<リプレイ>
●酒場から海の村へ 「初めましてじゃな、マルガレッテ王女様。何か手伝いたいというお気持ちに動かされて、お手伝いに参上仕った次第じゃ」 レースの手袋と日傘を準備していたマルガレッテに、猫と人を愛す司書・コハク(a39685)はお辞儀した。その言葉に、マルガレッテは自分に共感してくれた嬉しさと、そんなに言って貰えるほど立派なことしてないよう、という照れ恥ずかしさが入り混じった、はにかんだ笑顔を浮かべる。 「そんな風に言ってくれる人がいてくれて、とっても嬉しいんだよう。一緒に頑張ろうね、お兄ちゃん♪」 そう見上げてくるマルガレッテに頷き返しながら、戦災復興に尽力する様子は、まさに王女様という所だろうかとコハクは思う。 「あの、えと……準備、できました、です」 彼らが準備を終えた頃、微笑みの風を歌う者・メルヴィル(a02418)が戻る。彼女は必要になるだろうと考えて、ノソリンと荷車を借りて来たのだ。 それじゃあ、と出発する冒険者達。漁村に向けて街道を歩く。 道すがら、メルヴィルはコンサティナを奏でた。辺りを彩る曲に、マルガレッテは「とっても素敵な曲だねぇ」と聞き惚れる。 「えと、聞きたい曲はありますか?」 「マルガレッテ、今みたいな楽しい曲を、もっと聴きたいんだよう♪」 その言葉にメルヴィルは更に曲を奏でる。しばらくして、メルヴィルは魅了の歌でノソリンに語りかけた。その背に、乗せてくれないだろうかと。 『どうぞ、なぁ〜ん』 おっとりとしたノソリンの答えに、メルヴィルはマルガレッテにそれを薦めた。こういった遠出に不慣れだという彼女を気遣ってだ。 「……ありがとう、お姉ちゃん」 1人だけノソリンに乗る事に少し躊躇したマルガレッテだったが、その気遣いを有難く受けてノソリンに乗った。
●いざ、くらげ退治! そうして7人は漁村に到着した。 「よーし、さっさとくらげを退治して、魚釣りを楽しむぞー!」 神魚を追い求める釣り人・ミオ(a66501)は張り切って海に向かう。村の中を抜けて、やがて目の前に海が広がる。 「うわぁ〜、おっきいねー! おっきい池みたいなのかと思ってたけど、池なんて目じゃないよ〜」 その景色に、プーカの牙狩人・リック(a67770)は目を丸くする。しばらく釘付けになっていたリックは我に返ると「初めてのオシゴト、頑張らなくっちゃ」と意気込む。 「くらげは……あそこか」 黒き疾風・ツキヒコ(a66876)は敵の位置を確かめる。船で近付くべきだろうかと考えていたツキヒコは、その居場所を見て考えを変えた。何故ならそこは浅瀬で、船では反対に大変そうだったからだ。 「……危険だが、海に入るしか無いか」 そう判断すると、ツキヒコは村への挨拶から戻ったメルヴィルに、くらげの方は頼むと一声かける。 そのまま、早速くらげに近付いて行く冒険者達。 「マルガレッテ王女、頑張ってクラゲ倒そうね!」 孤独な嘘と狼少年・ショーティ(a55613)は、彼女の顔を覗き込んだ。マルガレッテにとって初めての依頼、出来る限りサポートして、楽しいと思って貰いたい。 「うん、そうだね……」 そう願っての言葉に、マルガレッテは少し固い顔で頷いた。いよいよ始まる戦闘に緊張しているのかもしれない。ショーティは、何かあったら僕が護ってあげるから大丈夫だよ、と微笑みかけた。
「そじゃなー。まずは遠くから、ソニックウェーブを大サービスじゃ」 ライクアフェザーを使うと、コハクはチキンフォーメーションを生かして位置取りし、衝撃波を放った。 「……ごめんね。ボクらの都合だけど……」 リックは微かな罪悪感を感じながらも、くらげを倒す為にライトニングアローを撃った。メルヴィルは素足のまま海に入ると、フールダンス♪で踊り始める。 「お兄ちゃんたち、頑張って!」 マルガレッテが声援を送る中、ツキヒコはくらげとの距離を詰めると、流水撃を放つ。柔らかいながらも確かな手応え、ぐにゃりとくらげの体が歪む。 くらげは、ゆるゆると形を取り戻し、メルヴィルのタイミングと同時に、ふよふよと海中を漂う。 「それっ!」 その様子を見ながら、ミオはソニックウェーブを放つ。直後、畳み掛けるようにショーティの緑の業火が続き、くらげの体が燃え上がる。 「次はこれじゃ」 コハクはくらげに近付くと、薔薇の剣戟を打ち込んだ。2度連撃が刻まれた直後、すかさずリックの稲妻の矢が刺さる。 「! ちっ」 続けてツキヒコが剣先を叩き込もうとした時、くらげの動きが変化する。踊りから逃れたくらげは、電流の力を蓄えてツキヒコに突き立てた。 「お兄ちゃん!」 マルガレッテは駆け寄ると、癒しの水滴で傷を癒していく。一方ではミオが前に出て、スピードラッシュでくらげを切り刻む。 「行け!」 ショーティは、マルガレッテをいつでも庇える位置へ動きながら、気高き銀狼を放つ。銀狼はそのままくらげを組み伏せる。その拘束も振り払おうとするが、踊り続けるメルヴィルに再び誘われ、身の自由を取り戻せない。 「やってくれたな」 体の痺れを振り払い、ツキヒコはくらげを斬る。そこにリックの矢が刺さると共に、コハクの薔薇の剣戟が振るわれる。 バラバラに切り刻まれたくらげは、ぐずぐずと形を失っていく。そのまま、溶けるように波と共に揺れた。 「おまえも、こんな海辺まで来なかったら……」 コハクは残念そうに呟く。くらげは人を傷付けた。そうである以上、こうするしかないのだ。 せめて、この海の中で安らかに。そうコハクは静かに祈った。
●夏の海のひととき こうして、冒険者達はくらげ退治に成功した。ツキヒコの傷も、癒しの水滴で完全に回復している。 「マルガレッテさん、ボクと一緒に釣りしない?」 ミオは早速、マルガレッテを誘った。 「マルガレッテ、釣りなんてした事ないけど、上手にできるかなぁ?」 「大丈夫だよ、ボクが教えてあげるから」 不安そうなマルガレッテに、ミオは初心者用の釣具を差し出しながら笑う。じゃあ、と頷いて、マルガレッテは魚釣りに挑戦する事に決める。 「わしも一緒にいいかのぅ?」 あまり料理は得意ではないし、せめて釣る側で貢献を……と考えたコハクも加わり、三人は岩場へ向かう。 「さて、俺は海に入るとするか」 ツキヒコは改めて海に入ると、水飛沫を上げながら悠々と泳ぎ始める。 「そーれっ!」 リックも海に潜ると、初めての海を楽しみながら、もしかしたら何か見つかるかも! と海中探索を楽しむ。 (「潜れるけど、魚を獲るほど上手いわけじゃないからなぁ……」) そんな事を考えながら泳ぐのはショーティだ。どちらかというと貝の方が期待できるかもしれないと、視線を巡らせてみる。 くらげの影響か、あまり気配の無い海中だったが、しばらく泳ぐと、次第に海の生き物の気配が感じ取れるようになる。この様子なら、何か獲得できるかもしれないと、期待に胸が膨らんだ。
「お、釣れたのじゃ」 釣り上げた魚を、石を並べて作った生簀代わりの場所に入れ、コハクは再び糸を垂らした。魚村というだけあって、確かにこの辺りは魚が多いようだ。 「あ、マルガレッテさんの竿も引いてるよ!」 「えっ? うわぁ、引っ張られるんだよう!」 マルガレッテは引きの強さに、反対に自分が海へ引っ張られそうになる。慌ててミオとコハクが手を貸して、二人が支えながら引き上げる。 「すごーい……」 立派な釣果にマルガレッテが「これなら、街のみんなも喜んでくれるかなぁ?」と呟けば、きっと喜ぶだろうと頷く2人。 「さて、わしは火を用意しておこうかのぅ」 立ち上がると、皆の戻りに合わせて火を起こし始めるコハク。 「うわぁ、釣れてるねー!」 そこにリックが顔を出した。彼の腕には海草や貝がある。お互いの成果について言葉を交わしつつ、ふとリックは「そういえば」と首を傾げた。 「ところでさ、マルガレッテちゃんって偉い人なの? 王女さまって言ってたけど」 きょとんと尋ねるリックに、マルガレッテとミオがまばたきする。王女、という身分について知らない様子の彼に、マルガレッテは噛み砕いて「セイレーンの国で一番偉い人の子供のうち、女の子を王女って呼ぶんだよう」と話す。 「そうなんだぁ……。それでマルガレッテちゃんは、みんなのために魚を取りに来たんだね。それって、すっごくいいことだと思うよっ。ボクのところでも聖獣さまが、マルガレッテちゃんみたいにボクらを守ってくれてたしねっ」 故郷の様子と重ねるリックの言葉を、マルガレッテは静かに受け止めた。 「プーカの聖獣さんって、すっごく強くて頭がいいんだよね? ……今のマルガレッテには、きっと、聖獣さんみたいな事は出来ないと思うけど……でも、少しでも、みんなに喜んで貰えたらいいなぁ」 マルガレッテはそう言いながら、ミオ達と釣った魚を見るのだった。
●海の幸と帰り道 そうして戻れば、既に美味しい匂いが漂っていた。食べ頃の魚と貝、それにショーティが捌いた刺身が並ぶ。 「美味しそうで、どれから食べるか悩んじゃうんだよう♪」 マルガレッテは目移りしながら貝に手を伸ばした。ミオは、齧りついた魚に笑みを零すと「マルガレッテさん、この魚おいしから食べてみて♪」と薦める。 焼き貝も焼き魚も、ショーティに薦められた刺身も、どれも美味しいねと笑うマルガレッテ。ただ、それ全部となると量が多かったようで、みんなと分け合いながら少しずつだけ口をつけた。 「さて、どんな味がするのか……」 ツキヒコは、ぷよぷよした物を炙った。それが何であるか、誰もがすぐに1つのイメージを思い浮かべる。そう、さっき倒した巨大くらげの姿を。 「勿体無いから、食ってみようと思ってな」 皆の視線を肯定するツキヒコ。そろそろ食べ頃だろうか、と口を開けた彼を、皆が心配そうに見守る。 「……う゛」 見る見るツキヒコの顔色が変わる。眉を寄せ、口を押さえるその仕草に、皆それぞれ味を想像した。とりあえず、かなり不味いのは間違いない。 「お兄ちゃん、大丈夫?」 良かったら飲んでね、とマルガレッテは癒しの水滴を使う。多少は喉越しを爽やかにするだろう。 「うーん、残りの魚はどうしようか? 生のままじゃすぐに悪くなっちゃうし、腐らないようにしたのがあれば、それを持って行きたいよね」 「とりあえず、燻製にしてみようかなって思ってるんだ。いい?」 リックの言葉にミオは皆を見回し、了承を得てから燻製を作り始めた。その間に他の面々は村の人達に相談し、干物をいくらか分けて貰う。 全てが終わった後、コハクは火の始末をして魚を荷車まで運ぶ。同じように荷を運びながら、ショーティはマルガレッテを振り返った。 「楽しかった?」 「うんっ。お兄ちゃん達と一緒で、とっても楽しかったんだよう♪」 いろいろしたから、ちょっと疲れちゃったけど……と笑うマルガレッテ。その姿に、良かったとショーティが微笑んだその瞬間。 「きゃ……!」 彼らの後ろにいたメルヴィルが悲鳴を上げた。見れば、真っ赤になってスカートの裾を押さえている。 「あー!」 「へへへ〜」 隣にいたミオはリックを指差し、そのリックは口笛交じり。どうやら、プーカ特有の風のいたずらが巻き起こったようだ。勿論、犯人はリック以外にいない。 「もうっ。そんな事しちゃ、ダメなんだよう」 「はぁい、ごめんなさーい」 そう言うマルガレッテに謝るリックだが、反省の色があまり見られないのは、プーカなのである意味仕方ないのかもしれない。 そんな一幕を経ながら、一行は荷物をノソリンに引かせると、すっかり暗くなった夜空を見上げながら、冒険者の酒場への帰路についた。
その後、彼らの持ち帰った魚や貝、海藻類は、街の人々に振舞われた。 「マルガレッテ王女と、協力した冒険者からの差し入れだ」という言葉と共に。

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参加者:6人
作成日:2007/08/27
得票数:ほのぼの15
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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