大剣と長槍、そして杖



<オープニング>


「街道を行くモンスター3体が、その先にある村まで辿り着く姿が視えたの」
 酒場にて、集まった冒険者たちに花車の霊査士・ヴァルナ(a90183)が説明を始めた。
「モンスターたちが村に辿り着けば、そこに住む人たちは逃げると思う。でも、女性や老人、子どもたち……皆が皆、ちゃんと逃げ切れるとは限らないの。モンスターたちに追いつかれれば、きっと攻撃をされてしまうのよ」
 説明を続けるヴァルナに、話を聞いている冒険者たちの一人、護りの幻影姫・キラ(a90153)は頷きながら聞く。
「すぐに向かえば、モンスターたちが村に辿り着くと共に、皆も村に辿り着くことが出来るの。村の人たちを安全な場所へと誘導しながら、そのモンスターたちを退治してきて」
「分かったんだよ。それで……モンスターたちはどんな姿をしてるか、分からないかな?」
 頷きながら、キラはヴァルナへと訊ねる。
「3体とも人型。1体はがっしりとした体格で、大きな剣を構えていたの。それから、1体は長身で、得物も長い槍。最後の1体は唯一女性型で、木製の杖を持っていたの。それくらいしか視えなかったの」
 よろしくね、と付け加えて、ヴァルナは冒険者たちにぺこりと一礼をした。

マスターからのコメントを見る

参加者
愛煙家・ビリー(a03028)
玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)
封魔・ハガネ(a09806)
鮮紅を纏いし者・ファーラ(a34245)
猛き赤鱗・フレア(a41325)
王虎・アデル(a48929)
緑の夢・レオナ(a51860)
血の海に咲く黒薔薇・アイノ(a60601)
NPC:護りの幻影姫・キラ(a90153)



<リプレイ>

●グランスティードで先行せよ!
「……急がねば……」
 忍者・ハガネ(a09806)が、ぽつりと呟く。
 3体の召喚獣、グランスティードに乗った冒険者たち6人は、霊査士が視たモンスターたちが村へと辿り着く前に、村人たちを避難させようと街道を急いでいた。
 鮮紅を纏いし者・ファーラ(a34245)と王虎・アデル(a48929)は、酒場を出てくる前に、霊査士へとモンスターたちが来る方向を訊ねていた。けれど、事前に告げた以外のことは視えなかったと霊査士は答えた。モンスターたちが村の何処から来るかは分からないけれど、今グランスティードに乗って駆ける街道からは来ないのだろう。一行はそれらしき者と出会うことはなく、村へと辿り着くことが出来た。
 ハガネを初め、護りの幻影姫・キラ(a90153)とルキシュ(a67448)が村の広場に集まるよう、村中を声をかけて回った。
 猛き赤鱗・フレア(a41325)は、何処から来るか分からないモンスターたちに警戒して、周囲を見回していた。
「必ず魔物は討つ。だから冷静に自分達の指示に従ってくれ」
 ファーラは村長へとモンスターがやって来るという事情を話し、広場へと集めた村人たちに避難するよう、彼からも言ってもらうように告げた。
「……荷物を纏める時間は御座いません。恐縮ですが、速やかに移動願います」
 村の広場にて、村長からの言葉を受けた村人たちが避難するために移動し始める中、ハガネはそう声をかける。その場に残って、モンスターたちを迎撃するという若い男たちに、ファーラは同じ村人――特に、子どもや老人の手助けをしながら、迅速に避難するよう指示した。
 村人たちの誘導は、キラとルキシュに任せ、他の4人は、やって来るモンスターたちを迎え撃つため、周囲へと警戒を怠らない。
 モンスターたちがやって来る方向が分からないため、村人の避難は一行が村へと来るのに通った街道の方へと向かうことになっていた。
 キラとルキシュ、そして村人たちが村の入り口へと辿り着く頃、その入り口とは反対方向の入り口から、3体の影は現れた。
 先頭に立つ大きな剣を構えたモンスターは、その剣を振り回し、通路に詰まれた木箱や樽を壊しながら突き進んできる。
 その後方に、長い槍を持ったモンスターと杖を構えたモンスターが追随していた。
「万全とはいえないけど、かけないよりはましな筈なぁ〜ん」
 モンスターたちが接近するより前に、アデルが皆の纏う鎧へと強大な力を注ぎ込んで回った。鎧の形状が大きく変わり、その強度が増す。
 ハガネは近付いてくるモンスターたちを前に、両手に粘着性の高い、蜘蛛の糸を作り出すと、それをモンスターたちに向かって投げた。
 槍を持つモンスターはその長身に似合わず、素早い身のこなしで投げられた蜘蛛の糸を交わす。けれど他2体のモンスターは避けられず、蜘蛛の糸に絡まり、身動きを取れなくなってしまった。
「紅蓮よ纏え」
 ファーラは声を上げ、両手それぞれに握った蛮刀に新たな外装を取り付け、その破壊力を増幅させた。
「後続が早く到着してくれればいいんだがね……」
 そう呟きながら、フレアは自身の心臓に大きな負荷をかけることで、心の奥底に秘められた破壊の衝動を呼び起こした。
「ここは通さないよ!」
 フレアの叫びが戦闘開始の合図となった。

●三種の武器持つ者たち
 モンスター2体は蜘蛛の糸で拘束されている間、槍を持ったモンスターからの攻撃を只管、持ち堪えていた一行の後方から、後続組である愛煙家・ビリー(a03028)たち4人の冒険者たちが駆けつけてきた。
「さぁ、始めるわよ」
 血の海に咲く黒薔薇・アイノ(a60601)は両手に術手袋を装着し、邪竜の破壊力を制御すると、その力の象徴である黒い炎をその身に纏った。
「……剣に槍に杖……その3種を併せた武器を振るう者としても退く訳にはいかんな。いざ、討伐……っ」
 玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)もまた呟いてから、薙刀のような形状をした両手杖を構え、黒い炎をその身に纏う。
「悪いが時間までリタイヤしてもらうぜ……」
 駆けつけるなり、ビリーは木の葉を作り出すと、拘束された剣を持つモンスターに向かって、勢い良く飛ばす。木の葉はそのモンスターを後方へと吹き飛ばし、更に痛みをも与えた。
 ハガネは拘束されていない槍を持つモンスターに向かって、太刀を狙い澄まして振るう。太刀の切先は、痛烈なダメージを与えた。
「鮮紅に沈め!」
 威力を増した対の蛮刀からファーラは槍を持つモンスターへ向けて、強烈な電撃を放った。電撃はその場の痛みだけではなく、体中を駆け巡り、モンスターに更なる傷みを何度か与え続ける。
「……」
 槍を持つモンスターは手にした槍を構えるとファーラへと突き攻撃を繰り出した。
「っ!」
 防ぎきれなかった痛みに、ファーラは少し顔を顰める。
「少しでも痛みを減らすなぁ〜ん」
 アデルは、白くてふわふわした羽毛の塊のような姿をした護りの天使を召喚すると、天使の力を手にした斧へと加えた。その斧で、槍を持つモンスターへと切り掛かった。
 モンスターは槍で斧を受け止めようとするも受け損ねて、手元に斧の刃を喰らってしまう。
「まずはこの矢ですなぁ〜ん」
 緑の夢・レオナ(a51860)は強弓の弦を引く。その手には鋭い逆とげの生えた矢が構えられていた。放たれた矢は槍を持つモンスターへと吸い込まれるように向かったけれど、手にした槍で弾かれてしまった。
「守りは柄じゃないからね!」
 フレアは、巨大剣を握り直すと、己の力を最大限まで高めて、モンスターへと一撃を放った。巨大剣はモンスターの身体に深い傷を与える。
「鎧の奥の奥まで効くわよ」
 そう言ってアイノから生み出された虚無の手は、槍を持つモンスターに絡みつき、痛みを与えた。
 剣を持つモンスターと杖を持つモンスターは、槍を持つモンスターの後方にて、自身の身体を拘束してくる蜘蛛の糸から逃れようともがくものの、なかなか抜け出せないでいた。
 その間に、槍を持つモンスターを倒さんと、冒険者たちは攻撃を仕掛けていく。途中、後方の2体のモンスターが拘束から逃れ、攻撃を仕掛けてくることもあったけれど、ハガネによる蜘蛛の糸での拘束やビリーによる吹き飛ばしで後方で拘束しておき、槍1体に狙いを集中させることで、槍を持つモンスターは数分としないうちに地に伏した。

●杖、そして剣
 槍を持つモンスターを倒したところで、次の標的を杖を持つモンスターへと変える。
 まだ拘束されたままのそのモンスターに、ファーラは強烈な電撃を放った。電撃は、モンスターの体内をも駆け巡り痛みを与える。ファーラの攻撃に合わせて、フレアも巨大剣を振るった。
 バジヤベルの身体から淡く光る波が発せられる。波は仲間たちを包み込み、受けた傷を癒していった。
 白くてふわふわした羽毛の塊がアデルの頭上へと現れる。アデルはその塊――護りの天使の力を借りて、斧を振り下ろした。拘束されながらも冒険者たちの攻撃から回避を試みるモンスターは、交わしきれずその刃により、傷を負っていく。
 剣を持つモンスターは、拘束から逃れようと足掻いた。けれど、蜘蛛の糸はしっかり絡み付いていて、なかなか逃れることが出来ない。
「こっちは槍よりも当てやすそうですなぁん」
 そう言って、レオナは鋭い逆とげの生えた矢を杖をモンスターへ向けて、放った。避け切れなかった矢は腕に突き刺さり、傷口から血を流させる。
「どれに咬まれたい? 今ならサービスで3つまとめてプレゼントよ」
 アイノはくすっと笑みを零しながら、3種類の獣の頭部を持つ黒い炎をモンスターに向けて、放った。獅子、山羊、そして蛇の頭部がモンスターの身体へとそれぞれ喰らいつき、爆発を起こす。喰らいつかれた傷口から毒が回り、血を流させ、そして黒い炎はその身を焦がした。
「アァァァァァァァッ!!」
 声を上げたモンスターは、膨らんだ風船がはじけるかのように、その身を拘束していた蜘蛛の糸や焦がしていた炎などから解き放たれる。
 そして、傷つき、その身から血を流しながらも自らの回復は投げ出して、宙から冒険者たちへ向けて、光の雨を降らせた。
 光の雨が降り終えると、体制を整えたビリーが木の葉を飛ばし、モンスターを縛り上げ、その身を拘束する。
 ハガネは拘束されたモンスターに向かって、狙いを澄まし、てにした太刀で急所を貫いた。
「カハッ!」
 喉元を貫かれたモンスターは、血を吐き、倒れた。
「残るはあいつのみだ!」
 そう言って、ファーラは拘束されたままの剣を持つモンスターへと右手に持った蛮刀の切先を向けた。ファーラはそのモンスターへと接近すると、モンスターが身に纏った硬そうな鎧が砕けるのではないかというほどの力で、蛮刀を振り下ろす。鎧は砕けなかったものの、大きな痛みをモンスターへと与えた。
「やっぱりガッツソングだね」
 仲間たちが受けた先ほどの光の雨を思い出し、フレアがファーラの攻撃に続いて、気合に満ちた熱い歌声を披露する。それを聞くことで、仲間たちの傷が癒えていった。
「……人々への危害、ここで終わりとしてみせる……!」
 バジヤベルの纏う黒い炎から一筋、炎の蛇が撃ち出され、モンスターへと喰らいついた。
「これでも喰らうなぁ〜んっ!」
 アデルは、斧の重さを活かして、大岩をも叩き割るほどの強烈な一撃を繰り出した。モンスターの纏う鎧の守りなど無視して、その一撃はモンスターに痛みを与える。
「オォォッ!」
 拘束から何とか逃れたモンスターは、手にした大きな剣を構え直すと、一閃、横凪ぎの攻撃を仕掛けてきた。
 前に立つ者たちは、各々それを防ぐけれど、防ぎきれない力が腕などに傷を与えてくる。
「これはどうですかなぁ〜ん?」
 レオナは闇色に透き通った鋭い矢を放った。矢は吸い込まれるように、モンスターへと向かい、その身を貫く。
 アイノはモンスターが纏う鎧を砕こうと、邪竜の力を凝縮させ、虚無の手を生み出すと、モンスター目掛けて放った。手は、モンスターの鎧を打ち砕き、大きな痛みを与える。
 装甲の薄くなったモンスターに冒険者たちは、次々と攻撃を与えていく。それでもモンスターは幾度となく立ち上がり、手にした大剣を振るった。
「吹き飛んでろ……」
 鎧の壊れた部分に、ビリーの放った木の葉が飛んでいく。勢い良く飛んだ木の葉は痛みと共に、モンスターを吹き飛ばした。
 吹き飛んだモンスターは、そのまま崩れ落ち、地に伏した。
「生まれ変わることがあったら、まっとうな冒険者になりなさいね。3人揃って……」
 倒れた3体のモンスターたちに、アイノはぽつりと呟いた。

 モンスターたちが倒れると、冒険者たちは避難した村人たちへその旨を告げに行く。いくつか壊された木箱や樽を修繕する手伝いをファーラが行い、日が暮れる頃、一行は帰途へと着くのであった。


終。


マスター:暁ゆか 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:8人
作成日:2007/11/04
得票数:戦闘8 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。