古城の死角、姿なき射手を狙え



<オープニング>


 冒険者の酒場に、慌ただしく駆け込んできたのは、薄明の霊査士・ベベウだった。
 何やら小脇に平べったい包みを抱えている。
 
 テーブルに着くなり、彼は黒い包みを開いた。それは、薄い板を合わせて書類を挟むことで、折り目をつけずに済むという鞄らしい。鞄が展開されると、勢い余って風がテーブル上に舞い起こり、目と鼻の先を板が通過した冒険者の前髪が揺れた。
「ああ、失礼しました」
 慌てて、鞄を自分の元へとたぐり寄せたベベウは、気にするなという手の動きに会釈をすると、今回の依頼について語りはじめた。
 
「こちらに用意したのは、今朝届けられた依頼における舞台となる古城の図面です。
 早朝、羊飼いがこの城の側を通ったところ、一匹の羊がなんの気まぐれか、廃虚となっている門をくぐったそうなのです。その次の瞬間、憐れな牡羊は、頭を吹き飛ばされていました」
 
 何物かが、古城に潜んでいる。
 羊飼いは、恐慌をきたして逃げ出して寝込んでいたが、見舞いにやって来た村長に、自らの恐ろしい体験を話した。ベベウの元にやって来た依頼人は、羊飼いから事情を聞いた村長であった。
 霊査士を訪ねる前に、一人で古城に足を運んだという村長もまた、恐ろしい光景を目にしたという。羊飼いが通った門前の道よりも、ずっと遠巻きに古色蒼然とした建物を見ていたところ、上空を飛ぶ鳥が、城の真上にさしかかった瞬間に破裂したというのだ。
 
「村長さんは、風に乗って漂ってきた鳥の羽を持ってきてくださいました。それによって、僕は霊視を行うことができたのです」
 霊視の結果は、廃虚に残されている四つの塔、そのいずれかに姿の知れぬモンスターが、確かに存在しているというものだった。
 このモンスターは、最上階に棲み、そこで城を形作る石材とほぼ一体化しているようで、ほとんど移動することがないらしい。
 だが、城に一歩でも入り込もうものなら、それが例え上空からの侵犯であったとしても、悉くを許さない。何らかの魔法的な力で生成された矢か刃のようなものを撃ちだし、羊の頭を粉々に消し飛ばすほどのダメージを与えてくるのだ。
 
「姿なき射手、とでも呼ぶべき相手です」
 慎重に言葉を選びながら、ベベウは冒険者たちに状況の困難さを伝えた。
「このモンスターは、ナパームアロー、貫き通す矢といった、弓のアビリティによく似た攻撃能力を持つようです。しかも厄介なことに、それらの攻撃は、同時に複数を捉えることができるようなのです」
 
 さらに、敵が潜む場所が古城であるということが、状況の困難さに拍車をかける。
 図面を指し示しながらの解説を傾聴すると、以下のことがわかる。
 
 ほぼ正方形の城は、なだらかな丘の上に建っている。
 四角形の頂点に、四つの塔が建っており、それらを繋ぐ壁面が外郭を成している。
 一辺は二〇メートルほどである。
 北西と北東を繋ぐ壁面、つまりは北の面した壁に門が残されている。
 また、南の壁にも崩れかけた城門があり、羊飼いはそこで牡羊が殺される光景を目撃した。
 東の壁には、小さな穴が開いており、子どもならば潜ることができる。
 西の壁は、ほとんどが崩落しており、四角い石材が散乱している。
 
「残念ながら、敵の潜む塔を特定することができないのです。
 かといって、城に踏み込むことなしに相手を倒すことはできません。
 敵の攻撃を受けながら、相手の位置を特定するという、不利な戦いになることは必然……非常に危険な依頼です。
 ですが、近隣の住民が安全に暮らすためには、退治せねばならない相手、どうかよろしくお願いいたします」

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参加者
魔弾の射手・ファル(a01548)
緋の鳥・ハティ(a01909)
野獣教師・ヴィンセント(a05840)
堕天人形・サブリナ(a06006)
闇黒の死を告げる蒼の伐剣者・アシル(a06317)
ラプラスの妖精・レセリア(a06989)
死留怒一代漢・ライナー(a07026)
蒼海の剣諷・ジェイク(a07389)
鋼の雷雨・レイン(a07502)
久遠槐・レイ(a07605)


<リプレイ>

 黒い雲が、緞帳のように波打ちながら、天を塞いでいる。
 まるで、心を覆い隠し、勇気を砕くようにして、稲妻が轟く。
 つぶてとなった雨が、肌を鋭く打ち据え、体の温かさを奪っていく。
 そこには、荒ぶ寂寥の丘陵と、聳える黒き塔の荘厳とがあり、冒険者たちの来訪を待ちわび、空にも、城壁にも、死の淵へと通ずる亀裂を開かせていた。
 
 
「何だか暗いですね。お日様、さしてこないかな〜?」
 陽煌たる緋跡・ハティ(a01909)が、のんびりとした口調で呟いた。普段なら艶やかな光りを湛えている彼女の髪も、今は雨にうたれ、赤茶からいっそう深い色合いに変わっている。
 ほっそりとした細身の少年が、ぬかるみをわざと選びながら、大股で歩いている。無造作に掴まれた矢の束は、雨に濡れぬよう油紙で包まれているようだ。
 突然の雷鳴が響き、猫の尻尾をわずかに逆立てると、魔弾の射手・ファル(a01548)は遠い目になる。
「狙撃と言えば、あのお方……あーゆー目の似合う男になりたい……」
 眼光するどく、狙った獲物は逃さないといった表情を浮かべるファルだが、顰められた眉が端正すぎるのか、彼の目指す男気には、残念ながら至っていない。
 背後からの小さな声に、ファルが驚いて声をあげた。
「雨、ですか。ふふ……、雨に濡れるのは嫌いではありませんわ」
 紺のドレスが染みて黒くなり、また足元のレースが水を吸って、彼女の細い足に絡みついている。ファルを驚かせた声の主は、儚き夢求む穢れし人形・サブリナ(a06006)である。
 サブリナ、ファル、そしてハティの三名が、城を構成する四つの尖塔のいずれかに潜む姿なき射手を狙う、狩人班として行動する。
「何処から攻撃が来るか分からないので気を引き締めてがんばりましょう」
 ハティの決意に、サブリナが小さく雅に首肯いた。
 三人は、城の北方で作業に取り掛かった。岩陰から泥を掻き出すと、次々に土塊の下僕を造りだしていく。
 出発前に兎を一羽用意していたファルは、土人形に持たせ、北門をくぐって北西の塔へ歩くように命じた。彼は、南門の入り口で羊が殺された点から推測して、南の塔には敵が潜んでいる可能性は低いものと踏んでいる。
 土塊の下僕が、門を通過して、城内へと踏み込む。
 しばらくすると、土と肉が爆ぜる音がわずかに響いた。
 それは、一瞬の出来事であり、また豪雨とあっては、衝撃がどの方向からどの方向へ突き抜けていったか確かめることは困難であった。
 ただ、水の障壁から向こうで、茶色と赤色の火球のようなものが膨れ上がって消えた瞬間が、観察者の目に映るのみだったのである。
 これでは、敵の位置を特定することができない。
 続いて、ハティの造りだした土人形たちが、次々と城内へ向かっていく。点々とほぼ等間隔を保ちながら行進していた彼らだったが、近くに落ちた稲妻の強い光の中で、同時に破裂してしまった。後には、泥の塊がわずかに視認できるのみであった。
「では、『ふぁる』さんたち、あの門の向こうまでいってらっしゃいませ。大丈夫、何も危ないことはありませんわよ」
 微笑むサブリナが下僕たちに命令を下す。灰の髪が、額に貼り付いて、彼女の口元へと雨が伝い、唇の先から落ちていく。
 ハティは笑顔を浮かべて、ファルの表情を窺った。自分と同じ名前の土人形たちがどうなってしまうのか、ファルにはその末路がわかっていたはずだが……。
 作戦の立案に貢献したファルにちなみ、『ふぁる』と名づけられた土人形たちが進軍を始めた。数体揃って『ふぁるず』である。その内の一体は、カンテラを抱えていた。
 降りしきる雨の中、灯が城内へと進んでいく。城外の三人は、注意深くその行く末を見つめていた。
 何の前触れもなく、『ふぁるず』たちは一斉に弾け飛んだ。
「あらあら、ふぁるさんが皆粉微塵になって吹き飛んでしまいましたわよ。まさか撃たれるとは露知らず、お可哀想に」
 丸い頬をにこにこと緩ませてサブリナが囁いた。
 何か言いたそうなファルであったが、何かを見つけたらしい。
「おい、あの土塊の下……いや『ふぁる』か、いやもうどっちでもいい! あれを見てくれ」
 ファルの指差した先には、一見、他の塊と変わらない盛られた土があったが、ハティも気付いたようだ。
「首が、『ふぁる』さんの首が、西の方角に転がっています!」
「『ふぁる』さまったら、吹き飛ばされたのですわ」
 女性二人の発言に、慇懃無礼ともとれるお辞儀で応じたファルは、結論を出した。彼が指差した方角では、黒い緞帳を背景に、北東の塔が偉容を誇っていた。
 
 南門の手前では、冒険者の一群が、突入を告げる合図を待っていた。
「嫌な天気だな……」
 見えない射手に朽ちた古城……やっかいな相手を紹介してくれたものだ。霊査士に旨い酒の一杯でも奢らせようと考え、けれども、依頼を受けたのは自分だという事実に行き着いた、蒼海の剣諷・ジェイク(a07389)は、口元に人の良さそうな笑みを浮かべた。
 深紅のコートに漆黒の髪が映え、背に沿って流れる髪からは、雨が滴っている。灰の瞳に、雷鳴を映し込みながら、月光蝶・レイ(a07605)は、城に潜む敵の存在を想っていた。
『……どこにも歩いていけないで……古城で敵を、打ち貫いて……狙撃手の孤独、誰かから、聞いた気がする……『射手』は独りで、城を守っている……のか、な? ……何でだろう? ……何か守りたいのか、な……解らないけど……』
 最後の言葉だけは、胸の内から外へと漏れた。
「独りは……嫌だ、な」
 レイの言葉を耳にした冒険者が、気品が漂っているとすら感じさせる笑みと所作で、小さく首肯いてみせた。
「今回の依頼は大変そうね。大丈夫かしら。まあ、出来ることをやるだけですけどね」
 そう言ったのは、ラプラスの妖精・レセリア(a06989)である。翡翠の首飾りが、胸元で煌めいているが、彼女の瞳の青さには、到底叶うまい。
「敵は始末しておかねーとな。気合入れて決死で行くぜ」
 武具を地面に突き立て、あぐらをかいていた冒険者が、ゆっくりと立ち上がった。ひときわ目立つ巨躯を起こしたのは、鋼の雷雨・レイン(a07502)、全身を覆う緑の鱗が露で光る、リザードマンの武人である。
 レインの動きで、そろそろ時間だと思ったのだろう、ほっそりとした黒髪の少年も弾むように立ち上がって身体を伸ばした。
「悪天候なんかに負けないっす! おす」
 元気よく言い放った、死留怒一代漢・ライナー(a07026)は、ぐっと右手の拳を硬く握りしめ、気合を入れた。皆に比べて、今はまだ経験が少ないと自覚する彼は、仲間たちの足を引っ張るようなことがないよう、注意しつつ頑張るつもりである。
 ライナーの言葉に呼応するかのように、城内から響き渡った爆音が、鼓膜を震動させる。
 漆黒に身を包み、深紅の剣を腰に帯びた冒険者が、南門へ駆け出した。
 引き抜いた剣に闘気を込め、走っているのは、伝説のナンパ師・アシル(a06317)だ。周囲に気を配りながら、城内に進入した彼に続いて、突撃班のメンバーが門をくぐる。
 狩人班がナパームアローを撃ち込んでいるのは、北東の塔。その最上階が、攻撃されていることが、爆発でわかる。また、狩人班も反撃をされているようだ。連続する爆音が、城内でこだましている。
 レセリアが宙に目を凝らす、敵の攻撃が矢なのであれば、その射線上で雨が一瞬途切れるはずと考えたのだ。
 そこへ、敵からの一撃が、突撃班に向かって飛び込んできた。
 先駆けるレインが、爆発の衝撃によって吹き飛ばされた。後続との距離を保っていたために、彼の狙い通り、ダメージを被ったのは自身だけで済んでいる。
 北東の塔を取り囲むように配置する冒険者たち、崩れ落ちた堂の壁を盾としながら、慎重に近づこうという心づもりだ。
 敵の攻撃は、直線を描く矢のようなもの、ならばこちらに到達するまでに障壁となる石壁などを挟めば、ダメージを軽減できるはずである。
 壁を背にして、野獣教師・ヴィンセント(a05840)が囁いた。
「見えざる鉄槌ってヤツか」
 瓦礫から一瞬だけ身を晒し、敵が潜むと思われる北東を狙い、矢を放った。ヴィンセントの矢は、城の内側に面する窓の闇へと吸い込まれるように消えていった。
 だが、敵は怯むことを知らないらしい。突撃班の身体に衝撃が走る。敵の攻撃が、どういうわけか、壁の向こう側にいるはずの自分たちに直撃しているのだ。
 北東からの攻撃に目を見張っていたレセリアが、眉をひそめる。
 まさか、敵の矢はホーミングアローのように曲線を描いて飛ぶのか……。それとも、二体のモンスターがいた? 霊査士の状況把握が誤っていたのだろうか。そのようなことはないはずだが……。
 
 攻城の東側では、ライナーがただ一人、城内へ通じるという亀裂を探していた。南門から一度は城内へ進入した彼だったが、別の可能性が頭に浮かび、東へ回り込んでいたのだ。
 雨に濡れ、黒ずんだ城壁を雷光が照らし出すと、半ば土に埋もれかけた穴が確認できる。
 くぐり抜けようとしたライナーだが、穴の大きさは、彼の身体が通り抜けるにはギリギリだった。
 音がこもる穴の中を、肘や背中を擦り切りながら這うライナー、やがて彼の耳に前方から轟く雷鳴の音が飛び込んできた。もう少しで、城壁を抜ける。
 穴からわずかに首だけを覗かせて、彼は左右の塔を見回した。北東と南東、そのいずれかに敵がいるに違いないのだが……。
 注意深く観察を続けるライナーを、凄まじい光が襲い、その刹那、爆音が轟くと、城壁ごと彼の身体を震わせた。南西の塔に、稲妻が落ちたのだ。
 その瞬間、ライナーは見た。
 偶然にも南東の塔に目を向けていた彼の瞳に映ったのは、塔の最上階、弓狭間から突出する、明らかに異質な丸いモノだった。
 じっと見つめるライナーは、モノと目が合ってしまう。
 次の瞬間、彼が飛び出した穴は崩れていた。城内を対角線上に、北西へと全速力で走る。そこには、狩人班が待機している。彼らに、敵が南東の塔にいることを伝えなくては……。
 足元で爆発した攻撃に吹き飛ばされるように、石の壁を飛び越えたライナーは、ハティの足に頬を載せる格好で落下し、不思議そうに自分を見つめるサブリナの眼差しではっと我に還ると、ファルを見上げて、自分の見たモノについて伝えた。
 コンポジットボウを構えたファルが、一本の矢を放つ。真っ直ぐに雨を切り裂いて飛んだ一矢が、南東の弓狭間に直撃すると、軋んだような鳴き声が響いた。
 間違いない、敵は南東の塔に潜んでいたのだ。
 狩人班の三人は、ダメージを受けながらも、位置を確認した敵への攻撃を続けていた。塔へ突撃する仲間たちを攻撃させる暇を敵に与えないためだ。
 ファルとハティは、サブリナを背後に置く陣形を保ちながら、ナパームアローを放っていた。
 敵の攻撃は厳しかったが、サブリナのヒーリングウェーブが仲間たちのダメージを回復させていく。彼女の手には、いつもの杖ではなく、ジェイクから借り受けたワンドが握られていた。
 
 レセリアは、マクスウェルと名づけられた武器を片手に、ドレスの裾をはためかせながら、南東の塔へ向かって走り出した。
 続くジェイクが叫ぶ。
「あそこか! 頼むぜ、レイ」
「……守護の霧、よ」
 レイがすかさずミストフィールドを展開する。
 塔の壁面に貼り付くように立ったレインは、上を見上げた。滑らかな塔の外壁と、わずかに覗く屋根の一部が見えるだけで、敵の姿は見当たらない。足元への攻撃はできないのだろう。
「くそったれ! 開きやがれ」
 武具を大きく振りかぶり、一機に打ち降ろしたジェイクの大地斬によって、硬く閉じられていた塔への入り口が砕かれ、中への道が開かれた。
 冒険者たちは、一人、また一人と闇へ吸い込まれていった。
 
 南東の塔、最上階へと通じる通路の前で、レセリアが仲間たちの中心に立っていた。
「大丈夫ですか? 今癒しますね」
 彼女の身体からほのかな光が波動となって周囲に広がっていく。
 レインが大きな音を立てながら、階段を駆け上がっていく。
 リザードマンの巨躯が対峙したのは、巨大な目だけの怪物であった。陶器のような白い粘膜が艶やかに青光りしていて、その下部が花の萼のようなものに包まれている。床面とは、石のような灰色の脚部で繋がっている。
 振り返ったモンスターは、身の毛もよだつような憎悪の眼差しを一つ、冒険者たちに向けた。
 突撃班の面々が、怪物を取り囲む。
 薄暗い室内に、雷の光りが瞬秒だけ飛び込んでくる。
 『ブラックレイン』を振りかぶり、レインが自らの重みを加えた一撃を見舞った。
 開かれた古い扉のような音を発して怪物の眼が光る。虹彩が薄暗い紫に染まったかと思うと、冒険者たちの身体に強い衝撃が走った。
 ジェイクが、『エクリプス』を大上段に構え、打ち降ろした。その衝撃で、不気味な瞳は歪められたが、すぐに元の形状を取り戻した。
 武器に魂を込め、相手との間合いを一機に詰めたアシル。紅蓮の魔石剣『キシュア』が、敵の中心へと突き立てられる。
『……慌てず、騒がず、迅速確実に……』
 心の中で呟きながら敵の側面へ回り込んだレイの指先に、気で練られた刃が顕在化する。それは、水平に振られた彼女の手から放たれ、怪物の艶やかな肌に突き刺さった。
 再び、レセリアから周囲に優しい波動が広がっていく。ダメージを受けていた仲間たちの表情に、心なしか余裕が戻ったようだ。
 床を踏み抜くような勢いで、レインが攻撃を試みる。武具が雷のような闘気を帯び、相手を切り裂いた。
 苦しそうな悲鳴をあげ、怪物の虹彩が紫に染まった。強烈な爆発が、冒険者たちを襲う。
「喰らえ!」
 気合と共に大地斬を叩き込むジェイク、敵の身体が充血して不気味さを増していく。
「ただ一撃……だが、それがすべてを打ち崩す……」
 横薙ぎに払われたアシルの剣から放たれた波動が敵へと向かっていく。
 そこへ、続けざまに爆発が起こった。
 外部から弓狭間を通してのナパームアローによる攻撃、背後から意表をつかれたモンスターは息絶えた。
 青白い肌が赤く染まり、巨大な瞳が白く濁り始めている。
 外を覗いたレセリアが、南西の塔の上で武具をかかげている仲間の姿を認め、小さく手を振った。
 最後の一撃は、稲妻の落ちた南西の塔に登ったヴィンセントが放っていたのだった。
 アシルは、塔の上から城内を見渡した。ハティに肩を抱かれたサブリナと、上げた片手を慌てて下ろしたライナーは、怪我を負っているらしい。厳しい戦いだった。
 
 雷は通り過ぎた。
 南の空が光ると、しばらく遅れて音が響いてくる。
 降り続いた雨もようやくと止むことだろう。
 帰れば祝杯が彼らを待っているはずである。


マスター:水原曜 紹介ページ
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参加者:10人
作成日:2004/05/17
得票数:冒険活劇4  戦闘13 
冒険結果:成功!
重傷者:堕天人形・サブリナ(a06006)  死留怒一代漢・ライナー(a07026) 
死亡者:なし
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