは、その種族的な特徴から狂戦士や牙狩人が多いが、中には医術士や邪竜術士などのクラスについている冒険者もいる。
 そして、それらの後方支援タイプの冒険者が、近くにいた盗賊を金で雇い護衛につけた上で村に向かっているという情報が酒場の霊査士にもたらされた。
 偶然、畑仕事で少し村から離れていた村人がそれを発見して、急いで依頼にやってきたのだ。
 このままでは村がリザードマンたちにいいように蹂躙されてしまうため、黒衣の霊査士イスラフェルは、冒険者たちに対して依頼を出す事にした。
 

「……まだリザードマンの一行は村についていないようですから、今から急いでいただければ、何とかリザードマンが村に入る前に現地に到着する事ができるでしょう……。ただ、敵はかなり数が多いようです。お気をつけください……」
 彼がみたところによると、リザードマンの一行は全部で五人。紋章術士に邪竜術士、それに医術士などで構成されているようだ。
 そして、その周りを十人近くの雇われ盗賊が護衛しているという。
 このリザードマンたちが村に入り、略奪の限りを行なうのはなんとしても阻止しなければならない。
 村を第一に考えて依頼にあたってもらいたいと、イスラフェルは冒険者たちに頼んだ。
「……村の人々が第一です……。最悪リザードマンを取り逃がしても仕方ないと思いますが……。よろしくお願いします……」

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参加者
風睡星・クゥリッシュ(a00222)
暴風の・オーソン(a00242)
終焉を謳う最後の龍皇・ソラ(a00441)
ストライダーの忍び・フォルテ(a00631)
蠱惑の妖狐・ライカ(a00857)
鋼鉄の護り手・バルト(a01466)
終焉の夢・クロム(a01474)
狂狼・ゲイル(a01603)
仮面の暗殺者・ルイ(a01857)
重拳の反逆者・アルシー(a02403)
千変・ギネット(a02508)



<リプレイ>

●リザードマンを迎え撃つために
 リザードマンの術士たちで編成された部隊を迎え撃つために、冒険者はリザードマンに狙われているという村へと急いだ。
 幸いにして、地の利で上回る冒険者たちの方が早く現地に到着できたようで、村は平穏そのものだった。
 早速、村に到着した風睡星・クゥリッシュ(a00222)は、村長の家へと向かい協力を求める。
「これからリザードマンたちがくるかもしれないけど、何かあったら、バケツか鐘を警鐘代わりに叩いて知らせて欲しいんだ」
「それと、これから私たちがリザードマンの足止めにかかりますけど、その間、決して村から出ないように村の皆さんに伝えていただきたいのですわ」
 万が一、戦場で村人が近くにでもいたりしたら、厄介な事態に陥る事になる。
 それを防ぐため、ストライダーの翔剣士・ライカ(a00857)は村長に村人が外にでないように頼み、それらは受け入れられた。
 後は村の近くに来ているというリザードマンを探し出し、撃退するだけである。
 辺りを調査に出たストライダーの忍び・クロム(a01474)は、すぐに数人の人相の悪い盗賊のような連中を伴って行動しているリザードマンたちを見つけて、仲間にその存在を伝えると、その身を草むらに沈めながら様子を窺った。
「……どうやら、リザードマンの人数は五人、全員一緒に行動をしていようだな。どれがどの術士かまでは分からんが……」
 リザードマンの術士は全部で五人。
 だが、皆一様に同じようなローブを羽織って杖を手にしているため、誰がどの術士であるのか判別はつかなかった。
 敵の部隊構成を調べようとしていたヒトの忍び・ルイ(a01857)も、諦めざるを得ない。
「駄目ね……。後は実際に正面から切り込んで敵の出方を窺うしか、調べる方法は無いわね」
 しかし、これらが全て倒さなければならない敵には変わりない。
 同じように身を潜めながら、蒼き疾風・ゲイル(a01603)はダガーを握り締めてリザードマンたちを見つめた。
「ふぅ……、蜥蜴か……。このままされるがままってのも癪だから、ここらでぎゃふんと言わせてやるかな」
「ああ……。奪われる者の痛み、存分に教えてやろう……」
 同盟諸国内に侵入してきたリザードマンたちは、近隣の村々を襲い略奪行為などを行っている。
 連中のこれ以上の暴挙を抑えるために、終焉に流れる漆黒の龍・ソラ(a00441)も慎重に攻撃にでる機会を窺う。
 そして、冒険者たち一行が、全員リザードマンたちがいる場所の近くにスタンバイしたことを確認した闇夜纏う幻影・フォルテ(a00631)は、合図を出して仲間たちに作戦を開始するように伝えた。
「さてと、始めるとするか。手早く片付けようぜ」
 この戦いは長引かせれば、こちらが不利になる可能性が高い。
 早めに術士たちを撃退する必要がある。
 まずはストライダーの邪竜導士・ルディ(a00300)が一人進み出て、リザードマンと盗賊たちの前に立った。
「……初めまして。貴方たちを倒しに来ました。覚悟してください」
「ああ? 何いってやがるんだ、こいつは?」
 見た目はストライダーの小さな少年の言葉に、盗賊たちは野卑な笑い声を上げて武器を振り上げたが、次の瞬間に強烈な痛みを味わうこととなる。
 ルディの放ったニードルスピアーの鋭い針が飛び交い、盗賊たちの全身に突き刺さったのだ。
 この攻撃に悲鳴を上げる盗賊たちに対して、今度は茂みから姿を現したヒトの狂戦士・オーソン(a00242)が武器を振り回しながら突進していく。
「ふん、その程度の攻撃で怯んでいる暇はないぜ! 力の差をまず鼻っ柱に叩っこんでやる!」
「金と命、どっちが大事なのか、よく考えるんだな!」
 敵の、まずは盗賊たちの動きを止めるために、ヒトの重騎士・バルト(a01466)もメイスを振るって敵の中に突っ込んでいく。
 この予期せぬ冒険者たちとの遭遇に戸惑ったリザードマンたちであったが、それを迎撃するために、それぞれ術の用意を開始する。
 術士たちの一撃はもう防げないものと割り切って、ヒトの武道家・アルシー(a02403)はあえて盗賊たちに攻撃を仕掛けていった。
「まずは盗賊たちに攻撃を集中するわ!そうしなければ、リザードマンに攻撃を行うことはできないわ!」

●多彩なる術
 やがて準備を終えたリザードマンたちが反撃に乗り出した。
 ブラックフレイムの業火にエンブレムシュートの紋章、それに衝撃波などが打ち出され、盗賊と戦っていた冒険者たちに手痛い打撃を与える。
 だが、彼らはあえて敵を引き付ける役目を担っただけあって、前線向きの冒険者ばかり。
 しばらくは持つと判断して、エルフの邪竜導士・ギネット(a02508)はその中の一体にブラックフレイムを叩き込むことにした。
「できれば、誰がリーダー格なのか分かれば、それを集中攻撃するんですけど……。どうやら該当するような敵は見受けられないようですね。仕方ありません」
 盗賊たちと戦っていた冒険者たちは、後方のリザードマンからの援護攻撃に苦しめられた。
 冒険者たちの力の中でも、ブラックフレイムやエンブレムシュートは狙った相手に確実に命中させる事ができる。
 盗賊と密着することで、少しは敵も攻撃を躊躇するかと思っていたバルトであったが、容赦の無い術士からの攻撃に悩まされた。
「くそっ! 連中を盾に使えれば良かったんだが、そうもいかないようだな……。もう少し我慢するしかないか」
 他の仲間が行動を開始するその時まで、何とか持ちこたえなければならない。
 攻撃は最大の防御とばかりに、盗賊たちに攻撃を続けるオーソンであったが、やはり術士たちの援護攻撃は強烈で、かなり苦戦している。
「ちくしょう! 頭にくる連中だぜ! 自分たちは安全なところにいながら、いい気になって力を放ってきやがる!!」
「……そう簡単に近づかせてはくれないか……。敵もそれなりに考えているようだな」
 先ほどのリザードマンからの攻撃で、ブラックフレイムやエンブレムシュートを放たない者がいたことを見たソラは、それこそが医術士であることと判断してそちらに周ろうとしたが、盗賊が小うるさく邪魔をする中、そのリザードマンが飛ばす衝撃波に何度も体を打たれて、後退させられていた。
 やはり、前線の冒険者たちだけではこの囲みを破る事はできないようで、茂みに潜んでいた他の冒険者たちも攻撃を開始する。
「エンブレムシュートとかが、もう少し予備動作が必要だったら攻撃しやすかったんだけどな。文句を言っても仕方ないか!!」
 基本的に、ブラックフレイムやエンブレムシュートなども剣を振りかぶって切りつけるのと同程度の時間で攻撃を放つことができる。
 攻撃を妨害するのが難しいと見てとったフォルテは、後方にいるリザードマンたちに対して飛燕刃で攻撃し、手早く倒そうと試みた。
 ゲイルもそれに呼応して飛燕刃を放ち、リザードマンに打撃を与えていく。
「飛び道具で攻撃できるのは、別にお前たちだけじゃない。侮ってもらっては困るな」
(「奴らにここを譲る訳にはいかない……。俺達には村の人達の命がかかっている、何があっても奴らを食いとめる……。……皆、死ぬなよ……」)
 リザードマンに近づくため、ダガーを振りかざして攻撃を行なうクロムも、ここは通すまいと体を張って敵を食い止める。
 そして、盗賊を殴り飛ばしていたアルシーは、リザードマンの術士の一人が手を指し伸ばして何かを行なうと、急に頭がぐらりと歪んだような感覚に捕らわれた。
(「こ、これって一体……!?」)
 すると、彼女の視界にいるものは全てがモンスターのように見えて、敵も味方も関係なく襲い始めた。
 これに感づいたルイは、敵のリザードマンを睨むつけながら舌打ちする。
「しまった……! 皆、気をつけて。あのリザードマンの紋章術士、マリオネットコンフューズを使ってくるわよ!」
 多彩な術によって冒険者を苦しめるリザードマンたち。
 負傷した仲間を何とか回復させようと、クゥリッシュは癒しの水滴を用いて仲間たちの間を駆け回るが、そんな彼女をヒトの牙狩人・トウキ(a00029)が護衛する。
 だが、クゥリッシュとしてはそれが不本意なようでふくれていた。
「もう、団長、そんなに私って頼りないの?」
「そういう訳じゃないが、互いに足りないものは補い合うべし、ってね。お前さんが仲間を回復している間、防御が疎かになるだろ。それのサポートさ」
 敵としても厄介な回復薬を放置しておくわけが無く、クゥリッシュの方に盗賊などが近づいてくる。
 それをトウキは何とか矢を放って防いでいるのだ。
 盗賊たちの攻撃をライクザフェザーの力によって華麗に回避をしながら、ライカはレイピアを振るって突き倒していく。
「まったくしつこい連中ね!相当金でも握らされているのかしら?」

●術士たちの撤退
 それからしばらくの間、冒険者とリザードマンの間で戦いが行なわれたが、段々と冒険者の方がリザードマンを押し始めた。
 これは、戦闘力に劣る盗賊たちが冒険者たちに破れ、リザードマンの術士たちが押され始めたのだ。
 肉体的な能力では優れているリザードマンであるが、やはり邪竜術士や紋章術士となると接近戦では些か分が悪い。
 ルイがダガーを閃かせて、リザードマンのうちの一体に切りかかった。
「躊躇っているヒマも余裕も無いわよ?」
「敵に力を使わせないようにしてください。これ以上攻撃を受けるのは危険です」
 ブラックフレイムを放ちながら、ギネットは敵に反撃のチャンスを与えないように仲間たちに声をかける。
 仲間の治癒を行なっていたクゥリッシュが既に癒しの水滴を使い切っていたため、もう回復を行なえる余力は残っていないのだ。
「皆、頑張って!私も手伝うから」
 もはや攻撃あるのみのようだ。
 冒険者との戦いで、前に気を取られているリザードマンたちの間隙を縫って、フォルテはダガーで背後から強襲する。
「前に気を取られ過ぎだな、隙だらけだ」
 リザードマンが全面に立つことになったので、傷を負った仲間をリザードマンの医術士が癒しの水滴で回復を行ない始めた。
 しかし、それをされては長期戦にもつれ込んでしまうため、盗賊などの邪魔が入らない今こそ絶好の機会であると、ソラは医術士の体を掴むと、剛鬼投げによって豪快に大地に叩き付ける。
「今度こそ決めさせてもらう!これ以上戦いを続けるつもりはないんでな!」
 しばらくエンブレムシュートを放っていた紋章術士のリザードマンに対しては、我慢して耐えていたオーソンが、嬉々とした表情で放つマッスルチャージをかけた一撃によって、後方へと弾き飛ばした。
「トカゲ! いつまでもいい気になっているんじゃないぜ!!」
「あら、トカゲなんて酷い言い方……。彼らはリザードマンなんだから、ちゃんとリザードマンと呼んであげないと失礼でしょ」
 ライカが苦笑しながらリザードマンに詫びを入れたが、それは既にそれだけの余裕が冒険者たちにあるということだ。
 別のリザードマンの背後をとったゲイルは、その背にのっかり、首筋にダガーをつきたてようとした。
「もらった! ……何!?」
 しかし、そのリザードマンは邪竜術士だったらしく、何とニードルスピアを放って牽制してきた。
 鋭い針がゲイルたち冒険者を襲い、彼らが傷みで動きが鈍っている間に、リザードマンの術士たちはその場から逃げはじめた。
「これまでだ! 引き上げるぞ!!」
「待ちなさい! 逃がしはしないわ!」
 そうはさせじと、アルシーは追撃をしかけようとしたが、その前に敵の紋詳術士が作り出した土塊の下僕が立ちはだかり、邪魔をしてくる。
 結局、それの処理に冒険者たちが手間取っている間にリザードマンの術士たちは逃げ去ってしまい、追撃する事はできなかった。
 だが、クロムは戦場にリザードマンたちが落としていったものと思われる杖を見つけて拾い上げると、まんざらでもない表情をしてそれを拾い上げる。
「……敵には逃げられてしまったが、手がかりは残していってくれたな。これを霊査士に渡せば、何か分かるかもしれん」
「これで戦況が好転するとは思わんが、きっかけになればな」
 今のところ、冒険者たちはリザードマンに対して後手に回っているが、何とか手がかりを掴んで挽回したいところだ。
 バルトもそう頷き、村の襲撃を未然に防いだ冒険者たちは、無事に町へと帰還するのだった。


マスター:Chaos 紹介ページ
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参加者:11人
作成日:2003/09/16
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