ユディト・コンプレックス 〜時のいとし子達〜



   


<オープニング>


 ねぇ。誕生日って、何を祝う日か知ってる?
 あなたがこの世にあなたとして生まれた事を、祝う日なの。

 ヨハナ・ユディト(a90346)は中庸な女だ。故に強いて彼女の特徴を挙げようとすれば、それは全て趣味嗜好の話となる。寒がりで厚着を好み刃物よりは鈍器を愛用、酒は大して呑めぬ反面酒の肴の様な料理は好む――等々。
 とは言え彼女に個性がない訳ではなく、聖女の如く心穏やかに生きている訳でもない。人並かそれ以上に感情的な面もあるが、唯彼女は何事にも偏らぬ事を心掛け、肩肘を張り背筋を伸ばしている。憎しみを抱く心があるならば、その倍の理性で克己すれば良いと信じて。
 そんな彼女の性向に唯一偏りがあるとすれば、色事に纏わる事柄だろうか。何処となく浮世に気後れを感じ、体面として知らず控えめな装いに偏り、平時重い鎧の上に分厚い服を着込んでいる事が多いらしい。
「でも偶にふと、肩が凝ってると気付いて疲れる事もあるわ」

 だから今日は、一年間頑張ったあなた達と私へのご褒美の日。
 ちょっとだけ軽やかな服を着て、ちょっとだけご馳走を食べに行ってみましょう。
 皆で街角の服屋さんを見て回れば、きっとお気に入りの服も見付かると思うの。馴染みの酒場に一晩の貸切もお願いしてあるわ。一緒に街角で新しい服を買ったら早速着替えて、酒場で取り留めのない話でも出来たら嬉しいわね。音楽や歌を聞かせてくれる人や芸事をお披露目してくれる人も、歓迎してる。
 近々誕生日を迎える……それから迎えた人達の為に、贈り物の服を買いに来る人達も遠慮なくどうぞ。あすこのお店は、飲み物もお料理も美味しいから。食べるだけでなくってお料理の腕を振るいたい人も、酒場の厨を借りられるから安心して。

 過去を振り返ればきっと誰にだって、二度とは戻りたくないと思う事や、眠れない程の悔しさや悲しみもあるでしょう。けれどそんな痛みもいつか、甘やかな追憶に変わるのかしら? 見てくれの通りの年月しか生きてない私には、まだ思いも付かないけれど、それでも。今迄出会った……これから出会う沢山の大切な人達がいればきっと、お婆さんになる頃には昔話みたいに、自分の歩んで来た道の全てを、優しく語れる様になれるって信じたいな。
 そうして今はたどたどしい真似事でも、いつか本当に悲しみも涙もすべてを容れられる日まで、また一年。喜怒哀楽と月日を積み重ねて、私達は生きて往くの。

 この世に生まれて、おめでとう。あなた達と……私。
 よく頑張りました。これからも頑張りましょう。
 今日だけは、ささやかなご褒美を満喫して。

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参加者
NPC:ヨハナ・ユディト(a90346)



<リプレイ>

●Alternare
 路傍の樫に囀る鶫が一つ鳴き、秋桜の微風は涼やかに薫る。

 フィードは青天を仰いだ。直に秋も過ぎ、寒がりな相棒には辛い季節が訪れる。
(「淡くも冷たい雪から、彼を守れる物を探そうか」)
 相棒の喜ぶ姿、ささやかなお礼と笑顔。それらが自分に向けられると言う、淡い望み。期待と祝福を胸に、扉へ手を伸べた。
「んーと、カインは服とかに気ぃ遣う人やったか?」
 カンナはカインを振り返り、慣れぬ様子の横顔を慮る。
「……折角やし見立てて上げよかね」
 華やかな店先の雰囲気を窺う夫を、彼女は手招いた。
「キリオ様、吾とデートして頂けませんか?」
 チグユーノが蜜花の束を差し出す。纏め髪は血色の羽飾りで彩った黒いシルクハットに仕舞い、白シャツと黒燕尾。コルセット、黒いショートパンツ、ニータイツ――徹底してボーイッシュな装いの友に、毎度奇矯な事だとキリオは一つ瞬く。私、高くてよ。服選びの意見を乞う少女に囁いた。
「……冗談よ」
 困じる姿を楽しげに眺め、彼女は指先を差し出す。

 凛、とドアベルが鳴る。広々とした店内に並ぶコルサージュやショールを見渡せば、迷うばかり。シンシアは贅沢な悩みに頬を紅潮させた。
「『可愛い』ってどんな感じなんだろう……」
「うーん、多分鎧ぽくないのの事……」
 リュナスとユディトが、要領を得ぬ会話に首を捻る。折角だからと思いつつ、可愛さの概念自体が掴めず主体性もなさげだ。
「これが似合いそうなぁ〜ん」
 キャニは悩める女重騎士の袖を引く。寒さも増して来たからと、ハイネックのニットや立襟のケープを彼女の胸元に次々宛がってみた。傍らのリュナスも兎角試着をして意見を聞こうと倣い、秋らしい飴色のクレリックシャツに手を伸ばす。
 いざずらりと並ぶ垢抜けた上着類を前に、スズは己が戦を意識した衣服しか持っていない事に気付く。取り敢えず店員を探しに店奥へ向かえば、見慣れた顔と出くわした。
「ど、どうしたのソフィア」
 店奥でお針子に勤しむ既知の少女を、ユディトが窺っている。聞けば恋人の為に服を買うにも懐が寒く、服を御代に雇われの身となったそうだ。
「赤貧は辛い、かも……」
 思わず生活苦が滲み出るが、仕事は怠らない。胸が、と声を潜める女の手からドレスを受け取った。

「似合うかな……」
 男物売場の一角で、夕暮れ色のジャケットをユディエトの肩に当てるウィルア。首を傾げる彼女の姿を鏡越しに見、彼は穏やかに微笑む。買物自体より、買物を楽しむ彼女と共に過ごす時が心地好かった。
 一方ドレスコーナーでは、連れに見立てを頼まれた男性陣の姿が散見出来る。
「似合うよ……コーシュカ」
 秋空色のベルベットドレスを早速纏えば、ヴァルが讃える。目移りも沢山したが、彼に見立てて貰って良かった。久し振りのデートというだけでも地に足が着かぬ心が、更に舞い上がる。
「ヴァル様にもお見立てしますわ」
 ふわつく足で転ばぬ様、愛しい者と手を繋ぐ。薄茶のシャツが彼に似合いそうだと、思い浮かべながら。
「何か企んでないでしょうね? ドッキリとか」
 折角の機会は楽しみたいが、誘い主は日頃憎まれ口を叩き合う相手だ。レムは懸念を見せるが、誕生日位労うからとラグゼルヴは軽くあしらう。それにしても、『白い服』という漠然とした条件の見立ては案外難しい。
「……大福の着ぐるみで良いんじゃないの?」
 唸る拳、躱す少年。風を切る音がした。

●Optio
「偶には鎧を外して、ゆっくりする事にゃ」
 チキチキータは隣で難しい顔をしているアスラに、ゆったりとした浴衣を手渡す。
 フードファーケープを品定めするキリオの横肩に、チグユーノがロイヤルブルーと黒レースのワンピースを宛がう。青は余り持合せがないらしく、小娘は物珍しそうに袖口を合わせて見比べた。いつもと違う感じで素敵だと、少女は蠱惑の笑みを浮かべる。
 珍しく買物に誘う上、好きな服を買ってくれるとは如何な風の吹き回しだろう。オヴェリアは弟に尋ねた。何でも良いから一つ選べと、ハーゼは面倒そうに呟いて後頭を掻く。姉に誕生プレゼントを贈ろうと思えど、やはり普段やり慣れぬ事は照れ臭い。
「でも、折角だし甘えちゃいましょう」
 決まり悪そうな弟の手元にあれもこれもと、姉はドレスを積み始める。
「え……いや、姉ちゃん一つだって!」

「同盟のお洋服って、実はまだ持ってないんだ」
「ユユも同盟に初めて来た時は、可愛いお洋服が一杯でびっくりしちゃったんだよ」
 リンは紺青のショートドレス、ユユは金糸花のワンピースを翳し合っている。カロアが銀白色のドレス片手に鏡を覗くと、二人の仲間と、店奥でお針子と話す女重騎士の姿が映った。彼女達の淡色の髪には、濃色のドレスがさぞ似合うだろう。そう思うと少しばかり羨ましい。
 一方店の外では、とうに濃紺のスーツを買い終えたカルアが独りで体育座りをしている。女の買物って、何でこんなに長いんだろう。軽く咳払いし、腹に空気を満たす。
「素敵なお洋服素敵なお洋服♪ ……?」
「♪硬いばかりが能じゃない〜 ……♪」
 漸く着替え終えたリン達が外に出ようと扉を開いた瞬間、奇妙な鼻歌が屋外から聞こえて来た。カロアは不吉な予感に目を見開くが、直に歌は聞こえなくなる。

「べ、別にボクが着る訳じゃないんだからね!」
 トミィは店員の何食わぬ問いを真っ赤になって否定した。知り合いの誕生日プレゼントなんだから。彼は綺麗に包装されたジョーゼット地のアンサンブルを大事に抱え、足早に戸口を目指す。夕焼け色のワンピースにユディエトから貰ったアクセサリーを着け、夜空色のコートを羽織ったウィルアは彼と肩を並べ静かに歩んだ。
 誕生日――大切な人がこの世に生まれ落ちた日。それは二人が巡り会う為、なくてはならなかった始まりの日であり、自分にとっても喜ばしい日だ。フィードはその幸いに深く感謝し、天鵞絨の外套を腕に涼やかな街路を歩む。太陽は西に向かい、吹き抜ける風は幾許か乾いた冷たさを増していた。

●Vesper
 薄暮の櫨色に染まる煉瓦を踏み、小径を数度曲がると小さな居酒屋に辿り着く。扉を潜れば甘い香草を含んだ暖かな微風がふわりと擽った。朴の木目を生かした香染の卓に、蝋燭の飴色が揺らめく。

「誕生日おめでとう」
「新たなる一年にグリモアのご加護があります事を」
 臙脂と海松のイヴニングドレスを着たユディトに、スズとソフィアが祝辞を重ねる。無事恋人に贈る濃紺の礼服を手に入れ、自らも真紅のドレスを纏ったソフィアの姿を女重騎士が讃える。頬を染め、十八に婚礼の式を挙げる予定だと報告するソフィア。目を丸くして祝辞を返すと、ニューラが『Let there be light』と彫られた銀のグラスチェーンを手渡した。早速着けてみるわと、彼女は嬉しそうに眼鏡を外す。その肩をスズが突付いた。慌てて眼鏡を着け振り返れば、小さな蒼白の鋼細工が渡された。
「これは……」
 月下美人。白華の名を冠した武器飾りを示して咳払いした青年は、その花言葉が『強い意志』だと教える。
「ユディトに似てるなぁって……そう思ったんだ」
 次第に落着きのない様相に変わる青年に、大事にするからと柔らかに礼を告げた。
 足跡と未来に、乾杯。
 来年も共に祝える様に、願いを込めてグラスを掲げる。
「おめでとうなぁ〜ん」
 大きなサラダボウルを抱えたキャニがカウンターから出て来た。ランドアースの果物は小さくて切らなくて良いから便利だ。そう笑顔を見せる彼女の手元には、皮を剥いただけの丸ごとフルーツにヨーグルトソースをかけた代物があった。フルーツサラダ、らしい。女重騎士は眉尻を下げて礼を言い、アップルサイダーの瓶を傾ける。
「スズ、キャニもお誕生日おめでとう」
『忘れてたなぁ〜ん』と少女は頬を掻いた。
 リュナスはほろしとしたマロングラッセを味わった後、静かに語り始める。普通の女の子だった頃の夢、それらを捨て冒険者になる決意――思い出すと少し擽ったいと、彼女は零す。
「ささやかだけど、私が今の私でいる為の大切な一欠片」
 女重騎士は目を伏せ、何でもない時間程掛替えのない物はないと頷く。
 二人掛けの卓では、ファンバスとエリソンが談話していた。丸い皿に盛られた丸い葡萄を肴に、霊査士は染まった頬でワインを次々と空けている。顔色ばかりは直に変わるが、酔いは浅い体質らしい。

♪ホリスマホリホリ〜 アーマーナイト〜♪
 俄かにカルアが調子外れな鼻歌を歌い始めた。傍らのカロアが愕然と目を見開く。弟はその歌声で、森の愉快な仲間達を一匹残らず精神的に葬った経歴の持主だ。姉は震える足で彼の背後から仲間達に向け、『断固阻止』のジェスチャーを始める。
「エル・オー・ヴイ・イー……」
「カニ……鋏……」
 妙な形相でカクカクと動くカロアに、リンとユユは眉を顰めた。
「……ラヴ?」
「……カニ食べたい?」
 どちらも違う。
「ご注文の『夫婦蟹のグラタン&リゾット』です」
 卓上に給仕が大皿を置いた。大小二対の蟹の甲羅にクリーム風味の蟹グラタンとトマト風味の蟹リゾットを盛った、カップルに人気の『愛ある蟹料理』だそうだ。
「ち、違うドリー!」
 でも食べる。
 オヴェリアに呼ばれて卓に来たユディトが、『お友達よね?』と彼女らを指す。ハーゼは唯遠い目をして曖昧に濁した。
「……スランプかな。やめておこう」
 事の発端となったカルアは咽を擦り、ヴァイオリンを手に取った。
「ユユも歌うんだよ♪」
 やがて始まる高らかな歌声と艶やかな音色。リンは微笑んでその音に耳を傾けた。
 見知らぬ者達への遠慮が勝ち、独り静かにカウンターでプッシー・キャットをちびちびと飲んでいたトミィも、漸く勇気を出して扇を両手に立ち上がる。
 小柄な身体がしなやかに廻り、華やかな蝶の舞を踏む。本来は炎を伴う野外の舞だが、屋内向けのしとやかなアレンジを施した。神秘と幻想の舞踊にハーゼが手拍子を始めると、それはやがて酒場中に広がった。
「あちらのお客様からです」
 舞踊と楽に見入るユディトの前に、シードルジュレの小さな器が置かれる。示された先に礼辞を上げれば、コーシュカと語らうヴァルが手を上げて応じた。

●Nox
 宵の深縹が窓辺を染める頃合。
 女重騎士の横顔を見ていたシンシアは、不意に己の思考に埋没しかける。今日の集いに誘う言葉を聞いた時、無性に泣きたくなった。戦乱の中、誰がいつ居なくなってもおかしくない怖さが込み上げもした。けれど、祝いの席に似合わぬ言葉は噤むのみ。
「……素敵なお洋服を汚しません様に」
 面を上げ、唯微笑んで女重騎士の肩に生成りのスカーフをそっと巻いた。自分の身形に気を配れる人間が、自らに気後れを感じる必要はないと語れば、肌の線が出る装いには含羞が勝ってつい避けていたとユディトは答えた。
「それでも夏頃、久々に浴衣なんか着てみて、軽いのは偶にも良いかなって思ったの」
 涼を求め霊査士が席を立つと、手持ち無沙汰のファンバスが歩み来る。他人に向けた負の感情は解決し得ず、己の裡に溜まる一方だ。故に他人に嫌悪感を抱きそうな時は、自責と共に飲み込む事にしていると述べれば、良く解るとユディトが頷く。
 でも、人を許すのってきっと難しい事――
 ニューラはグラスを呷り、他人に存在を否定された過去を語る。
「私も自分を善人だと思ってないから、仕方ないのかなって。迷惑を掛けた分取り戻そうって、頑張ってはいるけど」
 さもすれば己への否定を並べそうになり、彼女は軽くかぶりを振るう。こんな駄目な自分だけど、やはり人に殺意を向けるのは無理そうだ。御免。自らに苦笑して零した。
「貴女も『重い』人なのね」
 女重騎士は困った様に首を傾け、似て非なる重荷を背負う女が弄ぶ、空のグラスに蜂蜜酒を満たす。心の澱に溺れても、貴女の行き着く場所が善から離れ難い証だと呟いて。

 今も何処かで民達が助けを求めているかも知れない。なのにこう呑気で良いのだろうか。アスラは水を次ごうかと訊ねる店員に生返事を返す。何か気を紛らわそうと向かいの相棒を見遣ると、チキチキータはにゃっと笑んで棚の葡萄酒を示した。
「あれは貴腐ワイン。こっちはシェリー……強化ワインにゃ」
 将来の為に酒の勉強を始めたと言う、彼の笑顔は太陽の様に眩しい。アスラの表情が落ち着き始めると、チキチキータは一瓶のワインを作る職人達の苦労と努力を語り、相棒の瞳を覗き込む。
「でも……休みもしないでぶっ続けで、頑張れる人がいると思うにゃか?」
 話に耳を傾けていたアスラは、やがて不幸な者を救う者自らが不幸そうな貌をしていても詮無いと気付く。
「ならば今宵位は……肩の荷を降ろすと致すか」
 唇に微笑を浮かべ、葡萄ジュースを手に取った。
 二十歳を迎えた夫に少しは酒に慣れて貰おうと、カンナは軽くフルーティなエールを注ぐ。
「そう言えば、ウチらが付き合い始めたのもこの時期からだったよね。それも一緒に祝おか」
 二人揃って酒を飲めぬのは残念だが、二人の記念日は大事にしたい。
「自分の首に巻いてプレゼント……カンナの誕生日には、やってみようかな?」
 久々にスカートを履き髪を下ろした妻の麗姿に見入った後、カインは冗句に自らの望みを交えてみた。

 絞り立ての林檎ジュースで乾杯し、鮭と秋茸のソテーに檸檬を搾って舌鼓を打てば、食後には栗と南瓜のケーキが待っている。ヴァルは少しの間だけ歳の差が縮まった婚約者に改めて祝辞を述べる。
「本当に有難うございます……」
 そう応えるコーシュカの頬は、幸せに満ちていた。
「だ、大福はあるのでしょうか」
「もう頼んだよ」
 デザートメニューを開こうとするレムを、ラグゼルヴがさらりと制した。どうせそんな事を言い出すと思っていた、と言わんばかりの笑顔で『おめでとう』と告げてみれば、案の定彼女は頬を膨らませて横を向く。
「祝われて当然です。お世話しましたもの」
 本当は、嬉しい。でも、一寸悔しいから教えて上げない。
 天邪鬼な横顔を眺め、彼はくすくすと笑うばかりだった。
「お返し、楽しみにしてるよ」

「良い店ですね……」
 柔らかな灯明に煌くステンドグラスの銀朱と緑青に目を細め、ユディエトは唇を開く。今迄の食生活の話、行き付けの食堂とそのメニューの話――彼が自らを語る言葉と、打ち解けた笑顔が唯々嬉しく、ウィルアは幸福そうに相槌を打つ。他愛のない歓談に昔話を交えれば、彼女は早く話の先をとせがむ。饒舌でもないが、彼女が喜ぶならばより多くの言葉を紡ごう。何よりも、祝ってくれる彼女の為に。
「有難う、ウィルアさん」
 ウィルアは瞳を伏せ、礼を言うのは自分の方だと首を横に振る。
「この幸せがあるのも、貴方が生まれて来てくれたお影だから……有難う」

 窓辺から空を仰ぎ見れば、濃紺の淵に星々が煌く。
 その瞬きに穿たれても唯安らかに、夜の天幕は安らぎを覆っていた。


マスター:神坂晶 紹介ページ
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参加者:26人
作成日:2007/10/07
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