アポルトスの秘宝



<オープニング>


●アポルトスの秘宝
 チキンレッグ領の辺境にあるジャングルで、アポルトスの遺跡が発見された。
 アポルトスはチキンレッグの大商人。
 彼は生涯独身を貫いたため、跡取りがいなかった。
 そのため、アポルトスは莫大な遺産を遺跡に隠したという伝説がある。
 もちろん、今まで盗掘されていないという保障がないため、何も見つからないかも知れないが、遺跡にはモンスターが徘徊しているので、盗賊達も手出しする事が出来なかったはずだ。
 しかもモンスターは植物に擬態しており、獲物を捕らえるまで動く事はない。
 そのせいでモンスターの発見が遅れ、チキンレッグの冒険商人が命を落としているからな。
 植物型のモンスターは遺跡の名前に因んでアポルトスと呼ばれている。
 アポルトスに捕まると少しずつ血液を吸われてしまうから注意してくれ。

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参加者
決別を呼ぶ吠響・ファウ(a05055)
白鴉・シルヴァ(a13552)
親愛なる隣りの魔王・マオーガー(a17833)
銀の剣・ヨハン(a21564)
風弦・アスタ(a36216)
依頼依存症・ノリス(a42975)
ヒトの武人・ヨハン(a62570)
鋼の戦乙女・カレン(a62590)
伏龍・バーニア(a63668)
白花・イクス(a65409)
朧銀の破魔矢・ユキト(a65770)
始まりはいつも突然・ヤミー(a66309)


<リプレイ>

●アポルトスの遺跡
「遺跡探検ってロマンを感じるよなー」
 ワクワクとした様子で土塊の下僕を先行させ、白鴉・シルヴァ(a13552)がジャングルの中を突き進む。
 アポルトスの遺跡はチキンレッグの探険家によって偶然発見された場所で、植物に擬態したモンスターがいるので盗掘されている可能性が低い。
 そのため、アポルトス秘宝をチキンレッグ領の復興資金に充てる計画が着々と動き始めていた。
「独身の大商人が残した遺産かぁ。どんなものがあるんだろうね? 昔の物らしいから、食べ物が無いのは残念なんだよ」
 残念そうに溜息をつきながら、鋼の戦乙女・カレン(a62590)が遺跡の前に立つ。
 遺跡全体を覆い尽くす勢いで伸びた無数の蔦。
 洞窟と一体化しているせいで、一見すると遺跡には見えない。
「どんな秘宝も死んだ後まで持ち続ける事は出来ず、財宝は生者が有効に使ってこそ価値が出る。生涯独身……あるいは誰にも渡したくなかったのでしょうか」
 警戒した様子で遺跡の中を覗き込み、銀の剣・ヨハン(a21564)がカンテラを照らす。
 遺跡の中は妙にジメジメとしており、蒸し暑くなっている。
「なんかそのまま眠らせてあげたいと思ったりもするんだけど……、遺した事に意味がある訳でないなら、世の中に流通させてあげるのがお宝の正しいあり方、かもね」
 ランタンを腰に括りつけ、決別を呼ぶ吠響・ファウ(a05055)が遺跡に入っていく。
 しかし、無数の蔦が行く手を阻んでいるため、引き千切っていかねば進む事さえ出来なかった。
「大商人アポルトス……ね。生涯独身とか、遺跡の事とか、モンスターと絡めて考えちゃうのは考えすぎ
? 実はモンスター化していた……とか」
 妄想をモンモンと膨らませながら、風弦・アスタ(a36216)が通路を進む。
 いまのところ大商人アポルトスとモンスターの関連性は皆無であると言われているが、何か証拠があるわけでもないので断言する事も出来ない。
「どうやって遺跡に入ったのかにもよるよね。まるで空を漂うタンポポの種子が根を降ろすように棲みついたのか、それとも遺跡にあった植物が変化したのか、よく分からないけど……」
 モンスターの正体を予想しながら、依頼依存症・ノリス(a42975)が部屋を調べてまわる。
 部屋にはいくつも宝箱が並んでいるのだが、無駄にトラップが仕掛けられている上に空っぽだ。
「いいね、宝探し。浪漫だって……、前にも似たよーな事を言った気がするな。まぁ、いいや。お宝、お宝ーっと」
 楽しそうに鼻歌を歌いながら、親愛なる隣りの魔王・マオーガー(a17833)がトラップを解除する。
 バーレルGGにいくつかアポルトスに関する資料があったのだが、大変にワンマンな性格だったので恨んでいる人物も多かったらしい。
「いったい何が出てくるんでしょうかねぇ。みんなで山分けできるくらいは持って帰れるといいんですが……」
 はやる気持ちを抑えきる事が出来ず、伏龍・バーニア(a63668)がニコリと微笑んだ。
 先程から異様な気配を感じ取っているのだが、それがモンスターのものなのか分からない。
「秘宝というくらいですから、きっと人目につかない遺跡の奥深くに眠っているのでしょうね」
 アポルトスの気持ちになりながら、始まりはいつも突然・ヤミー(a66309)が壁を叩く。
 遺跡には隠し部屋がある可能性も捨て切れないため、念入りに調べておかないとダミーの秘宝を手にしてしまう。
「とにかくモンスターを先に発見しておく必要がありますね。さて、魚釣りならぬ吸血釣り……。うまく行くといいですが……」
 血が滴っている新鮮な肉を括りつけ、無額白花・イクス(a65409)が土塊の下僕を先行させた。
 土塊の下僕は何度か蔦に足が絡まって転び、そのたび身体の形が変わっていく。
「いいなあ、肉……。これだけ美味しそうなんだから、引っかかってくれるかなぁ」
 羨ましそうに土塊の下僕を見つめ、色持たぬ・ヨハン(a62570)がゴクリと唾を飲み込んだ。
 アポルトスは植物に擬態しているため、後は運を天に任せるしかない。
「それじゃ、お互い頑張りましょう。何かあったら、すぐに呼んでくださいね」
 ポニーテールをきつく結び直した後、白き想いに秘めしは黒き怒り・ユキト(a65770)が聖霊弓をギュッと握り締める。
 こうして冒険者達は二手に分かれて、行動を開始するのであった……。

●アポルトスの秘宝
「確かアポルトスって植物に擬態しているんだよね? やっぱり大商人の成れの果てが、モンスター化したんじゃないのかな?」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、カレンがダラリと汗を流す。
 しかし、アポルトスの正体を探る手段がないため、最後まで謎のままで終わりそうである。
「とにかく逸れないようにして、速やかに移動していく必要がありますね」
 頻繁に方位磁石を確認しながら、ヨハン(銀の剣)がマッピングをし始めた。
 その結果、いくつか怪しいスペースを見つけたのだが、トラップが仕掛けられている可能性が高いので迂闊に手出しが出来ない。
「それじゃ、一番怪しい場所から調べた方が良さそうね。妙な欲が出てアポルトスの秘宝を手に入れ損ねても意味がないし……」
 チョークで床の目印をつけながら、アスタがボソリと呟いた。
 遺跡の中は似たような造りをしているため、目印をつけておかないとすぐに迷ってしまう。
「……そうだな。秘宝を探している途中で、アポルトスに襲われてもシャレにならん」
 苦笑いを浮かべながら、マオーガーがポケットに両手を突っ込んだ。
 これだけポケットにスペースがあれば、鷲掴みにした宝石を持ち帰る事が出来る。
「どちらにしてもモンスターが現れたら秘宝どころじゃありませんね。最悪の場合は遺跡もろとも生き埋めになってしまうかも知れませんし……」
 行く手を阻むようにして生えた蔦を引き千切り、バーニアが壁の崩れた部屋に入っていく。
 部屋の中にはいくつか宝箱が並んでいたが、天井が崩れてトラップが露わになっている。
「……ここで行き止まりのようですわね。ひょっとするとデマだったのかも知れませんわね。アポルトスって人間不信だったようですし、この遺跡自体がダミーだったのかも知れませんわ」
 今まで発見された宝箱がすべてトラップだったため、ヤミーが仲間達を集めてキッパリと断言した。
 ひとつの宝箱に何種類かトラップが仕掛けられているのだが、苦労して空けても中身が空っぽである場合が多かったので疲れ果ててしまったようだ。
「……ちょっと待って。アポルトスって誰も信用していなかったんだよね? だったら、ひょっとして……」
 仲間達の話を聞いている途中で何かひらめいたのか、カレンが一番奥の部屋にあった宝箱の底を探る。
 それと同時に行き止まりの壁が崩れ落ち、眩い光が冒険者達の体を包む。
「こ、これが……、アポルトスの秘宝!? これだけあれば一生遊んで暮らせるわ♪」
 唖然とした表情を浮かべ、アスタが自分の目を疑った。
 隠し部屋には宝石が山ほど積まれており、高価な彫像がズラリと並んでいる。
『……残念だが悪い知らせだ。どうやらアポルトスに気づかれたようだぜ』
 タスクリーダーを使って仲間達と連絡を取りながら、マオーガーがチィッと舌打ちした。
 アポルトスが暴れているせいで遺跡の崩壊が始まり、ボロボロと天井が崩れている。
「せっかくここまで来たのに……、仕方がありませんね。回収する事の出来るものだけ持って帰りましょう」
 残念そうな表情を浮かべながら、ヨハン(銀の剣)が宝石を掴む。
 大半のものが持ち運びづらいものなので、軽い物しか持って行く事が出来ない。
「遺跡の下で眠るのは秘宝だけで十分ですわ」
 青ざめた表情を浮かべながら、ヤミーがグランスティードに飛び乗った。
 早く遺跡から脱出しなければならないため、宝石を回収している場合では無さそうだ。
「俺が世界最速だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 全速力でグランスティードを走らせ、バーニアが目印に従って通路を進む。
 それに合わせて退治班の冒険者達が入れ替わるようにして、次々とアポルトスに攻撃を仕掛けていくのであった……。

●アポルトスの魔物
「こんな時にわざわざ姿を現すなんて……、タイミングが悪過ぎだよっ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、ファウがアポルトスにデュエルアタックを仕掛けていく。
 その一撃を喰らってアポルトスが怒り狂い、唸り声を上げて触手をブンブンと振り回す。
 そのせいで遺跡の崩壊が早まり、大量の瓦礫が降り注ぐ。
「こ、こらっ! これじゃ、逆効果だろ!」
 青ざめた表情を浮かべながら、ノリスが黒炎覚醒を発動させる。
 遺跡の被害を最小限に留めるためには、アポルトスを倒してしまうしか無さそうだ。
「建物が崩れるから大人しくしてっ!」
 瓦礫を避けていきながら、ヨハン(色持たぬ)がアポルトスに電刃衝を放つ。
 それに合わせてアポルトスが唸り声をあげ、瓦礫の間をぬって触手を伸ばしてきた。
「血は有り余ってるくらいだけど、お前に吸わせる分はねぇ!」
 血の覚醒を使って破壊衝動を目覚めさせ、シルヴァがアポルトスの触手を切り裂いていく。
 それと同時に大量の体液が噴き出し、あっという間に広がった。
「あっ、足が……」
 アポルトスの触手が足に絡まり、イクスがバランスを崩して膝をつく。
 その間に無数の触手が絡みつき、彼女の動きを封じ込める。
「少しだけ我慢してね。……潰します!!」
 アポルトスめがけて鮫牙の矢を放ち、ユキトが体を低くしてイクスに飛びついた。
 そのため、アポルトスの触手が蛇のように床を這い、イクス達にウネウネと絡まっていく。
「……大丈夫か? 無茶をするなよ」
 高らかな凱歌を使って仲間達の傷を癒し、ノリスがアポルトスの触手を魔炎で包む。
 魔炎に包まれながら触手を揺らし、アポルトスの咆哮が響き渡る。
 アポルトスの咆哮と共に異様なニオイが漂い、一瞬にして遺跡全体に充満した。
「うわっ……、ドブみてえなニオイだな。何もかも腐ってやがるっ! ……って、クセェェェェェェェェェ!!!!」
 一気にニオイの濃度が増したため、シルヴァが大粒の涙を浮かべて紅蓮の雄叫びを上げる。
 それと同時にアポルトスの身体がマヒ状態に陥り、次々と触手が床に落ちていく。
「……新鮮な血が好きなんだよね? だったら本当の意味で……出血大サービスだよ……」
 床を蹴ってアポルトスの触手を避け、ユキトが鮫牙の矢を炸裂させる。
 その一撃を喰らってアポルトスの体から大量の血が噴き出し、まるで空気が抜けるようにして見る見るうちに萎んでいく。
「……好物の血でなくて悪いけど、代わりにトロウル由来の技尽くし、存分に味わってね♪」
 満面の笑みを浮かべながら、ファウがサンダークラッシュを叩き込む。
 それでもアポルトスは触手を振り上げてきたが、途中で力尽きてダランと床に転がった。
「……急ぎましょう。早くしないと、間に合いません」
 土塊の下僕を使って通路を確保し、イクスが仲間達を連れて出口にむかう。
 その間に遺跡がボロボロと崩れ、徐々に通路を塞いでいく。
「まだ崩れるな〜〜〜」
 祈るような表情を浮かべながら、ヨハン(色持たぬ)がグランスティードのスピードを上げた。
 間一髪で遺跡からの脱出に成功する冒険者達。
 次の瞬間、遺跡全体が激しく揺れ、大量の瓦礫が入り口を塞いでいく。
 その後、チキンレッグ達によって入り口の瓦礫が取り除かれ、アポルトスの秘宝が回収されるのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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