酒場のネズミ



<オープニング>


●酒場のネズミ
 モンスターの影響で凶暴化したネズミの群れ。
 ネズミ達が向かった先は、村の酒場。
 酒場の地下には貯蔵庫があり、高級な酒だけが眠っている。
 ネズミ達を操っているモンスターの名は、クマネズミ。
 その名の通り、熊のように巨大な体躯のネズミである。
 クマネズミが好むのは、高級な酒。
 いわゆる違いが分かるモンスター。
 早くクマネズミを退治しなければ、貴重な酒が飲み干されてしまう。
 常連さんがボトルキープした酒もあるので、必ず退治してほしい。

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参加者
六風の・ソルトムーン(a00180)
笑劇の伝道師・オメガ(a00366)
猫又・リョウアン(a04794)
光と影の輪舞曲・アディルード(a09456)
神音・ケニー(a10772)
銀の剣・ヨハン(a21564)
突貫爆砕・ウィルダント(a26840)
月花の翼・ウピルナ(a30412)
全開・バリバリ(a33903)
依頼依存症・ノリス(a42975)
密偵・ロジャー(a58160)
暁闇視人・ヴェルシオ(a64030)


<リプレイ>

●酒場のネズミ
「おっさっけ〜♪ おっさっけ〜♪ お酒の中にはアルコール〜♪ アルコールが無ければナイコール〜♪」
 まったく酔っていないのにも関わらずハイテンションで、光と影の輪舞曲・アディルード(a09456)が楽しそうに鼻歌を歌う。
 今回の依頼は彼女が大好きな酒の絡んだ依頼。
 そのため、一滴も酒を飲んでいなくとも、自然とテンションが上がってしまう。
「それにいつも冒険者の酒場にたむろしている身としては、酒場が使えない状況というのは気持ちのいい物ではありませんね。退治が終わったら掃除も手伝わないと……」
 マスクや手袋をはめて完全武装し、銀の剣・ヨハン(a21564)が気合を入れた。
 酒場で繁殖したネズミは様々な病気の媒介者であり、攻撃する事によって感染する可能性が高い。
 もちろん、毒消しの風を使えば予防する事が出来るのだが、精神的にどんよりとした気持ちになってしまうので注意しておく必要がある。
「ネ、ネズミの巣窟って……。なぜ、重傷中の私が、こんな悪い菌に感染しそうな所へ、来てしまったのかしら……。ふ、不潔だわ……、不潔よ……。とにかく、こんな不潔な場所は……、すぐにでも、消毒しないと……。消毒と言うとやはり……、一番いいのは……火……かしらね……」
 怪しく瞳をギラリと輝かせ、月花の翼・ウピルナ(a30412)がボソリと呟いた。
 ウッカリ酒場を全焼させてしまうかも知れないが、その場合は……見なかった事にすればいい。
 なんとなく夢だと思っておけば、いずれ良い思い出になるはずだ。
 そんな黒い思いが浮かんでいるが、実際にやるかどうかは酒場の状況次第である。
「……なぜだろか。ネズミに対する激しい怒り……。どんな手段を使ってもネズミを倒さなければいけない気がする……。これが……運命と言うものなのか……」
 クールな表情を浮かべながら、六風の・ソルトムーン(a00180)が酒場を睨む。
 それと同時に酒場からネズミの群れが飛び出し、ソルトムーン達の横を通り過ぎていった。
「ううっ……、悪夢が現実のものに……。早くどこかに消えてくれ!」
 青ざめた表情を浮かべながら、依頼依存症・ノリス(a42975)がネズミを踏む。
 グニャッとした感触が、足の裏から脳味噌に伝達される。
 激しい後悔と共に、足を上げるべきか悩むノリス。
 そして……、仲間達の冷たい視線。
 色々な意味で悪夢が……、現実のものとなった。
「元気を出してください。あなたの勇気ある行動で、ネズミの逃亡を阻止する事が出来たのですから……。ある意味、偉大なる一歩です……」
 なるべくノリスを刺激しないような言葉を選び、神音・ケニー(a10772)が乾いた笑いを響かせる。
 ここでノリスが暴走すれば新たな惨事を生む事になるため、逃げ出そうとしていたネズミの群れに眠りの歌を歌って酒場に乗り込んだ。
 酒場の中はネズミの巣窟と化しており、ケニー達の存在に気づいて瞳をギラリと輝かせる。
「そういえば随分前に預けた高級ビンテージワインが、ちょうど飲み頃になってる時期ね。依頼が終わったらちょっと飲んじゃおう♪ ああ、ドキドキが止まらない……。早く小汚いネズミを倒して、ワインを飲むわよ……って、あそこに転がっている酒瓶って……まさか」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、アディルードが汗を流す。
 ラベルに書かれた名前は……、アディルード。
「……初めてよ。あたしをここまでコケにしてくれたお馬鹿さんは……。絶対に許さないわ、この腐れドブネズミがっ!」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、アディルードが薔薇の剣戟を発動させた。
 彼女の酒を飲んだのはクマネズミだが、怒りで我を失っているせいで、手当たり次第にネズミを切り刻んでいく。
「不潔な鼠になど、ほんの毛一筋程でも、触れてたまるものですか……! だって、不潔なんだもの……。放って置くと、どんどん増えて、食べ物を齧って、黴菌をバラ撒いて、グドンと結婚(繁殖の事らしい)して、仕舞いには合体して、世界に、取り込んだ洗濯物が、微妙に湿っている様な感覚に似た、そこはかとない不幸を、もたらすんだもの……!」
 一気に妄想を大爆発させて、ウピルナが奇妙な事を口走る。
 半ばパニックに陥っているため、自分でも何を言っているのか分かっていない。
「お、大人しくしていなさい! 走り回るんじゃありません! ああっ、こっちに来ないでくださいっ! うっ……、酸欠」
 ヒット&アウェイを繰り返しながら、ヨハンがネズミの群れを追い詰めていく。
 しかし、派手に動き過ぎたため、紅蓮の雄叫びをあげて床に突っ伏した。
「だ、駄目だっ! このままじゃ……、やられる!」
 具現化した悪夢を一掃するため、ノリスが砂礫衝を使ってネズミの群れを吹き飛ばす。
 次の瞬間、ネズミの群れが舞い上がり、空中に奇妙な形を作り出した。
 それはノリスの見た幻。
 ネズミの群れが作り出した巨大なG(ゴキブリ)!
 そこでノリスの理性が吹き飛び、バーサーカーの如く暴れまわる。
「ノリスが……、覚醒したな」
 椅子に腰掛けたまま酒を煽り、ソルトムーンがスーパースポットライトを放つ。
 酒が……、美味い。
 一瞬、戦っている最中で忘れてしまうほど、辺りには美味い酒が転がっていた。
 逆の言い方をすれば……、戦っている場合ではないのだ。
「……って、本来の目的を忘れていませんかっ!」
 ハッとした表情を浮かべ、ケニーがすかさずツッコミを入れる。
 危うく偉大なる衝撃を思ってツッコミを入れようとしたが、それこそ本来の目的を忘れているので止めておく。
「馬鹿を言うな。本来の目的は酒を……。いや、気にするな!」
 刃物のように鋭い視線をケニーに送り、ソルトムーンが紅蓮の雄叫びを放つ。
 それと同時にネズミの群れがマヒ状態に陥り、次々と冒険者達によって倒されていった。
「はっ……、私は今まで何をっ! ネ、ネズミさんが……倒されている……」
 むせ返るほど濃厚な酒のニオイに気づき、ヨハンが慌てた様子で目を覚ます。
 いつの間にかネズミが駆除されていたらしく、仲間達が呑気に酒をガブガブと飲んでいる。
「ぷっはー! 美味しい〜♪ いやぁ、五臓六腑に染み渡るわ〜♪ よく見たらあのラベルに書いてた名前、アディルードじゃなくてアディノレードだったわ。焦ってて気付かなかった……。あたしったら、お茶目さん♪」
 浴びるように酒を飲みながら、アディルードが恥ずかしそうにてへっと笑う。
 何かあった場合は……、すべてネズミの仕業にすればいい。
 真実を知る者は、この場にしかいないのだから……。
「ううっ……、貴重な酒が次々と空に……。俺は何も見ていないぞ! きっと悪い夢の続きを見ているんだ」
 自分自身に言い聞かせながら、ノリスが気まずい様子で視線を逸らす。
 今さら止めても無駄なので、とりあえず夢だと思うしか無さそうだ。
 例え真実を語ったとしても、得する事などないのだから……。
「さてと、後は貯蔵庫だけね。……いっそ消毒のために……、燃やしてもいいかしら? 仲間達もそのうち帰ってくるだろうし……、すぐ終わるわ」
 含みのある笑みを浮かべながら、ウピルナが貯蔵庫に歩いていく。
 そのため、仲間達が必死になって、彼女を止めに入るのであった。

●クマネズミは生ゴミの香り
 一方その頃……。
「……キノコが生えているネズミなんて初めて聞きましたよ。世の中には奇妙なモンスターが存在しているんですねぇ。……相手は不潔なクマネズミ。爪で引っかかれたりすれば、病気になってしまうのも当然でしょうね」
 しみじみとした表情を浮かべながら、闇夜の霊剣士・ロジャー(a58160)が遠眼鏡を覗き込む。
 貯蔵庫にはクマネズミが陣取っており、酒樽に詰まったワインを飲んでいる。
「急いで駆除しないと酒樽やコルク栓にクマネズミの臭いが染み付いて、香りを楽しむような酒は全滅するかも知れませんね」
 貯蔵庫に臭いが充満しないようにするため、猫又・リョウアン(a04794)が入り口の扉を固定した。
 それと同時にクマネズミが唸り声をあげ、生ゴミのようにクサイ息を吐く。
「口に入れる物がある場所が不潔になっては衛生上良くないですからね」
 クマネズミと黒光りする高速のアレを重ね合わせ、暁闇視人・ヴェルシオ(a64030)が乾いた笑いを響かせる。
 ネズミの方が多少はマシだと思っていたが、モンスターを見てから考え方がガラリと変わった。
「ハッ! 高級なモン狙うワリにゃあ、犯人は全然それっぽくないよなァ。……とはいえ(ま、折角だから美味そうなモン、何本か見繕うかねねェ)」
 邪悪な笑みを浮かべながら、突貫爆砕・ウィルダント(a26840)がクマネズミを睨む。
 高級な酒はほとんど飲まれてしまったようだが、一本も残っていないというわけではない。
 クマネズミを早く倒す事が出来れば、それだけ高価な酒にありつけるというわけだ。
「とにかくクマネズミを倒すなぁ〜ん」
 だんだんキナ臭いニオイが漂ってきたため、全開・バリバリ(a33903)がクマネズミと対峙する。
 クマネズミはダラダラとヨダレを垂らしながら、冒険者達を威嚇するようにして牙を剥く。
「ヘェ、こりゃあまた面白そうな風貌してるじゃねェか! よっしゃクマネズミ! テメェに決めた!!」
 貴重な酒よりもクマネズミのキノコに興味を持ち、ウィルダントが瞳をキラリと輝かせる。
 しかし、クマネズミのキノコは崩れやすいため、掴んだだけで跡形も無くなってしまう。
「クマネズミなんて一撃で屠ってくれる! ……って、待てよ? あの貯蔵庫には俺の酒が眠っていたような気が……。いっ、いかん! このままでは『ブルマ酒』が飲まれてしまう!」
 青ざめた表情を浮かべながら、笑劇の伝道師・オメガ(a00366)がダラリと汗を流す。
 ブルマ酒はチキンレッグ領の辺境で見つけた貴重な酒。
 この酒はブルマイト鉱石が採れる場所でしか造る事の出来ず、天然物のブルマを漬け込んだ事によって生れる紺と臙脂の絶妙なハーモニーがたまらない。
 もちろん、オメガにしか価値が分からないため、現地ではまったく飲まれていないのだが……。
「それにしても……、凄いニオイなぁ〜ん」
 魂の抜けた表情を浮かべ、バリバリが自分の鼻を摘む。
 クマネズミの身体から異様なニオイが漂っているせいで、だんだん気分が悪くなってきた。
「た、確かに……、耐えられるニオイではありませんね。やはり……、キノコを引き抜こうとしたのが、いけなかったんでしょうか?」
 魂の抜けた表情を浮かべ、ヴェルシオがグッタリとする。
 あらかじめ鎧進化を使って守りを固めておいたが、両目にキノコの胞子が入ったせいでとても辛そうだ。
「このクマネズミは生かしておいたら、また繁殖するし臭くなりそうですね。さっさとトドメを刺さなければ……」
 鎧聖降臨を使って仲間達の守りを固め、ロジャーがクマネズミに兜割りを叩き込む。
 それと同時にクマネズミの身体から胞子が舞い上がり、貯蔵庫の中が異様なニオイに包まれた。
「……これは俺の愛したブルマ酒の分だっ! 喰らえ、そんな貧弱なキノコで俺のキノコに勝ったつもりかパーンチ!」
 大量の胞子を吸い込んでラリラリとしながら、オメガが雄叫びを上げて必殺のパンチを叩き込む。
 その一撃を喰らってクマネズミの右肩が吹っ飛び、大量の菌が混ざった返り血を全身に浴びる。
「仕方がありませんね。しばらくトラウマになりそうですが……」
 剛鬼投げを使ってクマネズミを放り投げ、リョウアンが一気に間合いを詰めて破鎧掌を炸裂させた。
 大量の返り血を浴びて、咳き込むリョウアン。
 それでも怯む事無く、クマネズミに渾身の一撃を叩き込む。
「眠れ! 眠れー! そして倒されろー!」
 狂ったように悪魔のギターを掻き鳴らし、オメガが眠りの歌を歌い出す。
 次の瞬間、クマネズミが眠りの世界に旅立ち、棚に並んでいた酒瓶が次々と落下して割れていく。
「おらおらおら! くたばりやがれ!」
 だんだんニオイがきつくなってきたため、ウィルダントがワイルドキャノンを撃ち込んだ。
 それに合わせてバリバリがデンジャラスタイフーンを発動させ、クマネズミの身体を切り裂いていく。
「これで……、さよならです」
 疾風斬鉄脚を炸裂させ、リョウアンがクマネズミを倒す。
 クマネズミは床に突っ伏したまま、辺りに血溜まりをジワリジワリと作り出す。
「……クマネズミの後片付け。どうしましょうか?」
 疲れた様子で溜息をつきながら、ロジャーがクマネズミを睨む。
 クマネズミは異様な匂いを漂わせ、ドロドロに溶けてスライム状になった。
「後で消毒した方が良さそうですね」
 ヘドロのようなニオイが漂ってきたため、ウォルシオがジリジリと後ろに下がっていく。
 そのため、貯蔵庫の中から高価なワインが、次々と外に運ばれていくのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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