ポルックの誕生日 〜プーカ式誕生日の祝い方〜



<オープニング>


 ――夜。

 秋の夜長とはよく言ったもので、街の灯りがすっかり落ちたであろうこの時間でも、ここ冒険者の酒場は多くの暇人達で埋め尽くされていた。酒を酌み交わしたり、武勇伝を語り合ったりと、その賑わいは連日夜更け過ぎまで続く。
 緑柱石の霊査士・モーディ(a90370)も今日一日を振り返りながら、一人グラスを傾けていた。
 バラのリキュールをアイスティーで割るのが、最近のお気に入り。
 目を閉じれば、ふわりと漂う優しい香りが一日の疲れを癒してくれ、グラスと唇とが触れあえば、ひんやりとした感触が心地良い。そうして、口の中に流し込まれる液体の得も言われぬ舌触りを――
「ブハァッッ!!」
 楽しむ暇もなく、すべては隣に座っていた哀れな冒険者に吹きかけられた。

 訳が分からないまま必死に謝るモーディ、本当に訳が分からないという顔の被害者、何事かとざわめく場内をよそに、ケタケタと笑い転げている者が一名。
「……なるほど、犯人は君か。悪戯好きのプーカ君」
 ずいっと迫ってくるモーディに、プーカの忍び・ポルック(a90353)はまったく悪びれる様子を見せず、びしりと親指を立てて見せる。
「おねーさん、今のリアクションすっごく良かったよっ!」
 彼が持つプーカの特殊能力『酒をめんつゆに』が見事決まり、ご満悦の様子。
「あ、ボクはポルック。かつてトロウルとの戦いで数々の武勲を打ち立て、つい最近ではあのドラゴンの追撃をも凌ぎきったという、プーカ一の勇者とはこのボクのことさっ! ピース!」
 満面の笑みを浮かべるポルックとは対照的に、モーディは深い溜息をつき、よろよろとへたり込んでしまう。先程めんつゆに変えられたバラのリキュールはこの店にある最後の一杯だったのだ。
「ちなみに次の入荷予定は未定」
「はうっ」
 酒場のマスターが放ったとどめの一言に、モーディの周りが暗鬱とした空気に包まれていく。
「うーん、何だか悪い事しちゃったみたいだね。お詫びに、ひとつとっておきの秘密を教えてあげるよ。プーカ式誕生日の祝い方なんてどう?」
「……ほう、それは興味深いな」
 あっさり釣られる霊査士。根は単純そうだ。
「じゃあまずそこに立って」
「ここで良いか?」
「うん、次はこう、両腕をまっすぐ上に伸ばして、あ、手のひらはあわせてね」
「こう?」
「そうそう、で、そのままぐるぐる回って……」
 言われる通りその場で回転を始めるモーディ。
「もっと早く、もっともっと!」
「こ、こぉぉぉかぁぁぁぁ?」
「そこでポーズ!!」
 ビシッ!!!
「…………」
「…………」
「……嘘か?」
「もっちろんっ!」
「このっ!」
 一連の出来事を見ていた暇人達は皆、腹を抱えて笑っている。笑いの波は次々に広がっていき、悪戯小僧を捕まえようと奮闘するモーディの顔にすら、いつの間にか笑顔が浮かんでいた。
 と、ポルックが急に立ち止まって、体をくるりと反転させる。モーディも思わず立ち止まった。
「これがそうだよっ」
「? 何がだ?」
「分からないかな? こうやってみんなで面白おかしく、笑って楽しむのがプーカ式なのさっ!」
 何やら上手く言いくるめられている気がしないでもない。しかし――
「まぁ、そういう事にしておくか……」
 何故か巻き起こる拍手。周囲もノリノリである。

 帰り際、ポルックはこう告げて走り去っていった。
「実はもうすぐボクの誕生日なんだよね。また来るからさ、今日みたいにみんなで騒ごうよっ!」
 後に残されたのは、酔いつぶれるか遊び疲れるかでダウンしている数多の冒険者達。
 果たしてこの中の何人がその約束を覚えているのやら……。

マスター:東川岳人 紹介ページ
 こんにちは、東川岳人です。

 名目はポルックの誕生日となっていますが、あまり気にせず好きな事をして楽しんでいって下さい。
 モーディも同席しますので、何かあればどうぞ。

 夜の酒場が主舞台となります。付近の住民が居たとしても騒がしいのにはもう慣れっこですから、余程の事が起きない限りは苦情が来る事もないでしょう。

※注意事項
 あからさまな迷惑行為、未成年者の飲酒や喫煙は無しでお願いします。もしその様なプレイングが見られた場合、酒場からつまみ出されたとして描写無しになる可能性がありますので、十分にご注意下さい。

 以上、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

参加者
NPC:トリックオア・ポルック(a90353)



<リプレイ>

●揃ったところで始めよう
 その夜も冒険者の酒場は賑々しい喧噪に包まれていた。
 とはいえ、いつもの様に特に目的も無くだらだらと残っているわけではない。今日はプーカの忍び・ポルック(a90353)の誕生日を祝うという大義名分があるのだ。当の本人も既に姿を見せており、派手に飾り付けられた店内はお祝いムード一色に染まっていた。
「うみゅ〜、ポルッきゅん、誕生日おめでとう☆」
「あっりがとう〜、やっぱり持つべき者は同郷の友だよねぇ」
 バナナん王子・ロア(a59124)とハイタッチを交わすポルックはいつも以上に目を輝かせている。
 列強種族プーカが同盟諸国の一員になって早一年、プーカ領を出て活動している者もかなりの数に上っているが、ヒトやストライダーなど同盟黎明期からの種族に比べればその差は歴然。こうした場で同種族と顔をあわせる事は、なかなかに珍しい事だ。
「ポルックさん、お誕生日おめでとうございますっ!」
 無謀なる風・リヴィール(a64600)も元気よく祝いの言葉をかけてくる。彼もプーカである。もともと人見知りする様な面々ではないが、精神的に同年代である事も相まり、打ち解けるのもあっという間だ。
「ん?」
 服のすそが引っ張られる感触に振り向くとそこにはもう1人、今度はプーカの少女。
「あ、あの……、ポルック様、こうしてお会いできて……とってもうれしいです」
 茶色の小瓶・シャルロッテ(a69110)の真剣な眼差しが、眼鏡の奥からポルックを見上げている。
「うんうん、ボクもキミに会えてすっごく嬉しいよっ! でも、その『様』っていうのは何だか背中がこそばゆいっていうか……」
 ま、いいけどねと笑うポルックがシャルロッテを横に並ばせる。
「ところでキミたち、何月生まれ?」
「ボク7月〜♪」
「4月ですけど……?」
「えっと、12月です」
 10月生まれのポルックを合わせると『風のいたずら』『そんなバナナ』『酒をめんつゆに』『偉大なる羊の召喚』のプーカ4大奥義が全て揃っている事になる。何という危険な空間。
 固まってひそひそ話を始める彼らに、他の参加者達の警戒も否応なしに高まっていく。
 その時、きぃ、と酒場の開き戸が鳴るのを、酒場に居る全員が聞いた。
 集まる視線の先には、店内へと足を踏み入れようとする蒼麗癒姫・トリスタン(a43008)の姿。すかさず出現するバナナの皮。その位置、タイミング、共に申し分ない。これはコケる。誰もがそう思った。

 ザキィッ!!

 が、バナナの皮を襲ったのはまさかのスパイクブーツ。研ぎ澄まされた鋭利なスパイクが床板ごとバナナの皮を貫いた。
「そ、そんなバナナ……」
「いや、その反応はどうかなぁ」
「もうちょっと捻っても良い気がしますね」
「あ、あの……、あの人こっちに来ます……」
 高笑いを店内に響かせ、勝者の笑みと共にトリスタンが近づいてくる。
「あらあら、何かと思えばこれが噂の『そんなバナナ』ですの? ポルックさん……ではありませんわよね。どなたの仕業かしら?」
 びしり。
 0.1秒でロアを指差すリヴィールとシャルロッテ。
「ちょっ、……ってポルッきゅんは?」
 既に逃げたようだ。
 ポン、と肩に手が置かれ、恐る恐る振り返る……。そこには極上の笑みを浮かべるトリスタンが。
「じ、実行犯と主犯の違いについて、ボクの意見を言っていいかな?」
「却下ですわ」
 ご愁傷様。

●次いってみよう!
「逃げ足の早さだけは天下一品だなぁ」
 カウンター裏に身を隠すポルックを呆れ顔で覗き込む依頼依存症・ノリス(a42975)は、慣れた手つきで飲み物を作る。
「ハイこれ。ついでにこのゴブレットはプレゼントだから持ち帰ってね」
 渡されたのは甘酸っぱい香りを漂わせるラズベリー酢。水で割ってある為、それ程強い酸味も感じず、すいすいと喉を通っていく。
「んー、初めて飲んだけどこれ結構いけるよ。入れ物はおにーさんの手作り? マッチョなのに意外と器用なんだ。ありがとねっ」
 給仕として忙しく走り回るノリスの足下をすり抜けて進むと、コックコートにバンダナ姿の黄昏の守護竜・ラーズ(a64111)がカウンター内の簡易キッチンで料理している所に出くわした。
「おや、ポルックさん。もうすぐ出来上がりますからね」
 そう声を掛けてくるラーズの手元では、流れるような作業の下、様々な食材が見たこともない料理へと変貌を遂げていく。
「へえ〜、すごいね。見た目も綺麗だし、あ、これなんてどうやるの?」
「ええと、これはですね……」
 何かにつけて目を輝かせながら反応するポルックに、ラーズもついつい応えてしまう。段々と盛り上がっていく話は、ついには空中の食材を飛燕連撃で切るという無茶なリクエストにまでエスカレートしていた。とりあえずここは結果だけお知らせする事にしよう。
 羊肉1kgの約半分がずたぼろのミンチと化し、3本の人参はかろうじてそれと分かる程度に粉々に、トマトに至っては汁だけを残してこの世から消え失せた。
「うーん、やっぱり無理かぁ……ってわわっ!?」
 襟を引っ張られる感覚と共に、両足が床から離れる。
「駄目だよ邪魔しちゃ。ハイ、行った行った」
 ノリスにつまみ上げられたポルックは、カウンターからひょいっと放り出されてしまった。

●……ダメだこりゃ
 いつのまにか店内のテーブルが並べ替えられ、料理や果物、飲み物などが次々と運ばれている。呼ばれて行くと、中央に配置された大きな長机に案内された。
「はい、今日誕生日の人はここ」
 楽風の・ニューラ(a00126)が座るように促した席。そこにはブーブークッションが仕掛けてあったのだが、何の疑いもなく座ってしまったのはあきらかな油断であり、痛恨のミスだったと、後にポルックは語っている。
「うう、まさかボクがいたずらされるなんて……。それも年上のおねえさんに……」
「こら、人が聞いたら変に思うような言い方をしない」
 一喝されるポルック。あらためてどうぞと出された一杯のジュースには、警戒心から匂いを嗅ぐところから始めるも、漂ってくるのは爽やかな柑橘系の香りのみ。
「オレンジジュース……かな?」
 ごくごく。
「ん……??……リンゴ?……??」
 ジュースそのものは正真正銘リンゴジュース。
(「ただし、ベルガモットの香り付きですけど」)
 人の味覚というものは、匂いの影響を強く受ける。鼻からはミカンを思わせる香り、舌で感じるのはリンゴ味。そんな事とはつゆ知らず、ポルックは不思議そうにジュースを眺めていた。

「や、めでたいなぁ……、おめでとうだぜポルック」
 とはクレストを纏いて紋章を放つ者・オーヴォ(a47646)の言葉。こういう普通の祝辞が新鮮に感じる誕生パーティーというのも如何なものか。
「本当だよ。でも何と言ってもボクの誕生日だもんね。おじさんもありがとう〜」
「おじ……、まぁ否定はせんが。そういや初対面だったな、俺はオーヴォってんだ」
 よろしく頼むぜ、と差し出してきたグラスにグラスを合わせて乾杯すると、彼はプーカの特殊能力で1つ気になる事があるのだと切り出してきた。
「酒をめんつゆに変えられるんだろ? で、だな……、呑む前に変わっちまってるのは良く聞くんだが、呑んでる途中で変える事もできんのかい?」
 オーヴォの質問にポルックは首を横に振って答える。
「ボクたちプーカが持つ長い歴史の中でも、それに成功した者は誰も居ないんだ。長老様から聞いた話によると、もしそれが出来たら伝説のスーパープーカになれるらしいよ」(※1)
「そ、そうなのか……。まあ、もしできんならちょっと体験してみたかったんだが、そんな大変な事だったとはな……」
「うん、でも実はあとちょっとで出来そうなんだ。おじさんが練習台になってくれれば、何だか今日は出来そうな気がする……!」(※2)
「嘘をつけ嘘を」
 熱弁するポルックに冷ややかなツッコミを入れるモーディ。
 ペロッと舌を出して逃げていく後ろ姿を追うことなく、霊査士は腰に手を当ててため息をついた。
「なんか色々とお疲れさんだな。どうだい、向こうで一杯」
 オーヴォの親指がくいっとカウンターを指す。
「そうしよう。そういえば君とは良く会うが、一緒に飲むのは初めてだな……」

(※1)……冒険者たる者、ポルックが伝説のホラ吹き野郎である事を忘れてはならない。
(※2)……冒険者たる者、ポル(略

●もしもその酒が酒じゃなかったら
 カウンター席には2人の先客が居た。空いている席に座り、
「マスター、私はバラの……」
 と、そこまで言って気付く。思わず口にしてしまったが、バラのリキュールはもう無いのだ。
 がっくりと肩を落とす霊査士に、「またそのうちに飲めますよ」とは先客の1人、魔霧・フォッグ(a33901)。苦笑混じりのその顔に、モーディはちょっとした違和感を感じた。もう1人、既にカウンターで飲んでいたトリスタンもだが、全く酒が入っている様子がない。既に半分ほど空けられているボトルは確かにワインに見えるが、顔に出ていないだけなのだろうか。
 そんな考えを察したのか、トリスタンがくすりと笑ってボトルを差し出してきた。注がれた液体をよくよく見ると……、
「なるほど、そういう事か」
 見るからに高級そうなボトルに入れられてはいるが、これはグレープジュースだ。
 声を殺して笑うフォッグの視線を追えば、テーブルの陰からちらちらと此方を伺うポルックの姿が覗いていた。どうやら例の技を仕掛けているらしいが、ジュースが相手ではどうしようもない。しばらくしてようやく自分がひっかけられているらしい事に気づいたポルックに、背後から声がかかる。
「ポルック君、誕生日おめでとや! ……ってなんや元気無いな。ボクが心を込めて作ったフルーツサンドでも食べて元気出しや!」
 知識全くナシのアホ戦士・ツバル(a66503)からの贈り物。使われている野菜や果物は自家製との事だ。一緒に来ていた悪戯の天才なのか・イト(a68377)も「おめでとう」と簡潔に誕生日を祝う。
「2人ともありがとねっ! うん、戦いはこれからさ!」
 貰ったフルーツサンドを一口。うん、美味い。

「美味しいですか、クゥ?」
 特製のストロベリータルトを完成させてキッチンから出てきたラーズは、自慢の一品を皆に振る舞った後、小さき武道家・クゥ(a62976)とテーブルを囲んでパーティーを楽しんでいた。
 ふと、足元に用意された大きめの荷物に目がとまった。「それは?」と聞くラーズに、クゥは「まだ秘密です」と照れ笑いを浮かべる。どうやらこの後何かするつもりらしい。
 その隣では、リヴィールとロアが『ニューラ作ハンバーガーに見えるケーキ』に見事意表をつかれて目を白黒させている。スポンジケーキのバンズ、パティはチョコムース、ケチャップに見えるイチゴソースにピクルス代わりのキウイのスライス。プーカも真っ青の手の込みようである。
「むむ……」
 プーカ領を出て以降、他の種族との交流の中で、リヴィールのプーカ魂はすっかりなりを潜めてしまっていた。最近は、たまに自分がプーカである事を忘れてしまうほどだ。
 同族のポルックやロアはともかく、他の種族の者たちが次々と仕掛けていく彼ら顔負けのいたずらの数々に、リヴィールは思わず立ち上がった。
 列強種族プーカの名にかけて、せめて今だけでも悪戯っ子としての心意気を取り戻さねば!

 時を同じくして、似た思いに駆られている者がいた。シャルロッテだ。
 何とかしていたずらを仕掛けようとするものの、もともと真面目で大人しい彼女のこと。なかなか思うようにいかずに時間だけが過ぎていく。
 ふと目についたのは、先程ポルックとラーズが行ったアビリティクッキングの残骸。残っている他の食材も加えて盛りつけてみると、意外に美味しそうな普通のサラダが完成した。
『でも普通じゃ面白くないよね』
 シャルロッテの脳裏にポルックの顔が浮かぶ。そう、ここに何か加えてこそのプーカ。それにどうせ残り物を流用したものだ。
 とりあえず、置いてある限りの調味料を混ぜ込んでみた。
「それ出来上がり?」
「え……?」
 空いた皿を運んできたフォッグが、置いてあるサラダにひょいと手を伸ばす。
 ぱくり。
「あ……」
「……う゛」
 ばたん。
「あわわ……」
 倒れたフォッグが、びくっびくっと振るえているのが何か怖い。
「あ、シャルロッテさん、そろそろ出番です〜……って、どうしたのですこれ……?」
 シャルロッテが事情を話すと、クゥは持参した森羅点穴を一打ち。
「これで大丈夫だと思うのです……、多分」
 そう信じたかった。

●時間だよ
 宴もそろそろクライマックスが近づいてきた。
 現在、店内の一角では、クゥとシャルロッテが歌や踊りを披露している。淡い桃色のロングドレスに赤いリボンで頭を飾るクゥの登場に、彼を知っている者は皆驚いた。しかし、実際言われなければ女装と気づかない者も多いだろう。
(「やっぱし少し恥ずかしいのです……」)
 頬を朱く染めながら歌うその姿を、じいっと見つめる不審な影が2つ。
「というわけで、キミの能力を最大限に生かせるチャンス到来だねっ!」
「よ、よーし、やるぞ……」
 1人は説明するまでもなくポルック、もう1人は何かを決意した顔のリヴィール。
 歌が終わり、ぺこりと頭を下げるクゥにリヴィールの『風のいたずら』が炸裂した。
 ふわり。

「…………」
「…………」
「……あれ?」
 様子が変だ。予想していた反応と違う……というかリヴィールを見る皆の視線が生暖かい。
 真っ赤になったクゥも、何かやばいものでも見るかのような目を向けてくる。
「うぅ、リヴィールさんは男の子が好きなのです?」
「ええええええ!! お、男!?」
 いつの間にか少し離れた所に移動したポルックは、口笛を吹いてはやし立てていた。
「もう、ポルックさんは〜〜〜!!」
 追いかけるリヴィール。逃げるポルック。そして、誰かが走り出したらこの人の出番だ。
「それっ、と」
 懸命に走るポルックに突如出現したバナナの皮など避けられようもなく、前のめりにたたらを踏みながら必死に伸ばした手が、何かを掴んだ。
「あ」
 ロアが短く叫んだ。そうだ、あれを忘れていた。滑って転びそうになった人がちょうど手を伸ばした所にあるように仕掛けたあの紐。
「やば」
 だが時既に遅し。ポルックは掴んだ紐を思いっきり引っ張りながら床へダイブしていた。倒れ込んだ所に金ダライがクリーンヒット。しかし、この仕掛けの真の効果はここから。
 落ちてくるのだ。
 天井一杯の飾りが。
 全部。
「な、なんだ!?」
「うわあああああ!!!」
「ポルッきゅん、後は任せたよっ!」
「ポルックーーーーーー!!!」
「こ、これは僕じゃ……」
「問答無用!!」

 ……こうしてポルックの誕生日は幕を閉じた。
 その後の数日間、酒場には『ポルック禁止』と書かれた羊皮紙が掲示されていたという。


マスター:東川岳人 紹介ページ
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参加者:12人
作成日:2007/10/31
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