<リプレイ>
●侵略〜雷鳴の様に〜 拠点より、目的の場所へと向かう冒険者達。 ドラグナー達の巣くうこの地……ちらほらと視認する事が出来る中で、冒険者達は注意しながら飛行していた。 「……また要所破壊、か。前回は楽な仕事だったが……今回も楽……はさせて貰えんのだろうな。ま……何にせよ、ヤルだけはヤルしかないが……」 飛行しながら、騙る者・ティキ(a02763)が呟く。 前回……一月半程前にあった第一次侵略作戦。その時にも、ティキは拠点破壊へと赴いていた。 あの時は順調に施設を破壊する事が出来たものの、今回はそれとは勝手が違う。 それぞれのパーティで、破壊活動を行わなければならない事。更に……霊査から貰える情報は、極端に不足している。 「……やれる限りやるしかありませんね。問題はいつ、ドラゴンが出てくるか……でしょうか。行動は迅速に、そして飛ぶが如く……。雷鳴の様に、ですね……」 軽く微笑む昏闇紅月・キュリア(a51087)。 作戦名を口にすると共に……その意味が示す事を、あらためて感じる。 「後手に回る訳にはいかんしなぁ……手を打たせてもらうしかないんだろうが」 「……後に続く仲間達のためにも、成功させる為に頑張りましょう。その施設が……何になるかは判りませんが」 力を求める弓兵・エスター(a53462)と、剣難女難・シリュウ(a01390)の言葉。 自分達の向かう目的地……それは、建設中の施設の破壊である。 成功させなければ、何が起るかは判らないが……少なくとも、冒険者達に不利となる状況の一助となるのは間違いないだろう。 「……ドラゴンの力、でしょうか。それは賞賛に値するモノだと思います。しかし、私は希望のグリモアで誰かを護り、そして助ける事を誓って冒険者としています。だから……間違っても、私自身の為だけに使いたくはないです。冒険者として、最後まで生きた人達の意思を継いで、後に居る冒険者達へ意思を渡すために、私達はいるのですから……」 そう告げるのは、ハニカ・ミヤクサ(a33619)。勿論、それは死に急いで良いという事ではない。 護る事……それは、自分の身を犠牲にするという事ではない。 「……あえて死を求むような無理はしません。望む事は……作戦成功と、皆が欠ける事なき帰還です」 「そうね……護るべき者があるから、私達冒険者は強くなれるもの。護るべき者がいるから、帰る場所に出来るのよ……ちゃんと帰ってくる為にも……私達は立ち上がらなきゃならないのよね」 気紛れ山猫・エル(a46177)に、フレイハルトの護衛士−紅神の・フーリィ(a00685)が答える。 「……まぁ、兎も角俺達が頑張らないとな。第一次の作戦には参加出来なかった分、今回は大いに暴れてやろうじゃないのっ♪」 ストライカー・サルバトーレ(a10671)が不慣れそうに飛びながら、にかっと微笑み、仲間達も頷いた。
そして、冒険者達は目的の施設群へと接近する。 異様な気配が漂うその施設……その周囲には、多くのドラグナー達が働いていた。 「……あれが、その施設か。見る限り不気味なものだな」 「そうだね……何の為に作っているかは知らないけれど、どうせろくな事じゃないんだろうな〜」 ティキの言葉に、笑顔のヒーロー・リュウ(a36407)がそう告げる。 ドラグナー達の作る施設という事は……少なくとも、古代ヒト族に関連する何かであるのは確実だろう。 「……古代ヒト族の成れの果てこそが、ドラグナー……ですか。知恵があっても、やってる事自体は性悪のガキと何ら変わりがないですね。せいぜい規模が大きいってだけなのはどうなんでしょう」 斬空術士・シズマ(a25239)がその施設に対して吐き捨てる。 「……まぁ、私達にとっては規模が大きいも小さいも何もないわ。ただ壊すだけ……使命を果たさないとね」 「そうだね。第一第二作戦の皆の頑張りに答える為にも、頑張ってたたき壊さなくちゃね!」 フーリィとリュウの言葉に頷き、そして。 「さて……いっちょ、やりましょうか!」 「怪我無しでいけりゃいいんだが……まぁ、早々甘くはないかねぇ。ともかく、施設破壊だけでも的確にこなすとするか」 エル、そしてエスターの言葉に合わせて、冒険者達は一斉に施設への強襲を掛けた。
●破壊作戦、開始 「……まずは、あそこから行こう!」 リュウが指し示したのは、建設中の施設の中でも、まだ始まったばかりの石碑のような施設である。 建設に携るドラグナー達の数も少なく、一番楽に破壊出来ると予想出来た。 「判った。まずは手慣らしに一発って事だな。いっちょやるとすっか……みんな、よろしくなっ」 エスターの言葉に頷き、サルバトーレ、シリュウ、シズマ、リュウの四人の前衛が一気に急降下。 その後方より、ティキ・キュリア・エル・エスターの四人が、降下直前に先手を打ちナパームアローを打ち落とした。 完全に不意を突かれた形での襲撃となったドラグナー達。爆炎の中から現われる冒険者達……。 当然の事ながら……反撃する間も無く、ドラグナー達を葬り、その施設へと接近する事が出来た。 見上げる程度の大きさを持つ石碑……残るメンバーも降下をすると共に、その柱を見る。 ……何やら文字が書かれているようだが、当然読むことは出来ない。ただ一つ言えるのは……不穏な気配。 「……嫌な気配がしますね。こういう物は、早く壊した方が良いでしょうか」 「そうね……それじゃシリュウくん、リュウくん、ぶちこわしちゃって」 「判りました……一気に粉々にしましょう」 フーリィの言葉に……二人は大岩斬を放つ。 みるみるうちにヒビが入り、大きく砕け散る石碑。その一つを手に取るリュウ。 「……これが、何か手掛かりになるかなぁ……?」 「そうだね……何かの手掛かりになるかもしれないけれど、それを使う時が果たしてくるかどうかは微妙だね……」 「まぁ、護衛が少なきゃこんなもんか……まずは一つ。もっと沢山の数を壊さなきゃならねぇのか……」 「そうですね……幾つあるかも判りませんが、出来る限り多く、短時間で倒すことが私達の使命なのですから……そうなっては、ここで話している暇も惜しいですね。次の場所に向かいましょう」 エル、ティキ、そしてキュリアの言葉が続いていく。 二つ目、三つ目……まずはドラグナー達の数が少ない所を、手当たり次第に破壊していく。 ……そして、幾つかの施設を破壊すると、次なる目標……多くのドラグナー達が残る、完成間近の施設がその視界の中に映った。 「これは本気出して行かなきゃならないようですね……皆さん、準備は良いですか?」 ミヤクサが仲間に尋ねる……当然、その言葉に異論を唱える者が居る訳がない。 多くのドラグナー達が護る、その施設へ……襲撃を仕掛ける冒険者達。 いの一番に声を上げたのは……。 「奇襲とは知恵比べだっ、悪戯の天才に勝てるかなっ♪」 どこか嬉しそうに突撃を掛けるサルバトーレ。 不意の襲撃……ドラグナー達は一部を除いて混乱に陥った。 施設を護ろうとする者……とりあえず逃げようとする者……。 そして、その場を統率しようとする者……。ドラグナー達は、様々な行動を起こす。 「逃げようったって……誰一人として逃しはしませんよ。我が刃に……断てぬモノは無い!!」 そう叫びながら、スピードラッシュで逃亡を図ろうとするドラグナーを切り捨てるシズマ。 続くシリュウとリュウも。 「打ち砕け! ダークソウル!」 「……この剣の前に、墜ちなさい」 と、サンダークラッシュにて、手近なドラグナー達を葬り去っていく。 前衛が戦う一方、上空から周囲の状況を確認するミヤクサと、回復の為に動き回るフーリィ。 いつドラゴンが現われ、接近してくるかも判らない……。 油断が出来ない状況だからこそ、ミヤクサはあせらず、出来る限り状況を冷静に判断し、そして戦う仲間達に的確な指示を与えていく。 そして……どうにか施設の周囲に付くドラグナー達を軽く一掃すると、ティキが上空からその施設へと接近する。 「……施設と言ったって、所詮はモノ……脆い所は必ずあるはず……」 その施設を見ながら降下し……その視線に止るのは亀裂だった。 最下部まで降下すると共に、シズマとリュウにティキは告げる。 「この亀裂を使って、傷跡を切り開けば簡単に壊れるはずだ」 「了解、一刻も早く壊しましょう」 「僕はこの接合部を叩くよ。こういう所は、建物の支点になる。ここを壊せば、一気に建物は支えを失って崩壊する筈だよ」 そしてシズマとティキの二人は亀裂に対し、疾風斬鉄脚、技による攻撃を放ち、亀裂を広げようと攻撃を喰らわせる。 又リュウも、二人とは別にアーチ等の弧状の物が集中する場所へ大岩斬を放ち、一気に崩壊する事を狙った。 その間にも未だ襲い掛かってくるドラグナー達……彼等は、エル、キュリア、エスターの三人の牙狩人が、ナパームアローと貫き通す矢を使い分けて、範囲と個体を選択しながら的確に仕留めていく。 「ほらほら……それで終わりかっ? もっと歯ごたえのある奴らと思って他が、期待はずれだな!」 最後の脱出の為に、決して全力を出さずに戦うサルバトーレは、ニヤリとドラグナー達に笑みを浮かべる。 ドラグナー達個々の能力と、ドラゴンウォーリアー化した冒険者達の能力……その差は大きい。 数の面では圧倒的不利ではあったが、総合力としては優位に立つ冒険者達。 回復の手が不足する事も無く、施設は……三人の力により、その背後にて大きな音を立てながら崩壊した。 「よしっ……お前達の護ってた施設は崩壊したぜ? それでもまだ戦うのか? ま……こっちも容赦はしないけどなっ!」 シズマ、ティキ、リュウが離脱するのと同時に、崩壊した施設を中心に、再びナパームアローの嵐を放つエスター、エル、キュリア。 多数の範囲攻撃と、施設破壊に剥いたアビリティを持ち合わせたこのパーティーは、多くの施設を破壊する戦果を得たのである。
●帰還 そして、多数の施設破壊をこなした所で、ふと周りを見回す。 この場に来て、どれ程の時間が経ったのだろうか……少なくとも、朝が昼過ぎになる位の時間は経過した筈だ。 殆どこの辺りの施設破壊は完了し、残るは小物の施設ばかり。 「……そろそろ頃合いかしらね? ここでうろちょろしてると、もっと多くのドラグナー達が来かねないし、ドラゴンもいつ現われるか判らないわ。急いで戻るわよ」 この騒ぎを聞きつけて、他の所から更に多くのドラグナー達が加勢してくるかも判らない。 フーリィの言葉に誰しも頷き、中空に飛翔を始め拠点へと向かい始める……すると。 「……来てしまったようですね」 戻るべき方角に、ドラグナー達の編隊が現われていた。 一様に士気が高く、数も自分達より少々多い程度だろうか。 「……ちょっと引き際のタイミングが遅かったかしら……仕方ないわね。シリュウクン、サルバトーレクン……突破口を開くわよ!」 「仕方ありませんね……突き抜けなければ逃げ道はありませんし」 「最後の一暴れか。よしっ、判ったっ! ……行くぜっ!」 三人が最前線に立つと共に、一直線にドラグナー立ちの群れへと向かう。 「……医術士、いや護衛士フーリィ・ユエ参るっ。医術士だと、なめると怪我するわよっ!」 「後半に元気な奴が一人はいなきゃ面白くないだろっ♪ ほら、掛かってこいよっ!」 二人の威勢の良い言葉に、ドラグナー達も武器を構えて応戦する。 左から、右から幾多の斬撃が放たれてくる……しかしその攻撃は、ドラゴンウォーリアーと化した全力の移動をもって攻撃を交わしていく。 更にティキも、後方からライトニングアローで、傷を負ったドラグナー達を確実に沈めていく。 「後少し……突破すれば、後は逃げ切れるわっ!」 そうフーリィが言った次の瞬間……ドラグナー達の群れが途切れる。 「突破っ! みんなあと少しだよっ、頑張ろうっ!」 仲間達を励ますリュウ。 敵の手を逃げ切ると共に、加速を上げて一気に振り切る冒険者達。 ……そして目の前に現われる本陣。 その地に降り立つと共に……ふぅ、と溜息を覇気ながら。 「それにしても……シリュウと組むときって、いつもきっつ〜い仕事ばっかりなんだよなぁ……呪われているのかっ?」 「……そんな事、私には判りませんよ……ただ、何かがあるのかもしれませんね……」 苦笑を浮かべるサルバトーレに、真剣な表情で答えるシリュウ。 「ともかく……ここまでくれば、もう奴らも追ってこないだろう。みんな……大丈夫のようだな」 汗をぬぐいながらふぅ……とエスターが呟く。 「……結構沢山の施設を破壊出来たかなぁ? でも、みんなが無事ならそれでいいよね?」 「そうですね……作戦はおおむね成功したと言っていいでしょう。後は……脱出の時まで、時を待ちましょう」 天を仰ぎ見ながら、ミヤクサは……ぽつりそう告げる。 作戦本来の目的は、概ね達成した。 後は……他の仲間達の無事を祈るだけである。

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参加者:10人
作成日:2007/11/16
得票数:冒険活劇11
戦闘2
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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