休日の過ごし方〜ラウンディーのイブニングティー〜



<オープニング>


●ラウンディーのイブニングティー
 あぁ、僕ってこき使われてる。
 ドラゴン依頼から戻ってきたその夜、ぺたりとテーブルの上に置かれた手紙ーーしかも綺麗にリボンまでかけてある!−−ものに庭園の守護者・ハシュエル(a90154)は大きく息をついた。溜息と、言うには重すぎる息に返答を帰すのはここ数日ベッドで寝るのを諦めていた猫だった。帰ってきたのだから、にゃーの一言ぐらい鳴いてくれたっていいのに。くじけそうな心をプライド一つでつなぎ止め、ハシュエルは綺麗に置かれた手紙を読み直す。
「おかえりなさい、ハシュエル」
 柔らかな口調ーー言葉から始まる手紙は、確認するまでもなく蒼月遙夜・リュシスからのものだ。滑るような文字は、挨拶から内容へと続く。

 そういえばね、この季節に良い紅茶をいれてくれる場所があるの。茶葉としてもそこで飲むにしても良いところよ。ラウンディーという高原地帯にあるお店で、ゆっくりと過ごすには良いところ。折角だから、皆さんにも来ていただけないかしらと思うの。涼しい所でゆっくりと紅茶を飲むのも良いでしょうし……あぁ、場所はお店がいくつも並ぶバザールよ。それぞれ、小さなお店が、いくつものテーブルを出して紅茶を振る舞うの。店が建ち並ぶ場所は、屋根があるから日射しがきつい場合でも大丈夫よ。音楽でもあれば、舞踏会ができそうなところ。どうかしら? ハシュエル。

「……」
 どう、って何がどうなんだと、と思う。どうかしら、遊びにこない? なのか。どうかしら、歌わない? なのか。どちらにとっても良いように、きられた言葉にハシュエルは二度うなり、ベッドに身を投げる。手紙はあと少しだけ続き、読み切った所で手をベッドに放れば、ほあ、と欠伸ひとつあげた猫はちらり、こちらを見て五月蠅いとばかりに丸くなる。
「……」
 あ、耳隠した。
「……いい、けどさ。まぁ……僕も別に忙しいわけじゃないし」
 疲れたけど、いろいろ考えたいこともあったけど。
 何かあって呼びつけて、挙げ句普通に歌えってんならやったろうじゃないか。
 いらぬ気合いだと、後に紫煙の霊査士・フォルテが言う事など知らずにハシュエルはぐ、と一つ拳を握った。

●休日の過ごし方
「つまりは……イブニングティーがおいしいお店があるの遊びに来ない? だと思うんだけど……」
 まぁ、本人いないしね。
 と肩をすくめたハシュエルは、リュシスからの手紙を手に浅く椅子に腰掛けていた。
「お菓子もあります……か、相変わらず甘いものが好きだな」
「リュシスが?」
「お前が、だ」
 羊皮紙に滑らせていた羽ペンを置き、ようやく一息つけるのか顔を上げたフォルテにハシュエルは微か、呻く。いいじゃないか、別に。と呟きは続く暑さに茹だる酒場によく響く。別にいーんじゃねぇか。と氷も溶けた紅茶で喉を潤したフォルテが先を促すような顔をする。ここ数日か、疲れているような気もするが、皆まで言えばそうでもない。と霊査士は返す。これは、経験済み。
「……うん、よし。じゃぁ行こう」
「何がだ」
「フォルテも行こうってこと。みんな誘って、高原地帯だか避暑地だかで過ごす」
「あのなぁ……」
「お茶とお菓子が出るなら、フォルテの出番だってあるでしょ? リュシス1人で運びきれるわけもないだろうし、お客も他にもいる。そうだよね、やっぱほらそんな休日も必要だって」
 うん、そうだよね。と1人頷きつっぱしり、ハシュエルは手紙を持って立ち上がった。
「何やってるの。フォルテも立って。あ、そこの人もね。せっかくだからみんなで行こうよ。おいしい紅茶とお菓子もあるだろうし、人が集まって、音楽を奏でる人がいれば……ちょっとした舞踏会もできるし」
 ね、と首を傾げて小さく笑い、溜息とうめき声を上げるフォルテの腕をむんずと掴んでひっぱり上げる。
『そういう休日も良いと思うのよ。休日を過ごそうと思うのも』
 手紙の末文を思い出しながら、ハシュエルは貰った手紙をポケットに放り込む。まぁいいよ、今回は乗ってあげる。口の中でそう転がして、ハシュエルはにっこり笑って口を開く。
「どうかな? ラウンディーでイブニングティーを飲みながらゆっくりとそれぞれの休日を過ごしてみない?」

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参加者
NPC:庭園の守護者・ハシュエル(a90154)



<リプレイ>

●ラウンディーのイブニングティー
 緑濃き丘を駆け抜け、風がやってくる。涼しげな風は、茹だるほどの暑さを抜けてやってきた者たちにとっては心地よい助けの風だ。庭園の守護者・ハシュエル(a90154)はラウンディーと呼ばれる場所を見渡した。品の良い石畳の道が、バザールへと続いている。硝子で作られた天井からは、光が差し込み、並んだ店の前には丸いテーブルと椅子が用意されている。
「さてと……ひっぱてきたよ。リュシス」
 楽譜を広げていたリュシスに、ハシュエルが手を振る。引っ張られてきた霊査士の姿を目の端に、ルーファスは石畳の道を進んでいく。日々の喧噪から離れ、ゆっくりと紅茶を楽しむには良い日。避暑地というに相応しい風は、彼の金糸を揺らし服の裾をはらませる。
「ここの茶葉の特徴、教えていただけませんか?」
「味で言えば……やはり微かに感じる青みでしょうか。甘い香りと同時に、飲み口は良い」
 店主はルーファスに一つ席を勧めた。談笑と言うよりは少しばかり専門的な言葉が飛び交うのを耳に、シスは引きずられてきた霊査士にひらりと手を振った。
「やっほーフォルテ、満喫してる?」
「しようと思ってる……ってとこだが、まぁいい所だな」
 肩をすくめたフォルテに、シスは笑う。この暑さに加え、色々な事があった。小さく笑い、広がる緑を瞳一杯にシスは収める。
「……この緑の光景、とても綺麗だ」
 フォルテは言葉を返すことはなく丘陵へと目を向ける。あ。とシスが声を上げ、ところで。と子供のように笑う。
「どのお菓子が美味しいかな? フォルテのお奨め希望ー♪」
 霊査士はにたりと笑って見せた。プレーンのスコーンに木イチゴのジャム。おまけに、一つ紅茶と酒を使ったゼリー菓子を。
 礼節を欠かさぬ剣士に、店主は緩やかな笑みを浮かべ主の買い物に訪れていたメイドはほんのりと頬を染める。常と変わらぬ空気を纏いながらも、滲む嬉しさは紅茶と舞踏会というパフィシェの好む二つがそろっている事実か。彼女の定めた店の前トウヤは穏やかな空気を抱く。こうして彼女と2人で出かけるのは久しぶりだ。紅茶ならばまだしも、舞踏会というのは縁がない。慣れぬ、と言えば確かにそうでありだが、と思う己もいる。パフィシェが喜んでいるのなら構わない。
「こちらをホットティ、勿論ストレートで」
 通された席。メニューを指先で辿りながら、パフィシェは笑む。
「おすすめがありましたらそれを。茶葉に包んでいただけますか」
「はい。それでは、季節のものを。……そちらのお客様は?」
「パフィシェと、同じものを」
 程なくして運ばれてきた揃いのカップが、小さな机を彩った。

●休日に紅茶はいかが?
 並んだ茶葉を見ながらメアリーはほう、と息をついた。種類が豊富にあるので、見ているだけでも凄く楽しい。メアリー、と呼ぶ声に顔を上げればルーンが柔らかな笑みを浮かべる。
「良い香りがたくさんだね♪ メアリーはどれにするの?」
「えっと……」
 香りは色のように鮮やかだ。品の良いものから、高く香るもの。フルーティーなものと店先を飾る茶葉を見渡し、彼女は見つけた一つに手を伸ばす。
「あ……これが良い……です」
 それは薫り高い紅茶だった。白銀の缶には珍しい名前が流暢な文字で描かれている。首を傾げればルーンは優しく頷く。小さな手提げ袋と共に受け取って、次はどうしようかと問うルーンにメアリーは小高い丘を指さした。
 楽譜を手に、眉根を寄せていたハシュエルの姿を見つけファオはそっと声をかけた。
「えっと……「休」は、人が受ける幸いと言う字義があるそうです。ハシュエルさんにとっても、素敵で幸せに満ちた日となります様に」
 瞬きの後に、ふわり笑う。ファオさんにとっても、と返された言葉がバザールの天井に響いた。硝子作りの天井は、涼しげな風が吹き込む場所だからか日射しも不思議に柔らかい。ふわりと舞うのは紅茶の香りで、ファオは知らず微笑んだ。疲れた時に紅茶を飲んで、優しく甘い花や果実の香りに包まれれば不思議と感じるのは安らぎと開放感。屋内にいても自然に包まれていくような感覚に、ほう、と心が安まる。
「アプリコットや林檎系の香が特に好きなのですが……お薦めはあるでしょうか?」
 花や果実の類を混ぜて作る紅茶を扱っている店の前で、ファオは指先は逡巡する。
「そうですね……でしたら、青林檎とカシスのものはどうでしょうか?」
 少々お待ちを。
 優雅な礼を一つとり、店主はファオに席を勧め茶器の用意を始める。仄かに香るフルーツの香りに、珍しさを鼻先にガルスタは笑みを浮かべる。
「優雅だな」
 避暑に来た高原で楽しんでいるなど。
 その言葉が、皮肉めいて己に返ってこないのは悪くもないと思う心があるからだ。そう、悪くも無い。ケーキをくずしながら2杯目の紅茶を口に運ぶ。
「……ブランデーを数滴落とすともっと良いかもしれん」
 ブランデーに合うような茶葉はあるのだろうか。
 考えるような呟きは吹き込む風に揺れ、葉を揺らす音に混ざっていく。ポットを傾け、白磁のカップに紅茶をそそぎデューンは笑みを浮かべた。夕暮れの色のような明るい水色。草や花の香味のある繊細で上品な味。満たされる感覚に舌鼓をうち、近くの席で見つけた霊査士に声をかけた。
「フォルテならどう合わせる?」
「ケーキか……。そうだな、ストレートだろう? さっぱりしたタイプのタルトだろうな」
「そうか。調査と霊査疲れの頭を休めたいだろうにこき使ってすまんな」
 霊査士は肩をすくめて笑って見せる。たまにはいいさ、仕事以外に覚えた事がこうも役に立つ。
「ハーブティーには、少し詳しいんですよ……私が選んでいいですか?」
 ふわり、と風を孕んだワンピースの淡い若緑が涼しさを感じさせる。セライアの言葉に、シズハは穏やかな笑みで返す。否を示すはずもなく、結い上げた髪が揺れるのをそっと押さえながら慣れた様子で茶葉を選ぶ恋人を見ていた。レモングラムの葉を選んで、スッキリとした香と味を楽しめるようにとレモンバームやレモンピールをブレンドしたものを。丸い小さなテーブルと猫足の椅子のセットに笑みを浮かべたのはどちらだったか、慣れた様子で硝子カップにハーブティーをいれるセライアの話に穏やかにシズハは耳を傾ける。吹く風は穏やかだった。

●香る紅茶がひらひらり
「よいものがあるといいですますねぇ」
 柔らかな日射しをうけ、仄かに光を抱く白のワンピースを靡かせリリクスは微笑んだ。仰ぎ見たゼランは頷きを見せる。結婚式から時間が経ってしまったが新婚旅行だ。石畳の道を歩き、伸びるバザールを見渡す。茶葉の入った箱を並べた店もあるが、多くは実際に紅茶をいれて客を待っている。
「ん、良い香りですます」
 指先で香りを招き、リリクスは頷く。これを、と短く告げた彼女に店主は宜しければ、と奥の席でいかがですか。と微笑んだ。白で統一された細身のテーブルと椅子で向かい合う。紅茶はあまり飲んだことがないので楽しみだった。何より、それがリリクスと一緒に飲めるのだから。
「おいしい……」
 ほう、と吐息を零すかのように響いた声に唇が緩くなる。微笑みを零すリリクスに見とれながら、カップを口に運ぶ。
「ん。美味しいもの、ですね」
 これは貴方と飲む紅茶。
「リュシス、こんにちわー。用意が未だなら手伝うよ?」
「ありがとう。それじゃぁ少し力仕事を頼んでしまおうかしら」
 通路にも視線が集まってくる。リュシスの演奏、凄く久しぶりな気がする。とテーブルを横にのけたシスは微笑を浮かべた。
「あんまり経ってないのに可笑しいね」
 そう言えばリュシスはふっと笑う。冒険者だという以上会えなくなる可能性もある。そんなの嫌だと思うのだとシスは言った。やって来たハシュエルはふわり、と笑う。僕は歌うことが好きで、こういう場合やったろうかと思ってしまうのだと。
「たまーに、馬鹿かなぁとも思うけど。僕が」
 笑み一つ、苦さを見せないハシュエルの髪を風が揺らす。
「紅茶と草と太陽の香りがして幸せな気分になれるね」
 シスはそう言って微笑んだ。
 白のレースがふわりと風を孕む。青シフォンのオーバードレスを重ねるデザインのドレスは品良く避暑地にはよく似合う。心地よいラウンディーの風を感じながらミルフレアはふわりと笑みを浮かべた。
「お待たせいたしました」
 静かな礼を一つ。老紳士がミルクと香辛料がたっぷり入った紅茶をミルフレアに、イグニースにはセイロンティーとスコーンを置いていく。白磁を基調にしたカップは澄んだ夕日と、甘やかな香りを小さなテーブルに広がらせた。
「あ……お店には、甘いお菓子もあるんだね」
 いろいろ注文して、一番美味しかったレシピを教えてもらおうかな。と零す姿にイグニースは穏やかな視線を向ける。メニューを指先でなぞり、悩む姿を見守る彼はそっと唇に笑みを浮かべた。学ぶ姿勢というものは好ましい、特に愛らしい女人ならなおさらだ。
「舞踏会をするんだろう?」
 羊皮紙を片手に、申し訳ない程度に椅子に腰掛けている。愛用のヴァイオリンが入ったケースを手に声をかけたリュシスは驚いたように振り返って、艶やかに笑った。
「リュー」
「俺にも何か手伝わせてくれ」
「まぁ。心強いわ」
 ヴァイオリン? とかかる声に頷く。毎日ーー戦いの激しかった最近でも欠かすことなくヴァイオリンの練習はしていた。それでも不思議か弾き足りないと思う自分がいる。音楽欠乏症かもしれないな、とリューはそっと笑った。
「またリュシスの弾く音が聞きたいんだ。用事が終わったら一緒に演奏しないか?」
 私でよければ。とリュシスは微笑んだ。
 聴音の音が響けば、流れるように石畳の通りに視線が集まる。ハープを手に小さな椅子で場所をとっていたアリアは、指先を弦に滑らせる。
「舞踏会の手伝いだよね。演奏は任せて! 楽器もいっぱい持ってきたからどんな曲も弾けると思うよ♪」
 嬉しそうな顔をするハシュエルにアリアは頷いた。通路の端、店の近くに演奏を行うメンバーは場所をとった。店主は快く場所を貸してくれたのだ。舞踏会だなんて、あぁ何時ぶりだろうね。と花が綻ぶように笑う老婦人に声をかける孫娘を見ながらアリアは始まりを告げる一音を、奏でる。
「皆様」
 そっとリュシスが礼をする。後に続く言葉は軽やかな舞踏会への誘いと代わり次第に音が増えてくる。紅茶を飲んでいた客の中から、するりと立ち上がり響くのはファイフの音色。ハシュエルがそっと歌い出す。そして、舞踏会が始まった。

●過ぎゆくとき流れる風
 ティルタはふわりと笑みを浮かべ、カップを置いた。かつこつかつ、と踊るような足取りで向かったのは舞踏会をどこか楽しそうに見ている人。
「一緒に、踊りませんか?」
「あ、でも……私は、踊れないですよ」
 ゆるりと首を振る青年は、艶やかな狐の尻尾を垂らす。金色の瞳が申し訳なさそうな色を作るのを見ながらティルタはそっと手を伸ばした。
「簡単なステップは動きながら教えるわ、折角の素敵な機会、楽しまないと損そん!」
 するりと手を引かれ、踊りの輪にまた一組加わっていく。
「え? いつもより活き活きしてますか? ……だって……、紅茶が好きなんですもの……」
 微かに頬を染め、パフィシェはカップに口をつける。味と香りの芳醇さに目を細め、はたりと尻尾がたれる。
「紅茶が好きな事は悪い事ではないし……折角の機会だから楽しんだらどうだ……?」
 舞踏会の音楽が軽やかなものに変わる。心地よさそうに身を任しているパフィシェがそっと目を開き、問うような視線を向けていた。
「舞踏会……トウヤさんの演奏はとても素敵。でも……折角ですから」
 楽器をつま弾く指先が視線に捉えられる。パフィシェと、トウヤは彼女を呼んだ。
「……一曲だけ、一緒に踊って下さいませんか……?」
 問いかける声に立ち上がり、そっとトウヤは手を差し出した。
「あ……」
 それは微かに漏れて出ただけの声だった。始まった舞踏会。茶色の袋を抱えて歩く道すがら、始まったダンスにリリクスはゼランを見た。
「私と一曲、御一緒して頂けますかな? お嬢さん」
 美しい笑みを浮かべ、イグニースは問う。差し出された手に、ミルフレアはほんのりと頬を染めながら自分の手を重ねる。互いの体温が触れあい、柔らかにとける。
「あ、ちょっと待ってて……」
 ふと、思い出したように声を上げたミルフレアがヒールの高い靴を用意し始める。イグニースは表情こそ変えないまま胸裏に潜む切なさと共に彼女を待った。靴を履き替える様は、この関係を象徴しているのかもしれない、と。それを悟られる訳にはいかない。
「ふっ。これで、イグニースさんともっと近くなれたね」
 にっこりと、笑みを浮かべるミルフレアがイグニースに手をとる。少しばかり足元がおぼつかない彼女をゆっくりとエスコートしながら彼は微笑んだ。
「そのように可愛らしい事を言われるとは……、いつもミルフレア殿は私を誉れ高い気分にさせてくれるな」
 そしてワルツが始まる。
「オーラでそこそこ優雅になるだろう」
 口元に手を添え、まぁ、と言ったリュシスはふわりと笑い少しだけならば教えられるわ。とステップを教える。踊り慣れていく人々の様を、カップ片手にルーファスは眺めていた。穏やかな日。演奏の手を休めたアリアは、再度テーブルでスコーンにベリーのジャムをつけて一服付く。偶々訪れていた旅の楽人も加われば、風吹き抜ける舞踏会に相応しい軽やかな音楽が響く。
 あ、と慌てるよな声が響く。かつん、と石畳に引っかかったメアリーの足がそのままルーンのつま先を踏む。
「ルーンさ……」
 申し訳なさそうな声さえも抱き込むように、腰に手を回して距離を詰める。かつん、とメアリーの足はルーンの靴の端をするようにして地面におちた。
「気にしないでどんどん踊ろう♪」
 そっともう一度手をとって、リードを。
「この次は踊る方でいかがですか? 姫」
 次で最後の曲。とりあえずはね。と告げたハシュエルの声を聞きながらリューはチェンバロを弾くリュシスに笑みを向ける。今日の礼をかねた言葉に、リュシスは微笑んだ。
「機会を頂けるのならば、喜んで」
 ハーモニカが可愛らしい音を作る。
「ハシュエルさん次の曲はこんな感じでどう?」
「あ、いいね。それじゃぁ……いこう」
 楽人達の言葉を耳に、セライアの姿をスケッチしていたシズハは筆をおいた。
「よろしければ一曲、お願いできますか?」
「あ……はい」
 少し照れるようにセライアは頷いた。そっと重ねられる手をエスコートするように通路へと出れば、踊り疲れたのか恋人を抱き上げてテーブルへと向かうルーンの姿見える。ゆっくりと、曲は始まる。ティルタはまた1人の手を引き、通りに人が増えていく。ラウンディーに響く音色と誇り高い紅茶の香りが休日を彩っていた。


マスター:秋月諒 紹介ページ
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作成日:2007/09/11
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