<リプレイ>
●到着 肖像画村に足を踏み入れた冒険者たちは、さっそくあちらこちらに絵描きとモデルを見ることができた。綺麗におめかしした女性、仲よさげにくっつく子供たち、鍛え上げた筋肉を誇示する半裸の男。それらに向かい、絵描きたちは楽しそうに筆を振るいキャンバスに色と形をつけていく。 「ここが肖像画村、ね。ふふっ……楽しみ」 深淵の紫天使・アザゼル(a63456)は大量の衣装が入ったカバンを下ろして一息つく。皆、準備は万端だ。 村人たちがやってきた。ようこそわが村へと挨拶する。銀の剣・ヨハン(a21564)が礼を述べた。 「ミュントスには一度足を運んでみたかったので、このような機会に恵まれて大変幸運であり光栄です」 「えと、みなさん、こんな姿ですが……よろしく願いします……」 氷雪の翼・パール(a26513)が言う。村人は様々な格好の冒険者に愉快そうな表情をしている。お互いにいい時間が過ごせそうだった。カップル多めで一人身はちょっと肩身が狭いかなーと瑠璃の太公望・アリア(a57701)は思ったりしたが。 さっそく村の中を案内してもらっていると、絵描きがぞろぞろ近寄ってオファーをしてくる。 やがて描いてもらう人も決まり、おのおの移動していった。
●アヤメ 純情そうな少年絵師は、すっかり赤ら顔だった。 鎧で覆われた四足獣に戦乙女がまたがっている。彼女――爆乳揺れるもの・アヤメ(a02683)の装備は、肩当ての他は胸の先端と股間だけしか隠さないような、きわめてエロチックな魔鎧だ。鎧進化で変形させたものである。 普段はグランスティードには使用しない手綱を右手で握り、左手で美しく透き通る緋色の剣を掲げるというポーズ。 軍団を率いるカリスマのオーラと、熟れきった豊潤な女性美。途方もないインパクトが少年絵師の心を打った。 「タイトルは伝説の女帝・アヤメというところかな」 神聖爆乳帝国の長としてふさわしい絵になるよう、アヤメは考え抜いてこのポーズに決めたのである。 少年絵師はいろいろな種類の興奮を面に浮かばせ、戦乙女を描き始めた。
●ヨハン 冒険者随一の壮大さだった。 2メートルを超える巨躯。鳥の羽のように豊かで腰まである銀髪。その長髪に見劣りしない白銀の武具と黒いマントは、この大戦士をよく際立たせている。正面に向いた青紫の瞳は惚れ惚れするほど爽やかだ。 ヨハンを担当することになった老絵師は、同じ男としていいものを見させてもらったと感慨深げだ。 ヨハンは召喚獣ペインヴァイパーを背後に従え、背筋を伸ばして微笑む。大地を守ると誓った右手の剣は剣礼の形を取り、左手の盾は支えとする。首元の白銀石のペンダントがいいアクセントになっている。そして左腕には、かつての仲間を偲ばせるボルテリオンの護衛士腕章。 剛、麗、優を併せ持った戦士がここにあった。この素晴らしく誇り高き姿は、きっと絵に刻み込まれるだろう。
●パール 屋内で描いてもらう者もいる。 一般家屋の部屋の中で、パールは椅子に座っていた。側の机に燭台を灯し、その周りには燭台の明かりで映えるように真珠を散らして。 彼女は深紅と名づけている赤の双槍を抱いている。持ち主の可憐さと反する身の毛のよだつような鮮やかな武器だが、そのギャップがこの上なくよかった。白いローブや指輪などのアクセサリも絶妙で、やや首をかしげるような仕草も愛らしい。 「カッコよくて可愛いなあ……」 キャンバスに向かって絵筆を動かすのは、パールと同年代の少女だ。憧れのような眼差し。 パールは微笑みを作る。カッコよくて可愛い。それは少女戦士にとって最大の賛辞だった。
●アロルド&ソウゲツ こちらは恋人たち。正確には、近く夫婦になるふたり。 赤い飲兵衛・アロルド(a46033)と月夜に遊ぶ銀猫・ソウゲツ(a54955)は、婚約記念として、一緒の肖像画を描いてもらっていた。 「どうせなら、やっぱりアロルドちゃんのドレス姿を生で見たかったさねぇ」 アロルドは今、普段着を着ているが、絵師にはドレス姿の女性が描かれた別の肖像画を渡し、それを参考に作業してもらっている。同じく普段着のソウゲツも白の貴族風でと頼んだ。完成品は見事に正装し、幸せに彩られた新婚カップルの図となるはずだ。 ちなみにアロルド、実際よりも少し華奢に描くようお願いしている。筋肉を気にする乙女心だった。 「実はあの肖像画、俺の母親なんだ」 そういえば似ているさねぇと納得しながら、ソウゲツは許婚の言葉を静かに聞く。 母親は彼女が成人するずっと前に亡くなったらしい。だけど今日この機会のおかげで、今の自分の姿を母親に見せることができた……そんな気がすると告白する。 「ありがとう、ソウゲツ」 今回誘いを受けてくれたこと。こうして傍にいてくれていること。アロルドは心の底から礼を言い、愛しさで胸を満たした。 ソウゲツは故郷の両親と弟を思い出す。いつか彼女を連れて里帰りできるといいやねぇ……しみじみと思うのだった。
●グリューヴルム&ユーニア もう一組のカップルは、それ以上にアツアツだった。 爆走する玉砕シンガー・グリューヴルム(a59784)は自然体でリラックスできる格好が一番と考え普段着。元気印のひだまり娘・ユーニア(a61676)も普段用の少し裾が短めの可愛らしいワンピース。おかげで一番オーソドックスで魅力的な恋人の図になりそうであった。 もっと近くに寄ってーと言う中年の婦人絵師。さっきからニヤニヤしてる。 「これ以上、近くによると……いや、これでもう息がかかるくらいに近いんだがっ」 「んー、じゃあ〜こういうのは?」 チュッ☆ と頬に軽いキスをお見舞いする悪戯娘。ものすごく赤くなって照れるグリューヴルムは、お返しだーと開き直る。 小動物がじゃれあうようにキスの応酬をするカップル。そんな中、本物の小動物がぴょこんとやってきた。 白猫、黒猫、温泉ハムスター、白い小猿。ふたりが連れてきたペットたちだ。魅了の歌で邪魔しないように頼んでいたのだが、なにやら自分たちも描けとわめいている。 「自重しろ!」 グリューヴルムの喝もむなしく、騒ぎはますます加速する。婦人はふふふと笑いながら筆を操り続けた。
●ルビナス 「私、こういうのって慣れてないので、普通のでお願いします」 我は破滅を断つツルギなり・ルビナス(a57547)は椅子に座り、特にポーズは決めずにいる。だが緑色をベースに流れるような白が特徴のワンピース、胸のオレンジリボンがとても可憐だ。 「あ、この愛剣は絶対に描いてくださいね♪」 それでいて、椅子に立てかけた魔術大剣エルダーアークが、大きな存在感と銅色の輝きを主張している。 そして彼女は、戦場に立っているかのような凛とした表情を作っている。 シンプルだが、この翔剣士は描き手の創作魂を掻き立てずにはいられない。 戦いに臨もうとする美女はなぜこれほど胸を打つのか……絵師は夢中でキャンバスと格闘するのだった。
●アリア 「ドリアッドの誇り、自然への愛を忘れたくない。だから自然の中で描いてほしいの」 アリアは絵描きにそう要望し、村の外れの花畑を舞台としていた。自分の心というかイメージを描いてもらいたい、そう付け加えて。 「このドレス着るのも久しぶりかな。フォーナを思い出すと、くすぐったい気持ちになるね」 白レースのドレス、そして青い薄地を重ね着している。どのパーティーに顔を出しても喝采を浴びるだろう華やかさだった。結わず背中に流す長髪は、少女的でありながら大人びている。これまでで最高のモデルだ、と絵描きは言った。 アリアは椅子に座り、羽根の銀細工をあしらったハープを弾く。 緩やかで優しいメロディ。自然に身を任せるような、背景の花畑との一体感がある。絵描きはどこか畏敬の念さえ抱き、このドリアッドの少女を完璧な形にしようと精神を集中させた。 この世界がいつか争いもなく愛が満ちるように――そんな儚い願いをこめて、彼女は歌い続ける。
●ラーズ&クゥ リザードマンを見るのは初めてだったのか、黄昏の守護竜・ラーズ(a64111)と小さき武道家・クゥ(a62976)の両名を担当する少年は、目をキラキラさせていた。 忍び装束と鎖帷子、加えてクマドリの様な紋様のついた仮面を被るラーズ。 兄とおそろいの白い忍び装束を着て、白い布で顔を隠しているクゥ。 一般人とはかけ離れた装いが魅力的なのだろう。少年はしきりにカッケー! と口にしている。 「いつもの服ではないと落ち着きませんね……でしょうクゥ?」 「うん、ちょっと落ち着かないのです……でもお兄ちゃんとおそろいだから僕すごく嬉しいのです♪」 背中合わせに立つ彼らの姿は、王道でありながら斬新である。 ラーズは握った苦無を胸で構え、背中越しに弟を見て嬉しそうに微笑んでいる。クゥは片手で拳を作り――もう片方でノソぐるみを抱えるというなんとも可愛い図だった。 「背中が温かいと安心しますね……」 「僕はお兄ちゃんと一緒にいるだけで安心なのです」 仲良し度では、どのカップルにも負けないほどだった。
●アザゼル アザゼルはしばらく村巡りをして地獄の生活を観察すると、同じ旅団のグリューヴルムやパールやユーニアの衣装を眺めに行った。 「ふふふ……どんな服装にしたんだい? おや、グリュはせっかくなのに普段着か」 「これでいいんだ」 着飾るのは挙式の時――そう小声で言う仲間にクスクスするアザゼルだった。 そんな彼女も、ようやく絵師とキャンバスの前に立った。 右手の人差し指を少し折り、唇に当て、左手で右腕の肘を押さえている。夜の歓楽街で見かけるような、アダルティックなポーズ。軽く含み笑いをするとさらに色気が増す。 「滅多に着ないから……少し、恥ずかしいな」 黒くシンプルなデザインのそのドレスは、胸元が開き身体のラインがありありと出ている。今回の参加者の中では、アヤメと並ぶセクシー度の高さだった。 絵師はアザゼルと同じ妙齢の女性だったが、参りましたという苦笑いを浮かべてキャンバスに色をつけていく。
● 数日の滞在を経て、ついに全員の肖像画が完成した。 二人組にはひとつしかプレゼントできない、ということはなかった。複製を得意とする者が、寸分たがわぬもうひとつを描き上げたのだ。 「いつかクゥと一緒にこうして闘いたいですね……」 「僕もお兄ちゃんと一緒に戦ったりしたいのです〜♪」 そういうわけで、ラーズとクゥもご満悦。文句なしの出来栄えだった。 「肖像画……ありがとうございます……ずっと、大切にします……」 「ふふふっ……ありがとうございました……」 パールとアザゼルが紅潮しながら感謝する。こちらも楽しい仕事だったよと、絵描きたちは揃って答えた。 しばらくの間、他のメンバーと絵を見せ合って和気藹々と感想を言い合う。美術館に置きたいくらいだ、なんて意見も。 「わ〜、やっぱルビ姉はカッコいい系でいったんだね。逞しい感じする。……誉め言葉だってば!」 ストレートな意見のアリアだった。
そうして、冒険者たちは自分の絵を抱え大満足で帰途に付く。村人総出の見送りだ。 「大変だったけど楽しかったね〜!」 「ああ、いい村だなぁ。また描いてもらいに来ような」 笑顔で語るユーニアとグリューヴルム。 また来たい。これ以上ないほどそう思わせてくれる村だった。

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参加者:12人
作成日:2007/09/10
得票数:ほのぼの11
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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