過ちキノコ



<オープニング>


●過ちキノコ
 チキンレッグの辺境で、過ちキノコと呼ばれるモンスターが確認された。
 このモンスターは甘い息を吐く事によって毒キノコが繁殖しやすい環境に変化させ、既にチキンレッグの村が滅ぼされている。
 モンスターがいるまわりは様々な種類の毒キノコが生えており、歩くたびに大量の胞子が舞うほどだ。
 この胞子は体に良くないので、毒消しの風を必ず活性化しておいてくれ。
 しかも最悪な事に沢山の毒キノコが繁殖したせいで、あちこちからグドンが集まり始めている。
 グドン達は不潔極まりない生き物なので、身体中に毒キノコを生やしている。
 毒キノコはグドンのフケやアカを餌にしているだけなので、特別な効果があるわけではない。
 一応、食べる事も出来るようだが……、やめておけ。
 とりあえず過ちキノコを退治すれば、元通りになるはずだ。
 それじゃ、よろしく頼むぞ。

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参加者
太白・シュハク(a01461)
狂刻の牙・ウォーレン(a01908)
冷厳たる十三夜月・アキトキ(a06986)
玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)
沈勇なる龍神の魂宿りし者・リュウ(a31467)
白き金剛石のヒト・ミヤクサ(a33619)
黒犬・リュウ(a46253)
鋼鉄の怒哀を歌う・アイシア(a58635)
白森の護人・ディッカ(a62274)
輝夜の銀翼天使・ミーチェ(a62819)
其の瞬間に総てを賭す・フィエル(a65023)
迷宮組曲・ロンウェ(a66705)


<リプレイ>

●不快な森
「ううっ……、何だか息苦しいですね。村人さん達は避難する事が出来たんでしょうか?」
 青ざめた表情を浮かべながら、銀糸を纏いし聖天使・ミーチェ(a62819)が村人達の安否を心配する。
 大半の村人達は避難し終えているようだが、村が胞子まみれになっているので逃げ遅れた人がいるかも知れない。
 しかし、村人達を捜すためには胞子を掻き分けていく必要があるため、誰も捜索隊を結成しようと言い出さなかったようだ。
「ただジメジメしているだけならば、湿地育ちリザードのわしにはむしろウェルカムなんじゃが……、それでも胞子まみれは勘弁じゃな」
 マスクとマントで胞子を防ぎながら、玄鱗屠竜道士・バジヤベル(a08014)が汗を流す。
 胞子の積もった地面には不自然な膨らみがいくつもあるため、棒切れを使って何が埋もれているのか確認する。
 しかし、その大半が家畜の死体だったため、村人達の捜索は困難を極めていた。
「まさかここまで被害が拡大しているなんて驚きね。繁殖元であるモンスターを倒せば収まるらしいけど、逃げ遅れた村人達がいるかもしれないから悠長に構えていられないわ」
 毒キノコに支配された村の惨状を目の当たりにしながら、鋼鉄の怒哀を歌う・アイシア(a58635)が飛び交う胞子を振り払う。
 胞子のせいで食料が汚染されているため、例え生きていたとしても空腹状態である事は間違いない。

「普通なら此処まで酷い有り様にならないのですが……。やはりキノコモンススターの影響がありそうですね」
 改めて過ちキノコの恐ろしさを実感しながら、ハニカ・ミヤクサ(a33619)がゴクリと唾を飲み込んだ。
 過ちキノコのせいでキノコが繁殖しやすくなっているため、雪が積もる前に退治しなければ大変な事になってしまう。
「キノコと言えば秋の味覚ですが、流石に毒キノコや胞子は遠慮したい所ですね」
 コートの裾で口元を覆って胞子を防ぎ、迷宮組曲・ロンウェ(a66705)が村の見取り図を開く。
 避難した村人達からの話を聞く限り、村に残っているのは数人程度。
 そのうち何人の村人が生き残っているのか分からない。
「食えるキノコだったら良かったのになー……って、フケと垢で繁殖!?」
 青ざめた表情を浮かべながら、黒犬・リュウ(a46253)が念入りに身体を拭く。
 過ちキノコのせいで毒キノコが大繁殖しているため、なるべく身体を綺麗にしておく必要があった。
「……なんだろう、土じゃなくてグドンにくっついてる所が過ち? 生える所を間違えたとか……。でも、万年床に大量の毒々しいキノコが生えたっていう話も聞くし、場所の間違いでは無いような気も……。それじゃ、何が過ちなんだろう。……不思議、不思議」
 大きなハテナマークを浮かべながら、太白・シュハク(a01461)が不思議そうに首を傾げる。
 何か深い理由があって過ちキノコと名づけられた気がするのだが、村人達が誰もその理由を語ろうとしないので分からない。
「喰えない茸に、あまり興味は無いんだが、危険なものを放っておく趣味も無い」
 警戒した様子で辺りを見回しながら、冷厳たる十三夜月・アキトキ(a06986)が清潔な布で口元を完全に覆う。
 アキトキ達が歩くたびキノコの胞子が舞い上がり、徐々に視界が悪くなっていく。
「胞子が舞い上がらないように気を付けておかないとね……」
 自分自身に言い聞かせるようにしながら、沈勇なる龍神の魂宿りし者・リュウ(a31467)が慎重に進む。
 しかし、村には生存者が残っておらず、胞子にまみれた死体しか見つからなかった。
「こ、こんな酷い事が……許されるわけがありません……。早くグドンを探さないと……」
 村人達の死体を荷車に積み終え、地伏す時迄・フィエル(a65023)がグドンを探す。
 次の瞬間、グドン達の唸り声が響き渡り、冒険者達の間に緊張が走った。
「どうやら向こうから会いに来てくれたようだな」
 舞い上がる胞子の中からグドンの群れが現れたため、断金の牙・ウォーレン(a01908)が長剣をギュッと握り締める。
 グドンの群れは身体中にキノコを生やしており、全体的にテケテケとモザイクが掛かっていた。
「うわぁ……すっごいなぁ……いろんな意味で……このグドン達、やばすぎ……汚いよっ! こんな奴らをのさばらせておくわけにはいかないね、絶対!」
 毒キノコを採取し終え、白い狐っこ死神・ディッカ(a62274)がグドンの群れと対峙する。
 それと同時にグドンがキノコまみれの棍棒を振り上げ、ラリラリとした表情を浮かべて冒険者達に襲いかかってきた。

●キノコグドン
「来たか……、グドン!」
 大量の胞子が雨となって降り注ぐ中、リュウ(沈勇なる龍神の魂宿りし者)がグドンの振り下ろした棍棒をヒラリとかわす。
 辺りに舞っている胞子のせいでグドンの体には毒キノコが生えており、皮膚が裂けて傷口がジュクジュクになっている。
 その場所からキノコが生えてきているようなので、どちらにしてもグドンの死が近づいている事は間違いない。
「ウッ……! キモッ! 何これ……」
 青ざめた表情を浮かべながら、アイシアがジリジリと後ろに下がる。
 グドンの身体からは凄まじい体臭が漂っており、マスクをつけた程度では防ぐ事は出来ない。
 そのため、例えようのない恐怖が、彼女の身体を包み込む。
「確かに……不快だな。だが、ここで怯んでいるわけにはいかない。わずかでも村人達が生き残っている可能性がある限り……」
 襲い掛かってきたグドンの懐に潜り込み、アキトキが近距離から流水撃を叩き込む。
 その一撃を喰らってグドンが吹っ飛び、大量の胞子がぶわっと舞い上がる。
「キノコの隙間と隙間から目が……。ううっ……、嫌な事を想像しちゃったよ。自分の食べたキノコを栄養にして、身体のキノコを育てているのかな……」
 全身に鳥肌を立たせながら、シュハクがダラリと汗を流す。
 グドン達は自分の身体に生えたキノコを引き千切り、ヨダレをダラダラと流して喰らっている。
「くっ……、キツイ。でも、こんな惨劇はたくさんです!」
 むせ返るような臭いが漂ってきたため、フィエルがグドンの疾風斬鉄脚を打ち込んだ。
 そのたびキノコの胞子が舞い上がって濃度が増すため、だんだん視界が悪くなり始めている。
「汚いから、あんまり近寄りたくないけど……、このままじゃ勝てないものね」
 霧状の胞子で前が見えなくなってきたため、ディッカが近寄ってきた者に流水撃を放つ。
 間違って同士討ちになる可能性があるものの、そんな事を考えていたらグドンに抱きつかれてしまう。
「どうやら目印が必要なようですね」
 すぐさまホーリーライトを発動させ、ミヤクサが自分のいる場所を示す。
 その光によって敵味方の判別がつくため、先程よりもグドンと戦いやすくなった。
「やれやれ、面倒な敵を相手にする事になったのぉ。じゃが、毒で痛みの感覚が麻痺しているのなら、倒す事は簡単じゃ」
 キノコグドンの弱点に気づき、バジヤベルがグドンに対して毒消しの風を使う。
 次の瞬間、グドン達が激痛に苦しみ、身体を掻き毟るようにして息絶えた。
「あ、あれは……村人達です!」
 ハッとした表情を浮かべながら、ミーチェがヘブンズフィールドを展開する。
 村人達は小屋の中に隠れていたらしく、冒険者達の存在に気づいて毛布を放り投げた。
「……間違いありません。行方不明の村人達です!」
 行方不明者リストを確認しながら、ロンウェが村人達の数を数えていく。
 冒険者達によって保護された村人達は疲れ果てているようだが、胞子を吸わないようにしていたので命に別状はないようだ。
「こんな所でよく頑張ったな。さ、空気の美味い所に行こうぜっ!」
 村人達の身体についた胞子を振り払い、リュウ(黒犬)が安全な場所まで誘導する。
 それと同時に大量のキノコがモゾッと動き、ユラユラと頭を揺らして襲いかかってきた。
「あれが過ちキノコか。……確かに過ちを犯していそうな形だな」
 納得した様子で過ちキノコを見つめ、ウォーレンが深い溜息を漏らす。
 ……過ちキノコは大小様々なモザイクに包まれていた。

●過ちキノコ
「随分と栄養を吸って肥えているようじゃが、もう我が王国も飢えとらんし毒キノコなぞ要らんっ! ……『過ち』なんぞ若い頃にやらかしてきた分だけで充分じゃ」
 不機嫌な表情を浮かべながら、バジヤベルが過ちキノコにヴォイドスクラッチを放つ。
 その一撃を喰らって過ちキノコがバランスを崩し、そのまま胞子の山に突っ込んだ。
「……なんだかこれまで以上に凄まじそうな。……皆さん、胞子に気をつけましょう……」
 舞い上がった胞子を吸い込まないようにして後ろに下がり、フィエルがガッツソングを歌って自分自身を勇気づける。
 どうやら過ちキノコがモザイクに包まれながら怪しげな動きをするため、色々な意味で身の危険を感じ始めているようだ。
「それにしても……、ありえない形をしていますね、アレ。こんなモノに興味を示すなんて、グドンの考えている事が分かりません」
 過ちキノコに対して嫌悪感を抱きながら、ロンウェが口元を押さえてニードルスピアを撃ち込んだ。
 そのたび辺りに胞子が飛び散るため、景色が黄色くなってきた。
「ううっ……、全身に鳥肌が……。ここで怪我をしたらグドン達と同じ姿になるんじゃないかって想像すると、怖くて怖くて……こ、来ないでください〜」
 過ちキノコが巨大な頭を揺らして襲いかかってきたため、ミーチェが大粒の涙を浮かべてニードルスピアを放つ。
 これだけでも彼女にとっては悪夢の光景なので、完全に戦意を喪失して帰りたくなっている。
「キ、キモぃ! 明らかに害がありそうだわ。ようやく過ちキノコを倒したと思っても、付着した胞子のせいで被害が拡大しましたってオチはないわよね?」
 黒炎覚醒で通常攻撃をブラックフレイムに変化させ、アイシアが過ちキノコに攻撃を仕掛けていく。
 過ちキノコが倒れれば胞子も無力化されるはずだが、どうしても不安な気持ちばかりが膨らんでしまう。
「何が起こるか分からないからなぁ。ある意味、ホラーだよね」
 引きつった笑みを浮かべながら、シュハクが毒消しの風を使う。
 過ちキノコと戦っていると何故か全身がむず痒くなってくるため、毒消しの風を頻繁に使っておかないと安心する事が出来ない。
「うわっ! 身体中に胞子が付着し始めたぞ!? 早く過ちキノコを倒しちまおうぜ!」
 何度、胞子を振り払っても付着してくるため、リュウが(黒犬)が過ちキノコにミラージュアタックを叩き込む。
 過ちキノコの身体から飛び散った胞子は、付着するとなかなか取る事が出来ないため、倒すまでに時間が掛かってしまうとそれだけ不利になってしまう。
「これが本当のダブル・ドラゴンだな……」
 含みのある笑みを浮かべながら、リュウ(沈勇なる龍神の魂宿りし者)が連携を取っていく。
 ふたりの攻撃が次々とヒットし、過ちキノコの身体から胞子が飛び散った。
「もう少しです。皆さん、頑張りましょう」
 仲間達を励ましながら、ミヤクサが静謐の祈りを発動させる。
 大量の胞子が身体に付着したせいで仲間達も戦う気力を無くしているが、ここで過ちキノコを逃がすような事があれば更なる悲劇を招く事になってしまう。
「ああ、こんな物騒な存在を野に放つわけには行かないからな」
 一気に間合いを詰めて電刃衝を叩き込み、アキトキが過ちキノコの肉体をモザイクごと切り裂いた。
 そのため、過ちキノコがドクドクと血を吐き、逃げるようにして背をむけた。
「この状況で逃げられると思ったのか? だったら……甘いな」
 過ちキノコにサンダークラッシュを放ち、ディッカが疲れた様子で溜息をつく。
 その一撃を喰らって過ちキノコの体が裂け、濃厚な臭いと共に大量の血が吹き出した。
「……終わったな」
 過ちキノコが倒れた事を確認し、ウォーレンが口を開く。
 だが、村を元通りにするためには、山のように積もった胞子を片付ける必要がありそうだ。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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